狩人様は神喰いに。   作:zakuzaku

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狩人故の過ち

凄まじい眠気を感じる。いや、俺自身の自業自得なんだが。訓練中、あんな事(・ ・ ・ ・)しなければこんなことには……。

 

 

俺、ブラッド訓練生ことアドルファスは自室のベッドで伸びていた。狩人になって以来、睡眠の概念のなかった俺にとって睡魔は軽く状態異常の類いと変わらない。

そもそもなぜこんな状況に陥っているのかと言えば、訓練中にやらかした出来事に起因する。そのやらかしたことによりジュリウスにめちゃくちゃ問いただされ、数時間説明(言い訳)をしていたのだ。その後なんとか誤魔化したというか、有耶無耶にしたというか……ともかく、ジュリウスは諦めてはくれたようだ。

 

 

 

 

 

 

本当にあんな事さえしなければ――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~数時間前~

 

 

 

「――それでは、今回は今までの訓練で行ってきたことを、状況によって判断し、使い分け、出現するダミーアラガミを倒してもらう」

 

 

鋼鉄の壁が取り囲む訓練場で聞きなれた声が響いた。ジュリウスの声だ。

 

 

要はまとめか。目の前のアラガミを効率よく狩り倒せばいいんだろう。まあ、獣狩りの集団戦とあまり変わらんだろう。

 

 

「それでは始める。訓練開始!」

 

 

声と共に訓練用ダミーアラガミが出現する。オウガテイル種とナイトホロウ種のダミーのようだ。ちなみに訓練以外にも座学も受けたので、多少アラガミの種類についても知っている。

 

 

「……ふぅ」

 

 

まあ、いつも通りやるだけだ。俺は無言のままアラガミたちを見据えた。

 

 

「……!」

 

 

後ろのナイトホロウが目から何かを撃ち出した。それはゆっくりと弧を描き、こちらに向かってくる。

 

 

――ナイトホロウは目からオラクルを発射する攻撃の他に攻撃手段が無く、耐久度も低いため討伐は容易。学んだ情報によれば、優先的にあいつを倒してしまったほうがいいのだろう。手前のオウガテイルは……適当にあしらうとするか。

 

 

次々と撃ちだされるオラクルを、軽いステップで回避しつつオウガテイルへ右翼側から肉薄する。自分の距離ではないと思ったのか、オウガテイルは距離をとるようにサイドステップを踏むようにして離れた。

 

 

「だろうと思ったよ」

 

 

ダミーアラガミと言えど、多少は危機感知能力を持っている。避けるだろうと最初から踏んで近づいたまでだ。

 

 

「本命は……」

 

 

すでに邪魔者はいなくなったナイトホロウまでの道を悠遊と駆け抜け、ショートブレードを突き立てる。情報通りその装甲はやはり脆く、容易に刃が通る。4、5回の突きで体を痙攣させ動かなくなった。刹那、背後に違和感――。

 

 

「所詮は獣か……」

 

 

「ガァッ!!?」

 

 

吹き飛ぶ影をゆっくりと確認しながらそう言った。銃形態へと変形させた神機を肩に乗せ、そのままトリガーを引いたのだ。誤算だったのは思いの外銃声が大きかったこと。おかげで耳が痛い。二度とやらん。

 

 

オウガテイルにとって不幸だったのが、ほとんど零距離で受けた銃撃はショットガンによるものだったこと。発射した弾丸全てを体で受け、簡単には動けそうにない。

 

 

「仕上げだ」

 

 

俺は振り向き、とどめを刺すべく倒れるオウガテイルの元へと疾走した。オウガテイルの元へと迎撃されることなくたどり着き、俺は腕を振り上げた―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――ズブゥッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ……!」

 

 

