一人称がめんどくさいので気をつけてください。
アウラが好きな人は注意してください。彼女一回喋っておしまいですから。
ギル様の宝具は基本ヤヴァイです。
過去の罪
モモンガさんとの話は大きく言えば、出来ることと出来ないことの確認だった。
モモンガさんもすでにここが異世界ということには気づいているので、セバスをナザリック周辺の調査に出したり、アルベドに階層守護者に連絡を取らせ、階層守護者に階層ごとに異変がないかを領域守護者達とも確認させたりしたんだと。
そん時にゃ、俺の裸見て18禁の解除がなされてんのを知ってるくせに、知らんふりというか確認のためにアルベドと乳繰りあったんだって。あの骸骨の人払いが上手いと思ったね。
そのあと、モモンガさんは自分の足で宝物殿に出向き、自身が作ったNPCとの会話でSAN値をガリガリと持って行かれたらしい。色々と黒い歴史の辞典のようなモモンガさんのNPCは強烈だ。
モモンガさんがあのムンクの叫びみたいなのを作成してたあの時期は確かに俺たちはみんなおかしかった。俺なんか人間種は雑種と言い散らしたり、合法犯罪していたことで一時期ユグドラシルの中で指名手配されたこともあった。
それはさておき他にも、GMコールはそもそもつながるとは思っていなかったので駄目元でやってみて、結果はだめ。だいたいこんな状況にまでしておいてGMに繋がって、謝罪をされても許さんがな。〈伝言(メッセージ)〉は繋がるらしい。ダンディーな声との通話はなかなかに良かったとか。あの骸骨は自分の声をいっぺん確認したほうがいい。ダンディーなんて子供の癇癪に感じるくらいに威厳に満ちた声だ。そんな声でアルベドの乳揉んだって報告はやめて欲しかった。さすがの俺といえど笑ってしまった。モモンガさんからはそれくらいだった。
あ、柔らかかったんだって、貧乳派の俺に言ってきたよ。
俺からはスキルの使用とアイテムボックスの使用の確認と俺自身に性欲は存在することを。性欲が存在するといったときのモモンガさんの乱れようは半端じゃなかった。それはもう怒髪天を突くどころか、神を奈落に引きずり落とすなんて勢いを感じさせられた。まあ、俺が雑種と交わる気はないと言うと嬉しいような悲しいようなという感じだった。童貞臭が骨の隙間からムンムンと放出されているモモンガさんのことだから、イケメンのAUOに嫉妬したんだろうけど、よく考えればわかることだが、誰がこんな慢心王に靡くというのか考えて欲しい。いや、教えて欲しいし、どうにかして欲しい。
そうそう、俺の本質、いわば金田哲朗はもはや頭の中だけというのが強く、モモンガさんと自分が作ったNPC、ギルメン以外は全て雑種としか思えないと言うと、モモンガさんも人間を見てみなければわからないが、多分虫程度にしか感じないだろうと自分で言っていた。ただ、その時の声音はユグドラシル時代から常々人間種は雑種と言ってきた俺だったから、安堵しているようでもあった。恐らくは、たっち・みーさんとかであったら酷く言い淀んでいたであろうことがひしひしと伝わってきた。
そんなこんなで笑いあり涙あり、・・・いや涙はねえわ。
とりあえずは二人の秘密会議は終わったわけだが、これからアンフィテアトルムに来て欲しいとのことだ。階層守護者からの報告と俺の帰還の報告だとかで。
階層守護者……ああ、貧乳、虫、チビ助二人、メガネ、執事、ビッチか。
メガネは仲がいい…と思う。俺の振る舞いはたっち・みーさんにはあまり受けが良くなかったから、必然的にウルベルトさんと話してたんだが、あの人の悪役の品格というのはなかなかにいい話であった。そうだな、話の中に出た品格をオールクリアした道化もそこまで一貫すれば見事、俺も雑種と言わず、道化と呼ぶくらいには気に入ったことではないだろうか?
