カンピオーネ!魔王と魔王外伝 海の精は艦隊に嗤う 作:NAIADs
pixivにもうpしています。
処女作故に、駄文かもしれません。
それでも構わないという方はどうぞお楽しみください。
民間軍事会社、日本平和維持軍。
10年前に日本初のPMCとして総司令官伊藤光雄の元に設立された。
当初は野党や硬派の何やらから批判が出たが、PKF活動や災害派遣等で次第に国際社会から認められ、国内世論も次第に軟化していった。
今では、世界に七つの支社と膨大な兵力を持ち、年商は8兆から10兆といわれる大企業に成長した。
その本社は東京都丸の内、東京駅から徒歩10分位の所に建っている。
その十階の会議室では幹部達が会議を開いていた。
広々とした会議室の中央にある長机に10名の幹部達が座り、部屋の前方には巨大なスクリーンがある。
「…では、今回の議題に移ろう」
総司令、伊藤光雄が話を始めさせる。
「はい。今回の議題は部隊配備計画の見直しです」
幹部の一人が立ち上がり、モニターを起動した。
「首都大停電に首都高崩壊、東京タワー炎上に周辺施設の崩壊…」
モニターに次々と惨状が映し出される。
全て日本に居る魔王達がやらかした悪行である。
「ここ最近の東京都での騒動で今現在我が社の存在意義が問われています。早急に部隊増強等の対策が必要です」
配備担当官が説明する。
「しかし…迂闊に部隊を増やしてしまえば軍国化とまた批判が起こるぞ」
メディア対応担当官が苦言を呈する。
「予算面でも余裕がないと言わざるを得ませんな」
財政担当も賛同した。
「しかし、何も手を打たないというのは…」
「ならパトロール部隊を強化すればいい」 「それでは市民がパニックに…!」
「ではどうすれば良いと君は言うのかね!?」 「それはっ…」
会議室が幹部達の怒号で喧騒に包まれた。
伊藤が手をパンと叩くと喧騒は一時収まった。
「君達、ここは会議する場であって国会の様に口喧嘩をする場ではない」
「しかし…どうしましょう」
「特務第一機動艦隊を日本に呼び戻すというのはどうかな?」
総司令がある提案をした。
「N.A.I.A.Dですか…」
「成る程、大條司令ならメディア受けも良い」
「予算の捻出も必要無いな」
メディア対応担当官と財政担当も賛同する。
「では採決に移行しよう」
「では、採決です。特務第一機動艦隊を呼び戻す案に賛成の方はボタンを押して下さい」
幹部達が次々と机のボタンを押していく。
ここの方式は、彼らの目の前に設置されているボタンを押す事で本人の意思を示す多数決制である。
「…全員賛成でこの案を可決します」
伊藤総司令を始め、会議室内の全員が安堵の表情を浮かべた。
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一時間後。
アメリカ合衆国、フロリダ州マイアミ内にあるビーチ。
そこにある席に身体を休め、太陽光線を浴びる男が居た。
その男は日本人で身長185cm、体重は74Kg。
細いながらも筋骨隆々で体脂肪率は一桁台だ。
角張った顔で多少目付きが悪く、目と鼻の間に大きな傷があるが、見た目は中々の色男に見える。
この男が特務第一機動艦隊の司令、大條透である。
テーブルの上のジュースの横にある携帯が鳴り、大條は電話に出た。
「ん、何だノイマン?」
『大條司令、貴方宛てに本部から通信です』
「マジかよ…」
大條司令は面倒くさそうに頭をかくと、愛車のジープに乗り込む為に駐車場へ向かい始めた。
数分後、大條はマイアミの港に停泊中の特務第一機動艦隊の旗艦、機動戦艦常陸に乗艦した。
特務第一機動艦隊は総司令直属の部隊である。
機動艦と呼ばれる高速艦で占領事件やテロ事件などの緊急事態に対して素早く展開し、事態に対応する精鋭部隊だ。
通称N.A.I.A.D艦隊。
ナイアッドとは、特務第一機動艦隊の計画名の『新しい方法の実行による世界平和維持、防衛コンセプト機動部隊』(carryout by New wAyto worldwIde peAcekeeping and Defense consept taskforce)の一部の頭文字を使いた略称である。
その部隊を率いる司令官の大條は15歳でMITを卒業した才子であり、現役時代に米海軍一ののエース部隊バルチャー隊を率いた15機撃墜のエースパイロットとしてもその名を轟かせている。
そして四年前にこの会社にヘッドハントされ、現在28歳。
大條は特務第一機動艦隊司令官の他に、今乗艦している戦艦常陸の艦長も兼任している。
そして今その大條はふて腐れながら艦長室でモニターに映る総司令と睨めっこしていた。
「で?つい5時間前にFBIと沿岸警備隊との合同作戦が終わって、休息していた俺達に何のご要望が?」
『そう怒らないでくれ、大條君』
怒りから皮肉めいた口調になる大條に、総司令が笑いながら謝る。
こちらは笑い事では済まないのだが。
実を言うとナイアッドはかなり人気の部隊なので、事件があると必ず依頼が入って来るのだ。
ここ最近は本当に席を暖める暇もない程任務に忙殺されている。
部下を預かる身としては皆を休ませてやりたい。
「だったら支部でも出来る任務は支部でやって欲しいですな」
『…………それはそうと大條君』
「話をそらさないで下s…もういいです」
話を進めようとする総司令に対し、大條は話を戻そうとして…、諦めた。
話を戻そうとしても多分無駄だろうと感じたからだ。
『では命令を伝える。君達ナイアッド艦隊は本日付けでインビンシブル基地を母港として活動せよ。従って早急に日本に回航してくれ』
「はい!?」
大條は耳を疑った。
インビンシブル基地と言えば最近出来た開発部の基地で、東京湾の中間くらいにある。
しかし…ここに移らなくても既に横須賀基地があるし、陸軍や空軍も入れれば関東圏でも基地や部隊は十指に余る程ある。
それなのに回航とはどういう訳だ?
