グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第106話 任務

『・・・・このくんれんっていうのに

 しっぱいしちゃうと・・・・・・・

 ころされちゃうんだって。』

 

『・・・・・・・え?』

 

ロウはその言葉に呆然とした。

 

『そ、それって・・・・』

 

ピリリリリ!!

 

部屋に電子音が響き渡る。

 

『あ! す、すわんなきゃ!』

 

3人は急いで席につく。

 

《俺はまだこのとき、半信半疑だった。

 だが・・・・・1か月が過ぎたころだった。》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロウたちはコンクリートの壁で

囲まれた部屋で眠っていた。

 

『う・・・ん・・・・。』

 

ロウは寝返りをうった。

 

『い、いやぁ!』

 

『・・・・ん・・・・?』

 

誰かの悲鳴が聞こえたため、

ロウは少し目を開けた。

 

『は、はなして!』

 

『!?』

 

ロウの目線の先には

ユウが黒服の男2人に

腕をつかまれ、持ち上げられていた。

 

『ユウ!』

 

一気に飛び上がり、

男たちにとびかかる。

 

『・・・・・。』

 

1人がロウを壁にたたきつけた。

 

『うわあ!』

 

たたきつけられたロウは

そのまま意識を失った。

 

『ロウにい! ロウにい!』

 

ユウが呼びかけるが

ロウは返事しない。

 

『いやーー!!』

 

ユウはそのまま2人の男に

連れていかれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《あの言葉を聞いていた俺は、

 ユウは既に死んでしまったと思った。

 だから、俺は・・・》

 

 

 

 

 

 

 

『・・・・!!』

 

部屋の中の全員は

分解されている拳銃を組み立てていた。

 

『・・・・・・。』

 

ロウも黙って組み立てていたが・・・

 

(ユウ・・・!)

 

連れていかれてしまった

ユウのことが頭から離れていなかった。

 

『・・・・・・・・。』

 

《そのとき、俺の中に何かが

 憑りついたような感覚があった。》

 

(いまここでぼくが・・・・おれまで

 しんだら・・・・!!)

 

その瞬間、ロウの目つきが変わった。

 

『・・・・・・。』

 

組み立てるスピードを

急激に上げた。

 

『・・・・。』

 

1人の黒服の男は

ロウのその様子を見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

《俺はその日から最大限に知識を

 小さい頭に詰め込ませた。そして、それから5年の

 月日が流れた。》

 

 

 

 

 

 

この日、ロウは呼び出され

大広間に向かっていた。

 

『まったく、何の用なんだか・・・。』

 

ぶつぶつ言いながら

ロウは歩く。

 

『・・・ここか。』

 

扉の前に立ち、

3回扉をノックする。

 

コンコンコン

 

『失礼します。』

 

部屋の中に入る。

 

『・・・君がそうか。』

 

部屋の中に人はおらず、

大きなスクリーンに般若の面を

した男が映っていた。

 

『・・・あなたは?』

 

『おお、そうか、まだ私の名前は

 言っていなかった。私の名は・・・・

 天羽鉄舟。』

 

『・・・天羽?』

 

聞きなれない苗字を

もう1度自分の口で言う。

 

『・・・まさか、政治家の

 天羽鉄舟か。』

 

『ほぅ、あの生活の中で

 私の名前を知っていたか。』

 

『わずかな時間を使って調べたよ。

 この船での生活の目的も、誰が

 企てたのかも。』

 

立ったまま、壁に背中を預ける。

 

『・・・では、聞かせてもらおうじゃないか。

 その目的とやらを。』

 

『・・・・あんたは、今まで

 表舞台から日本という国を支えてきた。

 だが、ある時を境にあんたは姿を消した。』

 

『・・・・・。』

 

『しかし、完全に退いたわけじゃなかった。

 あんたはこの日本を陰から守ろうと考えた。

 そこで、施設にいた子供たちに目を付けた。』

 

『・・・・ふふ。』

 

くすりと笑う。

 

『施設の子供を全て引き取り、あんたは

 自衛隊以外の新たな戦力を作ろうと考えた。』

 

『・・・・。』

 

『・・・あんた、スパイを作ってるんだろ?』

 

鋭い目つきで鉄舟に問う。

 

