ここはトラペッタの町。
今ブロントさん達がいる大陸の中で一、二を争う大きさを誇る町だ。
昼前にここについたブロントさん達は、今後の展開について話し合う。
「それでは、僕と姉さんは町の外で待っています。 馬は兎も角として、今の僕は魔物の姿をしているので、いらぬ混乱を巻き起こしてしまうでしょうし」
「うみゅ、理解したんだが? この町は大きいからよおえrと魔理沙の二手に分かれてマスタん・ライラスを探した方がいいのではないかな?」
「そうだなー。 ここに住んでいる奴らじゃあ私らには敵わないだろうし、それがいいんじゃないか?」
「兄さんは兎も角、魔理沙さんは襲われそうですしね。 見た目では強さは測れないのですが」
ブロントさんは睡眠時以外は常時鎧を着込んでいるため、如何にも戦士といった格好をしている。
こんな姿の大男を襲う輩はまずいないだろう。
対して魔理沙は格好こそアレだが、線の細い女の子である。
魔法が使えるという事実に目をつぶれば、襲われること必至だろう。
尤も、魔理沙は格闘もそれなりにできるわけだが。
「ではそのように。 マスター・ライラスを見つけたらリンクシェルで連絡を取ってください」
カイトの言葉でブロントさん達は各自行動する。
ブロントさんは住宅区へ、魔理沙は商店区へ、カイトにクラリスは町の外へと。
「さーて、商店区についたんだぜ!」
トラペッタの商店区には幾つもの店が立ち並んでいる。
武器屋、防具屋、道具屋、宿屋などなど。
そしてここには住人と旅人が多数訪れている。
そんな場所であるからして、マスター・ライラスの情報が容易くとは言わないまでも、手に入りやすいのではないか。 魔理沙はそう考えていた。
魔理沙は聞き込み調査を開始する。
「マスター・ライラス? 確かに有名だが、この町に住んでいるのかい?」
「ライラスさんなんて人、いたかしら?」
「仮に知っていたとしても、ただで教えてやるわけにはいかねえな」
「や ら な い か 」
が、成果は芳しくない。
最後の奴は取り敢えず股間を蹴り上げて、貰うものを貰っておく。
魔理沙本人は自分のことを黒/シと言うが、周りはシ/黒だと思っている。
そこで魔理沙は考える。
マスター・ライラスは有名だ。
それこそかつて違う大陸にいた魔理沙の耳にも届いていたくらいだからだ。
だがこの町の人は知らないと言う。
となると、マスター・ライラスとは通り名のようなものではないかと考える。 所謂世間一般に知られている名前だ。
ここトラペッタに居を構えているはずのマスター・ライラスがここではその名を知られていない。
それはマスター・ライラスが自分のことをそうだとは名乗っていないからではないか。
ならば、と魔理沙は発想を転換させる。
マスター・ライラスで通じないのならば、凄腕の魔法の使い手。 これでいこう。
「なあ、おっちゃん」
「誰がおっちゃんだバーロー! 俺はまだ34だぞ!」
「いや、十分おっちゃんだろ。 この辺にさ、凄腕の魔法使いがいるって聞いたんだけど知らないか?」
「あん? 凄腕の魔法使い? それなら————」
「————え?」
カカッっと場面転換してここは住宅区。
トラペッタの町に住んでいる人たちが居を構えている場所だ。
今はちょっと時間が経ち、住人達は昼餉を外食にしろ内食にしろ食べていることだろう。
そんな中ズカズカと入っていくのは間接的に殺人罪と同じなので謙虚なナイトであるブロントさんはそんなことはしない。
そももも人の家に許可なく入って家の備品を勝手に壊した挙句モノを取っていく奴なんていないのではないかな? まあ一般論でね?
