艦隊これくしょん〜放縦者たちのカルメン〜   作:プレリュード

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こんにちは、プレリュードです!
2-5にちょくちょく出撃してるけど大鯨でないよ……

それにしても朝潮改二が可愛すぎる!早く改装したいけどプレリュード鎮守府の朝潮はLv24というね。足りねえ!
でも先制対潜は嬉しいですね。1-5の攻略が捗りそうです。

それでは本編に参りましょう。


イタリア貴族とドイツ軍人

 

〈イタリア州パラッツォホテル前-現地時刻7月26日17:14〉

 

買い物を終えるとちょっとした食糧や飲み物などを携えてホテルに戻った。まだ先は長いのに買いすぎても正直言って邪魔になるだけだ。お土産などは最終日付近に買うのがベストだというのが俺の判断である。

そしてホテル前についてから余計にそう思った。荷物が少なくてよかったと。

 

「すみませんホナミさん。少々お時間よろしいですか?」

 

「……はい。構いませんよ」

 

目の前に立っている高級そうなスーツを身に纏った男に返事をしつつ叢雲に目配せをする。叢雲もわかってくれたらしい。一礼すると残りの3人を連れてホテルに引き上げていく。

 

「立ち話もなんですのでこちらへ」

 

「わかりました」

 

車に乗せられ少し走るとカフェに着きVIP用であろう、裏の席に連れて行かれた。車が公用車の時点で察してはいたがかなりのお偉いさんらしいな。

 

「何か飲まれますか?」

 

やってきたウェイトレスに手渡されたメニューをざっと見て考える。

 

「では……アイスコーヒーで」

 

「では私もそれで。いいかね?」

 

「かしこまりました」

 

すぐにストローのさされたグラスに黒色の液体と氷が入ったものが俺と目の前の男の分だけ運ばれてウェイトレスが下がっていった。

 

「イタリアはどうです?」

 

「日本の夏と比べると湿気があまりないので過ごしやすくて助かります。日本の夏はベタつくんですよ」

 

ストローを咥えてアイスコーヒーを音を立てずに啜る。すっきりとした苦味と芳醇な香りが口に広がり、喉を潤す。

 

「失礼ですがあなたは?」

 

「名乗り遅れました。私はエミリオ・ラバートン。欧州連邦の上院議員を務めさせております。先日は愚息が御迷惑をおかけし、真に申し訳ありません」

 

あれの親父さんか。わざわざ謝罪にくるとはな。たぶん息子の方は来るのを嫌がり仕方なく一人で来たってところか。

 

「いえ、あの程度たいしたことはありません。それに私自身の学生の頃と比べるとあれくらい可愛いものです。ですからどうかお気になさらないでください」

 

俺の開いてた闇市の商品を仕入れるためにセキュリティハックして寮を抜け出したりな。それと比べりゃ教官に噛みつくくらいははるかに可愛らしい。

 

「それを言われて安心しました」

 

「息子さんはいい腕をされてます。あのまま伸びれば立派な司令官になるでしょうね」

 

その言葉を聞くとエミリオ・ラバートンは顔を曇らせた。

 

「何か気に触ることを言いましたか?」

 

「いえ、そうじゃないんです。実は息子は家を継ぐことを嫌がってあの道に進んでいるので親としては複雑なのですよ」

 

ははあ。なるほど。わざわざ俺をここまで連れてきたのはそれか。

 

「別に軍人になることは構わないんです。ただ古くからのラバートン家を私の代で潰すのは忍びないのです」

 

「私に息子さんを説得してほしい、ということですか?」

 

「端的に言えばそうです。息子はあなたに負けて何かしらの興味を持ったはずです。そのあなたの言葉ならなにか変わるかもしれない。お礼ならもちろんします。議員としてではなく一人の父親としてお願いします!」

 

「…! 頭を上げて下さい!」

 

がばっと頭を下げられむしろ俺が慌てた。ダメだな。やるって言わなきゃ梃子でも動かんぞこの人。

 