逆に執事はどうなんだろう?あんまし記憶にないし。さっきも言ったけどウルベルトさんとは話す。だからといってたっち・みーさんと話さないわけではなかったし、一遍たっち・みーさんをセイバーが何ちゃらと言って、ガチで勝負したこともあったけど。…結果?ああ、俺の圧勝。たっち・みーさんの強さは認めてたから慢心なく臨んだよ。
それは一旦置いておこう。貧乳に関しては仲が良い方だと思う。ペロロンチーノは愉悦の極みのような男であったしね。しかも、貧乳好きときた!いや、あいつに限ればエロけりゃ結構なんでもありだったけど。
でも問題があった。大きな問題だった。実に簡単なことではあるのだが、二人ともアーチャークラスであったこと。もっと言えば、二人ともピカピカしていたこと。果ては、二人とも浮いていたこと。
いや、別に俺の能力じゃなくて、
話が大きく逸れたが、そんな似通った点の多い俺たちだった…ただまあ、あいつの武器の名前があれだから、あいつのクラスはアーチャーではなかった。だが、俺の態度が他のプレイヤーに対してとギルメンに対してとの差が月とスッポン、いや鼻くそと燕の巣くらいに違ったから、結構話はしていた。つまりはシャルティアの胸は大きく俺の理想が詰まっているのだ!
偽物とか言うんじゃない。
虫はどうなんですかね?あの寒いの…俺としては武士というところは非常に好意が持てる。ただ、虫なんだよなぁ。
俺は虫が嫌いというわけではなく、大元を見れば人間種を雑種と言ってきた俺だ。そんな俺が虫を見たら?評価は変わらないかそれ以下でしかない。生理的に受け付けないとかではなく、なんというか本能的に雑種なのだ。
そんなわけで俺が虫に好かれているかどうかはよくはわからない。
チビ助二人は、俺の作ったNPCが六階層に入ることも相まってよく目に掛けてやっていた。まあ、女装と男装をしているのは殊更に意味がわからなかったが。…ぶくぶく茶釜さんが怖くて何も言えなかったんだよ。うん、あれはあれだ。黒化したんだよ。そういうことにしといてくれ。本当に酷かったんだ。
ビッチは…いいよ。うん、すごくいい。初めてのお披露目の時に『豊満な女は好みではなかったが、あそこまでいくと蒐集家の血が騒ぐ。何にせよ、頂点を極めるのは良いことだ!』とか言ってみんなに引かれたこともあるくらいにいい胸だ。どうか?と訊かれたら、すぐにお断りするがな。
ともかくは皆悪い印象はないと思うのだが、傍若無人の振る舞いが目立っていたことだから、怖がってるかもしれないけど。
「そろそろか…」
俺はもう少しで時間になりそうなので、悪趣味なベッドから立ち上がり服を着る。無論いつもの金ぴか鎧だ。
俺は自分の独自で三つの世界級(ワールド)アイテムを所持している。
俺が所持している理由は、三つのうち二つが、俺が持たねば使えないクズだからだ。二つの内二個ともがそもそも担い手の俺以外には装備不可になる。それどころか、暴走の可能性すら孕んでいる凶悪なアイテムだった。後々、調べた結果、サーヴァントのクラスになると同時に強制的にならねばならない種族、英霊で一番最初に得る能力が真名なのだ。その真名は、授かった俺はギルガメッシュだった。恐らくは、ギルガメッシュの真名を得たものだけが使えるように設定していたのだと思われる。
ただ、俺以外にサーヴァントのクラスをとった人間がいるというのは聞いたことがない。まあ、サーヴァントのクラスとるのはかなり厳しいからなぁ。
で、問題はその二つを抜いたもう一つ、アイテムの名を王律鍵バヴ=イルという剣のような鍵で、これの能力は幾つかある内の一つが対象者のアイテムボックスの中にある、名前を知っているアイテムを取り出すという能力なのだが、これが俺のスキルとは相性が良かった。だから、どんな奴からでも世界級のアイテム以外なら基本盗みたい放題。引きずり出しまくって、気がついたらお尋ね者。気がついたらアイテムボックスは神器級まみれ。だから、俺の所有する神器級アイテムは百を優に越す。特に2ch連合には世話になった。
あー、今考えると討伐隊のやつらの多くが『AUOを血祭りにあげろ‼︎』とか『打ち首だあ!駄王を縛りあげろ!』とかこれが理由だったのかな?でもさ、使えない奴も結構あったから一回もアイテムボックスから出てないのもあるんだぜ?これぞまさしくお蔵入り!
笑わんか!王たる我のじょーくだぞ!
そういうこともあって、基本的な装備は神器級となる俺。あ、言っとくけど黄金律使って金もバンバン手に入れてたからね。金にあかせて作ったり、譲ってもらった装備の数もたくさんある。うん、成金って皆に叩かれてた。
つまり言いたいのは金ぴか鎧は威厳を見せるためじゃなくて仕方なくつけてるってことかな。あ、やっぱしジャージで行こうかな?
