扇矢萩子の捜査録~艦これRPGリプレイ~   作:長谷川光

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プロローグ
特命捜査班


 扇矢萩子は元々決まった艦隊・鎮守府に所属せずにフリーランスで各地の鎮守府を助けて回る艦娘であった。意図的に混乱させた情報を作り、逆に混乱している情報をまとめあげて本質を見抜くことに長けている彼女は、財政難や物資不足で立ち行かなくなった鎮守府の建て直しを影から支援してきた。

 

 その原動となっていたのは違う世界で遂ぞ守りきれなかった一隻の戦艦(一人の少女)への贖罪の意味も含んでいたことを、彼女以外は知らなかったけれど。

 

 彼女は完璧だった。一切非合法と判定される操作を行わずに金脈を手に入れ、物的援助も取り付けてきていたのだ。維新以来の大財閥とのツテ、商社との交渉経験から培った金融感覚は多くの鎮守府を救うことに寄与してきた。彼女の地味な活躍は誰の目にも明確に気づかれはなかったけれど、彼女は確かに役目を果たしていた。

 

 ただ一人、過去に一度彼女と任務を共にした一人の男を除いては。

 

 その男の名は海軍大佐。大河内春樹。かつて中佐だった彼は当時まだ艦娘として活動していた扇矢萩子と手を組んで贈収賄事件を解決に導いていた。彼の海軍の健全なるを願う志高い人柄は現在の軍務局長、井上少将にも認められ海軍リベラル派の一翼を担う人物として目されている。

 そんな彼に海軍上層部は大命を下した。

「大臣官房扱いの特殊班を軍務局に設置し、その班長に就任せよ」

その班の名前こそ【特命調査班】、略称トクサだ。それは海軍内部での悪質な不正・服務違反に厳正に対処するために設置されたリベラル派による肝煎りのチームである。

 

 余りの優秀さから疎んじられ軍令部から出向させられた半沢中佐、法務局で腐っていたのを引き抜かれた巽大尉を初めとする経歴を異にする少数精鋭の班員。そして班の手綱を握る現職海軍大臣である座長の采配によって、トクサは既に数百万円(平成だと十数億円)もの不正資金の差し押さえに成功していた。

 

 そこへ更に、大河内は艦娘であった彼女(扇矢萩子)を少佐として自らの班に招いた。扇矢少佐が合流したトクサは大河内の判断の下、更なる活動を開始する。彼らの矛先は海軍が技術支援金を出している新興財閥「大東亜重工」に属する七曜研究所に向けられた。七曜研究所の内偵調査こそが彼女(扇矢萩子)の最初の任務である。

 

 扇矢少佐の入念な調査と内部からの匿名によるリーク情報の結果、表沙汰にされている以上の金額が研究費を初めとした諸費用に使われている疑いが浮上してきた。しかし、巧妙に行われている実体を掴ませない資金操作は萩子の手を持ってしても解明できず、闇資金の出所は五族犇めく魔都「上海」から供給されているとしか判明しなかった。

 

 更に、旧南洋諸島に設立された新たな鎮守府(クロギリ鎮守府)が事態に関与している可能性まで浮上する。

 大河内大佐と扇矢少佐は激動の時代へと立ち向かうのであった。

 

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