「どうして家を継ぐことを彼が嫌がっているかわかりますか?」

 

「それがさっぱり……。昔から不自由はさせないようにしてきたのですが……」

 

むう。こりゃ本人に話聞くしかないな。あぁ、もう面倒くせえ。なんでこんなにいろんな案件が舞い込むんだよ。ただでさえ嫌な予感がしてるのに。

 

「そうですか。とりあえずは話だけでも聞いてみます。やれることはやってはみますが保証は致しかねます」

 

「構いません。本当にありがとうございます」

 

話はこれだけだったのだろう。この後は適当な雑談に入り、俺がアイスコーヒーを飲み終わったところを見計らって、また車でホテルまで送ってもらい別れを告げた。

 

明日あたり話を聞いてみるとするか。俺もラバートンを利用したところあるから一言くらい謝罪した方がいいかもしれないしな。

 

 

 

 

 

〈イタリア州欧州海練イタリア校埠頭-現地時刻7月27日13:30〉

 

そして言葉通りに翌日、埠頭にラバートンを呼び出して話を聞いてみようとしたわけだが。

 

「なんだよ、ジャッポネーゼ」

 

「いや、この前の演習について謝っておこうと思ってね。君をダシにしたからさ」

 

「んなことくらいわかってる。それをわかって乗った俺も悪い。で、それだけか?違うんだろ?」

 

それなりに頭も切れるか。この少年、いや少年というには大人すぎるがこの訓練生はなかなか鋭いようだ。

 

「当ててやろうか。親父に言われて家を継ぐように説得してこいって頼まれたんだろ?」

 

俺は心の中で口笛を吹くと同時に舌打ちもした。エミリオ議員め。この反応からすると既に何人かに説得を頼んだことがあるのかよ。

 

「当たりだ。で、そうしてほしいか?」

 

「もう聞き飽きた」

 

「だろうな。だから言わない」

 

コンクリ片をコツンと蹴って海に落とす。

 

「…………いいのかよ?親父になんか言われるじゃないか?」

 

「言われたとしても君の言う通り俺は異国人さ。どうせすぐにいなくなる。それにぶっちゃけるなら君が家を継ごうが継がまいが俺にとっちゃどうでもいい」

 

昔叢雲に言われた通り、俺は詐欺師なのかもな。やるって言っときながら説得する気は皆無だ。

 

「そういう事を言ってきた奴は初めてだ」

 

ラバートンが目を見張る。本当に今まで説得に来た人間はすべて真面目に説得したらしい。ご苦労様なこって。

 

「でもその通りだろ?君が家を継いだところで俺にメリットはなんもない」

 

「確かにな。はっ、ただの嫌味な奴かと思ったが以外と合理的なんだな」

 

「まあな。で、なんでそんなに継ぎたくないんだ?」

 

「……自由になりたいんだ」

 

「自由、か」

 

「そうだ。親父はいっつも忙しくてなかなか顔を出さない。お袋の病死する前も結局仕事で来なかった。そんな不自由な生活を俺はしたくねえ」

 

「軍人なんてのは自由から対極の位置にある仕事だぞ?」

 

「これは一種の反抗だ。別に軍人じゃなくたっていい。ただ親父の敷いたレールを進むのが俺は嫌なんだ」

 

そういう意味の自由か。自分の思うままに生きてみたい。何かに縛られることなくやってみたい。

 

「なら尚のことだ。自分がどうしたいか親父さんとしっかり話すべきだな。その様子だと最後にまともに話したのはいつだ?」

 

「…………いつだったっけな」

 

「だろ?一回正面からぶち当たってみたらどうだ?」

 

「今更何話せってんだよ」

 

「話す相手がいるだけいいだろう」

 

声の調子が哀を帯びた。俺は話したくとも話せる人はいないんだから話せるだけいいじゃないか。そう言いかけた口を急いで噤む。

 

