前回の投稿からかなり間が空いた気がします。
今回から諏訪対戦に入っていきます。
基本的には三人称とアルトリウスの一人称でやっていく気です。○○サイドみたいに区別させるわけでは無く、一人称の場合は、()で囲みます。…ダジャレじゃないよ?
因みに、時系列とかは完全無視です。某運命さんの名台詞を使いたいので、地上の都市編はかなりの昔、まだユーラシア大陸とインドプレートがくっついていないほどの昔となります。
第8話:深淵歩きと諏訪の神
「…ん?」
冷たい雫が彼の頬を打ち、意識を覚醒させた。
鎧をつけているのに何故?
なんて言う疑問を感じるより先に、あれ程の爆発に巻き込まれ、生きていることに、これまでに感じたことない程の喜びを感じた。
怠い体に鞭を打って起き上がる。周りには雲がたちこめ、ポツポツと雨が降っていた。
自分の体を確認すると、鎧は完全に形をとどめていなかった。
兜は完全に無くなっており、胴体や腕の鎧は、少しだけ金属が残っているのみだった。
雨の中で彼は立ち上がった。
「私は何故助かったのだろうか?」
鎧は完全にボロボロで、確実に肌まで到達したであろう破壊のされ方だった。
「もしや…」
そう言って彼は近くに落ちていた大剣で、指を一本切り落とした。
すると体の内側から深淵が指の形になり、完全に再生した。
「確かに私は神の部類だが…」
彼の見せたその再生の方法は、確実に神のそれとは違っていた。
神々の再生は無くなった部位を光が包み、その光が晴れた時に再生が完了している、といった感じだ。
「それにしてもここは?見覚えのある光景はないが…まあ、迷っていても仕方はないだろう…」
どの方角になにがあるのか、など彼が知るわけがない。適当な方角にブラブラと歩き出す。
〜10分後〜
やはり彼は神の部類のようだ。彼には特別な加護があるのかもしれない。はたまた神々を引き合う特別な力か…
「おお。」
(まさか、適当な方向に歩いて村に行き着いたか…素晴らしい幸運だ。)
雨は完全に晴れ、太陽が出ていた。
「失礼ご老人、この村の長はどちらに?」
「長…あぁ、洩矢様ならあの山を登った先の社にいらっしゃるよ…だが何故?」
「いや、私は旅のものなんだが、暫くこの村に滞在しようと思ってなそのためには許可を得た方がいいと思ってな。」
「そうか…旅のお方、悪いことは言わない、この村に留まるのはやめておきなさい。」
「何故だ?」
「大和神々との戦争があるかもしれない…奴らは洩矢様への信仰を欲しがっておる。神は民からの信仰を失うと、消滅してしまう。その上こんな小さな村が大和神々の侵略を受けては、すぐに破滅するだろう…」
「そうか…ならば私がこの村を助けよう。」
「!?」
「ただの気まぐれだ…それに、神とは昔から戦っていた。」
彼は都市にいる時から、月夜見と戦って稽古をつけていた。
そのおかげで神力はくらい慣れた。
「その洩矢の神の元へ案内してほしい。」
「…それなら、ちょうど今日、洩矢様の社へ供え物を送りに行くことになっている。その人についていけば良い、午後の3時頃に村の広場から出発する。」
(今の時刻は、太陽の位置から察するに10時頃だろうか?)
