カンピオーネ!魔王と魔王外伝 海の精は艦隊に嗤う   作:NAIADs

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投稿が一か月以上遅れてしまい申し訳ありませんでした。


それでは本編をどうぞ。


Case.6 「短刀の死神と魔弾の射手」

「そこに居ったか。神殺しよ」

 

いつの間にか清秋院恵那が塀の上に立っていた。

どうやら操られているらしい。

虚ろな目をしている。

あれが神がかり失敗の末路か。

 

「チッ、とんでもないタイミングで来やがって!」

大條は舌打ちした。

戦力も準備も整っていないこの状況で・・・

 

「エリカ、要はその女を取り押さえばいいんだな。あの女には腹を据えかねていた所だ」

「リリィ、今のあの子相手にあなただけでは荷が重いわよ。私も闘うわ」

そんな心配をよそに大騎士二人は戦意旺盛だった。

「お、おいちょっと待て!」

大條が止める間もなく、エリカとリリアナが塀の外へ飛び出し、恵那も付いていった。

 

「・・・ったく、ノイマン。俺の車を廻してくれ」

「了解!」

ノイマンに鍵を渡して愛車へ向かわせ、大條は無線機を取る。

「百舌鳥!陸戦隊の準備は?」

『都内の封鎖はとうの昔に完了。猫の子一匹通しやせんぜ、大條の旦那。で、どうしやす?』

「よし、お前は予定通りダヴィデに乗ってこっちまで来い。グランド小隊を何隊か連れてな」

『了解しやした』

「マイクはリトルバードで戦車隊の着弾観測だ。頼んだぞ!」

『バルチャー3、了解した。すぐに向かう』

とりあえずこの二人が出れば安心だ。

大條は安堵のため息をつく。

あの二人の腕の良さを大條は信じている。

「大條さん、廻して来ました!」

勿論、ノイマンも。

大條はN.A.I.A.D全隊員に全幅の信頼を置いている。

「よし、二人・・・とにかく全員の援護に向かうぞ!」

「はい!」

大條は車を急発進させた。

 

『バルチャー3より指揮車。目標を千鳥ヶ淵で目視。こちらの旗色が悪そうだ』

「了解。そのまま待機」

『了解した』

現場での戦況が気になる。

 

現場につくと、状況は更に悪化していた。

エリカとリリアナは切り札を発動したものの、恵那にやや圧倒されていた。

これは早く装備を整えなければ…

大條は愛車を止めてトランクを開け、武装コンテナを取り出す。

「え?大條さん、その装備にするんですか?」

「ああ、まだ止められる可能性はあるからな。支援頼むぞ」

「了解!」

大條はグローブをはめ、左腕の脹脛に装置を付ける。

ホルスターから拳銃を取り出し、装弾数を確認する。

ノイマンは屋根の上に置いてあったコンテナから銃を取り出すと、銃を手早く組み立てる。

そして謎のバックパックを背中に背負った。

 

二人の準備が整った瞬間。

 

「うわぁぁぁぁぁっ!」

「きゃぁぁぁぁぁっ!」

大騎士二人が竜巻によって宙へ舞い上がり、地面に叩き落された。

 

「エリカさん、リリアナさん…!」

「戦況は芳しくありませんよ。どうします、草薙さん」

護堂は二人を無視して恵那の方へ向かっていこうとして…。

 

「待て。俺が行く」

 

大條に肩を掴まれた。

「何を言っているんですか!?無茶です」

「生憎俺も元草薙称なんでね。大丈夫だ、やってやるさ」

魔王にして従兄弟の言葉を無視し、恵那の元へ向かった。

 

「『短刀の死神』と『魔弾の狙撃手』ですか…」

甘粕が意味不明なことを口にし、護堂は首を傾げた。

 

「また人間か。まぁいい、返り討ちにしてやる」

「ハッ、今度は違うぜ。大人の戦い…。いや、地獄の淵を覗いた奴の戦いって奴をを見せてやるぜ。来いよ」

大條は右手の指先をまげて挑発した。

その瞬間、恵那が踏み込んで袈裟の一刀を打ち込む。

しかし…

「おっと」

簡単にかわされてしまった。

別角度からの袈裟を打ち込もうとも、水平に薙ぎ払おうとも、何をしようが紙一重にかわされ、地面を穿ってしまう。

それどころか、逆に大條に踏み込まれて、サバイバルナイフで右頬を切りつけられてしまった。

神刀とナイフではリーチの差は歴然。なのに何故…!

