居ないとは思うけど。絶対に居ないとは思うけど。偶然拾った石ころが銀河の彼方からやって来た隕石だったくらいの可能性に掛けて僕は問う。
この中に死んだら何も無い空間で目覚め、尚且つ自らを神と名乗る痛い少女に会ったことがある人が居るなら少しばかり助言を頼みたい。
死んだことは覚えてる。信じたくないことだが我ながら不甲斐無い死に方だった。まさか歩道橋の階段に落ちていた空き缶を踏んでしまって、後ろにこけてそのまま絶命なんて。
と、今はそんな昔のことを思い出す時間じゃ無い。今を生きよう。死んでるけど。
「そちらの麗しいお嬢様。大変失礼ながら私めには貴女のおっしゃられた言葉の意味が分かりません。申し訳ありませんが今一度ご説明のほうをよろしくお願いします」
黒い髪をツインテールでまとめた少し幼い体型の自称神様に聞く。自称神様が無ければアニメに出てくるロリキャラそのものなんだけどなぁ。
「わー!あたしに敬語を使ってくれる人間なんて久しぶりだよ。大体あいつが人間の癖にあたしら神に敬意を払ってないだけだけど。あーごめん、こっちの話」
この世界のどこかには神様と普通に会話する人が居るらしい。本当に神様なのだろうか?
話は変わるけど冒頭の質問、あれは取り消した。順応性を高めてあるがままを受け入れたらあんなことどうでも良くなった。
「じゃあ、もう一度言うよ。哀れにも死んでしまった君は不幸中の幸いで転生権を持っているから、君が望むなら好きな世界に君は転生することが出来るんだよ。勿論転生特典付きでね」
「転生権とは何でしょうか」
「転生することを許可されている権利みたいなものだよ。気が向いたら持ってない人でも転生させるけど」
なんて迷惑な人だ…。ああ、神だったか。
「さて、それじゃあ君はどんな世界に行きたい?それと特典は何にする?あと、君自身の設定とかも」
A3の紙を渡される。見ると聞いたことがあるアニメや漫画、ゲームなどのタイトルが書かれていた。どうやらこの世界には行けるらしい。
先ほどまでの人の理解を超えた事象を処理しきれず機能停止していた思考を再起動させ考える。どの世界が良いのだろうか。あ、この世界に行こう。
「決まりました。行き先はこの世界で。特典は、こんな感じのを……。で、僕自身はこんな感じに」
「ああ、うんそんなもんで良いならすぐに用意出来るよ。じゃあ、五分後に来るエレベーターに乗ってね」
そう言うとどこかへ走り去って行く自称神様。もし本当に転生出来たら自称を外さないとな。
5分間適当に時間を潰していたら地面と言うか床をすり抜けるようにエレベーターが現れ、ドアが開く。自分でも驚くほど迷い無くそれに乗る。
するとエレベーターはどんどん上へ昇って行く。
そして気が付いたら僕は白い軍服を着て、何となくえらそうな雰囲気を持つ太った男の前に立っていた。