超能少年テレキスこうき、お楽しみいただけたら嬉しいです。
チュンチュン、チュンチュン、その音を聞いて意識が浮上していく。瞼を2,3回開けたり閉じたりした後、その少年は上半身を起こした。
「ふぁぁ・・・。」
そうやって伸びをしながら欠伸をする少年、名前を宮崎光輝という。「転生した人間のドキュメント番組」を作るために転生させられた『男』だ。容姿ははっきり言って整っている。日本人の美少年代表、と言っても誰もが納得するだろう。もっとも今の歳が8歳、小学3年生なため、かっこいい、というよりは可愛い、と形容したほうが正しいだろう。しかし、成長すれば間違いなくイケメンとなる、そう思わせるには十分すぎるが。
少年は頭をガシガシとかいた後、机の上に置いてある時計を見て、いつも通りの時間に起きれたということを確認するとベッドから立ち上がり。寝巻きのまま自らに当てられた部屋を出た。そして、ダイニングには入った。
「おはよう。」
そう光輝に挨拶をしたのは、光輝の父である宮崎一輝である。とある家電製品メーカーに勤めているサラリーマンである。挨拶や食事時のマナー(といってもそこまで厳しくない、食事を残さない、などといった基本的なことだが)には口を出すものの、基本的な光輝の教育方針は自由にやらせるといった放任主義な父親だ。
「おはよう、光輝~。もうすぐ朝ご飯できるからね~。」
そう台所から話しかけてきたのは、母の宮崎友香だ。専業主婦であり、宮崎家の家事を一手に引き受けている。趣味は家庭で出来る健康法や、節約の仕方などが書かれている本を読むことだ。もっとも、それを実践しているところを光輝は見たことがない。ちなみに結構な教育ママで、光輝にはいい大学をでて一流のメーカーに勤めてほしいと思っている。
ちなみに、ここまで描写しておいてなんだが、この二人はこの話以降に出番があるかどうかはわからないのである!(どーーん!!)
「おはよう。父さん、母さん」
そう返事をする光輝。転生者であるものの、小さいころからこの二人と一緒であるため、二人を父、母と呼ぶことに違和感はない。
それから食事が出来るまでの間に自らの飲み物(ネ○レのコーヒー)を準備する。
「はい、出来たわよ~。光輝、運ぶの手伝ってね~。」
「は~い。」
そうして出来た食事を食卓に並べていく。今日の朝食はトーストにスクランブルエッグ、サラダ(昨日の残り)という、普通~~~~の朝食だ。
「「「いただきます。」」」
そうして手を合わせてから食事を開始する。朝であるため会話数は少ないものの、悪い雰囲気ではない。テレビのニュースでやってる天気予報や占いなどのことを話題にしながら食事は進んでいく。
「「「ご馳走様でした。」」」
そうして食事を終えると、おのおののやることに入っていく。一輝は出勤のための準備。友香は朝食の片付け。そして光輝は学校へ行く準備だ。歯磨きを終え、着替えると準備完了。ランドセルの中身は夕べのうちに準備を終えてるため気楽なものである。
「いってきま~す。」
「はい、いってらしゃい。気を付けて行くのよ~。」
「バス通学なんだから物騒なことは起こらないって・・・。」
「それもそうね~。でも帰りのときとかは違うでしょ?」
「わかったよ。じゃ」
「鍵は掛けていってね~。」
そうして外にでる光輝。言われた通り鍵を掛け、バス停に向かう。その姿は家の中のものとは違っていた。雰囲気が違うとかそういうものではなく。本当に見た目が変わってるのだ。
「聖祥大付属小学校前~、聖祥大付属小学校前~。」
そのアナウンスとともにバスのドアが開き、乗客が降りていく。もっとも、ほとんどが聖祥大学付属小学校(今後は聖祥と書く、ぶっちゃけめんどい)の生徒なため、全ての客が降りるのに時間が掛かってるが。そんな小学生の洪水の中を光輝も歩いていく。はっきり言ってその姿は浮いていた。周りの小学生が友達を見つけ、楽しそうに談笑してるなか、光輝だけが一人で歩いていっているからだ。
