狩人様は神喰いに。   作:zakuzaku

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平日は流石にあまり時間取れないですね。
書き始めたばっかりですけど平日の更新はあまり期待しないでください。


未知の食物

「今日も訓練か……」

 

「まあ、新人ですから訓練を受けるのは当然かと」

 

 

そりゃそうだが、こうも毎日していると本当に神狩りするのはいつなのかと不安になる。そんなことを受付の前でフランと話しながらため息を吐いた。

 

 

「確かに訓練は重要だが……結局は実戦をしなければ得られないことの方が多いと思うんだがな」

 

「あら、言いますね。従軍経験でもお持ちで?」

 

「いや、そういった訳ではないんだが……」

 

 

狩人だった頃の話をしたところで、信じる人間は誰もいないだろう。まあ、元々「青ざめた血」を体に入れられて人の身ではなくなった俺だが、さらにオラクル細胞を入れられて人間とは程遠く離れた存在になってしまった。言ってしまえばほとんど人外だろう。だが実際はそうでもないらしい。

ゴッドイーターの適合試験のあの日から数日が過ぎた。明けない夜をずっと彷徨い続けた俺にとって、すぐさま次の日が来ることは少し違和感を感じたが、人間らしい生への喜びを噛みしめるいい機会となった。狩人として生きたことを恥じてはいない。だが、同じ人間としてここ「フライア」では自分を扱ってくれる。それは少しくすぐったいのだが同時に嬉しさも感じているのだ。

 

 

「まあ、何を言おうと拾われた命だ。不服はないさ」

 

「……話をはぐらかされた気もしますが?」

 

「おいおい、勘弁しろよ。俺の過去なんて、聞いても何もおもしろいことはないぞ?」

 

 

おもむろに手をフランに向ける。なんのことはない、ただ頭に手を置き、彼女を撫でた。

 

 

「なっ……ちょっ……」

 

「……って、ああ、すまんな。フランは若いからついついオペレーターだってことを忘れちまう」

 

 

こういった癖は直さなきゃだよなぁ。なんというかフライア見てなんとなく思ったが、年齢層が割と低い。21の俺が言うのもって話だけどな。なんて思いながらも手を頭から放す。どうも年下の扱いは慣れてなくて「あの子」基準になってしまうのは流石に頂けない。というか、フランの顔が赤い。そんなに怒らしただろうか。

 

 

「……次、やったら査問会に突き出しますよ?」

 

「ははは……それこそ勘弁だなぁ。悪い悪い」

 

 

今まで相手してきたのなんて獣か上位者、血生臭い狩人ぐらいで、女性と話す経験なんてアイリーンとアリアンナ、後ガスコイン神父の娘さんぐらい……自分で言ってて悲しくなってきた。

 

 

他にも一応女性候補がいるのだが、悲しくなる一方なのでやめておく。そんなこんなしているとそろそろ任務の時間になり、俺はその場を離れた。今日も今日とて訓練訓練。

 

 

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ 

 

 

 

 

 

 

 

 

「驚いたな……あれがゴッドイーターと呼ばれる所以か」

 

 

訓練を受け終え早々、俺は知ることの重要性について学んだ。俺は訓練において初めて捕食形態(プレデターフォーム)というものを使った。今までは使用武器の「神機」で近接の訓練や、銃撃の訓練などを行った。訓練の過程で神機の変形も学んだが、銃槍や弓剣など愛用してきた俺にとっては割と慣れ親しんだ感触だったのであまり思うこともなかった。だが、今回は別だ。捕食形態、あれはあれで血に酔う感覚とは別のものを感じる。どちらかと言えば……獣性に満ちた感覚に似ているかもしれない。とにかく、体の底から力が溢れてくるのを感じた。

 

 

「アラガミを喰らい、己が力に変える……狩人とは似て非なるものということか」

 

「狩人って何ー?」

 

「うおっ!?」

 

 

階段を下りてすぐの休憩所で俺は独り、物思いに耽っていた。耽りすぎたせいかいつの間に隣にいる女性の存在に気が付かなかった。

 