「そうか、ありがとう。」
「まぁ、待ちなさい。私の家に来ると良い、村を助けていただくんだ、食事はだすよ。」
「本当か…?ありがとう。感謝する。」
〜5時間後〜
「では、私は行くとしよう。ご老人、この村を必ずや救ってみせようぞ。」
「ああ、待ちなさい、これを持っていくと良い。」
そう言って老人が取り出したのは、見事な刀であった。
「これは…」
「この村では、鉄という鉱石が加工され、様々なことに使われておる、これは、刀という。…儂も昔は1人の戦士であった。今では隠居しているがね…だが、腕は鈍ってもこの目は変わらんよ。旅のお方、貴方をみた瞬間に、貴方ならやってくれると思った。…儂達村民ではなんともできん、よそ者に頼むのもおかしいと思うが…頼む!洩矢様とこの村を救ってくれ!」
「ご老人…私の中には、神々を蝕む力と共に、騎士道が宿っている。貴方の意思はしかと受け取った。私に任せろ、必ずや村を救ってみせよう。」
「…託すぞ、旅のお方。」
「ああ、任せろ。」
そう言って彼は老人の家を後にした。もうじき3時になる。老人より譲り受けた刀を腰に差し、広場へ向かう。
「すまない、貴公が洩矢神への供え物を送る者か?」
「ああ、そうだが…なにか供えたい物でも?」
「いや、私を案内して欲しい。」
「…何故だ?ひょっとして大和の使者かい?」
「いや、おそらくその逆だ。貴方達の神を手助けに来た。」
「洩矢様を助けに?…まあ、良いついてこい。」
「ところで、あんた旅の人だろう?何故洩矢様を助けようと?」
「老人から頼まれたのさ…洩矢様を助けてくれ、とな。」
「老人というと、村はずれに住んでるあの人かい?」
「ああ、そうだ、その人だと思う。」
「はは、そうか、あの爺さんは、洩矢様が信仰され始めた時からいたという…洩矢様のため、村のために刀を振るったらしい、その強さはまさに鬼…それどこら鬼とまともに渡り合ったこともあったらしい。」
「鬼?そいつはどれぐらいの強さなんだ?」
「妖怪の中でもかなりの強さだ。弱い個体でもこの村を壊滅させるような強さを持っている。」
「ほう。」
(話を聞く限り鬼はかなり強いようだ…最強の個体と全力で戦ってみたいな。)
「ついたぞ、ここだ。」
「そうか、ありがとう。」
「じゃあ、俺は供え物を洩矢様に渡してくるから、少しだけ待っていてくれ。」
「ああ、わかった。」
〜5分後〜
「じゃあ、俺はもう村に帰るよ、村に戻るには来た山道をそのまま帰ると良い。」
「ああ、ありがとう。」
そう言ったあと、彼は社の障子を開ける。
「お前が、旅の者だな?」
「そういう貴公は洩矢の神だな?」
「いかにも…私の名は洩矢諏訪子。この村を治める神だ。」
「私の名はアルトリウス。1人の老人に頼まれ、貴公を助けに来た。」
「ところで、アルトリウス…」
「なんだ?」
「この正座、といて良いか?そろそろ足が、あ、やばい。」
「解いても構わないが…」
「ふー、やっぱ神様モードはつかれるねぇ、こっちが素なんだが、やっぱ威厳はないといけないだろう?」
「ふっ、あぁ。」
「おうこら、今なんで笑った。」
「いや、昔に世話をしていた少女に似ていたのでな。」
「で、この先は真剣な話だ。助けに来たと言ったな?何故こんなところを?」
「私の気まぐれと、1人の老人の頼みだ。」
「老人…っていうと、その刀の持ち主…いや、元持ち主でしょ?」
「ああ、そのとうりだ。」
「ふふ、やっぱりあの人か。」
「で、大和の神々とは、どんな状態なんだ?」
「ああ、完全になめられてるよ。こんな手紙を送ってきた。」
下賤なる洩矢の神へ
我々は、誇り高き大和の神なり、我々は勢力を強めたいと常々思っておる。そこで、貴様への信仰が欲しい。我々は2ヶ月後に貴様らの国へ侵略を開始する。その前に我々に信仰を渡せば村は潰さないでやろう。まあ、貴様への信仰などたかが知れているだろうがな。
「…これか?」
「うん、これ。」
「ちょっと大和の神のとこ行ってくる。手紙借りるぞ。」
「あ、大和の神々はここからちょうど南西の方向にいるよ。1人で行くの?」
「ああ、まあ、大抵の敵は大丈夫だろう。」
「え?本当に?もうアルトリウスが出た方が早いんじゃないかな?」
「それでは不公平だ。私がやるのは交渉ぐらいだよ。」
「うーん、まぁいいや。いってらっしゃい。」
「ああ、行ってくるよ。」