バカとちみっこと召喚獣   作:レフェル

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第一問

バカテスト『科学』

 

問 以下の質問に答えなさい。

『調理の為に火にかける鍋を製作する際、重量が軽いのでマグネシウムを材料に選んだのだが、

調理を始めると問題が発生した。

この時の問題点とマグネシウムの代わりに用いるべき金属合金の例を一つ挙げなさい』

 

 

姫路瑞希の答え

『問題点……マグネシウムは炎にかけると激しく酸素と反応する為危険であるという点。

合金の例……ジュラルミン』

 

教師のコメント

正解です。合金なので『鉄』では駄目という引っ掛け問題なのですが、

姫路さんは引っかかりませんでしたね。

 

土屋康太の答え

『問題点……ガス代を払っていなかったこと』

 

教師のコメント

そこは問題じゃありません。

 

吉井明久の答え

『合金の例……未来合金(←すごく強い)』

 

教師のコメント

すごく強いと言われても。

 

 

 

「うわ~、おっきい教室」

「去年は三階なんてほとんど来たことなかったけど、こんな大きな教室があったんだね」

「これで同じ金額なのか?ありえねーな」

 

つぐみも明久と彰人も開いた口がふさがらない。

標準教室の五倍はあろうかという教室の教壇には、知的な眼鏡の美人教師が立っている。

その後方には、黒板ではなく、巨大なプラズマディスプレイがあり、

『2Aクラス担任 高橋 洋子』と映し出されていた。

 

「学年主任の高橋先生だね。クールで知的なところが素敵だよね~。憧れるなあ」

 

低身長な上に童顔なつぐみは、自身の容姿にコンプレックスを持っており、

クールな知的美人に憧れていた。

塗れ羽色の髪をポニーテールに結った少女と肩までかかる程度のプラチナブロンド髪で前髪は目より少し下ま で伸びているくらい。

ワックスで髪型は整えてある。

一方で明久は、豪華なAクラスの設備に目移りしていた。

 

「うわ、席、広っ!!エアコンにパソコンに、あ!!冷蔵庫まで?!」

「天井なんかガラス張りだし……高級ホテルのロビーみたいだねー」

「さすがにやりすぎだろ、この状態はよ」

 

この派手さを垣間見てつぐみと彰人も苦笑する。

 

「では、はじめにクラス代表を紹介します。霧島さん、前へどうぞ」

「はい」

 

呼ばれて進み出たのは、物静かな雰囲気の少女だ。

絹のような黒髪は肩までのばされており、まるで日本人形のようにも見える。

 

「霧島翔子です。よろしくお願いします」

 

プラズマディスプレイにも、大きく名前が映し出されている。

 

「綺麗な娘だね……わたしなんかとは全然正反対だ」

「つぐみ……?」

「つぐみはそのままでも充分可愛らしいぞ?」

 

心配そうに目をむける明久。

彰人は苦笑しながらもつぐみの頭を撫でている。

つぐみは、羨望の眼差しを向けていたが、不意に明久達を振り返る。

 

「行こ!Fクラスの教室は渡り廊下向こうの旧校舎だよ」

「ちょ、ちょっと……?!」

「おいおい、そんなに急がなくても逃げないだろ」

 

そのまま明久の手を取り、旧校舎へと歩きだした。

その後を彰人が苦笑しながら追いかける。

 

「な、なんというか……」

「Aクラスとは逆の意味で凄いね……」

「設備格差というにはやりすぎだな」

 

ところかわって、Fクラス前。彰人・明久・つぐみは教室を見て呆然と立ちすくんでいた。

 

同じ旧校舎にあるEクラスと比べても、明らかにオカシいレベルでボロい。

 

「設備格差ってレベルじゃないよね……」

 

そうつぶやきながら、つぐみは戸を開いた。

 

「遅いぞっ!ウジ虫やろ……」

 

教壇に立っている野生味あふれる少年がつぐみの方を見て固まった。

 

トサリ。 

 

つぐみが手にした学生カバンが落ちる。

 

「ふぇ……」

 

見る見るうちに涙が溜まり、ポロポロとこぼれ始めた。

 

「すっ、すまん!てっきり明久のバカだと思「この駄雄二があぁぁぁぁっ!!!」うぎゃあああああああっ?!」

 

明久の号令に呼応して、Fクラスの男子生徒の大半が上履きを構えて、彰人が怒りのアイアンクローをかます。

 

「……まだ知り合ってもない奴の号令に、何で即応できるんやろうか」

 

ぽつりと深紅はつぶやいた。

 

「それがFクラスの連中なんじゃないかのう?」

 

どこか少女にも見える少年が呆れながら話しかける。

 

「それでもやりすぎな気がするんだけど?!