「そのような些事は捨て置くか」
俺は面倒くさくなったのでジャージ選択を切って捨てて、悪趣味なこの部屋から出る。何が悪趣味かって全部なんだけど、これが一番良いって心どこかで思ってる俺がいることだ。
思わず溜息を吐きながらも、アインズ・ウール・ゴウンのメンバーに渡される指輪、リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを指にはめて転移をする。
リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンは転移阻害のかかったナザリック内部で一部を除き大抵の場所に転移できる能力がある。
直感が飛んでも問題ないというので問題はないだろう。
ーーーーーーーーーー
一瞬にして視界は闇へと閉ざされ、解放されたと思えば薄暗い一本通路に飛んでいた。じめじめとしていて癪にさわるが、今は転移の成功に喜びを表すべきだろう。
視界の奥には巨大な格子戸が落ちており、隙間からは白色光にも似た人工的な明かりが入り込んでいる。俺は白色光という安価な感じにもまた眉をひそめるが、そもそもそんなことはユグドラシル時代から変わっていないのに、ここまで沸点が低くなったのは、ひとえに俺がギル様の本能を受け入れ出したからだろう。こういったことに直面すると非常に難儀なものだ。
通路は薄暗くあって真っ暗ではない。それは壁に掛けられた松明が照らしているからこそなのだが、この俺をそんなチンケなもので照らすなど!という感じにこれまた苛立ってくる。
ここで立ち止まっていると一生イライラしっぱなしな気もするので、進むことにする。
格子戸の向こうから香る匂いは、よくか悪くか俺の気には全く召さなかったようでまたまた腹が立つのだが、これはもうどうしようもない問題であるような気がしてならない。俺がAUOはこれでいいとユグドラシル時代は思っていたが、感覚も本能も思考回路も重なった今は変えたい。並々ならぬ思いで作ったアバターだが、ここまでくると言うことを聞かないと言い換えてもいい。今では一心同体というか俺自身なので体を捨てることはできない。せめて、唯我独尊なんてやめてほしい。
俺は自身の感性という最大の問題を前に内心辟易しながらも進む。格子戸は近づくと開く、自動ドアと同じ仕様なので、普通に国を確認すると少しばかり荒んだ心も落ち着きを取り戻してきた。ギル様って意外とご機嫌とりが簡単なのだろうか?…ありえないな。
どうしようもないことはさておき、格子戸をくぐり抜けると目に映ったのは
大きさは直径188メートル、短径156メートルの楕円形で、高さは48メートル。ローマ帝政期に造られたものと同じらしい。らしいというのは、何を作るかという会議があったときに、俺は反対したのだ。『我の所属するギルドがチンケな雑種の真似事など』って。もちろん、俺も大人だから自分に何の替えの意見もなく反論したりはしない。自分の意見はあったが、皆には素気無く却下された。ウルク、作るのは楽しそうと思ったんだけどなぁ。
円の中心では後ろ姿に見覚えのあるローブ。部屋を出る前に見た骸骨君ではないか。声をかけようと思って歩き出し、それは憚られた。
「ひっ!金ぴか!」
少年の声が聞こえた。見れば客席に近い闘技場の縁の方で一人のチビがこっちを見て震えていた。しかし、金ぴかは俺なのだろうが、俺に対する態度がそれとはなかなか笑わせてくれる。
きっと今の俺は眉を寄せ、恐ろしい威圧を放っていたことだろう。チビ、いや雑種は怖気付き後ろに一歩引く。
「AUOさん!何をしてるんですか!」
モモンガさんも気づいたのだろう。俺がちびっこを虐めているように見えたのだろうか?だったら勘違いも甚だしい。俺は単純に俺の前で頭を垂れ跪くことなく呆然と立ち尽くし、雑種の分も弁えぬような雑言を言い放った雑種を斬ろうかな、いやすり潰すか?と考えていたにすぎない。
モモンガさんの前で話していた雑sh、いやチビ2は恐れ慄いた表情で唇を震わせている。直感が告げるのは俺に対して恐怖しているのではなく、俺の名前を聞いたことによって引き出された昔の記憶が関係しているらしい。それももうトラウマレベルに。何かしたか?と思いきや人間種には雑種と言ってきては、亜人種も変わらず雑種。というよりもギルメンと俺の作ったNPC、こちらに優遇してくれていた商人など、俺が認めたやつ以外は基本雑種だった。それのせいか?と適当にあたりをつけてモモンガさんと話をする。
「モモンガよ!臣下の躾はしっかりとしておくべきだ!あまり甘やかすとそのうち噛みつかれるぞ!」
「あ、はい」
俺は放っていた威圧を霧散させ、モモンガに近づいて話をする。モモンガさんは意外と物分かりがいい。単純に押しに弱いとも言えるが。
しかし、先程から尋常ではない汗を吹き出し、歯をガチガチと鳴らして震えているこのチビは何がしたいのだ?俺が帰ってきたのが嬉しいのか?愛いやつよ。
「AUOさん。意外と早く来ましたね。AUOさんのことだから、『時間などに縛られる我ではないわ!』とか言って来そうにないと少し心配してたんですよ」
「そうだな。時間などに縛られるなど、雑種と同じ扱いは可能な限り控えてほしいが。モモンガよ、とりあえず、そこで震えている雑s、…チビは何だ?」
モモンガさんは俺が雑種といいかけるのを見て、目でやめろと訴えかけてきたので止めたが、モモンガさんは後ろを振り返って、見た目男装をした雑種の姿を見て驚愕のあまりあたふたしている。何が起こってるかって?
