紅の系譜   作:テッソルムリア

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幕間 門番とメイド長の会話

これはフランドール・スカーレットが過去を探求し始める前

―――まだ地下に引き籠もっていたころ、在りし日の紅魔館での出来事である。

 

 

 

 

 

「行くわよ!美鈴!」

「いつでもどうぞ!」

 

奇術「ミスディレクション」

虹符「彩虹の風鈴」

 

両者から眩いほどの光が放たれ空間を埋め尽くす。

ぶつかって相殺されていくが、そこから抜け出た光が双方に迫る。

それを器用に避けながらまた、光を放つ。

 

彼女たちが行なっているのはいわゆる命名決闘法である。

最近になって胡散臭いスキマ妖怪からもたらされたこの決闘(あそび)

スキマ妖怪曰く、これからの幻想郷に必要なもの……らしい。

 

一つ、妖怪が異変を起こし易くする。

一つ、人間が異変を解決し易くする。

一つ、完全な実力主義を否定する。

一つ、美しさと思念に勝る物は無し。

 

これらを理念とする決闘法である。

その他にも美しさに名前と意味を持たせる、や意味がそのまま力となるなどの文言もあるが。

とにかくそう言われた(強制された)ので練習しているのだ。

―――と 弾幕を打ち終えた二人が地上に降りてきた。

 

 

 

 

 

「美鈴の弾幕は綺麗ね。どうやって考えたの?」

そう尋ねる私は所々服がすすけているが、目立った傷跡はない。

「これはフラン様の羽を参考にしたんですよ。咲夜さんの弾幕も見事でした。何か参考に?」

笑顔でそう答える美鈴は、すすけているどころかボロボロだ。

……まあ派手に被弾していたし当然か。

 

「私はそもそも得物がナイフだから。それを弾幕にしてみただけよ……それより美鈴。貴女当たり過ぎよ。いくら弾幕が見事でも、避けられなきゃダメじゃない」

心持ち厳しい声音でそう言ってみる。

私とて無意味に弾幕をぶち当てたいわけではないのだ。

……怪我をされても困るし。

 

「あはは……すみません。どうも弾を撃ち出すのには慣れていなくて、そっちに集中してしまうみたいです」

「まったく……要練習ねこれは。次はもっと回避にも気を使いなさいよ?」

困り顔と笑顔が混ざったような美鈴は、あまり気にしていないみたいね。

少しホッとしたけど、一応釘を刺しときましょう。

 

「ぜ、善処します……」

「……それはやらないと言っているのかしら?」

「い、いえ違います!えーっと……精一杯頑張ります!」

全く調子がいいったらありゃしない。

そこが美鈴の良い点でもあるのだけどね。

 

「……はぁ、まあいいわ。それじゃ引き続き、門番よろしくね」

「はい!お任せ下さい!」

ビシっと背を正して笑顔でそう言う美鈴を見ていると、まぁ良いかとも思ってしまう。

つくづく私も甘いわね。

……母親がわりの彼女に本気で攻撃できるとは、はなっから思ってないけど。

 

門前に美鈴を残し、館に向かう。

歩きながら私は、先ほどの弾幕合戦を思い返しはじめた。

 

美鈴の弾幕は本当に綺麗だったわね。

彼女は私のも見事だと言ってくれたけど、美しさでいったらまだまだね。

もっと精進しなきゃ―――

とそこまで考えた所で違和感を感じ、立ち止まる。

 

……何かしらこの違和感は

何かを忘れているような……そんな感じだわ。

 

しばらくその場で思案してみる。―――が

 

……ダメね、何も浮かんでこないわ。

まぁ本当に重要なことなら後で思い出すでしょう。

 

私はそう思い直し、再度館に向かって歩き始めた。

 

 

 

 

 

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