俺、ジュリウス・ヴィスコンティは人生の中でも指折りの驚愕を感じていた。現在、モニタールームで部下であるアドルファス・ジャノグリーの訓練を監視している。そのアドルファス・・・アドルが起こした行動に驚愕と懐疑の感情が一度に起こった。彼がアラガミをダウンさせ、とどめを刺そうと接近し近づいたまではよかった。だが、問題は次の行動だ。とどめを刺そうと突き出したのは神機ではなく―――。

 

 

「素手……だと?」

 

 

そう、突き出されたのは彼自身の腕だった。ゴッドイーターと言えど身体能力には限界がある。そんなことをすればオラクル細胞によって生成された強固な皮膚で自分の腕を痛めるだけだろう。だが、ありえないことにアドルの腕はダミーアラガミの胴体にしっかりと突き刺さっていた。

 

 

「一体どうなんているんだ彼の体は……」

 

 

俺は、訓練場にいるアドルに対してそう投げかけた。だがアドルの更なる行動が、俺の驚愕をより大きなものへと変える事となる――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー……どうしたものか」

 

 

率直に今の感想を述べよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

困った。

 

 

うむ、これ以上に適格の言葉は存在しないだろう。アラガミにとどめを刺そうと思ったのだが、あろうことか癖で「内臓攻撃」しようとしてしまった。流石に、ジュリウスも驚いて唖然としているのか、何も言ってこない。どうするんだ、これ。

 

 

「……まあ、中途半端はいかんな」

 

 

今まで通り、やってきたことをやろう。俺はそう思い、突っ込んだ腕を動かし、オウガテイルの体内をまさぐった。

 

 

「グ……ゲェッ」

 

 

苦痛の声を上げながら、必死に体を動かすオウガテイル。

 

 

「おい、動くな。探しづらいだろ」

 

 

そう言いながら、神機を体に突き刺して動きを止めた。周りから見たら、俺は相当えげつないことをしているのだろう。とはいえ、アラガミの体内構造など知るわけもないので、中々急所になる内臓を見つけることが出来ない。

 

 

「ん~……おっ」

 

 

いままでとは格段に違う感触のものが触れたのを感じた。刹那、俺はそいつを鷲掴み、思いっきり周囲のものを引き千切りながら腕を引き抜いた。

 

 

「そぉい!」

 

 

言わずもがな鮮血が飛び散り、俺の服を赤く染める。普通の人間なら嫌がるものだが、俺は平気だった。寧ろ――。

 

 

「へぇ……アラガミは獣どもよりも景気よく出血するな。こりゃあいい」

 

 

凄まじい血しぶきに若干……いやかなり興奮していた。だが、今は人が見ている。持てる理性を振り絞り血飛沫から目を背けた。本当はもっと見ていたいのだが……。

 

 

「とはいえ……復活する前に早く喰らわねば」

 

 

そう思いつつ、神機を縦にする。そして、柄からオラクル細胞を解放させ、捕食形態へと移行させた。座学で学んだことによればアラガミはコアを摘出しなければ何度でも復活し、そのまま生き続けるらしい。それを防ぐためにも、コアの回収、また破壊は絶対だそうだ。

 

 

何度でも復活と聞くと「隠し街ヤハグル」を思い出す。特殊な鐘を鳴らす女たちにより敵が何度でも蘇るのは鬱陶しい限りだった。

 

 

などと思いながら、捕食形態で動かなくなったオウガテイルを咀嚼し続ける……が、なぜか神機がコアを摘出しない。通常なら数秒、長くても10秒程度で完了するはずだが、神機は咀嚼を続けるばかりだ。「訓練用ダミーアラガミだからコアがないのか」とも考え始めた。そのとき――。

 

 

「ん?あれは……」

 

 

とあるものが目に入った。それは、内臓攻撃時に引き抜いた「モノ」。引き抜いた直後、確認せずその辺に放ったのを憶えている。

 

 

それを見つめて数秒後、俺は事のすべてを悟った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Oh...You were in my side all along...(ずっとそばにあったのかよ……)

 

 

 




本当はロミオ出したかったんですけど、思いがけず二分割。
次回にご期待ください。

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