超能少年テレキスこうき   作:井坂 環世

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平凡ではない俺、宮崎光輝に訪れた突然の事態

渡されたのは危険への切符 手にしたのは友を護る決意

出会いが導く偶然が、今力を放って動き出していく

繋がる思いと、始まる物語

超能少年テレキスこうき、始まります


第5話

「ねぇなのは聞いた?昨日の夜フェレットを預けていた動物病院に車が突っ込んだんだって。」

 

「あのフェレットさん大丈夫かな・・・。」

 

「にゃ、にゃはは・・・。」

 

その会話が聞こえてついそちらに顔を向ける。そのニュースは光輝も見ており、何故か無性に気になったのだ。

 

とそのとき光輝はその会話をしている少女の胸で輝くものを発見する。それは一見すれば赤い宝石のようなビー玉のようなものだった。

 

(確か、はやての夢に出てきた少年が魔法を使うのに使っていたものも赤いビー玉だったな。ただの偶然か?それにフェレットか。喋る小動物ってのはある意味で魔法少女物の王道だが・・・。現実にあるものなのか?)

 

その少女、高町なのはとその親友であるアリサ・バニングスと月村すずかの会話を本を読む振りをしながら聞いていると、かなり不自然であることがわかった。

 

(偶然帰り道の途中でフェレットを拾って、偶然そのフェレットを預けた病院で犯人の捕まっていない車の衝突事件が起こり、偶然その事件が起こる前に高町がフェレットを取りにいったら、偶然病院を抜け出していたフェレットに会っただと?とても偶然とは思えないな。)

 

はっきり言って魔法的な何かがあった、と言われた方が納得出来るくらい「偶然」が重なっていた。しかも、

 

(フェレットを拾ったのは林の中か。ますます怪しい。)

 

はやての夢で少年と怪物が戦っていたのも林の中である。そしてはやてはその怪物を少年が取り逃がしていた、と語っていた。もしも、もしも少年の位置を怪物が見つけたとしたら、自らに攻撃をしてきたものを怪物が見逃すだろうか?それはないと光輝は思う。

 

(恐らく、そのフェレットは夢の少年なのだろう。病院につれていかれるほどの怪我をしていたのも、怪物との戦闘で傷ついたのだとすれば納得だ。)

 

そして、その戦闘の場面がはやてにも伝わっていたことからして、魔法には何らかの通信手段があると思われる、と光輝は推測した。

 

(恐らく怪我の直っていないその少年すなわちフェレットが、通信手段を使って魔法的素質のある人間に救援を求めたのだろうな。そして高町がそれに応じた、と。)

 

そのことに歯噛みをする光輝。高町なのはが魔法的なことに関わっていなかったことは断言できる。そのフェレットとやらは自らの命の危険でしょうがなかったとは言え、一般人の少女を命の危険にさらしたのだ。その現場であった動物病院が車の衝突事故にあったかのような破壊の爪痕を残していたことから、生身の人間がそれに巻き込まれたら命など正に風前の灯火であることは想像に難くない。

 

いや、それだけじゃない。

 

(もしかしたら、あの高町の立場にははやてが立っていたのかもしれない・・・!)

 

そう考えるだけで肝が冷える。高町なのはは運動神経が壊滅的に悪いが、それでも健常者なのだ。足に障害のあるはやてが巻き込まれたらどうなるか・・・。そんなのは決まってる。最悪の結果が導かれるだけだ。

 

(どうやら、今日は高町、ひいてはそのフェレットを調べる必要がありそうだな・・・。)

 

もしもそれで、はやてに危険が及びそうなら手を貸すつもりであった。もっともはやてに危険が及ばず、彼女らにも命の危険が無かったら傍観するつもりではあるが。

 

(ま、高町が死んでも目覚めが悪いし、もしもそんな事態になったら助けてやるか。)

 

あくまで積極的には介入するつもりの無い光輝であるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして放課後になった現在。光輝は高町なのはを尾行していた。尾行すると言っても子供の探偵ごっこみたいに物陰から物陰へ行くというものではない。

 

(やっぱテレキネシスって便利だな。)

 

そう光輝はテレキネシスを使っていたのだ。どういう風に使っているか?それは・・・。

 

(光を捻じ曲げることによるステルスか。とてもじゃないがグラナ並の出力が無かったら無理だな。)

 

そう、光輝は自らの周りに力を使うことで、光を捻じ曲げていたのである。それでも出力全開ではないというのだから恐ろしい。

 

そうして高町なのはの後を尾けていた光輝だったが、そのとき高町なのはがいきなりピクン、とナニカに反応して、どこかを目指して走り出した。

 

(何か起こったか?)

 

そう思い走り出す光輝。鍛錬している光輝にとって運動音痴の高町なのはの速度についていくのは楽勝だった。そうして駆けること数分。たどり着いたのは神社の石段だった。そして高町なのははそこを登ろうとしている。

 

(どうやらこの上でなにか起こってるらしい・・・。高町に合わせる必要も無いし、先に上がっとくか。)

 

そうして上りきった光輝が目にしたもの・・・。それは黒い体躯に4本足。その顔には4つの目といかにも鋭そうな天に向かって反り上がってる牙を持つ狼のような化け物だった。明らかに地球上に生息している生物ではない。

 

その姿に警戒心を高める光輝だが、その視界の隅になにかが入り込んできた。

 

(あれは・・・女性か?気絶してるようだが。)

 

そうそれは先っぽに何も繋いではいないリールを持った気絶してると思われる女性だった。そしてあの狼らしきものはその女性を視界に映しているようだ。

 

