僕のスキルと安心院さん   作:レインコート

7 / 12
今回、駄文に注意。

緑谷君は、感情が表に出ないタイプ。興奮するときはちゃんとする。


No.7 心のままに

「出久! ティッシュ持った!?」

 

「うん」

 

「ハンカチも!? ハンカチは!? ケチーフ!」

 

「持ってる」

 

 いくらなんでもお節介過ぎるんじゃないか? と言う事を思っても言わない。

 言ってしまった所でお節介は治らないだろうし、だったらいっその事言わない方が良いかな?

 

「持ったから………大丈夫だよ」

 

 だが、ここまで母がお節介になるのにも理由が存在する。自分の息子が雄英なんて凄い所に合格したんだ、ここまでされても可笑しくはないだろう。

 流石にここまでされると、こちらが恥ずかしくなってくる。

 

 一応、これでも高校生なのに………。

 

 

 だが、やはり喜ばれる、というのが嬉しくない訳がない。夢だと疑っても可笑しくはない話だ。

 何故なら”無個性“の少年が合格してしまったんだから。

 実際にはスキルを持ってるんだけどさ……。

 

「出久!」

 

「………どうしたの?」

 

 まだ何かあるのか? 

 そう思ってしまった僕は悪くないはずだ。持てる物は全て持った……はず。不安になって鞄の中を探ってしまった。

 でも、忘れ物は無かった…………けど、

 

「すっごく………カッコいいよ」

 

 

「……うん………行って来ます!」

 

 よし、覚悟決めますか。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 やるせない気持ちになりながらも、雄英に到着する。

 しかし、到着したまでは良かったのに道に迷ってしまった………雄英広すぎなんだよなぁ………。

 

 雄英の広さに戸惑ってしまったが、遅れる訳にもいかないので教室を探す。

 

「……………広い………」

 

 しかし、一向に見つかる気配がない。

 

 一般入試の定員36名で1クラス18人、さらに2クラスという少なさ。なのに見つからないなんて可笑しくはないだろうか………やっぱり広すぎるんだよ。

 

「ねえ!」

 

 そうやって雄英の広さに愚痴を垂れていると、後ろから誰かに呼び掛けられた。

 呼び掛けられるような知り合いなんていない筈だけど…。

 

 少し疑問に思いながらも、誰かと思い振り返る。

 

 

「……………あ、試験の時の」

 

 直接的な関わりはあまりないが、一応見知った顔ではあった。

 試験の時や、試験後にも少しばかりお世話になったから………、これはちょうど良いかもね。

 

 とても感謝しているので、お礼を言いたかった所だ。 

 

「やっぱり……試験の時、助けてくれた人だよね?」

 

「………あ、うん。一応」

 

 不明瞭な返事。

 安心院さんの女性と話さないから、少しテンパってしまった。女子に対する耐性が出来上がってないんだよ。試験の時は脳内アドレナリンがドバドバだったんだ………だから抱き寄せたり、お姫様抱っこが普通に出来たんだよ。

 いつもなら絶対無理だろうね。

 

「そっか………えっとさ…………助けてくれて、その、ありがとね」

 

「いや、そんな……自分がやりたい事やっただけで」

 

「でもさ……助けてくれたのには変わりないし」

 

「………お礼を言うのはこっちだよ」

 

「?」

 

 どうやら救助活動Pの事は聞いていないらしい。なので簡潔に話す。

 

「そうだったんだ…………てか、P分けに来たの知ってたんだ?」

 

「あー、まあ……うん」

 

 素直に答えたら顔を伏せてしまった。

 これは照れているのか……きっと照れているんだ。決して僕の顔を見て笑った訳ではない……はずだ。

 

 って、そうだ……この人に聞きたい事あったんだ。

 

「…そういえば……名前、まだ聞いてない」

 

「……………って、え、あ、名前?」

 

「……うん」

 

 ずっと女子とか呼び続けるのも面倒なので、今の内に名前を聞いておく。

 あ、でも合格通知来たときに名前言ってたかも………………忘れた。

 

「ウチの名前は、耳朗、耳朗響香」

 

「緑谷出久。よろしく」

 

 耳朗響香…………大丈夫。もう覚えた。呼び方は普通にしようかな。

 

「それじゃあ改めて、よろしく。耳朗さん」

 

「耳朗? 別に響香でも……良いけど」

 

「いや、耳朗さんって呼ぶ」

 

「………わかった。よろしくね、緑谷」

 

「んー」

 

 お互いの名前を知り合った所だが、ここである事に気づいた。

 

「…………って、遅刻するかも……」

 

 話している内に時間はギリギリになっていた。不味いなぁ………遅刻したら色々と……………。

 初日から遅刻する生徒とか、問題児の烙印押されて退学まっしぐらじゃないか。

 

「えっ………本当だ……」

 

「…教室って……何処?」

 

 道がわからない……いや、マジで。

 

「もう少し先」

 

「ふぁっ」

 

 足下から聞き覚えのない声が聴こえて、少し驚いてしまった。いや不意打ちだったからビビっただけで、覚悟してたら絶対ビビってなかったね。うん。

 

 

「はいよろしく。担任の相澤消太だ。遅刻は厳禁、さっさと行け」

 

 

 えぇ……これが教師?

 明らかに社会不適合感が滲み出ているではありませんか……。

 

「なんか言ったか?」

 

 そんな目で睨み付けないでください。怖いです。

 

「いーえ、何もないです。耳朗さん、行こう」

 

「えっ、あ…わかった」

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。