だが「」確かに人は少ないがいないわけではないという意見。
ブロントさんは今から外に食べに行く住人や、戻ってきた住人に聞き込んでいく。
が、やはりと言うべきか。 こちらも成果は芳しくなかった。
まあ大体はブロントさんのあまりにも高尚すぐる言葉を住人達が聞き取れなかったせいだが。
「おいィ……。何も情報なしとかちょとsYれにならんしょ……?」
いくら思考のナイトとはいえ、情報ゼロという成果には焦りを覚える。
このままでは何も情報が得られず裏世界でひっそりと幕を閉じそうなので、何かないかと辺りを見回す。
すると、空に煙が上がっているのが見えた。
料理を作る際の煙なのかもしれないが、それにしては黒い。
ブロントさんはこれは何かあるに違いないと思い、バックステッポで煙の場所までカカッっと駆けつける。
駆けつけた先にあったのは、火事にあったのか、焼け落ちた家だった。
先ほど見た煙は、未だ火が残っている故に発生したものだろう。
そんな家の前に、途方に暮れている————ようにはとても見えない女性がいた。
恐らくこの家の家主であろうはずなのに、自分の家が全焼したのに笑い転げているのは大したものだと言うべきか。
取り敢えず、彼女から話を聞こうと近づくと、ブロントさんはあることに気づく。
————足がない。
そこにあるべきはずの二本の足がない。
代わりにあるのは、まるで絵本に出てくるオバケのような半透明の白い突起。
「おいィィィィィィィィィ⁉︎」
これにはさすがのブロントさんも叫んでしまう。
生まれてこのかた幽霊なんて一度も見たことがないのだ。
どこかの世界では齢6にして幽霊退治をしてこいと言われたりするが、ブロントさんにはそんな経験はない。
そんな叫び声をあげたからか、笑い転げていた女はピタリと止まり、ブロントさんの方を見る。
「おや、なんだい。 そんな素っ頓狂な声を出してさ」
「事前にううれいが出るとわかれば対処もできますがわからない場合手の打ちようが遅れるんですわ? お?」
「ん? 混乱しているのかい? ……ああ、いや、素だねこりゃ」
目の前の女はブロントさんの話し方を聞いて、一瞬混乱しているのかと考えたがすぐに素だと断定する。
「俺の名前はブロントだがよ謙虚だからさん付けでいいぞ」
「へえ、ブロントさんって言うのかい。 で、何か私に用があるのかい?」
「ああ。 この町にマスター・ライラスとよあbれる人物がいる系の話を聞いたんだがどこにもいなくて壮絶な悲しみがブロントを襲った。 もし居場所を知っているなら居場所を【はい、お願いします。】」
「マスター・ライラス? あんた、そりゃあ私のことだよ」
「ほむ、おもえがマスタん・ライラスなのかっておいィィィィィィィィィ⁉︎」
ブロントさん、本日二度目の驚きによる叫び。
探していた人物が目の前にいたとは、この海のリハクの眼をもってしても見抜けなんだ。
だがこれで目的に一歩近づけたとブロントさんは喜びが鬼なる。
急いでリンクシェルを用いて連絡を取ろうとすると、そこに魔理沙が慌てた様子で走ってくる。
「なんだ急に走ってきた≫丸沙
お前何をそんなに泡ててるわけ? そうだマスター・ライラスを見つけたぞこの女が————」
ブロントさんが、ついに見つけたマスター・ライラスを魔理沙に紹介しようとした時に、魔理沙がポツリと
「————魅魔さま?」
そう、もらした。
魅魔……マスター・ライラス役。 原作ではおっ死んでる。
配役に悩んだ一人。 アリスはもっと相応しいのがいたし、ひじりんは魔法使い(物理)だし。
パチュリーは割と良さげだったけど、そうしたら小悪魔がセットじゃないとと思い、そうしたら小悪魔がドルマゲスになるじゃんとなり却下。
うんうん悩んだ結果、旧作の魅魔さまは魔理沙の師匠的なことが言われていたような気がしたので、このキャラに。
結果、魔理沙と忍者は姉弟弟子となった。