よろしくお願いいたします!!
「ドア………大きいね」
「うん……デカイね」
先生と出会った後、真っ直ぐ行けば進むと言われて来てみると、教室にたどり着いた。
どうやらあの人は本当に先生らしい。廊下で横になっているから、つい不審者だと思ってしまった。
不審者だとか思ってしまって御免なさい………と心の中で謝っておく。
先程言ったが、ドアが大きい。無駄に大きくて威圧されてしまいそうだ。
雄英はとにかく大きいのが好きなのか? と思ってしまうほど、とにかく色々大きい。無駄に大きいのはアメリカだけで良いんだけど…………バリアフリーなのか?
「緊張する…………耳朗さんは?」
「ウチだって緊張してるよ………緑谷、本当に緊張してる?」
「…………してるよ?」
口に出して「緊張してる」と言っているのに、何故聞かれなければならないのか………やっぱり感情が表に出ないタイプだからかな?
う~ん………確かに昔はこんなに冷めてる訳じゃあ……なかったけど、多分。
安心院さんに出会ってからこうなったのかな?
緊張していては始まらない、そう思ってドアに手を掛ける。
大きく息を吸う……そのままドアを前に倒す。
「……………あれ?」
可笑しい………と思い逆に引いてみる。押しても駄目なら引いてみろ。
だが開かない………………
「……………………」
「緑谷、横だよ。横にスライド」
「………ああ、そう言う事か」
凄く…………恥ずかしいです。
そう言えば学校のドアって横だよね。緊張のし過ぎで忘れてたよ。耳朗さんの目の前なのに…………恥ずかしさで顔が熱いよ。
全く見た目は変わってないけれども。
あ、もしかしたらメガネの人居るかも。それにかっちゃんも居るかもしれないなぁ……………いや別に居るのは良いんだけど面倒だし。
メガネの人は凄く厳しそうだし、かっちゃんは僕の能力説明してないから面倒だ。本当に面倒だ。憂鬱で溜め息が漏れ出る。
「………はぁ……」
「緑谷……どうかした?」
溜め息を付いてしまった為、耳朗さんに心配を掛けてしまったようだ………悪い事をしてしまった。
もっと心配を掛けるのも悪いので、早い内に謝っておこうと思う。
「なんでもない………ゴメン、心配掛けて」
「……えっ、別に心配してなんか…………」
これが流行りのツンデレか………良いね。安心院さんとかよくわからないし。ツンもなければデレもない、ヤンでもクーでもない………のか?
ジャンル分けが出来ないキャラだって言ってたし、本人が。
「ま、良いや…………入ろ」
長い時間を掛けて、ついにドアを開ける。後ろで耳朗さんがあたふたしていたが、そっとしておこう。
そして、教室の中で初めに目に入ったのは…………
「机に足をかけるな! 雄英の先輩方や机の製作者方に、申し訳ないと思わないか!?」
「思わねーよ、てめーどこ中だよ端役が!」
2トップ…………有り得ないだろう……いや、有り得るか? かっちゃんは普通に強いし、メガネの人も強そうだし。でも面倒な事になったな。
絡まれるかもしれない………
そんな事を思っても、話は続いて行く。
面白いから暫く聞いてみよう。
「ボ……俺は私立聡明中学出身、飯田天哉だ」
聡明って言ったら、凄い所じゃないか。やっぱりエリートだったのか………………凄いや。
かっちゃんも半分は僕と同じ事思ってたようで………
「聡明~!? くそエリートじゃねえか、ブッ殺し甲斐がありそうだな」
どれだけ喧嘩腰なんだ、かっちゃんは………同じクラスメイトなのにブッ殺し甲斐って、駄目でしょ。
「君ひどいな、本当にヒーロー志望か!?」
僕も同じ事思いました。けどヒーロー志望なんですよ、かっちゃんは。
やると言ったらやる人だから。
性格はあんなのだけども……………
「!」
すると、ドアの前に居た僕達に気付いたのか、こちらに歩いてくる。
そして、僕の目の前に立ち止まって、
「俺は私立聡明中学の「聞いてたよ」………」
「僕は緑谷出久、よろしく」
先に挨拶をしておく。
僕の挨拶に続いて、耳朗さんが挨拶する。
「耳朗響香、えっと…………飯田だっけ?」
「ああ、飯田天哉だ。よろしく頼む」
ちゃんとした挨拶をしてくるなぁ……と思った。意外とイメージとは違うんじゃないか? と思う。
根は優しいのだろう。
「緑谷君………君は、あの実技試験の構造に気付いていたのだな」
構造?