 

「……君は」

 

「あ、どうもー。ブラッドの新入生ー……じゃなくて新入りのナナっていいますー!えっと、あなたも新人さんですか?」

 

「あ、ああ、そうだが……」

 

 

きちんとした挨拶もしたい、がその前一つ言わせてほしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

――なんつーカッコしてんだ。

 

 

いや、この世界では割と普通なのかもしれない……でも、だとしてもだ。コレを服装として認めていいものだろうか。ぶっちゃけほぼ半裸じゃねぇか。

 

 

「そっかー!よかったー、やっぱり同じ待遇の人がいるっていうのは安心するよねぇ~」

 

 

いや、これからゴッドイーターやっていく上でこんな格好したやつと同期なのかと思うと不安しかないんだが。あれか、痴女か?それとも娼婦の類なのか?いや、この若さから考えるとこれも一つのファッションであると考えるのが妥当なのか……。

 

 

「ん?難しそうな顔してるねぇ~……あ!もしかして、年下に敬語使われないのは気にするタイプです?」

 

「い、いや、別にそういう訳じゃない。堅苦しいのは無しでいい」

 

 

少し挙動不審になりながらも、そう返す。結局のところ女性についてほとんど無知の俺が色々考えても仕方ないという結論に至り、この世界では「普通」ということにした。

 

 

「まあ、考え事も大事だけど、せっかくの休憩なんだからエネルギーを充填させないと~……ほらっ、これ上げるから!」

 

「...What's this(なんだコレは)?」

 

 

彼女、ナナから渡されたのは……なんというか、パンなのはわかる。だがパンの間に挟まっているものが分からない。一本の棒に大根とゆで卵……後は、なんだこれ?灰色の生々しい三角形の物体と、吸盤の付いた何か……そして、真ん中に穴の開いた黄金色の細長いもの……。本当に食い物、なのか?

 

 

「それは、お母さん直伝!ナナ特製のおでんパン!すっごく美味しいよ!」

 

「お、おでん……?」

 

 

そう言った刹那、おでんというらしいその物体の挟まったパンをナナは一瞬で平らげてみせた。それを見て一応本当に食べれるものだと認識する。

 

 

「うん!やっぱ任務前にはこれだね~!ささ、アドルもご賞味あれ!」

 

「う、うむ……」

 

 

今までは、獣の血で作られた丸薬やらよくわからん飲み薬を飲んできたんだ。普通に食えるとわかったものなら何を怖がる必要がある……ええい、ままよ!

 

 

思い切って噛り付いた。その味と言うのは……。

 

 

「……美味い」

 

 

想像以上に美味だった。今までは食わずとも生きられた体だった。というか、今もそうなのだろう。そのせいで食には疎かった俺は久方ぶりに触れる食という行為にかなりの感動を覚えた。

 

 

「でしょ~!まだいっぱいあるから、どんどん食べてよ!」

 

 

そう言われ、安心して更に口へと運ぶ。なんというか、おでんに付着している液体がパンに染み込んでいてそれが更なる食欲をそそる。不安に思っていた灰色の物体や吸盤の付いた物体も形容しがたい独特の味や触感を持っており、口の中で広がる新感覚に舌鼓を打った。そして、既に二つも平らげたことに気付いたのは自分の口を手拭いで拭き終えた後だった。

 

 

「……すまない。美味くてつい手が止まらなかった」

 

「ううん、謝らなくてもいいっていいって~!あんなに美味しそうに食べてくれた人はあなたが初めてだよ!えっとー……」

 

「ん、ああ、自己紹介が遅れたな。俺はアドルファス、アドルでいい」

 

「うん!今後ともよろしくね、アドル!」

 

 

今日知り合った俺の同僚は、にこやかに笑うのだった――。

 

 




GE2のキャラたちがおでんパンにつっこんでもおでん自体に何も突っ込まないのんですよねぇ。(公式コミックより)
2074年にはおでんは世界中に広まっていたのだろうか。謎ですねぇ。
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