僕のスキルと安心院さん   作:レインコート

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No.8 嫉妬深い風

 

「ドア………大きいね」

 

「うん……デカイね」

 

 先生と出会った後、真っ直ぐ行けば進むと言われて来てみると、教室にたどり着いた。

 どうやらあの人は本当に先生らしい。廊下で横になっているから、つい不審者だと思ってしまった。

 不審者だとか思ってしまって御免なさい………と心の中で謝っておく。

 

 先程言ったが、ドアが大きい。無駄に大きくて威圧されてしまいそうだ。

 雄英はとにかく大きいのが好きなのか? と思ってしまうほど、とにかく色々大きい。無駄に大きいのはアメリカだけで良いんだけど…………バリアフリーなのか?

 

「緊張する…………耳朗さんは?」

 

「ウチだって緊張してるよ………緑谷、本当に緊張してる?」 

 

「…………してるよ?」

 

 口に出して「緊張してる」と言っているのに、何故聞かれなければならないのか………やっぱり感情が表に出ないタイプだからかな? 

 う~ん………確かに昔はこんなに冷めてる訳じゃあ……なかったけど、多分。

 

 安心院さんに出会ってからこうなったのかな?

 

 緊張していては始まらない、そう思ってドアに手を掛ける。

 大きく息を吸う……そのままドアを前に倒す。

 

「……………あれ?」

 

 可笑しい………と思い逆に引いてみる。押しても駄目なら引いてみろ。

 だが開かない………………

 

「……………………」

 

「緑谷、横だよ。横にスライド」

 

「………ああ、そう言う事か」

 

 凄く…………恥ずかしいです。

 そう言えば学校のドアって横だよね。緊張のし過ぎで忘れてたよ。耳朗さんの目の前なのに…………恥ずかしさで顔が熱いよ。

 全く見た目は変わってないけれども。

 

 あ、もしかしたらメガネの人居るかも。それにかっちゃんも居るかもしれないなぁ……………いや別に居るのは良いんだけど面倒だし。

 メガネの人は凄く厳しそうだし、かっちゃんは僕の能力説明してないから面倒だ。本当に面倒だ。憂鬱で溜め息が漏れ出る。

 

「………はぁ……」 

 

「緑谷……どうかした?」

 

 溜め息を付いてしまった為、耳朗さんに心配を掛けてしまったようだ………悪い事をしてしまった。

 もっと心配を掛けるのも悪いので、早い内に謝っておこうと思う。

 

「なんでもない………ゴメン、心配掛けて」

 

「……えっ、別に心配してなんか…………」

 

 これが流行りのツンデレか………良いね。安心院さんとかよくわからないし。ツンもなければデレもない、ヤンでもクーでもない………のか? 

 ジャンル分けが出来ないキャラだって言ってたし、本人が。

 

「ま、良いや…………入ろ」

 

 長い時間を掛けて、ついにドアを開ける。後ろで耳朗さんがあたふたしていたが、そっとしておこう。

 そして、教室の中で初めに目に入ったのは…………

 

「机に足をかけるな! 雄英の先輩方や机の製作者方に、申し訳ないと思わないか!?」

 

「思わねーよ、てめーどこ中だよ端役が!」

 

 2トップ…………有り得ないだろう……いや、有り得るか? かっちゃんは普通に強いし、メガネの人も強そうだし。でも面倒な事になったな。

 絡まれるかもしれない………

 

 そんな事を思っても、話は続いて行く。

 面白いから暫く聞いてみよう。

 

「ボ……俺は私立聡明中学出身、飯田天哉だ」

 

 聡明って言ったら、凄い所じゃないか。やっぱりエリートだったのか………………凄いや。

 かっちゃんも半分は僕と同じ事思ってたようで………

 

「聡明~!? くそエリートじゃねえか、ブッ殺し甲斐がありそうだな」

 

 どれだけ喧嘩腰なんだ、かっちゃんは………同じクラスメイトなのにブッ殺し甲斐って、駄目でしょ。

 

「君ひどいな、本当にヒーロー志望か!?」

 

 僕も同じ事思いました。けどヒーロー志望なんですよ、かっちゃんは。

 やると言ったらやる人だから。

 

 性格はあんなのだけども……………

 

「!」

 

 すると、ドアの前に居た僕達に気付いたのか、こちらに歩いてくる。

 そして、僕の目の前に立ち止まって、

 

「俺は私立聡明中学の「聞いてたよ」………」

 

「僕は緑谷出久、よろしく」

 

 先に挨拶をしておく。

 僕の挨拶に続いて、耳朗さんが挨拶する。

 

「耳朗響香、えっと…………飯田だっけ?」

 

「ああ、飯田天哉だ。よろしく頼む」

 

 ちゃんとした挨拶をしてくるなぁ……と思った。意外とイメージとは違うんじゃないか? と思う。

 根は優しいのだろう。

 

「緑谷君………君は、あの実技試験の構造に気付いていたのだな」

 

 構造? 