そりゃあもう、
「やめてください!ぶくぶく茶釜様!やめてください!やめて!やめて‼︎やめて‼︎やめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめて」
「アウラ!どうした!何があったのだ!アウラ!ーーマーレ!こっちに来い!治癒の魔法と精神を安定させる魔法ーー、」
「モモンガ様!精神を安定させる魔法は……」
「くそ!」
アウラの異様な変容にモモンガさんは飛び上がったように急いで対応を始めるが、異常をきたしているとみられる精神をどうにかする魔法なんてなく、雑種が事もあろうに首を横に振るとモモンガさんは舌打ちをして、口悪く吐き捨てる。
俺としては言いたいことが一つある。
「雑種、どけ」
「え、でも…」
「口答えするとはいい度胸だが、貴様はモモンガになんと言われた?『精神を安定させる魔法を使え』と言われたのではないか?貴様も王の臣下なら王の要求の一つくらい無理でも無茶でも無謀でもやってみんか!」
あまりにも見るに耐えなかったので俺が変われと言うが、雑種は変わろうとはしない。命じられた自分の使命を果たそうとするのはいいことだが、やってやれないことなどないということを全く理解していない。俺はカリスマA+を放ちながら、雑種、モモンガの雑種に命じる。
「貴様もモモンガに仕える者であればやれ。出来る出来ないなどは知るか」
「あ、あ、あ、あ…」
モモンガの雑種は唇を大きく震わせ目を回している。
やがて目の焦点が合ってくると、俺を見て狂気的な笑みを浮かべたと思ったら、
「英雄王様、使命を遂行させていただきます」
「うむ、良きに計らえ」
モモンガさんは何がどうなってんのという雰囲気を出しながらこちらを見ている。一応こちらからすることはもうないので、モモンガさんとのおしゃべりに興じようかと思い、モモンガさんに話しかける。
「モモンガよ、魔法は試したのか?」
「…い、いえ。まだですが……」
モモンガさんは今の一部始終を目の前で見ていて呆然としているのか、俺との会話が釈然としていない。
そんな中で意を決したのか雰囲気を支配者のそれと同じ風格を見せながら俺に語りかけてくる。
「魔法はいいんですけど、アウラの症状に心当たりはないですか?…もしこれが敵襲なのだとしたら……!」
ーー俺はこの世界の生物を全滅させます。
言ってはいないが、その言葉が聞こえたように頭の中で山彦のように繰り返す。
雑種の駆逐とはあまり俺を差し置いてやって欲しくはないものだが、友との殲滅戦もまた一興、と口元がニヤついているのを自覚する。
しっかし、雑種の症状ねえ……、俺を見て震えるってことは俺が関係あるんだろうし、さっきは雑種が茶釜さんの名前を……!