「……考えとく」

 

「おう、そうしてくれや。じゃあな」

 

「一体なんの気まぐれだったんだよ?」

 

背を向けて立ち去ろうとした俺をラバートンの疑問が足を止めさせた。

 

「気まぐれ、ね。あえて言うなら君の能力を見たからだな。演習中、一回たりと艦娘たちを罵ったりしなかったろ?」

 

「当たり前だ。俺の命令通り動いてくれたのに負けたのは俺の責任だからな」

 

「それだよ。自分を客観視できる能力。それは得難いもんだ。君は艦娘の指揮が向いてるかもしれないぜ?」

 

じゃあな、と言うと本当に今度こそ埠頭を立ち去る。

 

お坊ちゃんってのも悩みのタネはあるらしい。父親との衝突と反抗期か。羨ましい限りだ。俺には反抗する相手も衝突する人間もいない。俺から言わせれば幸せな悩みだ。だが彼からするとままならないものなんだろう。

 

歩きながらもう一度コンクリ片を蹴り飛ばす。少しガラでもなかったな。どうやら俺は彼が妬ましいらしい。らしくねえな、くそ。

 

思考を別のものに変えるためにコネクトデバイスを着けるとホロウィンドウを開く。オルター少将から送られてきた文書ファイルを選択すると解凍してから開いた。

 

昨日の毒ワイン事件についての文書だ。犯人は逃走中に毒を飲んで自殺したらしい。司法解剖に回したところ、検出されたのは三酸化二砒素。余りの毒を飲んだのだろう。特に身につけているものから身元を特定できるものは見つからなかったようだ。

 

俺の殺害は反連邦派にとって確かにメリットはあるかもしれない。だがそれ以上にリスクが大きすぎやしないか?殺しまでやれば独立後に、国際社会での立場がいいものになるとはとても思えない。となると明らかに過激派の反欧州連邦組織の仕業だとしか思えないがやり方がいささか暴力的すぎる。

 

考えても無駄か。情報が少なすぎる。この状態で下手に確定的なことを出そうとすればワリを食うのはこっちだ。

 

文書ファイルを閉じるとガシガシと頭を掻き毟る。もどかしいったらありゃしねえ。俺にできる事と言えばせいぜいこうやって常に武装しておいて何かの事態に備えるくらいだ。

上着の下に隠されたホルスターに収められているCz75を撫でる。いざとなったら頼むぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈イタリア州欧州連邦海軍ティレニア海防衛前線基地営倉エリア-現地時刻同日11:57〉

 

カチャン、と扉の鍵が開けられる音がしてビスマルクはようやく営倉から出られる事ができた。

が、安心したのもつかの間だ。目の前にはオルターが立っていたのだから。

 

「何か言うことは?」

 

「………えーっと、勝手やってすいませんでした?」

 

「その通りだ、この馬鹿者!」

 

ごちん!とビスマルクの頭に拳が振り下ろされる。一人で暴走して客人に喧嘩を売ったのだ。一日営倉にぶち込まれて拳骨一発くらいなら安いものだろう。

 

「まったく……ホナミ大佐が融通の利く人でなかったらどうなっていたことやら」

 

「ほんとにラッキーだったわね」

 

「もう一発いくか?」

 

「勘弁してちょうだい、アドミラル」

 

ひらひらと手を振って断る。まだ頭がジンジンするんだから。

 

「で、ビスマルク。やってみてどうだった?」

 

「強いわね。しかもあれ、全然本気じゃないわよ。まだなにか隠し玉があると思う」

 

まだ少し痛む頭に手を当てながらビスマルクが演習を思い出す。駆逐艦ならではの素早さを生かした戦闘は相手をしていて驚嘆に値するものだった。そもそも戦艦と駆逐艦では艦種の時点でこちらにかなりのアドバンテージがあるにも関わらず、ビスマルクは引き分けに持ち込まれたのだ。そしてまだなにか奥の手があるとビスマルクは睨んでいた。ムラクモが最後に背中に手をやったことが何の意味もないとは思えない。

