原点にして頂点()逃走記   作:カツ丼好きのパンピー

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亀更新は続くよ、どこまでも…(土下座)
お待たせしました、逃走記6になります。私の実力不足により一話一話書き上げるのが非常に遅くなってしまう事をお詫びします…本当に申し訳ございません!!
こんな作品でも読んでくださる方々に感謝です。


逃走記6

□リザード月こわいかお日

 

俺はただ、何のコスプレだったのか知りたいだけだったのに。―――どうしてこうなった。

 

 正直今日は色々あり過ぎたからちょっとした疑問は思考の隅に置いて、とりあえず箇条書きで今日起こった出来事を書き込んでから後で整理する感じで行こうと思う。

 

 

①いつも通り少し遅めに起床。ポケモンセンターから出て「さあ、今日こそあのコスプレの正体(元キャラ)を暴いてやる!」と意気込む。

 

②ふとこの街にもジムがあることに気づいてそっちを先に回ろうとした……が、先客でもいたのか中に入れなかったため断念。

 

③ならば当初の予定通りに黒づくめの人を探してみようと昨日見かけた井戸に向かってみたが、コスプレイヤーはおろか人っ子一人見つからない。

 

④やれ参った今日は無駄足か、と考えていると大きな音が鳴り、井戸とその周囲がまさかの崩落。丁度井戸に腰かけてたために巻き込まれて俺氏華麗なる転落。解せぬ。

 

⑤受け身を取って着地は成功。しかし瓦礫が降り注いできて無防備な頭で”いわくだき”する羽目に。とても痛い。

 

⑥声が聞こえたので周りを見渡すと、真っ黒コスプレイヤーの皆さまがわらわらわら。

 なぜか他にヒビキ君と女の子(後で確認したところコトネちゃんだった)と渋いおじいさん(有名なボール職人のガンテツさんだった)の姿を発見。ちなみにその周りはヤドンまみれである。

 

⑦とりあえず一番偉そうな人(豪華なコスプレの人)の前まで進んでアイサツ。

ドーモ、はじめましてコスプレイヤー=サン。サトシ(偽名)です。

 流されるかなーなどと考えてたら流石コスプレイヤー、場のノリ的なアトモスフィアを感じたのかしっかりアイサツが返ってきた。ランス=サンというらしい。

 

⑧ヒビキ君がさっきまでバトルしていて敗北したと知る。ランスさんのゴルバットは強かったそうな。ヒビキ君もヒノアラシもまだ相手に比べて経験不足だし、コレはしょうがない。

 

⑨とりあえず長年(三年)の疑問にケリをつけるため疑問を投げかける。何のコスプレですかと珍しく口が正直に動いて俺歓喜。何故かランスさん大激怒(ぷんぷん丸)

 

⑩コスプレイヤー全員VS俺の乱闘バトルがまさかの勃発。結果はまあ…うん。ぴかちゅうすごくがんばった(棒)何故かまた全身帯電状態だったけど、今回は指示出せただけまだマシかなあ……多分。

 

⑪バトルが終わったのに皆”カチーン”てな具合に固まっちゃってるんで、とりあえず井戸から出るため瓦礫の撤去作業。”いわくだき(素手)”はやっぱり便利だと思う今日この頃。

 

⑫瓦礫が撤去し終わる頃にはいつの間にか復帰してたガンテツさんがコスプレイヤー全員を縛り上げてた……何故?

 

⑬ジムリーダーやジュンサーさんたちがコスプレイヤーの皆さんを連れ去る。Why?

 ちなみに事情聴取とかされて偽造トレーナーカードとかのことがばれると怖いし、事件解決したヤツってことでリーグ公認ジムリーダーに顔覚えられるのも面倒なのでこの時俺は隠れてた。その後もばれないよう逃走。

 

 

 

 ほら、一部さっぱり分からないだろ?

 

 

 なんで井戸が崩れるのか。なんで井戸の中にあんなに人がいたのか。なんでヒビキ君コスプレイヤーとバトッてたのか。なんで疑問を口にしただけで怒られたのか。コスプレイヤーさんたちは何故縛られた上に連れていかれたのか。

 まあ色々連続して起こりすぎて頭の中で処理し切れなかっただけの所だってあるけど、それでも分からない物はわからない。

 

 周りの状況一切掴めないのに場が動きまくってるこの感覚いつも通り過ぎて泣けるなぁ…。誰か説明プリィィイズ!!!

