「あー、あー」
声は出せるし、記憶も残っている、この世界に来たことでの体の変化は無いらしい。
「それにしても、どうするか。」
ん?声に若干の違和感があるな…
まぁいい、近くの木に登って辺りを見渡そう、ひとまず状況を把握せねば。
ピョンっ
左手が動かないのでジャンプで木に飛び乗る。
やはり何かおかしい…体が軽い。
「おぉ」
木に登って見渡すと、前方に巨大な壁に囲まれた都市を見つけた。
あそこならとりあえず人がいるはずだ。
木を飛び降りて壁に向かう。
ーキャアァァァ!ー
…どこからか少女の声がした。
どうするか…いや、助けよう、ここにも深淵が広がっているのかもしれない。
そう思い私は声がした方向に走っていく。
そこには地面に座り込んだ少女と、1匹の異形がいた。
迷うわけがない。
「ハァッ!」
背中の大剣を抜き、異形を叩き切った。
?こんな岩みたいなやつをこんな簡単に切れたか?
異形は声を発することもなく倒れていく。
「大丈夫か?」
そういって少女に手を差し伸べる。
「はい…大丈夫です…」
そう言って少女は手を取るが、起きあがることができないようだ…
腰を抜かしたか。
少女の手を引っ張り、体を横にして持ち上げる。
「えっ?」
少女は可愛らしい声を上げた。
「ちょ、なにを!?」
「腰抜かしたんだろう?あっちの都市の住人だよな?話を聞かせてくれ。」
「…はい、まず、私の名前は××です。」
「わかった××よろしく頼む、私はアルトリウスだ。」
「!…驚きました。私の名が呼べるのですね。」
? なんのことだろうか?
「この名前は穢れ無きもの、つまりあちらの都市の住人しか発音することができません。つまり、あなたには全く穢れがありません。」
「? そんなに珍しいことなのか?」
「ええ、あの都市の外にいて穢れが無いのはほぼ100%ありえません。」
そうなのか、というか穢れとはなんだろうか、深淵のようなものか?
「その穢れっていうのはなんなんだ?」
「はい、穢れとは、妖怪などが持つ、生物に寿命をもたらすもののことです。私たちは元々、永遠に生きられるのですが、体に穢れを受けてしまうと、寿命が生じるのです。」
「なるほどな、というか何故××は壁の外に?」
「薬の素材の採取に来ていまして、あと、私のことは××ではなく永琳と呼んでください、××という名前はどうも嫌いで」
「そうか、ならば私にも敬語は使わないでくれ、騎士団長だったんだが、どうも敬語には慣れなくて…」
「はい、わかりま…わかったわ、これでいい?」
「あぁ、それでいい」
会話をしながら歩いていたら、都市にかなり近づいていた。
「ちょっとおろして。」
「あいよ。」
永琳は俺の手から降りると、門の方向へ向かって行った。私もそれについて行く。
「どうもこんにちは、私です。門番ご苦労様。」
「はっ、恐縮であります。時に永琳様、後ろの方は?」
「この人はアルトリウス、外で妖怪に襲われた時に助けてくれたの。」
「そうでしたか。アルトリウス様。」
「なんだ?」
「こちらの都市に入るには、穢れの検査を受けなければなりません。確かに貴方からは穢れを感じませんが、法律ですので。」
「あぁ、わかった。その検査っていうのは?」
「ご協力、感謝します。検査の内容は血液を採取させて頂き、その血液を検査させていただくだけです。5分とかかりません。」
「血を?そんなのでわかるのか?」
「えぇ、採取した血液に人工の穢れをかけると、穢れに汚染されていた場合、全く反発せずに染み込むのです。」
ほう、面白いな。にしても血液での検査なんて、私は未来に飛ばされたのだろうか?少なくとも私たちの時代ではありえないな。
「こちらへどうぞ、すぐに検査しますので。」
「あぁ、ありがとう。」
門番に案内されながら詳しく検査について聞いてみる。
「血液はどう採取するんだ?指の先でも切り落とすのか?」
「いえ、腕に針を刺して、その針から血液を吸い取ります。」
なるほどな、とりあえず歩きながら腕の鎧を取り外す。
…うむ、深淵の汚染は見られないな。
「こちらに座って、腕をここに置いてください。」
「あぁ、わかった。」
「それでは、針を刺します。」
チクッと来た。まぁ、昔脇腹を15箇所刺し貫かれた時よりかは、全然ましだ。
「お疲れ様でした。それでは5分ほどお待ちください。」
本当にあんなものでいいのだろうか?
