グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
『あいつを、天羽を裏切らないか?』
『・・・・何?』
予想外の言葉に動揺する。
『・・・どういうことだ。』
『言葉通りだ。』
淡々とした口調で話す。
『だが、あんたは奴の関係者。
すんなり信用するわけにはいかねえな。』
『・・・ふっ、お前ならそう言うと
思ったよ。・・・明日、お前に
封筒が届く。それを見れば俺に協力する。』
『胡散臭い予言だな。』
『なんとでも言え。じゃあな。』
義人は電話を切った。
『・・・・・・・。』
翌日
ロウは部屋に入ると、
封筒が1つ置かれていた。
『・・・これか。』
封筒を開け、中身を見る。
『紙・・・?』
中には何かが書かれた紙が
1枚入っていた。
『・・・・!!』
内容を見て、ロウは
目を大きく開いた。
ピピピピピ!
ロウの携帯電話にメールが入る。
『・・・ちっ・・・。』
メールを見た後、
ロウは部屋から出て、船を降りた。
路地裏
『よぉ。』
義人はロウににやにやとした顔を見せる。
『あの紙に書かれていること、
本当なのか?』
持ってきていた紙を
義人に渡す。
『ああ、俺が警察内で調べたしな。』
『・・・・・あいつが・・・・・・
・・・俺の親を事故死に見せかけて殺した・・・。
だが、何のために?』
『そこまでわからねえ。あの人が
何を考えているのかもな。』
『・・・・。』
ロウは義人をにらむ。
『・・・それで、俺は何をすればいい。』
『! ほぉう、あれを裏切る気に
なったか。』
『別にあんたの提案にのった
わけじゃない。天羽のやり方に
ついていけなくなっただけだ。』
『まあ、いい。とはいえ、今はまだ
動くときじゃねえ。』
『・・・?』
軽く首をかしげる。
『じゃあな。』
『・・・・・・。』
去っていく義人の姿を
静かに見つめていた。
《そして、おっさんとの会話から
4年が経ち、俺が16になった時だ。》
ピピピピピ!
『ん?』
ロウは電話に出る。
『もしもし。』
『よぉ、ロウ。久しぶりだな。』
『!! 及川・・・義人。』
『ずいぶん声も大人びたもんだなぁ。
・・・覚えてるか? あの時言ったことを。』
『・・・忘れるかよ。あんたがこうして
連絡をしてきたってことは、とうとう
動き出すってことか。』
『・・・ああ。あるものを渡したい。
あの時の路地裏に来てくれ。』
『わかった。時間は?』
『今から30分後だ。』
『すぐに向かう。』
時計を確認し、電話を切った。
路地裏
『・・・・・。』
義人は黙ったまま、カバンを渡す。
『これか・・・?』
カバンの中身を確認する。
『!』
中には大量の旧札の
札束が入っていた。
『・・・これをどうするんだ?』
『この場所の金庫に入れてくればいい。』
地図を手渡す。
『・・・これで何か変わるのか?』
『ああ・・・大きく変わる。』
にやりと笑う。
『・・・・わかった。』
ロウはその場を後にした。
金庫室
『・・・これで・・・・。』
金庫を開け、義人から預かった
札束を入れていた。
『・・・・・・。』
眉間にしわを寄せる。
バン!!
『!?』
ドアが突然開かれ、
数人の男たちが入ってくる。
『く!?』
突然のことだったため
ロウはあっという間にその男たちに
抑えられてしまう。
『これは・・・!?』
『ふぅん、天羽氏の言う通りだったな。』
『天羽・・・!?』
驚きで大きく目を開く。
《このとき、俺は知った。俺は・・・・・
天羽に嵌められたのだと。》
『・・・まさか・・・!!!』
怒りでロウは震えた。
『天羽氏からの伝言だ。お前は
もういらない。死ね・・・だそうだ。』
『!!!!』
『連行するぞ。』
男たちはロウを引きずっていった。
ロウは抵抗せず、目を見開いたままだった。
《俺は奴らに連行された後・・・》
『ぐあああ!!』
後ろ手に回され、手錠をされ
椅子に座らされていた。
『うぐぅぅぅ!!!』
首筋にスタンガンを当てられる。
『ぐ・・・・。』
ぐったりと頭を垂れる。
(・・・・天羽・・・・・・
・・・及川・・・・!!)
