グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
その頃
「くそ、どうなってるんだ・・・!!」
爆発音を聞き、虎千代たちは
ロウたちのもとに行こうとしたが
巨大な犬の魔物が行く手を遮っていた。
「まずいのぅ・・・このままでは・・・。
やはりロウを行かせたのは痛いぞ、虎千代。」
アイラがにらむ。
「く・・・! だが行くしかない・・・!
行くぞ!!」
「・・・・。」
「・・・・。」
先ほどの戦闘から
ロウとユウは黙ってにらみ合っていた。
「・・・ねえ。」
「どうした、夏海。」
「多分なんだけど・・・まさか、ロウ、
あの人殺そうとしてるんじゃ・・・。」
「・・・え・・・。」
智花は言葉が出なかった。
「・・・・・。」
ロウはある出来事を思い出していた。
結希とのクエストの次の日
「まったく、宍戸の奴・・・。」
ロウは部屋のベッドの上で
くつろいでいた。
「俺が死ぬ、ねえ・・・。」
そうつぶやいた後、起き上がり
パソコンを開く。
「・・・おっさんのこのメール・・・。」
メールの受信ボックスを開くと
義人からのメールが表示された。
『近々、天羽に大きな動きがあるらしい。
気を抜くな。』
「・・・それが、俺を殺すことか?」
そう言って、そのメールのデータを
デバイスに移した。
「もしそうなら・・・。」
ゆっくり目を閉じ、そして開く。
「俺は・・・・・。」
そこから先は何も言わずに、
にやりと笑った。
「ちぃ!!」
その出来事を思い出し、ロウは
再びユウと殴り合った。
「!!」
ユウは躱し、ロウの腕をつかみ
地面に倒す。
「まだだ!」
倒れた状態から
ユウに足払いをする。
「くぅ!?」
油断していたユウは
転ばされる。
「だったら・・・!」
足に仕込んでいたサバイバルナイフを
取り出す。
「なっ!?」
ナイフの刃がロウの
顔をかすめた。
「くそ・・・・!!」
頬から出た血を拭う。
「てめえ・・・!」
ユウの手からサバイバルナイフを
はじき、地面に落とさせる。
落としたナイフをロウは拾い、
ユウに突き刺そうとした。
「!! ロウさん!!」
「!」
智花はロウを大きな声で呼び止めた。
それでロウは動きを止めた。
「ふっ!」
それを見たユウはロウの手を蹴り
ナイフを落とさせる。
「! しま・・・!」
「ふん!!」
ユウに思いきり殴られ、
建物に吹き飛ばされる。
「はぁ・・・はぁ・・・。」
息を切らせ、血の混じった
痰を吐き、地面のナイフを拾う。
「さぁて・・・次はあなたたちね。」
そう言って、ユウは3人を見た。
「「「!?」」」
「そりゃあそうでしょう。今から
ロウ兄殺すんだから見てたあなたたちも
殺すにきまってるじゃない。」
「く・・・!」
怜は刀に手をかける。
「へぇ・・・やる気満々・・・で、
いいよねぇ!!」
巨大なプレッシャーが
ユウから放たれる。
「・・・!?」
怜は数歩後退りする。
「じゃ・・・行こうか!!」
「『ROOM』!!」
巨大な青色のドームが張られる。
細かい瓦礫が一斉にユウを襲う。
「!!」
見切ったユウは瓦礫を
全てかわす。
「はあ・・・はあ・・・。」
吹き飛ばされたロウは
ぼろぼろになりながらもなんとか
立ち上がった。
「・・・驚いたよ。もう体力なんて
ほとんどないって思ってのに。」
「甘く見すぎなんだよ。」
ロウは血の混じった痰を吐いた。
「『タクト』!!」
がれきを浮かべ、
再びユウを襲わせる。
「またそれ?」
ユウはそれをすべてかわす。
「まだだ!!」
今度は雪を浮かべ、
ユウの周りに漂わせる。
「・・・なんの真似?」
「直にわかる。」
さらに雪を浮かべる。
「・・・! なるほど・・・。」
ユウの視界からはロウが見えなくなった。
「目くらましってわけ?
ずいぶん単純だね。」
手に持ったナイフを
クルクルと回す。
「『
大量の雪の中から突如
ロウの刀が回転しながらユウに向かってくる。
「!?」
ナイフで何とか弾く。
・・・かかったな。
ロウは指をクイっと上げる。
「な!?」
ユウの足元の雪が
ユウの足をつかんだ。
「く・・・!?」
振り払って解こうとするが
雪は離さない。
「うあ!!」
雪がユウを投げ飛ばす。
飛ばした先にはロウが構えていた。
「なめ・・・んな!!」
ロウにナイフを突き刺そうとする。
「・・・お前がな。」
そう言って、ロウはユウの
ナイフの刃をつかんだ。
「!?」
「くらえ。」
足をあげ、ユウを蹴り飛ばした。
「ぐぅ!?」
思い切りくらったユウは
近くの建物に激突した。
「はぁ・・・はぁ・・・・。」
ナイフの刃をつかんだ手を押さえ
膝をついた。
ロウの手から血が流れ落ちる。
「く!!」
くそ、だいぶやっちまったな・・・。
そう思った矢先、ロウが
張ったドームがどんどん縮んでいく。
「くそ・・・もう限界、か・・・。」
ふらつきながら立ち上がる。
「・・・・・!」
地面に黒い物体を見つける。
「! これは・・・・・。」
見つけたのは黒い拳銃。
ロウとの戦闘で使っていたものだった。
「・・・・・。」
黙ってロウはそれを手に取った。
「・・・これで。」
慣れた手つきで銃の弾を確認する。
当然、1発も撃たれていないため
全て装填されていた。
「・・・・・。」
少しずつ、ユウが吹き飛んだ
場所まで近づいていく。
「お、おい、ロウ!」
怜はロウを呼び止めるが
聞こえていないのかそのまま歩く。
「ちょ、ちょっと、このままじゃあ・・・!」
「ロウさん! 待ってください!!」
「・・・・・・。」
一瞬立ち止まったが、
再び歩き出す。
「・・・・。」
ユウの近くまで来たロウは
銃口を向ける。
「ユウ・・・・。」
名前を呼ぶが、返事はない。
「恨むんなら、天羽を恨むんだな。」
ゆっくりと指先を
引き金にかける。
「ああ・・・!!」
夏海が頭を抱える。
「・・・・・じゃあな。」
にやりと笑い、銃を撃とうとする。
「・・・だめです!! ロウさん!!」
「・・・・・!」
智花の叫びでまた一瞬、
ロウの動きが止まった。
その時だった。
パァン!!
「「「!!?」」」
一発の銃声が鳴り響いた。