グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第102話 最後の血

その頃 

 

学園

 

「よし! 今日も1日頑張るぜぇ!

 学園は俺に任せとけ!」

 

兎ノ助は鼻息を荒くし、

張り切っていた。

 

「・・・ダーリン・・・。」

 

とぼとぼと香ノ葉が歩いてくる。

 

「おう、香ノ葉! あいかわらず・・・

 じゃ、ないな?」

 

「・・・うん・・・。」

 

目の下には隈ができていた。

 

「お前、最近朝早くどこ行ってんだ?」

 

「山の上の神社にダーリンの無事を

 祈りになぁ・・・。」

 

「なるほど・・・え。毎朝山の上まで!?」

 

驚いて飛びのく。

 

「待ってるだけはどうしても辛いんよ・・・。」

 

「お前が体壊すなよな。やるな、とは

 言わないけど気を付けろよ。」

 

「無理もするえ。もしもダーリンの身に

 なにかあったら・・・。」

 

どんどん泣きそうな顔になる。

 

「羨ましい奴め・・・。でも大丈夫だって!

 みんなも一緒なんだしさ!」

 

「・・・兎ノ助ぇ・・・。」

 

「とにかく、信じて待とうぜ!

 なっ?」

 

「・・・そうやよね・・・。

 ・・・ダーリン・・・。」

 

香ノ葉は空を見上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場面は戻り北海道

 

パァン!

 

「「「!!?」」」

 

一発の銃声が鳴り響いた。

 

「・・・が・・・あ・・・。」

 

うめき声をあげながら、

ロウは崩れ落ちた。

 

「ぐぅ・・・!?」

 

痛みに耐えきれず、うずくまり、

地面に倒れる。

 

パァン! パァン!

 

「ぐ、があああ!!」

 

2発目で銃を持っていた手を、

3発目ではロウに当たる。

 

「あ~もう、完全に油断しちゃった。」

 

ユウが服をはたきながら出てくる。

右手には小さい銃が握られていた。

 

「でも残念だったね、ロウ兄。

 私がまだ銃を持ってないと思ってた?」

 

「ぐ・・・ああ・・・!」

 

「最後の最後でロウ兄も油断しちゃったね♪」

 

小型の金色の銃を片手ににこりと笑う。

しかし、目は笑っていない。

 

「ふん!!」

 

「ぐあ!!」

 

ロウの体を蹴る。

 

「があ・・・!! ぐああ・・・!!」

 

「・・・ここまでてこずらされたのは

 ロウ兄が初めてだよ。」

 

何度も何度もロウの顔や

体を蹴り続ける。

 

「よっと・・・!」

 

ロウの首をつかみ、持ち上げる。

 

「く・・・!」

 

「ねえ、ロウ兄。1つすごい提案してあげよっか?」

 

「・・・・。」

 

「私が先生に頼み込んで、ロウ兄を

 助けてあげてもいいよ。」

 

「・・・!!」

 

一瞬、ロウの目が大きく開いた。

 

「さぁ、どうする? ロウ兄。」

 

「・・・はっ、んなもん、こっちから

 願い下げだばーか。」

 

「・・・へぇ・・・あ・・・っそ!!」

 

ロウを建物の壁にたたきつけた。

 

「ぐあああ!!」

 

背中に激痛が走った。

 

「ぐ・・・が・・・・!」

 

苦しみの表情でユウを見る。

 

「提案を聞き入れないならいいよ。」

 

ユウはロウの手から離れた

黒い銃をロウに向ける。

 

「今ここで殺してあげる。さっきの

 銃はたった3発しか撃てないし、予備もなくて。」

 

「!! そ、そんな・・・。」

 

「それにここでロウ兄殺さないと、あの3人

 殺すの邪魔するしね。」

 

「・・・く・・・・。」

 

息を切らせながら、ゆっくりと

空を見上げた。

 

・・・くそ・・・・。

 

「・・・ここまで・・・だな・・・・。」

 

ボロボロの顔で笑みを浮かべた。

頭から流れる血が目にかかり、

涙を流しているようになる。

 

「な、何言ってんのよ・・・!」

 

「ロウ!!」

 

「・・・・・。」

 

覚悟した表情で

目を瞑った。

 

「ろ、ロウさん・・・!」

 

「・・・・・。」

 

「覚悟は決まったようだね。」

 

引き金に指をかける。

 

「・・・ああ・・・。」

 

「・・・じゃあね、ロウ兄。」

 

そして、ゆっくりと引き金を引いた。

 

「だ・・・だめーーー!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビヨヨ~ン

 

「・・・・・え?」

 

発射されたのは弾丸ではなく

鳩の人形をバネの先端に付けた

からくりだった。

 

「! あれ・・・。」

 

智花はそれに見覚えがあった。

 

「!!」

 

そして、一瞬できた隙を

ロウは見逃さなかった。

懐に隠していた本物の銃を取り出し、撃った。

 

パァン!!

 

「うぐ・・・!」

 

ユウは肩を撃たれ、持っていた銃を落とした。

 

「はあ・・・はあ・・・。」

 

建物の壁を支えにし、

ゆっくりと立ち上がる。

 

「・・・・・。」

 

銃口をユウに向けたまま

ユウに近づく。

 

「うぅ・・・!」

 

「・・・・・。」

 

ロウは黙って、銃を上に向ける。

 

パァン! パァン! パァン! パァン! パァン!