しかも、N.A.I.A.Dは母港を持たずに、定期的にどこかの基地で補給や整備をし、早期展開能力を高める。
それがうちのスタンスだ。
このスタンスは総司令自らが提案した物だった筈だが。
それをいきなりサッと変えるとは…。
大條は小首を傾げざるを得なかった。
「ナイアッドのスタンス忘れてます?うちの部隊は母港を持たないっていう奴。貴方が自ら提唱したものではありませんでしたか?」
『まぁそういう話だったんだが、ここ最近の東京都の状況を鑑みて理事会で決議した』
「…わかりました」
最高機関である理事会で決議された以上、この命令は絶対に守らねばならない。
出来れば見切り発車はしたくないが、重箱の隅をつつく様な真似もしたくはない。
大條は渋々了承し、その代わりに大きなため息をハァとついた。
『済まないな』
総司令が申し訳なさそうに謝り、ここで通信は切れる。
モニターがブツンと切れると同時にコンコンとドアを叩く音がした。
「誰か?」
「副司令ノイマン・ジュペー入ります」
「よし、入れ」
「失礼します」
自動ドアが開き、一人のドイツ人の青年が入室してきた。
金髪碧眼のゲルマン系で、5cmほどの髪をやや七三に分けており、端から見るとドイツ人ではなくアメリカ人に見えなくもない。
この青年はノイマン・ジュペー。
ここの副司令で、大條より二つ下。
大学以来の大條の親友でもあり、現役時代の僚機でもあった。
そのためか、今も昔もあまり上司と部下という感じがせず、"大條は"昔の様に話している。
「で、どうかされたんですか、大條さん?苦虫を噛み潰した様な顔をしてますが」
どうやら俺は他人から見てもわかる位しかめっつらをしているらしい。
「どうもこうもねぇよ、ノイマン。いきなり理事会が俺達の日本常駐を決めやがった」
「いきなりとは変ですねぇ…」
ノイマンも首を捻った。
「だろ?まぁ理事会命令だし変更は出来ないからなぁ…。1500に各艦長はCICに集合と伝達してくれ」
「了解しました」
ノイマンは書類を置くとすぐに部屋を出て行った。
言った事は必ずやってくれる有能な部下だ。
お陰で自分の仕事が軽減され、司令官を始めて五年経つが秘書要らずである。
予算書類に目を通していると、いつの間にか時計は三時前を指していた。
「おっとヤバイ」
大條は急いで席を立ち、ダダッと走ってCICへ向かった。
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1500時。
常陸の艦内、CIC。
やや暗い部屋にある四方のモニターに、各艦の艦長が映っている。
「大條司令、全艦長集結しました」
「了解、始めよう」
ベテラン将兵が集うナイアッド艦隊は人種や国籍は多種多様で、平均年齢35歳と大條より年齢は上である。
基本的に階級による垣根はない。
公用語は英語だが、10ヶ国語を操る大條は部下の母国語で会話するなど造作もない。
先程ノイマンと交わした会話はドイツ語でやっていた。
「あ…、諸君。この度理事会命令で日本のインビンシブル基地を拠点に活動する事になった」
いきなりの日本行き。
絶対誰かが異を唱えたり、舌を鳴らすと思ったのだが…。
『日本ですか…やっと後方になるんですね…よかった』
『そうか、忙しくなくなるからいいな』
『正に、得たりやおうって奴ですな』
『最近虎の手も借りたい程忙しかったし…』
『それは猫だろ?』
会話する艦長達の顔に歓喜の笑みが浮かぶ。
どんだけ疲れてたんだよとは思うが、振り回しているのは他でもない自分なのだ。
大條は罪悪感から苦笑いを浮かべざるを得なかった。
翌朝。
多少スケジュールに遅延はあったものの、無事艦隊は抜錨出来た。
艦隊の速度ならば10時間位で日本に到着出来る。
抜錨して数分後。
大條が座乗する常陸の艦橋は隊員達の会話で意外とざわついている。
主な会話の内容は、日本で何をするか?という話題だった。
日本の観光地を回りたいと言う男性隊員や、ヘルシーな日本食を食べたいと言う女性隊員。
漫画やアニメを見たいと言う航空隊員等々。
ここの隊員は意外と日本好きが多い事が判明した。
「司令、そろそろアメリカの領海を抜けます」
「了解」
緊張が少し解れる。
「そういえば、大條さんは楽しみじゃないんですか?日本に帰るのは」
ノイマンが話し掛けて来た。
「楽しみじゃない訳ないだろ。10年ぶりに祖父や従兄弟に会えるんだからな」
大條は写真立てを手に取ると、愛おしそうに写真を眺めた。
そこには、幼いころの草薙護堂と草薙静花が写っている。
大條透はこの時、草薙護堂が魔王だとはまだ知らなかった…。
end
いかがでしたでしょうか。
他にも考えているSSがあり、更新が遅くなるかもしれません。
続きを楽しみな方は気長にお待ちください。
次回やっと魔王二人が出てきます。