狩人様は神喰いに。   作:zakuzaku

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気が付けばお気に入り登録数が100件超えてました。ありがとうございます。

というか、皆さんフランのこと好きなんですね……あの話だけで一気に10件以上もお気に入り増えてたんですが……。


博士姉妹

エレベーターに良い記憶はない。理由は単純、その行き先が決して望ましい場所であったことがほとんどないからだ。聖堂街上層といい、悪夢の辺境といい、誰が好き好んであんな場所に行くだろうか。そんなことを思いながらも現在、俺はエレベーターに乗っている。

 

 

「ラケル博士……か」

 

 

皆口々に言う。あの人がいなかったら今の「ブラッド」は無かったと。現に俺だって命を救ってもらった身だ、感謝はしている。だが……身も蓋もない言い方にはなるが、かなり胡散臭い。何せ今日が初対面、警戒もするのは当然なのだが……。他の皆は元から面識があるようで、すでに顔見知りらしいが俺は今まで一度も会ったことは無い。定期のメディカルチェックで声を何度か聞いているが、どのような容姿をしているのかは知らないのだ。

 

 

「……考えすぎだといいが」

 

 

エレベーターに乗っているという先入観だけで、俺は何を考えているんだ。きっと、最近面倒なことが続いたから思考がネガティブになっているのだろう。そんなことでは任務にも支障来すだろうし、深く勘ぐるのは止めることにした。

 

そもそも、彼女に会いに行く目的としては先日覚醒したという「血の力」について『助言』を貰いに行くためである。さして大したことではないので、そんな気を張る必要もないはずだ。

 

 

「着いたか」

 

 

扉が開かれ、視界が広がる。だが、そこには人影があった。

 

 

「あら……」

 

「む……」

 

 

赤い髪に濃いめの化粧、そしてラフに着込んだ白衣。確か以前、グレム局長と同伴していた――。

 

 

「こんにちは、ここに来るってことはラケルに用かしら?」

 

「うむ、貴女は確か……」

 

 

レア・クラディウスだったか。俺が今から面会しに行くラケル博士の姉であるという話だが……。

 

 

「私の事を知ってるのね。ふふっ、光栄だわ。私もあなたの噂はいろんな所から兼ね兼ね……ね」

 

 

ずいぶんと含む様な言い方するものだ。とはいえ、格好からしてラケル博士と同じ研究者なのだろう。だとすれば俺が発見された時の状況や、我々ブラッドのメディカルチェック結果なども知られていてもおかしくない。こちらと相手の情報量を比べると圧倒的に俺が知らないことの方が多く、詮索し合うには分が悪すぎる。

 

 

「お互い時間も惜しいでしょうし、今は挨拶だけにしましょう。今後機会があったときにゆっくりお願いするわ」

 

「……了解した」

 

 

得も言えない空気のまま立ち去ろうとするレア博士。なんというか、剥き出しではないにしろ僅かばかりの敵意を感じた。理由は分からないが、気にはかけていた方がいいだろう。そう思い、ラケル博士の研究室へと歩みを進めようと、足を踏み出した――。

 

 

「ああ、1ついいかしら」

 

 

一歩踏み出して、静止する。一体何を言うのかと身構えてしまうが、焦らずゆっくりと振り返った。

 

 

「近々、ブラッドに新しい隊員が増えるわ。顔を合わせたときは、よろしくお願いするわね」

 

 

硬い表情であろう俺と引き換え、柔和な表情なまま彼女はそう言い放った。それに対して何か言う前に、エレベーターの扉が閉まり、口を開いたまま俺は立ち尽くすことしかできなかった。

 

 

「新しい隊員か……」

 

 

ギルの時の件もある。良い……とは言い難いものを思い出す。また、他の奴らと一悶着無ければいいんだが。そう思いながらも、俺は頭をぼりぼりと掻きながら再び歩みを進めることにした。そして、一分と経たないうちにラケル博士の研究室前に到着した。

 

 

「失礼、フェンリル極致化技術局ブラッド所属、アドルファス・ジャノグリー到着しました」

 

「――どうぞ、入りなさい」

 

 

透き通った声が扉の奥から響く。自分が吸い込まれそうな感覚さえするその声に従い、扉を開いた。

 

 

「……何?」

 

「久しぶりですね……アドル。いえ、あなたにとっては初めましてと言うべきかしら?」

 

 

――そこに佇むのは、一匹の蝶。観る者全てを引き込んでしまうような黒い蝶がいた。結局嫌な予感は当たってしまった。いや、今はそんなことはどうでもいい。後悔に似た様な感覚が全身を掻ける中、その蝶は俺の目の前まで近づいてきた。

 

 

「あらあら、どうしたのかしら。そんなに堅くなることは無いのよ?」

 

「……」

 

 

目の前の蝶……ラケル博士は俺に微笑みかける。真っ先に目が行くのは彼女の足元だ。

 

 

「失礼を承知で聞くが、貴女の脚というのは……」

 

「昔、怪我をした時から動かないのです。別に珍しい事ではないのですよ」

 

「……そうか」

 

 

答えることに躊躇は見られなかった。彼女は今、俺の前に座っている(・ ・ ・ ・ ・)。歩いて来て座ったのではない、座ったまま移動してきたのだ。

 

 

 

 

 

 

――そう、彼女は『車椅子』に腰かけている。

 

 

「立ち話も疲れるでしょう。そこにお掛けなさい」

 

 

指をさす方向にはソファがあった。それに対して無言で頷いて、俺は静かに腰を下ろした。

 

 

「さて……ついに『血の力』に目覚めましたね。ジュリウスに次いで、あなたが2人目です。おめでとう」

 

 

ゆっくりとした口調で告げられる祝いの言葉に、俺は小さく首を垂れた。この光景……ついつい『彼』と会った時と重ねてしまう。

 