何それ、知らないですね。
「俺は気付けなかった…………!! 君を見誤っていたよ!! 悔しいが君の方が上手だったようだ!」
何か変な勘違いが起こってる気がするのだが。別に否定する気もないが。
「そうなの?」
「知らない」
耳朗さんが小声で耳打ちしてきたので、勘違いだと言うのを教えておく。
ちなみに顔が近くて恥ずかしくなったのは秘密だ……………
もうそろそろ席に着こうかと思った時、後ろから声が聞こえた。
どうやらドアを閉めるを忘れていたようだ。
「あ! そのモサモサ頭は!!」
振り向くと、とても可愛らしい女の子が出てきた。いかにも、「うららか」と言う言葉が合いそうだ。
しかし知らない。どうやら向こうの方は僕を知っているようだが、僕は知らない、全く知らない。相手の一方通行だろうか?
「えっと…………誰?」
「あ! ゴメンね、急に…あの実技試験の時、見てたんよ!」
見られてた。ヤバい凄く恥ずかしいです。
ただでさえここに居る二人にも知られているのに、一人増えてしまった…………別に問題はないけど………………
「凄かったね! あれ!!
なんかよくわかんないけど、とにかく凄かった!! 何もしてないのに、急に敵が潰されて!!」
少し興奮し過ぎじゃないか?
そう思って、一旦落ち着かせる。
「………わかったから、一旦落ち着いて」
そう言うと、少しずつ落ち着きを取り戻してきた。どうどう……と馬の如く落ち着かせる。
見ていて面白いなぁ……………と思った。
そしたら何故か……………
「…………………」ガンッ
「……………痛い…………」
耳朗さんに足を踏まれた。地味に痛いのだけれど、何で急に踏まれたのか?
この理不尽な痛みに耐えなければならないのは何故なのか………?
「…………ふんっ!」
そっぽを向かれた。どうやら機嫌を悪くしてしまったようだ。
後で謝っておこう。
「今日って式とかガイダンスだけかな?」
「わからない」
「先生ってどんな人だろうね、緊張するよね」
見たら驚くだろうね。知ってるの僕と耳朗さんの二人だけかな?
多分今も近くに居ると思う。例えばドアの後ろに………………
「お友達ごっこしたいなら他所へ行け」
ほら、やっぱり。
存在に気付かないなんて、ステルス能力高いですね。
「ここは………ヒーロー科だぞ」
さっきのお礼言ってなかったや………言っておこう。
「………相澤先生、先程はありがとうございます」
「遅刻しなかったようだな、緑谷、耳朗」
「はい。おかげさまで」
「え? あっ……はい」
クラスの皆はポカーンとしている。僕と耳朗さんは一度会っているので、少しだけ慣れた。
すると、先生は立ち上がり…………
「ハイ、静かになるまで10秒かかりました。時間は有限、君達は合理性に欠くね」
全身を見ると、くたびれている。凄くくたびれている。それ以外に感想が見つからない。
全体的にほっそりとしており、くたびれている人にしか見えないのだが。
「担任の相澤消太だ。よろしくね」
すると、先生が着けていた寝袋から体操服が出てきた。何故入っているのか、と言うツッコミはなしにしておこう。
「早速だが、体操服着てグラウンドに出ろ」
早速にも程がある。何だろう……訓練? テスト?
………ヒーロー科って凄いな。色々と凄いよ。
とにかく頑張ろうと思う。訓練だろうがテストだろうが負ける気もしないし、負ける訳にもいかないからね。
安心院さんが見てると思うから……………