 

 

…………。…………。

 

 

 ……ああうん、誰もいないよね。そもそもこれ日記だから書いてるだけで実際誰も読んでないし。読んだとしてピカチュウくらいだし。

 仮に他にいたとしてどうせ説明なんかしてくれないんだろうなあ。…そもそも口から疑問が出てこないんだもんな。そりゃ説明しようがない。

 

 

というわけでこれはもう自分で考えるしかないでしょう。レッツシンキングターイム!

 

 

 

 

 

――――シンキングタイム――――

 

 

 

(落書きが続くため中略)

 

 

 

 

 

 

 

 

来た。シンキングターイムって書いてから2時間くらいずっと考えてたけど天啓の如き閃きが来た。ゲームだったらカットインとか強調線が入るレベルの閃きだったね絶対。実はちょっと諦めかけて落書きで日記終わらせようとか全然思ってないからね。

 

 

 とりあえず色々疑問はある中、俺はまずなぜコスプレイヤーはあそこにいたのかから考えてみた。

 

 普通に考えたらわかる話だったんだ。三年前はあれほど人気だったのに、ふと姿を消してしまった黒尽くめのコスプレイヤー達。それはきっと番組が終了したことによる人気の低下によるもの。

 だがしかし、いくらブームが過ぎたとてどんな番組にだってファンはいるわけで。

終わったからと言って記憶に残らないなんてことは当然ない。日常的にはやらなくても、イベントで随分昔のコスプレをしてくる人だって結構いる。彼らもその番組、そのキャラのファンだったはず。

 とはいえ熱狂的になるほどコアなタイプでなく、仲間内でコスプレして楽しむくらいのライトなファンなんだろう。仲間内ならともかく、他人に見られるのは『恥ずかしい』…。そういう人も多分いる。多分ね。

 

 そう、この疑問の答えはずばり”恥ずかしかったから”なんだ!!

”見られるから恥ずかしいなら誰にも見られないとこでコスプレすればいいじゃない”。

つまりそういう事に違いない!

 

 彼らは同じ番組のファンの仲間とコスプレをひっそり楽しんでいたんだろう。誰にも見られないはずの井戸の中で。誰かに見られる可能性なんて露程にも考えず。

 

 細部は違うかもしれないけど大体あってる自信があるね。もし疑問の答えがこれなら後の疑問もいくらかは解消できるんだから。

 

 

 第二の疑問、俺が何のコスプレか尋ねて怒られたのは何故か。さっきの考えを当てはめれば簡単だ、”邪魔されたから”だろうな。

 そりゃ見られたくないからわざわざあんなとこでやってるのに、無遠慮に他人に来られたらね。しかも俺は彼らがコスプレする位好きなキャラの事を名前すら知らないときた。激おこぷんぷん丸になるのも仕方なし……なのかもしれない。そんな状況なったことないから分からないけどさ。

 俺だって好きなポケモンの事「全く知らない」って言われたらマジかよ、くらいは思うし。きっとそんな感じなんだと思う。

 

 ヒビキ君がバトルしてた理由も俺と同じじゃないだろうか。たぶん現地の住人のガンテツさんに、コトネちゃんと一緒に色々と街を見学させてもらってたんだ。俺が前ヨシノシティでおじいさんに町を案内してもらったみたいに。きっとその案内で井戸の中まで来たんだろう。

 そこで偶然彼らと出くわした。運が悪いのはどっちだったのかは分からないけど。突然現れたヒビキ君たちに驚き、パニックに陥ったコスプレイヤー達は恥ずかしさ紛れにバトルを挑んだに違いない。

結果としてまだ新米トレーナーのヒビキ君が敗北。まあさっきも書いたけどあのランスって人は確かに強かったし仕方ない。

 

 最初に井戸が崩れたのはきっとこのバトルの余波だ。

 元々古くなっていたとこで派手にバトルすれば別にあり得ない話じゃない。前にハナダの洞窟でミュウツーと闘った時も一部脆いとこが崩れたし。今でも一部立ち入り禁止って聞いてる。