 

「一番聞きたいことは……そうね、あの白いアラガミについてかしら?」

 

「奴を知っているのか」

 

 

以前ターミナルのデータベースを閲覧したときには、あんなアラガミは記載されていなかった。ということは、最近になって発見されたものなのだろうか。

 

 

「貴方が撃退したアラガミ……『マルドゥーク』は暫定的に『感応種』と、呼ばれています」

 

「感応種?」

 

 

聴き慣れない単語に首を傾げる。ラケル博士はそのまま続けた。

 

 

「『感応種』と呼ばれるアラガミは、強い『感応現象』によって他のアラガミを支配しようとすることが分かっています。オラクル細胞を持つ神機も、云わばアラガミの一種……エミールさんの神機が動かなくなったのもそのためです」

 

「……すまないが、『感応現象』とは何かを教えてもらえるだろうか?」

 

 

奴が……マルドゥークが神機を含むアラガミを支配することは分かった。だが、そんなことをやってのけるほどの『感応現象』とは一体何に対して感応するのだろうか。

 

 

「そうですね……。『感応現象』は文字通り、オラクル細胞同士が互いに影響を与え合う現象全般のことを指します。具体的に何が起こるかは様々ですが一つ上げるとするなら、神機使い同士が互いの体に触れたときに、その人物の『感情』や『記憶』が視覚的に、あるいは感覚的に体感できるという事例がいくつかありますね」

 

「ふむ」

 

「そして、言ってしまえば……貴方が覚醒した『血の力』も『感応現象』の一種なのですよ」

 

「なるほど」

 

 

なんとなくだが、話が見えてきた。つまり、俺たちブラッドの『血の力』というのはマルドゥークを始めとする、『感応種』への対抗策というところか。通常の神機使いでは強い『感応現象』により神機が動かなくなるが、俺たちブラッドはそれを凌駕する『感応現象』を以て神機を動かしているというわけだ。

 

 

「分かってもらえて何よりだわ。これで『血の力』については一通り話しました。何か、他に聞きたいことはあるかしら?」

 

「……1つだけある」

 

 

俺は前々から気になっていたことを打ち明けることにした。

 

 

「貴女は以前『血の力』とは別に……『血の意志』について話していた。それについては教えてくれないだろうか」

 

 

俺が神機使い、ゴッドイーターとしてこの地に立った時から気になっていた。彼女は最初、俺がゴッドイーターになったのは俺の中の『血の意志』がそう望んだからだと言った。彼女の言う『血の意志』とは何なのか……俺はそれを知りたい。

 

 

「貴方には素質があった……。『血の意志』が望んだというのは、血の力の適正があったという意味で……あまり深い意味は無いわ」

 

「……そうか」

 

 

俺はこのとき、少しだけ安心していた。もし、彼女の言う『血の意志』が俺の知っているものだったとしたら、今後は少なからず彼女を注視していかなければならない。故に、俺は自分の当てが外れて胸を撫でおろしたのだ。

 

 

「今日は多くの助言をして頂き、感謝する。自分はこれで失礼させてもらう」

 

「そうですか。こちらこそ、貴方とお話しできて嬉しかったわ……あぁ、そういえば、嬉しいことは続くものですね。またブラッドに、新しい家族が増えることになりました」

 

 

彼女は思いついたようにそう言った。そのことはここに来る前、レア博士から聞いている。

 

 

「『感応種』と戦える貴方たちブラッドは、間違いなく人類の希望となるでしょう……その日まで、家族皆で、仲良く……フフッ」

 

「相分かった、失礼する」

 

 

それだけ言い残し、俺は研究室を後にした。そして、廊下に立ち、暫し歩いたところで立ち止まる。

 

 

眷属(家族)か――」

 

 

彼女の言う『家族』とは、俺がアンナリーゼと交わしたものとほとんど変わらないものなのだろう。生まれも、育ちも違う……だが、同じ『血』を分け合った『家族』。それを、あの車椅子の助言者はとても嬉しそうに言った。

 

 

「彼女は……今もどこかで生きているのだろうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『貴公……また、戻りたまえよ。カインハーストの名誉があらんことを――』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……嗚呼、結局は戻らずじまいか」

 

 

考えてみれば、あの方は異端者である俺を受け入れてくれた数少ない人間の一人だった。血の穢れを捧げ、彼女を満足させることに奔走した時期もあった。あの時の俺は、少なからず何か『救い』が欲しかったのだ。暴言を吐かれ、常に何かしらに命を狙われ、安息の地はどこにもない。あの時(・ ・ ・)を境に感情というものを捨てたと思っていたが、荒んだ心は自然と慈愛を求めていたのだ。

 

 

「……」

 

 

――思いに耽り、少し経って俺はゆっくりと歩みを進めた。アンナリーゼ女王を忘れることは無い。ただ、今は新しい『ブラッド』という眷属の中で俺は生きている。ならば、今後はブラッドに忠を尽くしていくことが、俺のすべきことだろう。

 

 

「今日は……皆と食事を摂るか」

 

 

長い廊下で独り呟いて、俺は高層フロア後にした――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フフッ、貴方は特別なのよ……自分でも、分かっているのでしょう?」

 

 

独りでいるには広すぎる部屋に声が響く。その声は嬉しそうに、それでいて嘲笑するように続けた。

 

 

「でも、貴方にはあげられないわ(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)……そう――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――『月』はもう、『私たち』のものなのだから……フフフッ」

 

 

 

 

 

 




先日GE2RBプレイしていて、ミッション終わりの無線中に


フラン「あれー?カルビちゃんまた脱走したのー?……って、あぁっ!!すみません……」


こんな台詞あったんですね。知らないことばかりです
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