 何それ、知らないですね。

 

「俺は気付けなかった…………!! 君を見誤っていたよ!! 悔しいが君の方が上手だったようだ!」

 

 何か変な勘違いが起こってる気がするのだが。別に否定する気もないが。

 

「そうなの?」

 

「知らない」

 

 耳朗さんが小声で耳打ちしてきたので、勘違いだと言うのを教えておく。

 ちなみに顔が近くて恥ずかしくなったのは秘密だ……………

 

 もうそろそろ席に着こうかと思った時、後ろから声が聞こえた。 

 どうやらドアを閉めるを忘れていたようだ。

 

「あ! そのモサモサ頭は!!」

 

 振り向くと、とても可愛らしい女の子が出てきた。いかにも、「うららか」と言う言葉が合いそうだ。

 しかし知らない。どうやら向こうの方は僕を知っているようだが、僕は知らない、全く知らない。相手の一方通行だろうか?

 

「えっと…………誰?」

 

「あ! ゴメンね、急に…あの実技試験の時、見てたんよ!」

 

 見られてた。ヤバい凄く恥ずかしいです。

 ただでさえここに居る二人にも知られているのに、一人増えてしまった…………別に問題はないけど………………

 

「凄かったね! あれ!!

なんかよくわかんないけど、とにかく凄かった!! 何もしてないのに、急に敵が潰されて!!」

 

 少し興奮し過ぎじゃないか? 

 そう思って、一旦落ち着かせる。

 

「………わかったから、一旦落ち着いて」

 

 そう言うと、少しずつ落ち着きを取り戻してきた。どうどう……と馬の如く落ち着かせる。

 見ていて面白いなぁ……………と思った。

 そしたら何故か……………

 

「…………………」ガンッ

 

「……………痛い…………」

 

 耳朗さんに足を踏まれた。地味に痛いのだけれど、何で急に踏まれたのか? 

 この理不尽な痛みに耐えなければならないのは何故なのか………?

 

「…………ふんっ!」

 

 そっぽを向かれた。どうやら機嫌を悪くしてしまったようだ。

 後で謝っておこう。

 

「今日って式とかガイダンスだけかな?」

 

「わからない」

 

「先生ってどんな人だろうね、緊張するよね」

 

 見たら驚くだろうね。知ってるの僕と耳朗さんの二人だけかな?

 多分今も近くに居ると思う。例えばドアの後ろに………………

 

「お友達ごっこしたいなら他所へ行け」

 

 ほら、やっぱり。

 存在に気付かないなんて、ステルス能力高いですね。

 

「ここは………ヒーロー科だぞ」

 

 さっきのお礼言ってなかったや………言っておこう。

 

「………相澤先生、先程はありがとうございます」

 

「遅刻しなかったようだな、緑谷、耳朗」

 

「はい。おかげさまで」

 

「え? あっ……はい」

 

 クラスの皆はポカーンとしている。僕と耳朗さんは一度会っているので、少しだけ慣れた。

 すると、先生は立ち上がり…………

 

「ハイ、静かになるまで10秒かかりました。時間は有限、君達は合理性に欠くね」

 

 全身を見ると、くたびれている。凄くくたびれている。それ以外に感想が見つからない。

 全体的にほっそりとしており、くたびれている人にしか見えないのだが。

 

「担任の相澤消太だ。よろしくね」

 

 すると、先生が着けていた寝袋から体操服が出てきた。何故入っているのか、と言うツッコミはなしにしておこう。

 

「早速だが、体操服着てグラウンドに出ろ」

 

早速にも程がある。何だろう……訓練? テスト?

………ヒーロー科って凄いな。色々と凄いよ。

 

 とにかく頑張ろうと思う。訓練だろうがテストだろうが負ける気もしないし、負ける訳にもいかないからね。

 安心院さんが見てると思うから……………

 

 

 

 




    
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