「第1艦隊旗艦は那珂――
「提督、那珂ちゃんって呼んで欲しいなー?」
――那珂で、続いて吹雪と夕立で」
「提督ひっどーい!」
なぜか5500t級軽巡がうるさいけど(でもあやねるボイスだから許す)艦隊を組んでみた。
あとは羅針盤が壊れたような動きをしなければ1-1なんて勝ったも同然だ。
「では第1艦隊は鎮守府正面海域に出撃してこの辺りの警備を」
「了解!那珂ちゃん、お仕事行きまーす!さぁ、皆も頑張ろー!!」
あれ?那珂ちゃんの出撃ボイスってこんなんだっけ?
まあいいか。言っていることは同じだし、全てがゲームと同じだとつまらないしな。
「右舷に敵艦発見っぽい!」
最後尾を航行していた夕立ちゃんが元気良く言う。
よーし!私も負けないくらい元気出すぞ!
敵は駆逐艦が1隻だけ。
すごい司令官の言った通りだ。そしてその場合の指示も司令官から聞いている。
この場合は3隻での集中砲火。
「みんなー!タイミング合わせて撃ってね!3、2、1、今!」
那珂さんからのタイミングで一斉に砲撃を始める。
幾つかの砲弾が敵駆逐艦に命中し、駆逐艦は轟沈する。
「はーい、みんなお疲れ様!次ぎ行ってみよー!えいえいおー!」
「えいえいぽーい!」
「えいえいおー?」
何か一人掛け声が違っていた気がするんですけど!明らかに違っている人がいたと思う!気のせいならいいんだけど!
「吹雪ちゃん。どうかしたっぽい?」
夕立ちゃんのせいだよ!気のせいじゃなくて夕立ちゃんのせいなんだよ!
思いっ切りチョップしかけたのはここだけの秘密だ。
「羅針盤によると南東に曲がるね。二人とも、警戒してよね。吹雪ちゃん、どうかした?」
「いえ、爆発音がした気がして…。気のせいだと思うんですけど…」
「提督に確認してみれば?」
那珂さんが真面目に旗艦してる。私の知っている那珂さんじゃない気がする。
「司令官聞こえますか!?こちら吹雪、応答願います!」
『こちら提督。今の爆発音を聞いたんだろうがそれは呉鎮守府の工厰で起きた爆発だから大丈夫だ』
何が大丈夫なのかは分からないけど。
一応二人にも伝えておく。
「ふーん、呉の工廠が爆発ねー。案外提督の仕業だったりして!」
「そんな訳無いじゃないです…か」
「まあ、多分違うからね。本気にしないでね!ほら、早く針路を南東にしてね」
えっと確か南東に曲がった場合は軽巡が1隻と駆逐艦が2隻確実に出てくると司令官は言っていた気がする。
敵艦隊を確認したら那珂さんが囮になって私と夕立ちゃんの砲雷撃で沈めていく作戦だ。それをみんなと確認し索敵を始める。
「敵艦隊発見!二人ともさっき行った通りにね!」
そう言うと那珂さんは一気に加速して正面の敵艦隊にまっすぐ突き進んでいく。
それに気付いた深海棲艦が砲撃を開始するが、那珂さんは小さくジャンプしながら体を右にひねて向きを変え着水。進行方向を無理矢理右に変えたことで砲弾を全て回避した。さらに左腕の単装砲で駆逐艦を1隻沈めた。残ったのは軽巡1隻と駆逐艦2隻。
那珂さんが囮になっている間に私と夕立ちゃんは敵艦隊の左側に回りこみ、砲撃を開始した。
那珂さんを追撃しようとした軽巡の後部に砲弾が当たる。しかし全くと言っていいほど効果がなかったようだ。
「やっぱり、駆逐艦の砲弾じゃ効果ないっぽい?」
「うーん、どうだろう。…敵艦発砲!」
主砲発射の爆炎を視認してあわてて叫ぶ。私と夕立ちゃんは敵艦隊に向かい前進する。
私は横に避けようとしたけど那珂さん曰く『避けられないようにある程度左右にばらける様に撃つだろうから反撃された場合は前へ進んで避けてね』とのこと。本当に那珂さんは建造されたばかりの錬度1の艦娘なのだろうか?実は第二改装レベルと言われても不思議じゃない。うーん、どちらかと言うと経験豊富と言う方が正しいのかな?
そんな不思議な那珂さんの教え通り敵艦隊に向かって最大戦速。
実は吹雪型の方が白露型より速かったりする(特型駆逐艦は38ノット。これを超える速力を持つ日本駆逐艦は峯風型と島風ちゃんくらいである)。しかし今回は私達二人の連携が重要だから夕立ちゃんに合わせて少し遅くする。
「行くよ夕立ちゃん!」
「ぽい!」
ここでそんな使い方したら鳴き声と思われちゃうよ…。手遅れかもしれないけど。
作戦としては二人で1隻ずつ駆逐艦を攻撃して出来れば沈める。そして軽巡に魚雷で攻撃する。これも那珂さんから言われたことだ。
別々の目標に狙いを定めて引き金を引く。発射された砲弾が駆逐艦2隻に当たり、それぞれを沈めていく。
それを確認して、私は加速して最大戦速の38ノットで残った軽巡に肉迫する。
軽巡の主砲がこちらを向く。それに怯まず私も主砲と魚雷を構える。後ろでは夕立ちゃんが魚雷の狙いを定めてるはずだ。
私は魚雷を発射して左に急旋回。それと同時に敵の軽巡が主砲を撃つ。
運良く私の放った魚雷の内一本が軽巡に辺りそのまま軽巡が沈んで行った。
しかし運悪く敵の軽巡の砲弾が私の腹部に命中し、私の視界は暗転した。