でわ
「闇の書の起動を確認しました。」
ピンクの髪をポニーテールに纏めた見た目20台前半の女性が、
「我ら魔力を収集し主を守る守護騎士でございます。」
金髪をふんわりボブカットにしたこれまた20台っぽいお姉さんが、
「夜天の主のもとにに集いし雲。」
犬耳、尻尾をつけた白髪のマッチョな男が、
「ヴォルケンリッター、何なりとご命令を。」
赤い髪を一房の三つ編みにした7,8歳くらいの幼女が、
それぞれの口上を述べる。その間も顔は伏せたままだった。
「きゅ~~~」
「っ!はやてっ!おい!」
許容量をオーバーしたのか、それ以外の原因か、はやてが気絶した。それに驚いた光輝が声を掛けるが、目を覚ます気配は無い。その光輝の声に、顔を伏せていた全員の顔が上がる。と、同時に警戒し始めた。
「オイ、テメー!主に何しやがった!」
赤髪幼女がそう吼える。しかし光輝はそんなものまったく気にならなかった。むしろそれは光輝も聞きたかったことだからだ。
「それはこっちの台詞だ。はやてに何をした?」
その声により警戒の色を強くする4人。光輝の声には明らかに怒気が含まれていたからだ。
光輝からしてみれば、はやての胸から出てきた玉から吸い取られるように光が本に伸びた結果、こうなったように見えたからだ。つまり、はやてが気絶したのはあの本の、ひいては本から出てきた4人のせいと光輝は思っている。
「答えろ。はやてに何をした?答えないようなら潰すぞ?」
その声には、長年戦場を駆けてきた4人でさえも空気が重くなったように錯覚するほどの威圧感がこめられていた。だが、威圧感にたじろぐほどヴォルケンリッターは柔ではない。すぐに臨戦態勢に入った。が、1人だけ予想外の反応をしたものがいた。
キィン・・・ と澄んだ音を立てて飛来してくるそれを光輝は思わずキャッチする。そしてそれを投げた人物に目を向けた。
それはピンク色の髪の女性だった。それはどうやら彼女の独断のようで、他の3人も驚いた顔をしている。
「何だ、これは?」
「我がデバイス、炎の魔剣レヴァンティンだ。武器だと思ってくれて相違ない。」
そう答える女性。しかし、それは光輝の欲しい答えではなかったようで、
「何の真似だと聞いている。」
さらに威圧感を強めながら質問、いや、詰問する光輝に、女性は何でもないかのように答えた。
「私が生まれたベルカには、こういう言葉がある。曰く『和平の使者は槍を持たない』。」
つまり、戦闘の意思はない、と言っているのだ。その言葉に幾分か冷静さを取り戻した光輝は威圧感を引っ込めた。
「シグナム!どういうつもりだよ!」
そう赤毛の少女が問いかける。どうやらシグナム、というのがピンクの髪の女性の名前であるらしい。周りを見てみると、黙っている他の2人も同じ意見であるようだった。
「あの男の傍に主がいる以上、我らに出来ることは少ない。それにこんな狭いところで戦闘を始めてしまったら、最悪主に被害が及ぶ。それは望むところでは無いだろう?」
その言葉にうっ、と言葉を詰まらせる赤毛。どうやら反論出来ないらしい。
それに・・・、とシグナムは思考する。冷や汗を掻きながらも、それを表に出さないようにして。
光輝の出す威圧感、それを浴びた瞬間に、シグナムの将としての経験と勘が警鐘を鳴らしたのだ。「この男は危険だ。」と。
(「潰す」。ただの子供の戯言にも聞こえる。だが、そうじゃない。この男には、やると言ったらやる『凄み』がある・・・!)