りょーも参加しにいかないの!」

 

黒髪のポニーテールの少女が襲いかかる人ごみの中にいる少年に声をかけた。

 

「みんな、彰人に続けー!!」

『おー!!』

「こんな可愛い子を泣かす奴に人権などあるか~っ!!」

「ロリっ娘最高!!」

「合法ロリは人類の至宝!!」 

 

清々しいほどのバカの集まりである。

そしてそれを率いる彼女を見てつぐみは頭をかかえていた。

 

「わかった!!謝るっ!!謝るから構えを解け!それとアイアンクローを解除してくれえエエエ!!」

「明久!」

「OK!彰人!」

 

赤いたてがみの少年の悲鳴がまじりながらも彰人と明久のタッグは抜群なようで。

声をかけられただけで窓の外をあけている明久。

 

「人類初の人間飛行に行ってこいやあぁぁぁっ!!」

「ひぎゃああああああああ!!?」

 

さきほどの野性味あふれる少年は窓から飛ばされた。

 

「あいつらは相変わらずやね。まあ、それがえエんやけどな?」

 

水色のロングヘアーの少女はくすり、と笑みを浮かべていた。

 

「それから……君、悪かった。

さっきのは君の後ろにいるバカに叩きつけようと思った言葉で決して君のことを言った訳じゃない」

 

数分して精悍そうな少年は息をあらげにしながらも戻ってくると一息ついて意外なほど素直に頭を下げた。

 

 

「まったく。雄二も、もうすこしかんがえて声をかけなよ」

 

まだ、口を真一文字に結んでいる、つぐみではなく、明久が答える。

 

「てめえにだけは言われたくねえぞ? 明久。このウジ虫やろう」

 

その言葉をキッカケに二人はメンチを切り始める。

 

「駄雄二が余計なこといわなければこうはならなかったと思うがね?」

「そうそう、元はといえば駄雄二が悪いんやろ」

 

彰人の言葉に同意しているのは神崎深紅だ。

 

「すみません。通してもらえませんか?」

 

と、そこへ明久達の後ろから声がかかる。

そこには、スーツ姿に眼鏡の冴えない男性が立っていた。

 

「席に着いて下さい」

 

どうやら、担任教師が到着したようである。

明久も雄二もつぐみも、そして男子生徒達もひとまず席についていく。

 

「だいじょうぶ? つぐみ。それにしても、すごい教室だよね」

「ぐす。大丈夫だよ、アキくん。……すごいというか、酷い教室だよね」

 

改めてつぐみは教室を見回した。

 

「畳敷きに卓袱台と座布団。畳はカビ臭いし……。あ、クモの巣……」

「これはひどすぎるな……」

 

つぐみがあたりを見回しているうちに、教壇に立った教師が自己紹介を始める。

 

「2年Fクラス担任の……」

 

言いながら黒板に向かうが、すぐに振り返った。

 

「……福原 慎です。どうぞ、よろしく」

「黒板に名前書かないのかな?」

「いや、さっき教壇に立ったときに見たんだが……」

 

つぐみが首を傾げていると、雄二が答える。

 

「チョークのクズしかなかった」

「「うわぁ……」」

 

つぐみも明久も微妙な表情になった。

 

「自己紹介がまだだったな。俺は坂本雄二。そこのバカどもとは、去年からの付き合いだ」

「あ、雨宮つぐみです。アキくんたちとは生まれた直後からの付き合いです」

「? どういうことだ?」

 

意味が分からんという風に雄二が首を傾げる。

 

「あはは、ボクとつぐみは、おなじ日におなじ病院で産まれたみたいなんだ」

「で、よく確かめてみたら、家もお隣同士。

これも何かの縁だろうって、付き合いが始まったんですよ、坂本君」

「ほおー。にしちゃあ去年は顔を見たことがなかったが?」

「あたしは去年Cクラスでしたからね。でも、Dクラスの噂はよく聞いていましたよ?」

 

それを聞いて雄二は苦笑いをする。

 

「ろくな噂じゃなかっただろう?」

「ノーコメントで」

 

そう言ってつぐみも苦笑いをした。

 

「つぐみ、久しぶり~♪」

「うわぁ!?ちょ、響ちゃん!」

 

飛びつかれて慌てるつぐみ。

だが、響は気にしていないようだった。

 

「なんかいつもの光景よね……」

 

呆れながらも近寄る美波。

腕をくんでいるあたり、かなりの呆れなのかもしれない。

 

「なんだ、お前らも知り合いなのか?」

「うん、ボクは中学生のころからだけどね」

 

雄二の疑問に響はにっこりと笑いながら答える。

 

「そんでもっていわゆる幼馴染というやつなのだよ♪」

「ひ、響ちゃん、くるしいっ!」

 

抱きしめながら笑う響につぐみがじたばたと暴れていた。

 

「毎度のことだが、よくやるよな。響も」

「その度につぐみはよく抱きしめられているよね」

 

この光景に彰人と明久は苦笑を浮かべていた。

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