 

 ヤドンが沢山いたのはきっと元々あの井戸がヤドンの住処だからで、尻尾が切れていたのは多分ランスさんのゴルバットのエアカッターが悪い感じに直撃したんだろう。井戸が崩れるくらい派手にやってるんだし、これもあり得る。

 暗くて尻尾が見当たらなかったけど……残ってた瓦礫の下敷きになってしまってたのかもしれない。可哀想に……。

 自然に治癒するっていう話だし少しだけ安心した。

 

 ジュンサ―さんやジムリーダーが来て彼らを連れ去ったのも多分そういった事が理由だろう。まあ、不幸な事故とは言え公共物の井戸ぶっ壊しちゃった上に何の罪もないヤドンの尻尾斬っちゃったんだからなぁ……。

 ガンテツさんが縛ってたのはあれだ、『悪事を犯した輩はお縄につけ』っていう時代劇からの発想に違いない。自分が悪いと分かって反省してたとはいえ、神妙な表情で縛られるコスプレイヤーさんたちはマジ演者。

 

 で、その後(俺は隠れてたが)ジムリーダーとヒビキ君たち話をしてたのは今後こういうことが起きないように厳重注意ってところかな。まあヒビキ君まだ十歳だし。バトル仕掛けてきたのもあっちだろうから、注意で済むのも納得だ。

 これなら俺もバレても注意で済むかも。 

 

 ……いや駄目かもしれない。俺って人様の事何にも悪く言えないんじゃないだろうか。

思えば色々壊しまくってるし、襲ってきたわけでもない野生のポケモンをピカチュウが制圧しちゃって…なんだ、アレだし。背景と同化するくらいには真っ黒だし。

流石にしっかり休めば元気になるように加減はしてるんだろうけど、今度からはキズぐすり常備しておこうかな…。

 ヤバイぞ、俺もこれから行動に気を付けないとお縄になるかもしれない。ピカチュウにも後で自重するよう強く言っておくことにしようそうしよう。

 

 

 ま、まあ何だかんだ言いながらほぼ全部の疑問が解消してる気がする。

 分からない分からないって繰り返し言ったけどこれ正解じゃね?俺もうこれ以外思いつかないぞ。実は俺ってトレーナーの才能以外に探偵の才能でもあったのかもしれない(ドヤァ

 

 冗談はさておき、いつもと違って珍しく一連の流れに答えっぽいものが見えてスッキリした。まあ、目当てのコスプレの正体(元キャラ)が何だったかは結局分からなかったけど、その内また会える気がするし。その時に聞く事にしよう。

 今日の日記はここまでにしてもう寝る。おやすみ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そういえば少しコツを教えてあげるだけでヒビキ君も自分で”いわくだき(素手)”できるようになった。後輩がトレーナーとしてしっかり成長できているようで先達としても大満足。

 俺の経験則じゃトレーナーは”ひでんわざ(人力)”シリーズをある程度習得してからが本番だからね。これで好きなポケモンつれてどこにでも行けるようになるから。

 あと岩を砕くヒビキ君を見てたコトネちゃんが昔のリーフみたいな顔してて懐かしかったです、まる。

 

 

 

 

 

 

●○●○●○●○●○●

 

 

 

 

 

 『絶望』。

 

 ふとランス―――ロケット団幹部の一人である―――の頭にこの単語が浮かんできた。

いや、それが浮かぶまでショックで思考停止していただけなのかもしれない。現状が悪い物であるなど今更考えるまでもないのだから。

 

 本来の任務である、ヤドンの尻尾の加工兼密売による資金の回収は完遂できず。

 こちらの事をまともに探れていなかった無能と内心馬鹿にしていたリーグの手先に部下と共に捕らえられ投獄。

 ポケモンや所持品は取り上げられ、味方との連絡も取れないために脱出の目処などまるで立たず。

 最悪な事に、自分が捕まったせいでアジトの位置や目的を知られる可能性すら出てきた。

 

(嗚呼、悪の体現であるロケット団の幹部が何て無様。指を指されて笑われてもこれでは文句の一つも言えない。こんな無能な部下がいるから一度我々は解散したのでは?いっそ舌を噛み切って死ぬべきでしょうか)

 

とても”ロケット団で最も冷酷な男”と謳われた男のものとは思えない、自暴自棄な思考。追い詰められ気が動転しているためか、似たような考えが何度も浮かぶ。”舌を切れ”、”餓死しよう”、”窒息死なら”……etc.