『・・・大方、君の言う通りだ。

 君のような男は初めてだよ。』

 

面をしているが、笑っているのがわかる。

 

『それで、今は何の用で呼ばれたんでしょうか?』

 

『おぉ、そうだったそうだった。

 だが、話は簡単だ。・・・・・・・

 君に、初めての仕事を与えよう。』

 

『! もう、初仕事を・・・?』

 

驚きで目を大きく開ける。

 

『君は他の者より優秀だからな。』

 

面からはみ出た顎鬚をなでる。

 

『・・・・・。』

 

こいつ・・・一体・・・。

 

ロウは怪しんで鉄舟を見る。

 

『そう身構えるな。なぁに、

 簡単な仕事だ。』

 

鉄舟は大きく指をパチンと鳴らす。

部屋に黒のスーツを着た男が

大きなカバンを抱え、入ってくる。

 

『・・・それは?』

 

『君には、その荷物をある人物の

 もとに届けてくればいい。』

 

『届ける・・・?』

 

鉄舟を強くにらみつける。

 

『俺たち引き取って最初に何させるのかと

 思ったら、宅配業者の代わりかよ。』

 

『・・・くくく・・・。』

 

籠った声で笑う。

 

『何がおかしい。』

 

『・・・いずれわかる。いずれ・・・な。』

 

『・・・?』

 

意図が分からないながらも、

ロウはそのかばんを受け取った。

 

『・・・それで、どこに向かうんだ?』

 

『ここだよ。』

 

別にかけられていたスクリーンに

地図が映し出される。

 

『・・・そこは?』

 

『小さい国だ。名前も知られていない

 ような、小さい・・・な。』

 

『そこに行って、誰に届ければいい。』

 

『王の側近に届ければいい。

 ・・・では、抜かりないように。』

 

そう言うと、映像が途切れる。

 

『・・・・・。』

 

ロウは受け取ったカバンを

じっと見つめた。

 

『何をしている。早く向かえ。』

 

『・・・はい、了解しました。』

 

ロウは、静かな足取りで部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

《荷物を届けるだけの簡単な依頼。

 そう思っていた。だが・・・・・》

 

 

 

 

 

 

ある国

 

『・・・・な・・・・・。』

 

ロウが王の側近に頼まれた

カバンを届け、僅か数時間後のことだった。

 

その側近がクーデターを起こしたのである。

 

『・・・なんだ・・・これ・・・。』

 

ロウは少し離れた丘で

その様子を見ていた。

 

驚きを隠しきれないのか

数歩後退りする。

 

《このとき、俺は自分のとった行動を

 後悔した。荷物を渡したためにあんな

 ことが起こったと・・・》

 

『はあ・・・! はあ・・・!』

 

次第に呼吸が荒くなり、

地面に倒れる。

 

『はあ・・・!! はあ・・・!!』

 

《だが、後に俺は知った。あの国は

 極秘に日本を攻撃する可能性のある国だった。

 その事実で、自分自身に納得させた・・・。》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

船 ロウの部屋

 

『くそ・・・!! くそぉ・・・・!!』

 

《当然納得できるわけがなかった。

 まだ俺は10歳。受けた精神的ダメージは

 相当だった。その後の任務もどうにかこなすが

 ・・・・2年もした頃には限界だった。》

 

『・・・・・!!』

 

《このころ、俺はいろんな組織に

 一時的に所属した。霧の護り手や

 ノーマルマンズにも・・・。》

 

黙ったまま、何度も壁に

頭をぶつけ続けた。血が出てくるが

気にせずに続ける。

 

『・・・・・もう、無理だ・・・・。』

 

頭を壁につけたまま、

うなだれた。

 

ピリリリ

 

『・・・・?』

 

近くに置いていた携帯を手に取る。

非通知と表示されていた。

 

『・・・誰だ。』

 

『久しぶりだな、ロウ。』

 

『・・・! あんた、確か・・・。』

 

ロウにはその声に聞き覚えがあった。

 

『及川だよ。及川義人。』

 

『・・・何の用だ。』

 

『ずいぶんな言い方だな。

 ・・・まっ、単刀直入に言うとだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あいつを、天羽鉄舟を裏切らないか?』

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