〜5分後〜
「検査結果がでました。問題なしですね。」
「そうか、よかった。」
「ではどうぞ、歓迎いたします。アルトリウス様。」
「あぁ、ありがとう…しかし敬語はとってくれないか?どうも慣れなくて。」
「いえ、仕事ですので。」
「そうか…」
なれない敬語にむず痒さを感じる…
まぁしょうがないか。
「さて、この後だけど、月夜見様のところへ言って能力を検査してもらうわ。」
「わかった。それにしても、私に能力なんてあるのか?」
「えぇ、おそらく…外に居て穢れの汚染がないっていうことは、『穢れを避けるような能力』それか『穢れを操る能力』ってところね。後者だとすごく嬉しいのだけれど…あと、ありえないとは思うけど『穢れを食らう能力』かしらね。」
「なるほどな…」
私が外に居たのは30分ほどだと思うが…そのぐらいでも汚染はされるらしい…にしても穢れを食らう能力…深淵ならばやりかねないな。
「ここよ。」
目の前にはそびえ立つビルがあった。すごいな、ゴーが200人分以上はあるぞ。
「こっちよ。ここのエレベーター。」
「エレベーターというのは?」
「んー、説明するなら小さい部屋ごと人を上に運ぶ機械…ってところね。」
なるほど…すごいな、私のいた時代では考えられない。
エレベーターに乗って待っていると、急に体が重くなったように感じた。
「永琳、これは…」
「エレベーターが上がっているだけよ。」
「あぁ、ついたわよ、ここが最上階。」
あんな高さをこんなに短く!?なんということだ、ありえない。
「なぁ、永琳本当にここが最上か「えぇ、最上階よ。」
思いっきり遮られた。
「さて、ここの部屋に月夜見様がいらっしゃるわ、失礼のないように。」
「あぁ、わかった、善処する。」
「はぁ」
ーコンコンー
「失礼します。」
「あぁ、永琳よく来たね、後ろの人は?」
「どうも、私の名前はアルトリウスだ。よろしく頼む。」
…あ、しまった。敬語を忘れて…
「ちょ、アルトリウス。」
「はっはっは、構わないよ、面白いねぇ、君。」
そう言って月夜見が椅子から立ち上がった。
背が高いな。中性的だがおそらく女性だろう。
「で、君の能力だよね?ちょっと待っててね、すぐに解析するから。」
そう言って月夜見は目を閉じた…
数秒後、月夜見は目を開けてこう言った。
「やはり君は面白い…操るタイプの能力はたまにあるけど、操るもの自体の得体が知れない…」
「私の能力は結局なんなんだ?」
「あぁ、君の能力は2つある…これでもかなり珍しいけど、さらに興味深いのは…君の操る物だ。君の能力は、まず1つ目『深淵を発生する程度の能力』だ」
「な!?深淵を発生させる能力だと!?」
どういうことだ!?まだ私は深淵の契約から逃れられていなかったのか!?
「そして2つ目…『深淵を操る程度の能力』だ。」
…ありえない、まだ深淵は私に絡み付いていたというのか?
「しかも続きがあるんだ。この深淵は、生物に寄生したら穢れ以上の被害が出る…しかし、深淵は穢れを食らうことができるんだ!こんなに嬉しいことはない!長年悩まされてきた穢れについての問題は解決だ!」
? なぜここまで喜んでいるんだ?
「私が説明するわ、アルトリウス。」
「さっき言ったように、穢れは私たちの不死性を無くしてしまうの。でも、私たちは永遠を望む。奴ら妖怪が穢れを生み、私たちに寿命が生じ、寿命があるものからは穢れが生まれる。
この都市は最初から月夜見様が治めていた。様々な問題があったけど、その中で唯一解決されていないのが、この穢れの問題。奴ら妖怪は倒しても倒してもきりがないわ。だから、あなたに根本から穢れを絶ってもらいたい。」
なるほどな、これが…深淵歩きとして初めての任務か…推敲するには時間がかかりそうだが、なんとしてでも成功して見せよう。
「わかった。騎士の誇りにかけて、成功させて見せよう。」
ゴー200人分はネタです。
アルトリウスが例えられるものはゴーぐらいしかいないからです。どこぞの緑処刑人は完璧に忘れられてらるし…