 

しかし時間を置けばそれも直に収まる。流石に普段通りとまでは行かないが、彼の冷静な部分が顔を出し思考を支配する。

そしてそのまま考える。

状況は確かに悪いが、まだ最悪の段階ではない。ならば何故絶望などというワードが頭に浮かぶのか?

 

(違う……私が絶望したのは現状(そんなこと)などではない)

 

 ロケット団は強い組織だ。部下の力を活かすというボスの信念の下に結束を強め、情報を集め対策を立て、如何な状況でも万全な状態で当たる事が出来る。

 幹部の自分と連絡が取れない=予想外の事態が起きたと結びつけるのは容易なことだ。きっと他の幹部たちなら気づく。気づいてくれる。故にまだどうにかなる……これが今を最悪ではないと評する根拠。

 

 自分たちの今の目的はロケット団の完全復活。一人幹部が欠けようが、ボスが帰還すればその穴も簡単に埋められる。ここから脱する機会とてすぐに来るはずだ。命令に忠実に、行動を迅速に、成果を確実に。

 ボスなら無表情でも誇らしげにこう言うだろう。「これこそが”集団”の強さなのだ」と。それはきっと間違いではない。

 

 

――――だからこそランスは恐怖する。その”集団”の強さをまるで「それが?」と言わんばかりに払いのけてハウスダストの如く吹き飛ばす、圧倒的で理不尽な”個”を。在ってはならない、理解のできない自分たちとの対極を。

 

 思い返す。自分が何に絶望を感じたか知るために。そもそも自分は何を間違えたのか。

 

 ヤドンを一匹残らず拉致したこと?違う。

 井戸の中は町人ですらほぼ来ないからと言う理由で安易にそこを拠点に決めたこと?これは少しある。

 下っ端を見張りに立たせたこと?これはかなり間違いであった気がする。

 だがそれでもまだ違う、と次々と思い浮かべていく。 

 

 そして彼は一つの結論にたどり着いた。

 

(ロケット団と町の人間、リーグの関係者だけしか警戒してなかった。第三者の介入を想定しなかったことこそが間違いだった…ですかね)

 

 ヒビキという名の少年とのバトルに勝った時点で素直にそのまま始末しておけば良かったのだ。いや、それ以前にバトルなどわざわざ付き合う必要もなく、一方的に攻撃して捕らえてしまえばよかった。

 そうすれば人質…ポケ質?のヤドンたちをバトルの間に少女(コトネ)に解放されていたなどという愚も侵さなかっただろう。あのヤドンたちがいたからこそジムリーダーは迂闊に手を出せなかったというのに……。だからこそ逃げられないようゴルバットの”エアカッター”でわざわざ井戸を崩したのだが。これが奴を呼び込む最悪手になるとは、ままならない物である。

 

 余程ランスの運が悪かったとみるべきか、それともヒビキ達の運が良かったとみるべきか。何にせよ勝利の女神がほほ笑んだのはヒビキ達の方だったのは確かだ。上方から瓦礫ごと落ちてきた少年の顔は、憎らしいほど覚えがあった。

 

 忘れるわけがない、忘れたことがあるはずがない、忘れられるはずがない。

名を知らぬ者は居ないと言われるほどの存在であるにかかわらず、奴の顔は世間ではあまり知られてない。新聞や雑誌の写真は帽子に隠れ表情が見えず、テレビに映ることはほぼない。公なイベントで顔を見る機会もなくはないが、遠目でチラと見えれば運が良いなどと言う。

 それでもロケット団(我々)が奴の顔を見間違えることなどあり得ない。いくら3年の月日で顔が変わろうが、体が成長しようが。当時()()()にいた者として、沸々と胸の内より溢れる怒りと恨みの矛先を向ける相手を間違えるはずもない。

故に悟った。コイツこそがかの宿敵、怨敵であると。

 