光輝に友達がいないのには理由があった。それは光輝の見た目だ。美少年だから孤立している?そうじゃない。別にそういう訳じゃない。ただ単に光輝の髪型が問題なのだ。聡明なる読者諸兄は知っていると思うが、髪形、というのは人に与える印象にかなりの影響がある。顔が並のフツメンでも、髪型をきちんと整えていればかっこよく見えるものだし、逆にイケメンでもボサボサの髪型だと、「うわぁ」と、引かれること請け合いだ。それほど髪型というのは人の第一印象に関係してくる。では光輝の髪型は?と聞かれると、異様だった。後ろは大体肩にかかるくらいまで伸ばしている。というよりは「切るの面倒臭ぇからここまで伸びた」という感じだ。そして何より目を引くのは前髪である。長い、そして左右に分けているわけでもない。完全に顔が隠れていた。唯一見えているのは口だけだ。暗闇で見かけたらお化けだと間違えられそうな髪型だった。
人は自分と違うものを排斥する傾向にある生き物だ。こんな髪型をしている光輝が避けられるのは自明の理だった。もっとも、避けられるだけで、イジメに発展しないあたり、この学校の生徒には教育が行き届いていることが伺えるが。
(はぁ・・・。)
光輝は内心溜息を吐いた。光輝は転生者である。ゆえに小・中学校の時間がどれだけ貴重で得がたいものか知っている。が、それはそれ、これはこれ。小学生に混じることに憂鬱を感じないわけではないのだ。授業が退屈なのはまだいい。そんなのはどこの学校、いつの年頃でもそんなものだからだ。ただ、友達がいない、否、作れないために学校はひどくつまらないものと化していた。やはりどんな年頃でも、たとえ精神年齢が違っていても、友達と遊んだり、馬鹿なことをするのは楽しいものなのだ。
と、一人でぼーっと歩いているうちに、自らの教室に着いていた。どうやら無意識のうちに上履きなどに履き替えていたようだ。習慣、というものは怖いものである。
ガララッ、と扉を開けて中に入る。すると、クラスにいた全員が一瞬こちらをみるが、すぐまた友達との談笑に戻っていった。これが光輝のクラスでの立ち位置を端的に表していた。所謂「いてもいなくてもいい、風景の一部としてしか認識されない、空気のような存在」である。そのことに思うところがないわけでわないものの、今のこの状況の原因は自分にあるので、光輝は黙って自分の席に着くと、ランドセルから本を出して読み始めた。ちなみに、内容はジャ○プの漫画のノベライズ化したものである。この世界にもジ○ンプはあったのだ。
「おはよ~~!」
と、その時クラスに元気な女の子の声が響き渡った。そして、その声にクラスの皆(光輝除く)も挨拶を返していく。それだけでその声の主が慕われていることが伺えた。
その声の主の名前は高町なのは。栗色の髪を頭の左右でまとめている。ツインテール、というにはちょっと足りない長さのあまり見かけない髪形だ。顔立ちは整っている。くりっとした目は彼女が心優しい性格をしていることを一目でわからせてくれる。また唇は綺麗なピンク色をしていて、全体的に小動物のような雰囲気を纏っている可愛い女の子だ。将来は確実に美人になるんだろうなぁ、と光輝は頭の片隅で考えながら、声の主、高町なのはから本に視線を戻した。
と、高町なのはの後ろから新たに二人の女の子が教室に入ってきた。一人は金髪をいわゆるツーテールという髪型にして、碧眼で勝気そうな雰囲気を纏っている。もう一人は紫にもみえなくもないウェーブがかった黒髪に白いカチューシャ、黒曜石のような黒い瞳で深窓のお嬢様といった雰囲気だ。二人ともかなりの美少女である、という点は共通している。
金髪碧眼のほうがアリサ・バニングス、黒髪カチューシャが月村すずかといって、先の高町なのはを合わせて仲良し3人組だ。全員美少女の大変目を引く3人娘である。もっとも光輝にとっては3人ともただのクラスメイト、ぐらいの仲だ。
そうして続々とクラスメイトが集っていくなか、それでも光輝に話かけるものはおらず。光輝も誰かに話しかけることはなく。ずっと本を読んだまま朝のチャイムがなった。
「皆、席に座れ~。朝のHRを始めるぞ。」
そうして担任が入って来て、HRの始まりを告げた。連絡事項は聞き逃さないようにしながらも、ぼーっと話を聞く光輝。いつも通りの学校生活が始まった。
全然進んでないですね、はい。
しばらくこんな感じになるかもです