これは介入しないとまずいか?そう光輝が思ったとき、ようやく高町なのはが石段を登りきったようだ。

 

「ぜぇっ・・・ぜぇっ・・・。」

 

「原住生物を取り込んでる・・・!」

 

そう言葉を発するのは見た感じ茶色の毛並みを持つフェレットだった。喋る小動物、という光輝の予想は大当たりである。

 

「ど、どうなるの?」

 

「実体があるぶん、手強くなってる。」

 

その言葉に高町なのはは臆するでもなくこう言った。

 

「大丈夫。多分。」

 

しかし、気持ちばかり先走って行動には伴ってないようで、

 

「なのは!レイジングハートの起動を!」

 

そのフェレットの言葉にポカンとする高町なのは。そして、

 

「き、起動ってどうやるんだっけ。」

 

「え゛」

 

その言葉の合間にも、狼らしき生物は高町なのはに標的を変更したようである。

 

「我は使命をから始まる機動パスワード!」

 

「あ、あんな長いの覚えてないよ!」

 

「もっかい言うから繰り返して!」

 

なんだか漫才のようなやりとりを繰り広げる1人と1匹。ずいぶん余裕があるんだな、と光輝は逆に感心してしまう。

 

「ガァァァァァァッッ!!!」

 

そんなやりとりを狼らしきものが見逃すはずもなく、高町なのはに向かって飛び掛った。

 

その瞬間。高町なのはの持ってる赤いビー玉らしきものから桃色の光があふれ出す。

 

「レ、レイジングハート・・・。」

 

「Stand by ready. Set up.」

 

その瞬間高町なのはを桃色の光が包み込み、一瞬後には赤い宝玉をつけた機械的な杖と、聖祥の制服を改造したような服を纏った、まさしくThe・魔法少女といった出で立ちの高町なのはが出現した。

 

(赤いビー玉が喋った?)

 

俄かには、信じられないことだが、光輝の力が、確かにあの赤いビー玉から空気の振動が発せられたと光輝に伝えた。

 

そんなことを光輝が考えてる間にも事態は進み、狼らしきものの突進を高町なのはが発生させた桃色の障壁が遮っていた。そしてしばらく拮抗していたと思ったら、狼らしきものを思いっきり弾き飛ばした。

 

「痛た・・・。っていうほど痛くはないかな。」

 

そんなことをのたまう高町なのは。度胸があるというかなんというか・・・。案外神経は図太いのかも知れない。

 

「えっと。封印っていうのをすればいいんだよね。レイジングハート、お願いね。」

 

「Alright.Seeling mode set up.」

 

その瞬間光の羽のような物を杖の先に生やし、そこから出した光の帯で狼らしきものの体を締め上げた。光輝のいるところからは見えなかったが、狼らしきものの額にはローマ数字が浮かびあがっている。

 

「Stand by ready.」

 

「リリカル マジカル ジュエルシードシリアル16封印!!」

 

「Seeling」

 

「グアァァァァァ・・・!!!」

 

そう呻き声をあげる狼らしきものの体が光輝く。そうしてその体から青い宝石が出てきた。その宝石は高町なのはの持っている杖の赤い宝玉部分に向かって飛んでいく。

 

「Reciept No.16.」

 

そうして赤い宝玉に青い宝石は吸い込まれていった。それで安堵したのか、「ふぅ」と一息を吐く。

 

「これでいいのかな?」

 

「これ以上ないくらいに。」

 

「えへへ。」

 

その言葉に笑みを浮かべる高町なのはどうやら疲労もあまりないようである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間は過ぎて夕方になり、あたりがすっかりオレンジ色に染まった頃、気絶していた女性が目を覚ました。

 

「う、うぅん。あ、あれ・・・頭でも打ったのかしら。」

 

そう自分で結論付け、足元にすりよってきている子犬・・・あの狼らしきものの正体だ・・・を抱えて石段を降りていく女性。どうやら後遺症などはないようだ。

 

「お疲れ様、かな。」

 

「そうだね。」

 

その後姿を眺めながらしゃべる高町なのはとフェレットどうやら無事かどうか起きるまで待っていたようだ。

 

「じゃ、帰ろっか。」

 

「うん。そうだね。」

 

そうして神社を後にする1人と1匹。その姿が見えなくなったところで、神社に唐突に1人の少年が現れた。言うまでもなく光輝である。

 

「なるほど、大体わかってきたな。」

 

光輝は今回の件で分かったことを整理する。

 

1つ。この町に危険物である「青い宝石」があること。

 

1つ。その名前は「ジュエルシード」というらしいこと。

 

1つ。その「ジュエルシード」は少なくとも16個はあること。

 

1つ。その「ジュエルシード」は生物に取り憑いて暴走すること。

 

1つ。高町なのはが魔法少女となってその「ジュエルシード」を回収していること。

 

1つ。どうやらフェレットのほうが主体的回収者であり、高町なのははそれを手伝ってるらしいこと。

 

1つ。やはり高町なのはは魔法は初心者であること。

 

大体以上のことが今回の彼女らの会話及び行動から推測出来ることだ。

 

(確かに危険な代物であるようだが・・・。どうやら高町に任せていても大丈夫そうだな。ま、見つけたら下駄箱にいれるくらいはしといてやるか。)

 

結局手伝わないことに決めた光輝。中々に外道である。

 

(しっかし「リリカル!マジカル!」ね。年取ってから思い出したら黒歴史決定だろうな。)

 

そんなことを思いながら、光輝も神社を後にするのであった。




どうでしょうか?

一応今回は書くに当たって原作第2話を見返しました。

これからも拙作を見続けていただけるように努力していきたいと思います。
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