グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第96話 忠告

その日の夜

 

路地裏

 

「・・・そうか、神宮寺樹は

 死亡したか。」

 

義人はロウと通話していた。

 

『さぁて、それはどうだろうな。』

 

「? 何かあんのか?」

 

『あいつの死んだ場所だよ。腕1本しかねえ割には

 血が全然飛び散ってなかった。』

 

「・・・そりゃまた怪しいな。

 ・・・! ロウ、いったん切るぞ。」

 

『どうした?』

 

「ようやく姿を見せた。んじゃあな。」

 

『あ、おい・・・』

 

強制的に通話を切った。

 

「さて・・・。」

 

タバコに火をつける。

 

「そのツラ、拝ませてもらおうじゃ・・・ !?」

 

後ろの人の気配に気づいた。

 

「誰だ!!」

 

銃を取り出し、構える。

その瞬間

 

パァン!!

 

「・・・・な・・・・が・・・・。」

 

銃声の後、銃を地面に落とし

義人が倒れる。

 

倒れた義人に誰かが近づく。

 

「く・・・・そ・・・・。」

 

義人の意識はそこで途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

学園 校門前

 

「おっさんの奴、あの後

 全然出ねえな・・・。」

 

まあ、あれならどうにかすんだろ。

 

そう思いながら、ロウは

校舎に入ろうとする。

 

「ロウ君、ちょっといいかしら?」

 

後ろから声をかけられる。

 

「ん、宍戸か。どうした?」

 

「今日は、あなたにお願いがあって

 来たの。」

 

「クエストか。」

 

「そうよ。裏世界でゲネシスタワーの地下に

 行ったでしょう? その地下は風飛の地下に

 繋がっている。」

 

「それの調査ってわけか。」

 

「ええ。それに地下は人が少なく、定期的に

 魔物の掃除に行く必要がある。」

 

・・・気晴らし程度くらいにはなるか。

 

「わかった、行こう。」

 

「それじゃあ、私の準備は終わってる。

 用意ができたら行って。」

 

「んじゃあ、少し待っててくれ。」

 

そう言って、ロウはクエストの

準備に向かった。

 

 

 

 

<ロウ、結希、移動中>

 

 

 

 

地下鉄工事現場

 

「・・・忙しいところごめんなさいね。」

 

「気にするな。それに、忙しいのは

 お前の方だろ。」

 

「え? ・・・ええ、私も忙しいけれど・・・。」

 

「まっ、お互いさまってとこか。」

 

少し溜息をつく。

 

「今回のクエストはあなたの研究を進めるものでもある。

 だから、簡単にデータを取らせてもらうわ。」

 

「ああ、了解した。・・・ん?」

 

ある光景に目を細める。

 

「? どうかしたの?」

 

「あれ見ろ。」

 

「・・・! あれは・・・!」

 

ロウが指さした先では

霧が集まってる光景が見えた。

 

「・・・この前払ったばかりなのに・・・。

 戦闘はないと思っていたけれど、思い違いだったわ。」

 

「だろうな。・・・前から魔物も

 来てるしな。」

 

「!」

 

2人の前にエイリアンのような姿を

した魔物が3体ほど現れる。

 

「『ROOM』!」

 

いつも通り、ロウは青いドームを張る。

 

「『切断(アンビュテート)』!」

 

魔物が弱いためか、

斬られた瞬間、霧散した。

 

「・・・やっぱり弱いな。」

 

「霧が払われたらしばらくその一帯は安全に

 なる・・・という説があるけれど、

 どうやら、崩れてるみたいね。」

 

ため息をつく。

 

「ひととおり回って、状況を確認しましょう。」

 

「ああ、わかった。」

 

 

 

<ロウ、結希、移動中>

 

 

 

「・・・みんなのこと、私から

 お礼を言っておくわ。」

 

「? 何の話だ。」

 

軽く首をかしげる。

 

「私が要観察対象としている生徒はかなりの数

 いるけれど・・・あなたのおかげでみんな安定しているわ。」

 

「・・・そうか。とはいえ、

 買いかぶりすぎだ。俺は別に何もしていない。」

 

「いいえ。私は心の機敏に疎い。だから、

 人を立ち直らせたりするのが難しい。魔法使いとして

 何か問題がある人たちは心に苦しみを抱えている。」

 

「そういうもんか。」

 

「ええ。私にしてあげられることには限界がある。

 あなたに負担をかけて申し訳ないと思ってる。

 それに・・・もう1人の心のことも知ってるのでしょう?」

 

「! ・・・ああ。」

 

気づかれないようにしてたけどな・・・。

 

「・・・とにかく、あなたが貴重な

 人材なのは、体質だけの話ではないの。」

 

「・・・貴重な・・・人材・・・。」

 

「裏世界に存在しないあなたが『ここにいる』

 のも、何かの理由がある。私はそこに

 何かカギがあると思ってるわ。」

 

「・・・・ふふ。」

 

「?」

 

突然笑い出す。

 

「やっぱり買いかぶりすぎだ。裏に俺が

 いなかったのも単なる偶然だろう。」

 

「・・・ロウ君。あなたがどう思おうと

 あなたは無意識に誰かを助けている。

 ・・・だから・・・少なくとも・・・・。」

 

「?」

 

言葉の歯切れが悪くなる。

 

「・・・少なくとも私にとっては、あなたは

 希望なの。」

 

「・・・希望だと?」

 

「裏世界のことがどんどんわかってきている。

 北海道進攻の話も間近になったわ。」

 

「・・・ああ、話は聞いてる。」

 

「・・・だから、伝えておこうと思って。」

 

「?」

 

結希はロウの目をじっと見る。

 

「消えてしまわないでね。学園にいてちょうだい。」

 

「!」

 

「あなたがいなくなったら、きっと

 学園はダメになる。」

 

「・・・そうか。」

 

その言葉を聞いて、ロウは

穏やかな笑みを浮かべる。

 

「安心しろ。俺はまだまだ簡単に

 死ぬわけにはいかねえからな。」

 

「・・・それなら、よかったわ。

 ただ、なぜだかあなたが消えてしまうような

 気がして・・・。」

 

「・・・・・。」

 

まったく、西原といい・・・・・。

 

「・・・! おい、あれ。」

 

「! 霧が集まっている。」

 

「早めに払うか。『ROOM』!

 『タクト』!」

 

青色のドームを張り、

霧を動けなくさせる。

 

「今だ!」

 

「ええ。」

 

結希の周りの黒い球体が

レーザーで霧を攻撃し、霧を払った。

 

「今ので一通り回ったか?」

 

「ええ、ついでとはいえ霧も払ったわね。

 今日を開始地点として、また現れだすまでの

 時間を計測しましょう。」

 

「そうか。にしても、もうすぐ

 北海道進攻が始まるとはな。」

 

「ええ。勝算のある戦いよ。あなたも大変

 だろうけど・・・。」

 

心配そうな目でロウを見る。

 

「・・・死なないでね。もう聞き飽きたと

 思うけど・・・。」

 

「全くだな。・・・まあ、俺も気づいてない

 わけじゃない。」

 

「?」

 

「JGJに発射されたミサイル、確実に

 来ているはずの俺も対象になってたんだろう?」

 

「!!」

 

今度は驚いた表情になる。

 

「・・・そうよ。どうやら、あなたの情報が

 ある程度漏えいしている・・・。気を付けて。

 北海道で狙ってくるかもしれない。」

 

「ああ、気を付けるよ。」

 

さぁて、どうなるやら・・・。

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