恵那は驚愕の色を見せていた。

何も驚いていたのは恵那だけではない。

その場にいる誰もが驚いていた。

 

実は大條は3.5という優れた視力を持っており、動体視力も優れている。

剣先を見て、軌道を予測してよけているのだ。

確かに剣の威力は凄いが、当たらなければどうということはない。

 

「どうした?骨休めという訳でもあるまい」

「ぐっ…」

恵那がこちらを睨み付ける。

「そうだなぁ。お前は次に『貴様、我を愚弄するか』と言うだろうな」

「貴様、我を愚弄するか…ハッ!?」

「考えが甘い」

大條は恵那の鳩尾に左の正拳突きを打ち込んだ。

「くはっ…」

初めて恵那の表情が苦痛に歪み、そのまま倒れこんだ。

 

「普通ならこれで大丈夫なんだがな…」

 

恵那が立ち上がり、斬り込んできた。

迅い。

今度は回避しきれず、左頬を2cm斬られた。

「奴さん、どうやらキレたらしいな」

恵那から尋常ではない凶悪なオーラが出ていた。

 

鮮血が這う頬をぬぐい、ホルスターから拳銃を取り出した。

左腕で持ち、撃つ。

しかし、それは天叢雲剣に防がれた。

大條はそんなことに構わず、次々と撃ち込んでいく。

すべて天叢雲剣に吸い込まれていった。

 

「だ、大條さんは恵那を殺すつもりなんですか…?それなら早く俺が」

「大丈夫です。大條さんはまだ恵那さんを殺そうとはしていません」

焦る護堂をノイマンは止める。

「なぜわかるんですか?」

「大條さんが本当に相手を殺すつもりなら、あんな装備はしませんよ」

 

ノイマンはゴーグルを掛け、スナイパーライフルを構える。

その銃は全長が軽く2メートルを超えており、並の人間に持てなさそうなほどの大きさをしている。

重量はかなりありそうだ。

 

「それに」

「それに?」

「大條さんは両利きですが、左の方が得意なんです。それなのに左手に拳銃を持っている。あれは試験です」

「はぁ……?」

護堂は全く意味が解らなかった。

だがすぐに、それの意味を知ることになる。

大條の左腕につけた装置が光を放った。

 

「合図だ」

ノイマンはすかさず引き金を引く。

天叢雲剣の切っ先に命中し、恵那の手から離れた。

同時に、大條が突撃して左腕の装備を展開、正拳突きの要領で恵那に打ち込んだ。

恵那は5m程吹っ飛んで倒れ、天叢雲剣は50cmほど後ろに突き刺さった。

 

そう、全ては作戦だったのだ。

素手の正拳突きが効果がなかった時点で、大條は作戦を変えた。

恵那本人ではなく、天叢雲剣を狙う。

天叢雲剣に銃弾を撃ち込み、手の動揺度を計ったのだ。

そうでもなければ、得意な左腕で撃ったりはしない。

まして、50AE弾を使うが7発しかないデザートイーグルなんて持ち出さない。

 

そしてノイマンが使ったのは30mm電磁加速狙撃砲である。

開発課部長の宮原進が、ノイマンのために開発したワンオフ銃だ。

30mmという口径ながら、威力は現代艦艇の艦砲以上。

それを切っ先に寸分の狂いも無く撃ち込んで、恵那から天叢雲剣を引きはがしたのだ。

 

その隙に、大條が電磁ナックルを恵那に打ち込んだ。

これも宮原進が開発した非殺傷兵器だ。

これは打ち込んだ対象に50万ボルト以上の電気を流す事が出来る。

また副次的作用として、発生した電気や磁力が筋肉やツボを刺激し、瞬間的に筋力を高めるのだ。

最大出力を発揮すれば、即座に気絶して数時間は動けない。

 

清秋院恵那を殺傷せずに制圧する作戦は見事に成功した。

 

「はぁ…」

「ふぅ…」

二人が安堵のため息をついた瞬間だった。

 

「なっ…!?」

「えっ!?」

二人は目の前の光景を見て驚愕した。

 

 

高圧電流を浴びて気絶したはずの恵那がむくりと起き上がったのだ。




次回で恵那編が集結します。

Case.7はなるべく早く投稿しようと思っています。

投稿まで少しお待ちください
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