グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
福音七枷協会
「ここで魔物がねえ・・・。」
ロウは教会の高い天井を
見上げる。
「我が神を汚すことは許せません。
即刻、消滅させましょう。それと・・・」
「なんだ、ディオール。」
「もう1つ目的があります。信じがたい事ですが
・・・まずは、見つけなければ。・・・その前に
ロウ様はヴィアンネ教司会のことは、どれくらい
ご存知ですか?」
「あんまり知らねえな。それがどう
関わってくるんだ?」
まあ、いずれ調べようとは思ってたけどな。
「今回のクエストには、聖者・・・
聖ジャン=マリー・ヴィアンネが関わってきます。
聖ヴィアンネは『アルスの司祭』と呼ばれてました。」
「司祭・・・。」
「障害を神に捧げ、神と共に過ごした偉人・・・。
また、魔物との戦いにおいても、その名を残した
魔法使いでもありました。彼の功績によって、
ヴィアンネ教司会は創始されました。」
「・・・つまり、世界で最初の、
魔法使いの養成機関ってことか。」
「ええ。ですが、彼は日本との交流はほとんど
なかったはずなのに、その手記がこの七枷協会に
あるという情報が入ったのです。」
「日本に行ったことすらない男の
手記か・・・。」
なるほど・・・それでこのクエストか。
「しっかし、こんなところに本当にあるのか?」
ボロボロの教会を見る。
「ええ。魔物に破壊されてしまう前にいかなる手段を
もってしても、発見します。」
「・・・そうか、じゃあとりあえず・・・」
ロウは自分の左方向を指さす。
「あれ倒すか。」
指した方向には背中に羽をはやし、
手に枷をした魔物がゆっくり近づいてきていた。
「『ROOM』! 『ラジオナイフ』!」
魔物を切り刻む。
「・・・この教会、人型の魔物が
多いようですね。人型は他の魔物に比べ、
わずかながら知識を持つ。」
「北海道では散々見たからな。まあ、
とりあえず、一通り調べるか。」
<ロウたち、探索中>
「くっそ、なにも見つからねえな・・・。」
「・・・?」
同行していたエレンが周りを
キョロキョロ見ていた。
「どうした、アメディック。」
「ロウ、3人を見なかったか?」
「3人?」
「小鳥遊、鳴海、円野だ。」
「いや、見てないが・・・」
ドォォン・・・!
「・・・あそこだな。」
「地下を見つけたな。よし、
私たちも行こう。」
「円野、報告はどうした。」
「ひぇ!? す、すみません!」
真理佳の背筋がピンと伸びる。
「んで、何があったんだ?」
「あ、あのですね、びっくりなんです!
地下にすっごい綺麗な教会がもう1つあって・・・!」
「どういうことだ?」
「真っ白な、立派な教会があったんです!
全然壊れてなくて!」
「魔物が現れているのに、壊れていない・・・。」
エレンがその理由を考えていると・・・
「いけません、すぐに閉じなければ・・・!」
シャルロットが入ってくる。
「え? で、でも扉は破壊されてますよ。
内側から・・・。」
「内側から・・・? では、このあたりの
木材を使ってください。」
近くの木材を拾い上げる。
「・・・・。」
「先輩先輩。」
「なんだ、小鳥遊。」
「自分、あのシスターさんのことよく
知らないんですけど・・・。」
「あーあたしもあたしも。」
「僕も・・・どんな人か、教えてほしいです。」
自由、純、真理佳がロウに尋ねる。
「って言われたところで、俺もそんなに
知らねえぞ。」
「あのボインって本物なんです?」
「・・・はあ?」
何を聞くかと思えば・・・・。
「アンタね・・・。」
純も呆れている。
「ええ!? だって気になるっしょ!?」
「・・・僕、板が壊れてないか、もう1度
見てきます。」
「あー、あたしもあたしも。」
2人はスタスタと歩いていく。
「ちょ、ちょっと2人とも! なに
カマトトぶってんすか! せ、先輩は
気になりますよね!?」
「いや、全然。」
「せ、先輩までぇ・・・」
ドォン・・・・
「ん?」
「うわあああぁぁ!!」
真理佳の叫び声が聞こえる。
「え?」
「また何か起こしたのか、貴様ら!」
エレンが怒りながら来る。
「じ、自分は何もしてないっすよ!」
「俺もだ。」
ロウと自由は首を横に振って否定する。
「あ、隠し部屋! 隠し部屋あるよ!」
「隠し部屋・・・?」
エレンは顎に手を当てて考える。
「・・・ロウ、シャルロットに伝えてくれ。
小鳥遊、ここにいろ。私が様子を見てくる。」
「ああ、わかった。」
<ロウ、移動中>
言われた通り、ロウはシャルロットに
報告した。
「・・・隠し部屋? あの部屋にですか?」
「なんだ、お前も知らなかったのか。」
「ええ・・・しかし、他の場所に手記など
なさそうなのも事実。地下の聖堂か、
隠し部屋か・・・。」
「とりあえず、俺らも行くぞ。」
「ええ、参りましょう。」
「はい、これ。」
隠し部屋の探索を終えた純は
ぶ厚い本をシャルロットに渡した。
「これは聖書・・・こちらはカテキズムの
教科書でしょうか・・・。聖ヴィアンネは
使わなかったと言いますから、他の方の
ものでしょうね。」
「・・・カテキズムってなんです?」
「教えを理解しやすいように要点を
つまんだものだ。」
「・・・これは、無題のノートですね。」
パラパラと中身を見る。
「ありがとうございます。これが探していた
聖ヴィアンネの手記です。」
にこりと笑う。
「・・・・。」
「やったぁ! 任務完了ですね!」
「・・・いえ、そうでもなさそうです。」
「え?」
ロウたちに向かって
魔物が接近してきていた。
「せせせ先輩! なんか魔物が急に
集まってきてるすよ!」
「妙だな、急に動き出すとは・・・。」
「なんか、出口までの道をふさいでいるように
見えるけど・・・。」
純の言葉通り、魔物たちは
出口の前に立ちふさがる。
「なるほど、通さぬつもりですか。」
「あの、もしかして・・・」
「どうした、円野。」
「もしかして、その手記を見つけたから、
じゃないですか?」
シャルロットの持っている手記を
指さす。
「まさか。魔物が襲うのは人間です。これが
本だということも理解していません。」
「そ、そうです・・・よね。すみません。」
「だが円野の言うことも一理ある。手記が
見つかったら明らかに変化した。」
「・・・皆さん、少しお任せして
よろしいでしょうか。」
「どうする気だ?」
「この手記を読めばわかるかもしれません。」
「・・・それしかねえな。」
ロウは鞘から刀を抜いた。
さぁて・・・