 

「お前にそこまで言わせるか」

 

「ええ。あの部隊は全員の練度が非常に高い。特にムラクモの強さは異常よ。マックスやレーベの2人だったらあっという間に返り討ちにされるんじゃないかしら。2人で同時にかかっても厳しいかもね。プリンツでも難しいと思うわ」

 

「お前にしては珍しく高評価だな、ビスマルク」

 

「そうね。でもそこまでの価値がある。私とあそこまで互角にやりあってまだ余力を残してる時点でかなりのものよ。演習のときも彼女たちは十全の装備ではなかったはずだしね」

 

機密保持の問題で出していない手はかなりあるはず。それはこちらも同じだが、だとしても向こうの底はまだ見えない。

 

「そうか。お前もそう思うか」

 

「も、ってことはアドミラルもかしら?」

 

「ああ。ホナミ大佐とあの演習中に私は雑談をしたんだが話しながら指揮を執るなんて器用なことを平然とやってのけていた。全力なら悠長に私との雑談に興ずるなんてできないだろう」

 

「さすがはウェーク島をたった2艦隊で落とした部隊ってところかしら?」

 

「そうだな。最初はデマかと思ったが事実らしい」

 

「でもそうなるとおかしいわよね?」

 

眉根を揉んでいたオルターが表情を真剣なものに改めて声のトーンを落として話し始める。

 

「そうだ。なぜそんな人材たる司令官を軽々しくヨーロッパに送り込むようなことをした?ここが連邦派と反連邦派で争っていることくらい知らない訳がなかろう。巻き込まれたら最悪の場合、怪我では済まないかもしれない。なのになぜ?」

 

「日本でもなにかが起きる、もしくは既に起こっている。そこから大佐を遠ざけたかった。それなら納得がいくわ」

 

「もしくは彼がいると都合の悪い事情があった。推測にすぎんがそうでなくては合点がいかんからな」

 

もともとホナミ大佐を呼ぶ要請を出したのはこちら側だ。けれど日本がそれに従う義務はない。なにかしらの理由をつけてのらりくらりと避けられるはずだ。

 

「まあ日本の事情は私たちにはわからん。できることと言えば彼を守るくらいだ」

 

「そうね」

 

できることを精一杯やろう。あの日本の使者たちが死んでしまうと不利益を被るのはこちらだ。それに彼女たちは気に入った。そんな人間たちを見殺しにするのはこのビスマルクの名が廃る。

 

「アドミラル、もういいですかあ?」

 

「もういいぞ、プリンツ。あとは好きにしろ」

 

オルターの後ろからゆらりとプリンツが姿を現わす。笑ってはいるものの、かなりのお怒りのご様子で。

 

「アドミラル……これはどういうことかしら?」

 

たらりとビスマルクの頬に汗が垂れる。こういう雰囲気のプリンツはまずい。

 

「プリンツがお前に言いたいことがあるらしくてな。ま、しばらくシフトはないからゆっくりしていても大丈夫だ」

 

「ア、アドミラルーーーー!」

 

無情にもオルターはプリンツとビスマルクを二人きりにして去っていく。ビスマルクの叫び声は届いていない、いや意図的に無視したようだ。

 

「さあ、ビスマルク姉さま。すこぉし一緒にお話しましょうか?」

 

ビスマルクにはピクピクと顔中の筋肉を引きつらせ青筋を立てたプリンツに逆らう術はなかった。

 





プリンツはかわいい(真顔)
そしてあの娘強いんですよ。頼れすぎてやばい。

せっかくヨーロッパを書くんだから海外艦を出せるだけ出してみたいですね。グラーフとかゆーちゃんとか。まあ作者の気分とか技量次第なんですけどね。名前くらいは出したいなあ。

感想、評価などお待ちしております。それでは。
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