周りにいる男たちを睨みながら
2人の人物を恨む。
『・・・なんだ、その目は!!』
男はロウの顔を
思いきり殴った。
『ぐあああ!!』
殴られた箇所から血が流れる。
『・・・く・・・・そが・・・・。』
ロウの視界が暗くなり、
意識はそこで途切れた。
『・・・・・う・・・?』
ロウの目がゆっくりと開かれる。
体が若干揺れる。
(・・・車の中、か・・・・?)
目を薄く開き、周りの
状況を確認する。
(人数は・・・3人。隣に1人・・・。
・・・前に1人。その隣に1人・・・。)
目を閉じ、頭の中で
シミュレーションする。
(・・・・よし・・・。)
今度は目をはっきりと開き
何かを決断する。
『ん? くくく・・・ようやくお目覚めか?』
にやりと笑い、男はロウを見る。
『・・・・・・。』
黙ったまま、ロウは男を睨む。
『ふん、まあいい。いずれお前は
殺される。それまでせいぜい・・・』
その時だった。
『!!』
ロウは思い切り頭突きをした。
『があああ!!?』
まさかの攻撃に男は倒れる。
『くそ!!』
1人がスタンガンを取り出す。
『・・・・。』
それを見たロウは即座に
相手を蹴り飛ばす。
『ぐあああ!!』
持っていたスタンガンを落とす。
『この!!』
最後の1人はナイフを出す。
『遅い。』
ロウは相手の足を払い、
床に倒す。
『ぐぅ!?』
倒した直後、後ろ手のまま
スタンガンを拾い、それを相手に当てる。
『ぐがあああ!!!』
当てられた男は動かなくなる。
気絶したようだ。
『・・・!!』
男の近くに落ちていた手錠の
カギを見つけ、それを拾い、手錠を外す。
『・・・。』
男の服を探ると、拳銃を見つける。
ロウはそれを窓に向け、放った。
パァン!!
車の窓は粉々に割れ、ロウは
そこから脱出する。
『く・・・!』
少し転がったあと、ロウは
車に銃口を向ける。
(今は夜か・・・。)
辺りが暗いため、集中して
車に狙いを定める。
パァン!!
放たれた銃弾は車のタイヤに
当たり、パンクする。
車は十数メートルほど進んだ後、
横転する。
『・・・うぐ・・・!』
背中に痛みが走り、その場に
膝を突く。
『く・・・・!!』
何とか立ち上がり、ふらふらしながら
進んでいた方向と逆の方向に歩き出す。
『・・・・・。』
(・・・まずは・・・・
・・・及川、義人・・・!!)
《俺は何とか脱出したその足で
日本へ向かった。》
日本
廃ビル
『・・・ふぅ・・・。』
景色を見ながら、義人は
タバコを吸う。
バァン!!
屋上の扉が勢いよく開かれる。
『!?』
『・・・見つけたぞ。』
『!! お前は・・・!』
扉を開けたのはロウだった。
『意外そうな顔をしてるな。』
懐から銃を取り出し、義人に向ける。
『・・・天羽はどこだ。』
『生憎だな。俺は知らない。』
『嘘をつくな。』
『本当だよ。・・・つか・・・・
・・・死んだよ、あのじいさん。』
『・・・なに?』
銃を持つ手が若干震える。
『まあ、実際はどうだかわからねえけどな。』
タバコを床に捨て、踏みつけて
火を消す。
『・・・・うああああ!!!』
銃を投げ捨て、義人に
とびかかる。
『ちぃ・・・!!』
ロウを床に伏せさせる。
『ぐううぅぅぅ!!!』
そこから出ようと暴れる。
『話を聞け!!』
『放せぇ!!』
『いいから、黙って聞け!!』
床を力強く殴る。
『お前、天羽に復讐する気か!?
んなことしても何も変わんねぇんだよ!!』
『だったらどうすればいいんだよ!!!』
『聞けぇ!!!』
『ぐ・・・!!』
『・・・耳貸せ。』
襟をつかみ、無理やり耳に近づける。
『・・・俺とお前で、奴を引きずりおろす。』
『・・・!!?』