「モ、モモンガよ!」
「わかりましたか?AUOさん」
「う、うむ……」
これはまずい。非常にまずい。確かにあれは俺たちでさえ恐ろしかった出来事だ。アウラに記憶があったとしたら最悪だろう。
モモンガさんもあの事件には実は関与している。言ってもいいものかと少し不安になる。モモンガさんはあの事件で二番目の被害者と言ってもいい。俺は逆に容疑者に入る部類だ。
「AUOさんのその顔、言い淀み……!まさか……‼︎」
モモンガさんは自力で推理したようだ。モモンガさんでさえも出した答えに震えている。
「ああ、思っている通りだ。恐らく、いや確実に聖杯戦争だろう」
モモンガさんは怯えている。かくいう俺もあの事件は心の大きな傷を残した。アウラなんて間近で見ていたので最悪だったろうし、俺が調子に乗りすぎたこともあって精神崩壊もやむなしと言えるかもしれない。
俺たちは出した答えがあまりにも悲惨だったので何も言えなくなってしまう。
「モモンガよ。このことは忘れた方がいい」
「ええ、そうですね」
必死に振り絞って出した答えはそれだけだった。
しかし、運良くモモンガの雑種が見事に精神を安定させる魔法を発動させたのか、見たこともない眩い閃光が目を焼く。
だが、その前に…
「モモンガよ、記憶を操って我を引鉄にあの忌々しい記憶を引き出せないようにしてくれ」
「まだ魔法は……、いえ、アウラのためですからやってみましょう」
そう言うとモモンガさんは手から光を生み出す。モモンガの雑種の光が青に対して、モモンガさんの生み出した光は白。言っては悪いが可愛い。カルシウムでも光に混ぜたのだろうか?
俺の馬鹿な思考とは裏腹に、白い光はフヨフヨとゆっくりと、だがしっかりと雑種の額の前まで進むとすっと入っていく。
白い光が入った後に、雑種の百会(ひゃくえ)から黒い光が出てきて弾け飛ぶ。もしかして記憶を取り出して破壊したのだろうか?…いや、直感があの記憶が消えたわけではないといっている。消えたのはあくまで関係者をトリガーとしたトラウマ。だから俺を見てもあの事件を思い出すことはないだろうが、何かしらの物質、……聖杯やらの話をきっかけまたショック症状が起きることはあるということだ。仕方ない事でもある。あれは俺の罪の形でもあるのだから。
「英雄王様。ご使命遂行しました」
横にいるモモンガさんは先程の魔法がよほど魔力を食ったのか、少し酔ったらしい。今は横になっているが、意外と可愛い。
そんなモモンガさんを観察していると、バケツをひっくり返したのかと訊きたくなるような、大量の汗をかいたモモンガの雑種はおぼつかない足取りで俺の前まで来て、頭を垂れ跪いてそう報告してくる。
しかし、
「下郎が」
俺はモモンガの雑種に剣を向ける。
俺の能力、
剣の名前は
モモンガの雑種は使命を遂行したのに剣を向けられることに困惑しているようだが、『王は間違っていない、僕のどこかがいけなかったんだ』と考えているのが顔や雰囲気から察せる。
恐怖政治のようだ。王が怖くて不満を唱えることができず、自身の有り様に疑問を抱く、これこそまさしく雑種なのだが、王である我の考えなど、いかなモモンガの雑種といえど理解できるわけがないと判断し、告げる。
「貴様の王は誰だ?」
モモンガの雑種は答えない。だが、もう答えは出ているようだ。
俺はモモンガさんをモモンガの雑種に聞こえないように蹴って起こす。
「仕える王は二人もいらん。貴様が心に決めた王に身命を賭せ」
「「はっ!」」
モモンガさんは何が何だかわからないという雰囲気を出しているが、俺としては寝てた骸骨がいきなり起きるっていうのもおかしいし、だいたい骸骨は眠らないだろう。
モモンガさんの目を覚まして体を起こす声とモモンガの雑種の俺の言葉への応答の声が重なったのを聞いて、予行練習かよと言いたくなったが、二人とも真面目にやっているのであまり不用意なことは言えない。
「モモンガ様!ご使命を遂行しました!」
「……そ、そうか。よくやったぞ」
モモンガさん、あんた適当か。あんた始めの方寝ぼけてた?いやついていけずに困惑していたのか。ただ、もうちょい言葉を選んで欲しかった。
モモンガの雑種はモモンガさんの賞賛に一言「ありがたき幸せ」と返すと立ち上がり一度モモンガさんに礼をして雑種の隣に行き、モモンガの雑種もまた眠りにつく。
余程疲れていたんだろう。倒れこむように眠ってしまった。それを見たモモンガさんが余計に当惑するが説明しなくてもある程度はわかるだろう。
しかし、それよりも
「モモンガ。いつまで女座りをしているのだ?」
「え?あ、はっ!」
モモンガさんってこういうところ、可愛いよね。
モモンガさんが急ぎ立ち上がるのを見ながら、俺は聖杯のことを考えていた。
ステータスだけ
アウラ
筋力B
耐久B
敏捷A
魔力C
幸運B
宝具C
マーレ
筋力B
耐久B
敏捷B
魔力A
幸運B
宝具C+
聖杯の話ですが、一見すごく真面目に見えますが、発端はギル様と、仲が良かった二人です。
次回の始まりでは若干この事件の回想を入れます。