その考えから、即座に最善、つまり戦闘しないように行動した判断の高さは流石将であると言えよう。
と、その時。何やら思案している様子だった光輝が声をかけてきた。
「はやてが気絶したのはお前らのせいじゃないんだな?」
「そうだ。」
「あたりめーだ!」
光輝の質問に何を当たり前なことを、という顔をするシグナムと、声を荒げる赤毛。
「お前らにはやてを傷つける意思はないんだな?」
「我らは守護騎士だ。主を護ることはあっても傷つけるような真似などせん。」
そう答えたのは犬耳の男。どうやら「護る」という部分に誇りがあるようだ。
「そうか。なら、こちらも戦闘はしないと約束しよう。まずははやてが優先だ。気絶してるから病院に連れて行かないと。」
その言葉に待ったをかける声が。それはシグナムからだ。
「少し待て。ここにいるシャマルは治癒魔法のエキスパートだ。どういう原因で主が気絶したかも彼女が調べればすぐにわかるだろう。」
その言葉に光輝はしばらく沈黙する。どうやら信用に値するかどうか考えているらしい。数秒ほど思案して、
「いいだろう。ただし、はやてに妙なことをしたらどうなるか、わかってるな?」
「わかった。シャマル!頼めるか?」
「えぇ。まかせてちょうだい。」
そう言ったのは金髪の女性「シャマル」だ。はやてのそばに行くと、その足元に翡翠色の魔法陣が展開される。しばらく目を閉じてその状態を保っていた。どうやらこれで調べているらしい。
数分経ったところで魔法陣は消え、閉じていた目を開いた。
「ふぅ。どうやら、長い間眠っていたリンカーコアが目覚めたことによるショックで気絶したみたいね。特に心配することもないと思うわ。しばらくしたら目を覚ますと思います。」
その言葉を聞いて、光輝はあからさまにほっとする。その様子を見ていたシグナムは問うた。
「お前はどうやら主を本当に心配しているようだな?どういう関係だ?」
その問いに、迷うことも無く即答する。
「親友だ。」
「そうか。」
その言葉に雰囲気を和らげる。どうやら本当だと信じたようだ。
「それから、「お前」、じゃない。俺の名前は宮崎光輝だ。」
光輝は4人にそう名乗る。最低限の信用には値すると判断したらしい。
「そうか。名乗られたからには名乗り返すのが礼儀だな。私はヴォルケンリッターが烈火の将、剣の騎士シグナムだ。」
その言葉に続くように他の3人も名乗り始める。
「紅の鉄騎、鉄槌の騎士ヴィータだ。」
そう赤毛の幼女が、
「風の癒し手、湖の騎士シャマルです。」
金髪ボブカットの女性が、
「青き狼、盾の守護獣ザフィーラだ。」
犬耳白髪の男性が名乗る。
「どういうことが起こっているのか聞いておきたいところだが、2度説明するのも面倒だろう。はやてが起きたらその時に説明してくれ。」
「わかった。」
それきり沈黙の空間が広がってしまう。1分、2分と過ぎ去っていく中、どうやらそれに耐えられなくなったのか、シャマルが空気を変えるように声を上げた。
「え、え~と、主と親友なんですよね?この子はどういう子なんですか?」
主がどういう人物かも気になってたのか、そう質問をぶつける。光輝はしばらく考える動作をして、
「そうだな、簡単にだけ言っておくか。名前は八神はやて。明日、いや、もう今日か、に9歳になる。趣味は読書に特技は料理などの家事全般。まぁ簡単にプロフィールを挙げるとこんな感じになる。」
「へぇ~。」
・・・・・・。会話が続かない。それも仕方ないといえるだろう。なんせ光輝とヴォルケンリッターは出会ったばかり、しかも最初はお互いに警戒していた間柄だ。そんな仲で会話を続けられるようなコミュ力は長い間闘争の輪の中にいたヴォルケンリッターはもちろん、この世界において友達がはやて1人しかいない光輝も持ち合わせてはいない。この5人は完全にコミュ障なのだった。
この気まずい空気は、はやてが起きるまで続くことになるのだった。
いまだにヴォルケン登場からシーンが移行していないというね。
難しいです^^;