翌日、麗は指定された時間にその場所へ訪れていた。
「えーっと…住所だとここになるんだけど…」
住所と名前通りの場所には訪れた…のだが、麗が想像していた『アイドル事務所』とは大きくかけ離れており、よく言ってしがない探偵事務所…といったところだった。
「やっぱだまされた…か?そんな風にも見えなかったけど…」
麗がドアの前で考えていると、後ろに止まった車から青くすこしウェーブのかかった少女が降りてきた。
麗はその少女に見覚えが合った。
そう、れいなと共にミニライブをしていた二人の内の一人である。
その少女は扉の前に立つ麗に気付くと首をかしげつつ聞いてくる。
「なにか…御用でしょうか…?ここは私たちの事務所…ということになっているのですが…」
おっとりした口調に警戒心ってないのだろうか…と内心苦笑しながら麗は答える。
「あ、あぁ。実は昨日…」
と、麗は少女に事の顛末を説明する。
すると、少女は笑顔をみせる。
「まぁ。でしたらあなたがれいなが言っていた麗様ですか。私はしいなと申します。」
しいなの口調に少々とまどいつつも、麗はふと疑問を口にする。
「あ、あぁよろしく。ってなんで俺の名前を?」
「いえ、昨夜れいなから連絡をいただいておりましたので。事務所っていってもこのような場所なので入りにくいと思い誰が会ってもわかるように…とのことでしたの。さぁ、こんなところで立ち話もなんですし中へどうぞ。」
随分気が利く子なんだな…と思いつつも促されるままに事務所へ入った。
外観から予想したとおりの内装だったが、しいなはまっすぐととあるドアの前に立った。
「さぁ、どうぞ。」
促されるままに入ると、部屋の中は予想以上に清掃が行き届いていて、とてもあの外観からは予想できない部屋だった。
麗がキョロキョロしていると、しいないくつかある内のドアのひとつを開けた。
するとなかから二人の声が聞こえてくる。
「やっほーしいな。おつかれー!」
「しいなおそいー!」
二者二様の声に出迎えられしいなは笑いつつも麗を中へ促す。
「さぁ、あなたもどうぞ。」
「あれ?お客さん?」
麗がしいなの後ろに立っていたためか他の二人には見えなかったらしい。
それは麗にとっても同じであったが片方の声には聞き覚えがあった。
「と、とりあえずきてみまし…た?」
麗の姿が見えると、予測通り、そこにはれいなの顔があった。
そのとなりには昨日ミニライブをしていた最後の一人の姿もあった。
ピンクの髪をした少し幼げな少女は、麗を見ると首をかしげる。
「えーっと、れいなが昨日言ってた人って…」
れいなのほうを向いた少女をみつつれいなが答える。
「そうだよ!あ、紹介するね。この子がみいな。私の友達の妹なんだ!」
「みいなだよっ。よろしくねっ麗くん!」
みいなによろしくな。と声をかけると、麗はれいなのほうを向く。
「それで、なんたって俺をここに?」
と、れいなはそれを聞くと、少し含みのある笑みを見せて立ち上げる。
「うん。じゃあ本題に入ろっか!ちょっと待っててね!」
れいなはそう言うと部屋を出て、今までいた部屋の正面の部屋に向かった。