 伝説までも操り、無敵を誇ったロケット団に敗北の辛酸を舐めさせた張本人。現カントーチャンピオンの――――レッド。

 

 ”サトシ”などと名乗ったときは少々疑問に思ったが、次に発した奴の言葉にそんなものは吹き飛んだ。

 

 

『……それ。…何のコスプレ?』

 

『―――――ぅぁぁぁぁあア!!!!!!』

 

 

 ふざけるなと思った。腹の底から、喉が張り裂けんばかりの声量で叫んだ。あまりの怒りで頭がどうにかなりそうだった。

宿敵とも言える組織との再会だろう?どんな神経でどんな思考をすれば、開口一番に言うに事欠いてコスプレなどという言葉が飛び出る。

 

 決まっている。そんなもの挑発以外にあり得ない。分かってはいたが(部下が分かっていたかまでは知らないが)、それでも効果はこの上なく覿面だった。

 当然だろう。ロケット団が解散して3年、レッドを恨まなかった日はない。

むしろこの3年で周りから指を刺され、屈辱を受け、恨みはより深まっている。

 

”今自分たちがチマチマ小銭を稼ぐ羽目になってるのは全てレッドのせいだ!”

”我らの尊敬するボスが居なくなってしまったのは奴がいたからだ!”

”たった10歳のガキに負けた小組織?あれだけビビってたやつらがふざけるな!!”

 

 ロケット団は耐えてきた。一度は栄華を極めたはずが全て無に帰り、汚泥にまみれながら底辺を這いずり、それでも再び必死にのし上がってきた。全ては屈辱を晴らすため。ボスを迎え入れ、今度こそリーグを……怨敵(レッド)を完膚なきまでに潰すため。それが今度こそロケット団に真なる最強の称号をもたらすのだと、ただそれを成すために耐えてきた。

 

 しかし怨敵はそれを否定した。ロケット団はレッドにとって所詮”奇抜なコスプレをしたどこかの誰か”と捉える程度の価値しかないのだと。既にあの事件は過去でしかなく、記憶にとどめる意味すらなかったのだと。

 例え違った意味を込めた発言だったとして、ロケット団は気づかないだろう。ただ恨みだけで目の前の敵を見据える彼らは、自分達を侮蔑されているのだとしかその言葉の意味を捉えることができない。ある意味で、レッドの言葉の真意を取り違えた事は彼らにとっても幸いだったのかもしれないが…それに気づく事はないだろう。

 

 溜めに溜めた負の感情を爆発される起爆剤には、その挑発はあまりに十分すぎた。

 

 怒りに駆られ手持ちのポケモンを全て繰り出し、ランスは、そしてその場にいたロケット団は……

 

 

 

―――――絶望を見た。

 

 

 

 

「……わざわざ思い出すまでもありませんでしたね」

 

 最早苦笑すら出てこない。ただ疲労だけがその表情に浮かぶ。

あれから3年。少しでも差が縮まったと、これだけの数が居れば今度こそと。それがどれだけ甘い考えだったのかを思い知らされただけに終わった。成程、これでは確かに”コスプレ”したロケット団擬きと大差ない。

 傑作だ、まるで笑えない。

 

 彼はただ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 空気の弾けるような音、青白いスパーク。暗い井戸の中に突然現れた太陽()

眩い光の中何が起きたのかさえ知覚できないままに全ては終わっていた。

 

 

 確信した。させられた。自分だけでは勝てないのだと。

……今は待とう。3年間地獄を這いずり回ったことに比べれば、今ここにただ閉じ込められていることなど苦でもない。屈辱ではあるが。

 あれで敵わないならより多くで挑めばいい。十で敵わなければ百、それでも足りないならば千。必要ならば万の兵をも用意しよう。

 そして次こそは所詮”個”では”集団”には勝てないのだと証明する。幹部全員とボス、全団員でかかるならきっと―――。

 

 

 

 

『それでも勝てないのではないか』とどこか疑っている自分を意図的に無視しながら、ランスは独房で眠りについた。

 

 

 




ヒビキ「よし、次は”いあいぎり(素手)”だ!!」
コトネ「」
ウソッキ―「」
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