 

そのあとも引き金を引くが、

発射されない。

ロウはその銃をユウの足元に投げる。

 

「・・・!?」

 

わからないという顔でロウを見た。

 

「・・・・・。」

 

少し笑い、ユウの前に座る。

 

「・・・お前がもし、予備の銃弾もしくは

 3丁目の拳銃を持っているのなら・・・・俺の負けだ。

 好きに殺せばいい。」

 

「・・・ロウ兄・・・。」

 

「だが、その代わり・・・」

 

ゆっくりと頭を下げる。

ロウは、ユウに土下座した。

 

「!?」

 

「その代わり・・・あいつらを

 見なかったことにしてくれ。」

 

智花たちを指さす。

 

「ロウさん・・・・!」

 

「頼む。」

 

「・・・本気で言ってるの?」

 

「・・・ああ。俺のことに

 巻き込ませる謂れはない。」

 

ユウを鋭くにらみつけた。

 

「・・・・ふふっ。」

 

思わず笑ってしまう。

 

「はは、仲間のために実の妹に

 土下座って・・・!」

 

「うるせぇ・・・うぐっ!」

 

痛みが走り、体勢が崩れた。

 

「・・・安心していいよ、ロウ兄。

 もう、予備の銃も弾もない。

 ・・・・私の、負け・・・。」

 

降伏の意思で両手をあげる。

 

「・・・お前ほどの腕にしちゃあ、

 ずいぶん準備を怠ったもんだな。」

 

「また余裕でできるって、思ったんだけどなぁ・・・。

 ・・・失敗、しちゃった・・・。」

 

「なんだ、いてえのか。」

 

「うん、けっこうね・・・。」

 

「・・・言っとくが、俺のほうが

 倍は痛いからな。」

 

2人とも息を切らせながら話す。

 

「・・・あ~あ・・・先生に、

 なんて言おうかな・・・。」

 

「・・・てか確実に、お前殺されるぞ。

 失敗しちまったんだからな。」

 

「やっぱり・・・そうだよ、ね・・・。」

 

自嘲気味に笑う。

 

「ユウ・・・・お前これからどうするんだ?」

 

「・・・どうしよっかな・・・

 全然、わかんないや。」

 

「・・・・・じゃあ、俺と、

 協力しないか?」

 

「・・・え?」

 

呆けた顔でロウを見た。

 

「ここまだと・・・お前は殺される。

 だったら、俺と一緒に・・・・・

 足掻いてみないか? あいつに・・・。」

 

「・・・ふふ、そうか・・・・

 そういう手も・・・いいかも。」

 

穏やかな笑みを浮かべる。

 

「・・・どうだ?」

 

「う~ん・・・・・。」

 

ロウの顔をちらっと見る。

 

「!?」

 

まだユウしか気づいていなかった。

ロウの頭にレーザーポイントが当たっていた。

 

(狙撃・・・!? いったい誰が・・・)

 

周りを見るが、相手の姿は見えない。

 

「・・・? どうした、ユウ。」

 

(一体、どこに・・・ !!)

 

ユウは狙撃手の存在に気付いた。

 

「ロウ兄!!」

 

「!?」

 

ユウはロウの上にかぶさる。

 

パァン!!

 

どこかからか、銃声が鳴る。

 

「かはっ・・・!?」

 

「!! ユウ!!」

 

銃弾は、ユウの心臓を撃ち抜いた。

 

「うぅ・・・!!」

 

「くそ、いったいどこから・・・!!」

 

怒りの表情で周りを見ようとしたが

頬を銃弾がかすった。

 

「ちっ!!」

 

ユウを担いで、建物の中に

避難した。

 

「智花! 夏海!」

 

「わかってるわよ!」

 

3人は狙撃の犯人を捜しに行った。

 

「ユウ! しっかりしろ!!」

 

揺さぶって語り掛ける。

 

「う・・・ロウ・・・兄・・・。」

 

「・・・ユウ・・・。」

 

「・・・そ・・・んな顔・・・

 しな、いでよ・・・。」

 

力の入らない手でロウの

手を握る。

 

「・・・ねえ、ロウ兄・・・。」

 

「・・・なんだ。」

 

「ちょっと、ダサいこと・・・言うね?

 ・・・今の・・・ロウ兄と・・・・

 もっと早く、会いたかったな・・・・。」

 

にこりと笑った。

 

「・・・だっせ。」

 

「ふふ・・・・・・。

 ・・・・じゃあね・・・ロウ兄・・・・。」

 

「!!」

 

ユウはゆっくりと目を閉じ、

腕が力なく垂れた。

 

「・・・ユウ?」

 

「・・・・・。」

 

「・・・起きろよ・・・・・

 ユウ!!」

 

「・・・・・。」

 

「・・・ち・・・くしょう!!!」

 

血の流れた手で地面を強く殴る。

 

「俺は・・・俺はいったい・・・・

 何のために・・・・!!」

 

その手で何度も、何度も地面を殴った。

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