グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第111話 心の中の声

風紀委員室

 

「ロウさんの調査を中止!? 

 委員長、どういうことですか!?」

 

紗妃が机をバンと叩き抗議する。

 

「どうもこうも、執行部から

 お叱りを受けてたんだからしょーがーねーじゃ

 ねーですか。」

 

「ですが、なぜ執行部が・・・?」

 

「さぁ、理由はわかりませんが、面倒事に

 首を突っ込んでしまった・・・ということ

 かもしんねーですね。」

 

「面倒・・・?」

 

(相田ロウ・・・あんたさん一体、

 何者なんですかね・・・。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃

 

「へっくし!!」

 

廊下を歩いていたロウは

思い切りくしゃみをする。

 

くそ、風邪でも引いたか・・・?

 

「あっ! ロウ君だ!」

 

「んん?」

 

高い声が聞こえ、振り返ると

絢香が歩いてきていた。

 

「おっはよー!」

 

「ああ、おはよう。」

 

軽く挨拶をする。

 

「ねえねえ、ロウ君! ちょっと

 勉強教えて!」

 

「はあ? なんだ急に。」

 

「いいから! ね!?」

 

腕をグイグイと引っ張る。

 

「ほらほら、こっちこっち!

 ・・・急いで。」

 

「!」

 

最後の言葉のみ小声で言う。

 

・・・ったく、なんだんだっての・・・。

 

 

 

<ロウ、絢香、移動中>

 

 

 

屋上

 

絢香に引っ張られ続け、

屋上まで来た。

 

「はぁー、やっぱオフの方が楽だわぁ。」

 

ベンチにゆったりと座る。

 

「・・・あんた、覚悟してなさいよ。」

 

「? 何の話だ?」

 

「何の話だ? じゃないわよ!

 これを送り付けたのあんたでしょ!?」

 

懐から1枚の紙を取り出した。

 

「・・・『あなたの秘密を知っています』・・・?」

 

ロウには見覚えのない紙だった。

 

「これをどう見たってあたしのオフじゃない!

 外じゃあなたしかあたしのこと知らないんだから

 あなたじゃないの!」

 

「変な言いがかりはよせ。。こんな紙、

 送った覚えも書いた覚えもねえよ。」

 

紙をピラピラとさせる。

 

「そんなの信じられな~い♪ 闇のお兄さんたちに

 懲らしめてもらおうかな♪」

 

「んな脅しされようが、してないものは

 してねえよ。」

 

「・・・ほんとに? 神様に誓える?」

 

顔をロウに近づける。

 

「無神論者だが、今回だけ誓おう。」

 

「・・・絶対ね・・・じゃあ、わかったわ。」

 

「・・・・・。」

 

あっさり信じたことに

あっけにとられる。

 

「だとするとさぁ・・・あなたのほかに、

 あたしのオフを見た人がいるってことよね。」

 

「あ、ああ、そうなるんじゃないか?」

 

「そんな覚えないんだけど・・・・・。

 あなた、心当たりないかしら。」

 

「さあな。ってか、やけにあっさり信じたな。」

 

「なによ、信じてあげてるんだから

 いいでしょ。」

 

「普通だったら、とことん疑ってるけどな。」

 

そう言うと、大きく欠伸をする。

 

「・・・・はあ、わかったわ、教えてあげる。

 あたしがあなたの言葉を信じる理由。」

 

少し重い表情になる。

 

「あたし、人の心の声が聞こえるのよ。

 そういう魔法を使えちゃうの。だから口で

 何を言ってても、本音が聞こえちゃうのよね。」

 

「聞こえちゃう・・・ってことは

 制御できてないのか?」

 

「できてたら苦労しないわ。学校には

 申し出てるし、許可ももらってる。

 ・・・あたしが疲れるって理由、わかるでしょ?」

 

「・・・まあ、そうだな。」

 

若干、言葉に詰まる。

 

「あたしがアイドルとして成功したのも、

 この魔法のおかげよ。その人が何をすれば

 喜ぶのかがわかるから。」

 

「なるほど。」

 

「・・・だから、あなたが言ってることも

 信じるし、こうやって話したの。」

 

「・・・・・・。」

 

「協力してもらうんだし、もうあなたには

 1つばれてるしね。オフのこと・・・。」

 

「・・・・協力?」

 

分からないというように

首をかしげる。

 

「そう、協力。」

 

ロウが持っていた脅迫状を

手に取る。

 

「この脅迫状を持って、怪しい人に尋ねてくれない?

 『俺にこんなのが届いたんだけど、心当たりない?』

 って・・・。」

 

「なるほど、出した人間なら確実に

 動揺するってわけか。」

 

「そう。あたしなら相手が心の中で

 何を言っててもわかるわ。じゃあ、ロウ君。

 囮、よろしくね♪」

 

「はあ、面倒くせえ・・・・。」

 

大きくため息をついた。

 

 

 

<ロウ、絢香、聞き込み中>

 

 

 

 

数時間後

 

屋上

 

「それで、どうだった?」

 

「ええ、見つかったわ。あの

 オタクっぽい男子。」

 

すっかり夕方になったが、脅迫状の

犯人を見つけたようだ。

 

「ああ、あいつか。まあ心の中どころか

 見るからに動揺してたしな。」

 

「それにあたしの秘密なんて知らなかったみたい。

 ちょっとしたイタズラね。」

 

「多分だが、お前の反応を見て

 楽しんでたんだろ。」

 

買っていた缶コーヒーを開ける。

 

「こっちはたまったもんじゃないっての。

 勘弁してほしいわ。」

 

ベンチに腰掛ける。

 

「・・・アイドルってさ」

 

「ん?」

 

「自分の仮面がいつはがれるか、

 いつも怯えてるの。ちょっと悪い事したら

 バッシングくらうしね。心休まるときなんてない。」

 

小さく息を吸う。

 

「でもまあ、あなたといるときはそんな

 お芝居しなくもいいから。そういう意味では

 安心できるわね。もう言いふらすこともできないから。」

 

「? どういうことだ?」

 

「さっき言ったじゃない。私は人の心が

 読める。あなたが誰かにばらしたら、すぐに

 わかるってことを伝えたのよ。」

 

「・・・ふっ、安心しろ。言うことはない。

 ・・・だが、1つ聞いていいか?」

 

「何?」

 

ロウはコーヒーを一口飲む。

 

「お前、今までおれの心の声を聞いたか?」

 

「まあ、少しは聞いたけど・・・。」

 

「何を聞いた。」

 

ロウの声が少し低くなる。

 

「別に。大したことじゃなかったけど。」

 

「・・・そうか。」

 

にやりと笑う。

 

「・・・なら、1ついいこと教えてやる。」

 

「? な、なに? 急に。」

 

「まあ、聞いてろ。」

 

そう言うとロウは目を閉じる。

 

「・・・・・・・・!!?」

 

ロウの心の声を聞いた絢香は

言葉が出なかった。

 

「考えてみれば、俺だけ秘密聞いてるのも

 あれだからな。これでフェアだ。」

 

「・・・え、あ、そ、そうね・・・。」

 

「んじゃあな。」

 

ロウは屋上から出て行った。

 

「・・・・・・。」

 

絢香はその後ろ姿を呆然と

しながら見送った。

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