バカとちみっこと召喚獣   作:レフェル

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ぷろろーぐ

~side つぐみ~

 

 

それは昔した約束だった。

 

 

「ねえねえ、あきくん!」

 

 

「なーに、つぐちゃん」

 

 

「あたし、おっきくなったらあきくんのおよめさんになりたい!」

 

 

「え、ぼくの?」

 

 

「うん!だめ、かな?」

 

 

「ううん、だめじゃないよ!」

 

 

「よかった~♪あきくん、だいすき♪」

 

 

「ぼくもつぐちゃん、だいすきだよ♪」

 

 

と・・・そこで目覚ましが鳴り響いてはあたしは目を覚ました。

天井を見つつ、夢で見た光景を思い浮かべる。

そしてみるみる頬が赤らむのがわかる。

 

 

「ないない、これはないよ流石に!!///////」

 

 

あまりの恥ずかしさにあたしは布団をかぶり直して身悶えながら呟く。

いくら幼稚園児の頃とはいえ、恥ずかしすぎるよ!!

それから枕を抱えて身悶えていたが、しばらく経って落ち着き、顔を上げる。

 

 

「ま、まぁ、小さい頃の事だし。それにアキ君も覚えていないだろうから時効だよね・・・」

 

 

そう思うと、少しだけ嬉しいような残念のような複雑な感じになってきた。

 

 

「あーもう!考えても仕方ない!それよりも早く支度しないと。」

 

 

あたしは起き上がると、黒髪を櫛で綺麗にしてそれをベット脇に置いた。

鈴付きリボンをつけてポニーテールにして制服に着替えた後、自室を出て洗面所に行って顔を洗い、洗濯物を干してから朝食の準備をする・・・それがいつもの日課だ。

そして洗面所の鏡を見るたびにアタシは無残な現実に打ちひしがれる。

 

 

「・・・いつになったら伸びるんだろ・・・身長・・・・」

 

 

今年で高校2年生なのに身長は小学生レベル・・・あれ、何だか目から汗が・・・

 

 

「こんなこと考えたらダメダメ。さぁ、気合を入れて今日も頑張るぞ!」

 

 

あたしはパシパシッと、軽く顔を叩いた後、笑顔になって玄関に向かう。

まだ眠っている父さんに毛布をかけて、作った朝食をテーブルに並べてラップで包んでおいておく。

 

 

 

「行ってきます。」

 

戸をゆっくりと閉めて朝食を持ってお隣の家に向かう。

それはあたしの幼なじみである吉井明久君――アキ君を起こす為である。

ちなみにアキ君の両親からは家の合鍵を貰っており、何でも“アキ君の面倒を見てもらう為”らしい。

後、なぜかアキ君の生活費の仕送りがこちらに送られてくる。

それは、アキ君に預けるとすぐに使い切るから管理してくれという手紙も含めて届いるからである。

 

 

「まぁ、アキ君に持たせたらすぐに遊びに使いきるだろうしね。全くアキ君は・・・」

 

 

ふうっとため息をつきながら吉井家に入り、まだぐっすり寝ているであろう幼なじみを起こすべく寝室に向かった。

多分・・・いや、絶対寝ているだろうからノックはせずにそのまま扉を開けると・・・やっぱりまだ眠っていたよ。

 

 

「アキ君!起きて、朝だよ!」

 

 

「う~ん。あと十分」

 

 

そう言うと、寝返りをうつ。

 

 

「駄目だってば!早く起きてー!!」

 

 

ゆさゆさと体を揺らして起こそうとするけど、アキ君は全然起きてくれない。

ここまで寝付きがいいのも考えものだよ。

どこかの某駄目駄目中学生と同じくらいに・・・

 

 

「もう!こうなったら、奥の手を使うからね!」

 

 

いまだに起きようとしないアキ君を睨んでそう言い、キッチンに行ってフライパンとお玉を装備する。

そして部屋に戻るとベットの前まで行って、奥の手を発動!

 

 

「秘儀!死者の目覚めぇぇぇぇぇっ!!」

 

 

カンカンカン!!!っと、お玉でフライパンを叩いて思いっきり耳元で鳴らす。

ちなみにこれはゲームでしていたネタを思いついてやった。

えっ、近所の人に迷惑じゃないのかって?これは日常茶飯事というか、他にもしている人がいるらしいから容認されちゃったの。

そしてすぐに叫びながら布団を捲くり、びっくりして幼なじみが起き上がった。

 

 

~side out~

 

 

~side 明久~

 

 

「うわあぁぁ!!!?」

 

 

突如耳元で形容しがたい騒音が流れてきて僕は飛び起きた。

 

 

「やっと起きた?」

 

 

すると、声のした方を振り向くと、そこには笑顔で両手にフライパンとお玉を装備した幼なじみの雨宮つぐみがいた。

 

 

「お、起きたよ。てか、それは止めてって言ったよね!?」

 

 

「はぁ~、それは早く起きないアキくんが悪いんでしょ。」

 

僕はくってかかるように言うが、そんな僕を見てつぐみは呆れながら答えた。

うっ、そう言われると何も返せない・・・

 

 

「はあ、朝食の用意をしてあるから。ちゃんと起きて歯を磨いて顔を洗ってからリビングに来てね。」

 

 

「う、うん。」

 

 

つぐみは僕の返事を聞くと笑顔でキッチンに向かった。

それから言われたとおりに歯を磨いて顔を洗った後にリビングに向かい、2人で朝食を食べる。

ふと、時計を見たら・・・かなり時間がやばかった。

僕達は慌てて朝食を食べると全力疾走で文月学園に向かった。

 

