グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
ロウたちは花梨の作ったドームに
何とか入り、ましろはそのドームを凍らせる。
「里中さんのドームを氷で
強化しました。どうにか耐えられたようですね。」
「相馬、外になにかいるか?」
「まもの。まもの、そと、まもの!」
「・・・ビルが倒れたのは偶然か?」
「いや、俺たちが来た瞬間に壊れるのが
偶然にしてもおかしすぎる。」
「レナ、みるした! まもの、どかん!
どかんするした!」
両手で大きく表現する。
「自然に壊れた可能性と、魔物の『罠』である
可能性・・・どちらが現実的だと思います?」
「・・・・・。」
「マシロ、マシロ。」
「なんでしょう。明鈴さん。」
「もし魔物がボクたちを罠にはめたなら
えっと・・・ちせい? 頭のいい魔物が
近くにいるってことなのだ。」
「・・・ええ、そうですね。」
明鈴の言葉に少し動揺する。
「花梨が会長たち呼んでるから、このままでもいい?」
「このドーム、とても固いネ。援軍到着までの
数分くらいなら強化魔法をかけることで十分ヨ。」
「それに俺の能力で周りにトゲ状にした瓦礫を
くっつけた。・・・が・・・。」
息を切らせながら、地面に座り込む。
「!?」
「今までよりROOMを広範囲に張ったからな。
かなり体力使っちまった。」
「そう、だったんですか・・・。」
「・・・だが、お前の目的は会長たちが
倒す可能性があるだろう。」
「・・・・・その訊き方は、ずるいですね。」
戸惑い、目を伏せる。
「じゃあ、行かなくていいアル?」
「・・・わたくしに倒せるでしょうか。知性が
あるなら、強敵でしょう。それに周りに魔物が
いると、レナさんも言っています。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「・・・ったく、仕方ねえな。
雪白、覚悟を決めろ。」
「ロウさん・・・。」
「さっき俺が言ったのは、愚痴じゃねえぞ。
それでもお前に付き合うっつってんだよ。」
徐々にロウの目が鋭くなる。
「・・・・。」
「レナ、もうひと頑張りだすけ。ましろの
ためにやってけろじゃ。」
「まもの、ころす。レナ、まもの、ころす!」
「よし、んだば、魔法解除するすけ。ましろと
ロウを中心に。」
「・・・申し訳ありません。我儘を
押し通した形になって・・・。」
「里帰りしたんだすけ、少しくらい言ったって、
バチはあたんねぇべ。」
「・・・ありがとうございます。では我儘
ついでに、解除したらまず、ロウさんの魔力を
いただいてもいいですか?」
「・・・?」
「わたくしの意地です。辺りの魔物・・・
すべて凍らせてみせましょう。」
口端をにやりと上げる。
「・・・面白い。」
ロウも同じような顔になる。
「準備できてるな?」
「ええ。」
「ああ。」
「よっしゃ! 解除するど!」
土のドームがどんどん崩れていく。
「・・・では。」
「わかってる。」
目を閉じ、ましろに魔力を渡す。
「・・・はぁ!!!」
広範囲に冷気が放たれ、
まわりの魔物が一気に凍り付く。
「おお! 凍ってるアル!」
「ふぅ・・・うまくいったようですね。
ですが・・・。」
「相馬、魔物はまだいるか?」
「あっち! あっち! まもの、たくさん、
あっち!」
「あっち・・・?」
「ましろ、まだ安心できねえべ。」
「そのようですね。」
多少疲れた様子で答える。
「虎千代たちが来るまで、まだもう少しかかる。
それまでにその知恵つけた魔物・・・・」
ぐらぐらと地面が揺れる。
「・・・?」
「まもの! おっき、まもの!」
「・・・まじか・・・・。」
思わず声が漏れる。
その魔物の大きさは時計台の高さを
明らかに超えていた。
「あれが・・・北海道の魔物・・・。」
「アイヤー・・・。」
「あ、あんな大きさの魔物、資料でしか
見たことないヨ。」
「タイコンデロガ以上ムサシ以下って
ところか・・・。」
「・・・うわ!」
明鈴が魔物の足元を指さす。
「足元からちっこいのがたくさん
出てきたのだ! と、とりあえず、
ボクがやっつけてくるアル!」
魔物の大群に向かって走り出す。
「・・・これは、わたくしの役目です。家族の・・・
街の・・・北海道の人たちを奪った魔物を
許しません。」
「・・・雪白・・・。」
「彼らを融かし尽くし、この北海道に10年ぶりの
春を迎え入れましょう。」
「んだば、よし、ちっちぇえのはおらたちに
任せとけ・・・って言いてえけどな。さすがにあんた
1人じゃ勝てねえのはわかるっきゃ?」
「ええ・・・わたくしにはホワイトプラズマや
鯨沈の真似事はできません。ですが・・・・・
倒しますよ。」
目の前の魔物をにらみつける。
「だが、今のままだと戦いづらい。ちょっと
誘導して場所を変えるぞ。」
「・・・ありがとうございます。」
「気にすることじゃねえすけ。思う存分、
やってこい。」
「・・・さて、そっちは頼む。俺も
小さいのを倒してくる。」
ロウは戦闘していた明鈴、小蓮、レナと
合流する。
「『ラジオナイフ』!」
十数体の魔物を一気に切る。
「ふぅ・・・倒しても倒しても出てくるアル・・・。」
「そうらしいな・・・。」
「・・・仕方ないネ。」
そう言って、小蓮はデバイスを
取り出した。
「明鈴、ロウ! ちょっとの間、がんばるヨ!」
「ああ、了解。」
「ええ!? わ、わかったアル・・・。」
2人は再び、魔物を倒し始める。
「ポチポチ・・・もしもし! 万姫か?
3分したら、今からいうとこにドカンとやるネ!
・・・そうヨ。友達のためヨ。では、
43.066848、141.351383ネ!」
数字を伝えて、通話を切る。
「ロウ! アナタ、ワタシに魔力を
よこすネ!」
「何する気だ?」
「フフフ・・・会長ほどではないが
ワタシだってやればできるネ!」
「会長ほど・・・・ホワイトプラズマか!」
「万姫の力借りるだけが能じゃないヨ!」
「・・・それしかねえな。李、行くぞ!」
目を閉じ、今度は李に魔力を渡す。
「行くネ!!」
白く細い無数の雷が
魔物の大群に降り注いだ。
「アイタタ・・・これは・・・
きついネ・・・・。」
「大丈夫か!? 雑魚はなんとかなってるど!
よくやったべ!」
「うーん・・・もうダメ・・・。」
地面にばたんと倒れる。
「けど、あのデカいのまで届いてないすけ・・・
小蓮の精一杯か・・・。ましろ!
もう1度バリアを作るべ!」
「・・・・。」
ましろは躊躇した。
「目の前でバリアを張れば、魔物に
踏みつぶされるかも・・・。」
「『タクト』!」
再び瓦礫を浮かばせる。
「・・・・・・明鈴さん、
レナさん。こちらに。」
2人を手招きする。
「さあ、氷のかまくらを作りますよ。」
ましろの周りの雪が
どんどん隆起する。
「3・・・2・・・1・・・
くるど!」
魔物の巨大な足が
ロウたちに迫った。