グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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投稿遅れてすみません。

しばらく忙しかったもので・・・

《》はロウの語りです。


第105話 ロウの過去

「・・・今から話すのは、俺の過去だ。」

 

ロウの口から重々しく、

その言葉が出てきた。

 

「ロウさんの・・・過去、ですか?」

 

「・・・ああ。まあ、楽にしてくれ。」

 

智花はロウの言葉を聞いて、

背筋を伸ばしたがすぐに元に戻す。

 

「・・・お前や岸田、神凪には

 少しは聞いただろうが、この話には

 当然、ユウも絡む。」

 

「確か、もう何年も会ってないって・・・。」

 

「ああ。まずは、その経緯について話すとするか。」

 

「・・・・・。」

 

つばを飲み込む。

 

「・・・あれは、俺が5歳の時の話だ・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

12年前

 

死体安置所

 

『・・・・・・。』

 

《俺はクリスマスの日に・・・・

 両親を失った。》

 

ロウはあまりのショックから

大量の涙を流しながら、

立ち尽くしていた。

 

『ねー、ロウにいー。』

 

『・・・なに? ユウ?』

 

『なんで、おとうさんも、おかあさんも

 ずぅーと、ねてるのー?』

 

『え・・・・。』

 

キラキラした目で聞く

ユウにロウは少し戸惑った。

 

『・・・・。』

 

困ったロウは近くにいた黒いスーツの

男をちらっと見る。

 

『・・・・・。』

 

しかし、その男もロウから

目を背けた。

 

『・・・うぅ・・・。』

 

我慢していた涙をロウは流した。

 

 

 

 

 

 

 

《その後、俺とユウは親戚の家を

 転々とした。そしてとうとう・・・・》

 

 

 

 

 

『ここだよ、ユウ。』

 

ロウとユウは『児童養護施設』と

書かれた看板の置かれた建物の前で立っていた。

 

《施設に送られた。だが、その後は

 俺もユウも楽しい時間を過ごした。

 だが、それもある日を境に崩れ去った。》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は戻り

 

「ある日、ですか?」

 

「ああ、今でも忘れはしない・・・。」

 

ロウはゆっくりと目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

施設

 

『おっと、失礼。』

 

茶色のスーツを着た白髪の男が

十数人ほどのボディガードを

引きつれながらやってきた。

 

『ふむ・・・・・。』

 

男は施設の子供たちの

様子を念入りに見ていた。

 

『あの、あなたは・・・?』

 

施設の人が声をかける。

 

『ああ、こういう者です。』

 

懐から名刺を取り出した。

 

『・・・天羽・・・鉄舟・・・?

 ・・・!』

 

驚きの顔で男の顔を見た。

 

『あの、政治家の・・・?』

 

『ええ。・・・さっそくなのですが、

 少し、お願いがありまして・・・。』

 

少しにやりとした顔を浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

『・・・ひきとられる?』

 

『ええ、そうよ。』

 

遊んでいたロウとユウに

笑顔で話していた。

 

『わたしたちがー?』

 

『うん、よかったわねぇ。』

 

『・・・・・。』

 

しかし、ロウはその笑顔が

目が笑っていないことに気付いた。

 

『ん? ロウ君、どうかしたのかな?』

 

『・・・ううん、なんでもない。』

 

ロウはのこりと笑って見せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ロウにい・・・。』

 

ユウがロウの服の裾を引っ張る。

 

『どうしたの? ユウ。』

 

『これって・・・ふね、だよね?』

 

黒く大きな船が停泊していた。

ロウたちと同じ施設にいた子供たちが

続々とその船に乗り込んでいた。

 

『う、うん・・・・。』

 

ロウは周りをきょろきょろとみる。

 

『・・・あ!』

 

白のリムジンのそばにロウは

見たことのある人物を見つけた。

 

『おじさん!』

 

『ん・・・?』

 

呼ばれた男は加えていたたばこを

地面に捨て、火を足でこすって消した。

 

『どうした・・・・って、

 お前・・・。』

 

男はロウの姿を見て思い出した。

 

『あの時のガキか・・・。』

 

『おじさん、ちょっときいてもいい?』

 

『なんだ・・・おっと。』

 

ポケットから手帳が落ちた。

 

『はい。』

 

ロウは拾って、男に手渡した。

 

『ああ、悪いな。で、なんだ?』

 

『おじさん、あのくるまにのってる

 ひととともだち?』

 

そう言って、リムジンを指さす。

 

『友達・・・つうか、なんていうか・・・

 まあ、知り合いだ。』

 

『そうなんだ・・・けど、あの人が

 ぼくとユウの親なんだよね?』

 

『・・・ああ。名前は・・・・

 天羽鉄舟だ。覚えておけ。』

 

『うん!』

 

にっこりと笑う。

 

『ありがとう! じゃあね!

 おじさん!』

 

『ん。』

 

軽く手を振る。

 

『・・・あ!』

 

ロウは再び男のもとに来る。

 

『? どうした。』

 

『おじさんのなまえは?』

 

『俺か?』

 

戸惑った様子で自分を指さす。

 

『うん!』

 

『・・・及川、義人だ。』

 

《それが、俺とおっさんの初めての

 出会いだった。》

 

『ばいばい、おじさん!』

 

ロウはユウのもとへ戻っていった。

 

『・・・これが、いいんだよな・・・。』

 

義人は小さくつぶやいた。

 

《そして、ここからが俺の、

 地獄の日々の始まりだった。》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

船内

 

『はじめ!!』

 

黒いサングラスをかけた男が

大きな掛け声を出した。

 

『『『はぁ!! はぁ!!』』』

 

子供たちの声が船の中にこだまする。

 

『・・・こ、これって・・・。』

 

『勝手にやめるな!!!』

 

『あぁ!』

 

手を止めていたユウを

サングラスの男は頬をはたいた。

 

『ユウ!!』

 

ロウは倒れたユウのもとに駆け寄ろうとした。

 

『近づくな!! これは訓練だ!!』

 

男はロウの行く手を阻む。

 

『くん・・・・れん・・・?』

 

ロウには言っている意味が

わからなかった。

 

『さあ、早く立て!!』

 

無理やりユウを立たせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

訓練を終えたロウたちは

人数分の机といすが置かれた部屋に

案内された。

 

『きみ、だいじょうぶだった?』

 

1人の男の子がユウに

話しかけた。

 

『う、うん! ロウにいがいたから!』

 

戸惑いながらも答えた。

 

『・・・ところで、しってる?』

 

『? なにが?』

 

口調が重くなり、ロウは

首を傾げた。

 

『・・・・じつは・・・・

 きいちゃったんだけど・・・。』

 

話しながら下を向いてしまう。

 

『・・・・このくんれんっていうのに

 しっぱいしちゃうと・・・・・・・

 ころされちゃうんだって。』

 

『・・・・・・・え?』

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