 

「はぁはぁ、もう!遅刻したらアキくんの所為だからねっ!」

 

 

「ごめんってば!」

 

 

2人でこうして走っているのは訳がある。

それはいつまでたっても降りてこない僕を心配してつぐみが部屋に入ると、姉さんのお古のセーラー服を取り出そうとしてる僕を見て、慌てて止めに入ったからなのだ。

その後、慌てて家を飛び出して今に至る。

 

「だ、だいたい何で玲さんのお古が家にあるの!?しかもそれを何で着ようとしてるの!?」

 

「知らないよ!?姉さんが全部持って帰ったと思ってたのに!あと、それは寝ぼけていたからしょうがないでしょ!」

 

 

騒音で起こされた挙句、慌てて朝食を食べての準備してたから冷静さを欠いていても仕方ないだろ。

えっ、全部お前の自業自得だって?何でさっ!?

そんなやりとりをしながらもやっと学園の校門前まで来たけど、つぐみの体力は限界に近かった。

小柄な体での全力疾走はやはりキツイんだろう。

 

 

「つぐみ、大丈夫?」

 

 

「も、もう・・・無理・・・」

 

僕は背を向けてしゃがみ込むとつぐみを見る。

 

「ホラ」

 

「うえっ?!や、やだよ?!高二にもなったのにおんぶなんて!?」

 

そう言うとつぐみは手を勢いよく振って拒否する。

まったく、僕がこうすると頑固なのは分かってるくせに。

 

「つぐみ?なんならお姫様抱っこしてもいいんだよ?」

 

僕がSっけのある笑みで言うとつぐみはすぐさま僕の背に乗る。

これでよしっと!え、なんでああ言うふうに言うのかって?

こういうふうに言わないとつぐみは遠慮するからだよ。

 

「重く……無い?」

 

どこかおそるおそるといった様子で僕に尋ねる。

これで重いという奴がいたらおかしいよね。

 

「全然平気だよ。じゃあ、掴まっててね」

 

「う、うん」

 

僕は笑顔で言うとぎゅっと僕の肩を掴む。

そしてそれを合図に僕は走り出す。

暫くして校門に着くと、人影が見えた。

 

「吉井、雨宮、遅刻だぞ!」

 

 

ドスの訊いた声で校門の前で呼びとめられた。

 

 

「おはようございます。鉄じ……じゃなくて、西村先生。」

 

 

「おはようございます!西村先生♪」

 

 

文月学園が誇る鋼鉄の鬼教師西村先生である。

趣味はトライアスロンで、指導と言う名目で平然と生徒に制裁を下すことから、生徒達の間では鉄人という渾名で呼ばれている。

真冬で半そでというのもその理由の1つ。

 

 

「吉井、今鉄人って言わなかったか?それに変な事を考えていなかったか?」

 

 

「ははっ。気のせいですよ。」

 

 

「ん、そうか?」

 

 

危ない危ない、まったく勘の鋭い鬼教師だ。

 

 

「それにしても、普通に『おはようございます』じゃないだろう。」

 

 

「あ、遅刻してすみません。」

 

 

「あたしも遅刻してすみません。」

 

 

とりあえず遅刻の謝罪をする。

 

 

「よろしい、ほら。受け取れ。」

 

 

そう言って西村先生は僕達に2つの封筒を渡した。

 

 

「雨宮、今回は残念だったな。」

 

 

「いえ、体調管理ができていなかったのがいけないので。」

 

 

つぐみは封筒を受け取りながら言う。

そう、つぐみは振り分け試験の日に体調を崩してしまい出席できなかった。

 

 

「そうか。次は頑張れよ。」

 

 

「はい♪」

 

 

「でも、残念だったよね。つぐみなら、Cクラスには行けたんじゃない?」

 

 

「そんなことないよ。」

 

 

僕も封筒を受け取りながら言うと、鉄人は見つめながら僕に声をかける。

 

「吉井、今だから言うがな。本当はバカなんじゃなくてバカなフリをしているだけじゃないのか?」

 

「さぁ、それはどうでしょうね」

 

鉄人が何か言っているが、僕は封筒を開けるのに忙しいのでてきとうに答える。

中々開かないなこの封筒。

 

「はぁ…雨宮が倒れたときにまっさきに動いて保健室に運んでいったことに関してだが

俺個人としては立派だったと思っているぞ。……が、監督教師を殴る奴があるか!」

 

「仕方ないですよ。つぐみの一番嫌な台詞を聞いたら止められなかったんですから」

 

封筒を開けようとしながら答える。

あぁ、もう面倒くさい!

綺麗に破ることを諦めた僕は上の部分をビリビリと破る。

封筒に入っていた折りたたまれた紙を開き、書かれているクラスを確認する。

つぐみも気になったのか、僕の封筒を覗きこむ。

紙には『吉井明久……Fクラス』と書かれていた。

 

「まぁわかっていた事とはいえ、いざ現実を突きつけられるとね・・・」

 

「……ごめんね。アキくん」

 

僕が紙を見て呟くと申し訳なさそうに謝っていた。

 

「つぐみは悪くないよ」

 

「でも…あたしのせいで」

 

落ち込んでいるつぐみを見て言うけど、まだ沈んでいた。

 

「このまま何もなかったら観察処分者の称号を取り消せたのだがな。

それも教師を殴ったことで帳消しだ」

 

「迷惑かけます、鉄人」

 

呆れたように鉄人が言うので僕は謝る。

 

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