グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
翌日
「ああ、ロウ。探したぞ。」
「どうしたんだ? 神凪。」
怜に呼び止められる。
「実は、家族がこの間のクエストのことで
お前に礼をしたいそうだ。」
「礼って・・・学園のクエストを
きっちりやっただけだぞ?」
「それでも、うれしいんだよ。
・・・それで、質素ですまないが
休日に昼食でも食べに来ないか?」
どうせゴロゴロするだけだしな・・・。
「よし、わかった。行こう。」
「そうか・・・よかった。」
人の家で飯か・・・。
多分初めてだな。
「ん、休日ってことは、もしかして
神凪が作るのか?」
「え・・・そ、そうだな。そうなる。」
「それは・・・楽しみだな。」
舌をぺろりと出す。
「そ、そんなに期待されると参ったな・・・。
だ、だがお、恩人への礼だ。全力を尽くす。」
「あ、ああ・・・楽しみにしてる。」
そんな気合い入れなくても・・・。
2日後
神凪神社
「よ、よ、よく来たな。まま、待ってたぞ。」
「なんでそんな震えてんだ?」
「いや、食事のことを家族に話したら
か、からかわれてな。もしかしたら、
家族が迷惑をかけるかも・・・。」
「そうなのか・・・。」
「気分を害したら、遠慮なく言ってくれ。
厳しく躾ける。」
そこまで言うほどか・・・・。
「昔から下世話な話で盛り上がるのだ。
神職にあるものが、情けない・・・。」
「へえ・・・。」
「だから、もちろん止める。ただもし変なことを言っても
嫌わないでほしいんだ。」
「大丈夫だ、言葉だけで嫌いになるほど
そんな我慢弱くない。」
「そ、そうか・・・。
で、では案内しよう。ついてきてくれ。」
「わかった。」
さぁて、どんな家族か・・・。
<怜、ロウを案内中>
神凪家
「おおっ! 君がロウ君か!!」
おそらく怜の父親であろう
人が話しかけてくる。
「あ、はい。どうも・・・。」
先ほどの話のせいか
少しぎこちない。
「いや~すみませんね、せっかくの休み
自分に時間を割いてくださって・・・。」
・・・というわけでもなかった。
「まあまあ、座ってくださいな。」
今度は奥から母親であろう
人物が出てくる。
「あっ、では失礼します。」
サングラスを外し、胸ポケットに入れる。
上着を椅子に掛けた。
その後、ロウは神凪家の
食事を楽しんだ。
「いや~食った食った。」
満足げな顔をして
神社から出てくる。
「特にあの、魚の煮つけか。
あれはうまかったなぁ~。」
「す、す、すまない!!」
急に謝りだす。
「あ? なんだ、急に?」
「よ、よりにもよって食事のときに・・・
あ、あんな、一族の恥だ!!」
食事のとき・・・・?
「別に何もなかったろ。」
「か、寛大だなお前は・・・・。
だが、あまりにもひどかった・・・。
許せとは言わない・・・・。」
「いやだからたいしたことないだろ。」
「ば、馬鹿な・・・・。どうして
そんなことを・・・あ、あんなに
破廉恥なことを言われて・・・。」
破廉恥・・・・ああ。
「あれか。」
「て、手をつないだかなどと・・・・!
何が今度は2人で、だ!校則違反ではないか!
不躾も甚だしい!」
「まあ、落ち着け。なっ?」
「すまん・・・取り乱した。
お前が気にしてないのなら安心だ・・・。
ほ、本当に気にしてないか?」
「俺は気にしてねえよ。
それに手をつなぐくらいじゃああまり・・・。」
怜の顔が少し赤くなる。
「て、てをつなぐくらい・・・?
お、お前まさか・・・・。」
「?」
なんかおかしなこと言ったか?
「い、いや、お前がそんな男だとしても・・・
理解に、努める・・・が、し、
しばらく時間をくれ・・・。」
とぼとぼと神社に帰って行った。
・・・これ、おれがおかしいのか?
翌日
学園 廊下
「おっ、よっ!神凪。」
「ふぉっ!?」
驚きすぎだろ。
「なんかあったか?」
「じ、実はあの後家族会議で
説教されてな・・・。手をつなぐのは
なんでもない・・と。」
ああ、そのことか。
「お、お前を一瞬でも軽蔑してしまった・・・。
すまない・・・。」
「まじか・・。」
「ああ、私は男女のことに関して疎い。
ずっと、鍛錬の日々だったからな・・・。」
「俺もそんなに詳しいってほどじゃないからな。」
そんな暇もなかったし。
「そういえば・・・。」
「ん? どうした?」
「いや、ふと思ったんだが・・・・
この前の食事は、あれは校則違反ってのに
入らないのか?」
「・・・? 何を言ってるんだ?
私は礼をしたくてお前を食事に誘ったんだ。」
「・・・そうか・・・。」
「・・・な、何かおかしなことを言ったか?」
「いや、なんでもない・・・忘れてくれ。」
気にした俺がバカだったな・・・。
「引きこもりの説得?」
職員室に呼び出されたロウは
担任にそう伝えられた。
「ああ、授業に全く出ていなくてな・・・。」
「で、それがなんで俺なんすか?」
「え? それは・・・あれだよ。」
「あれ?」
「・・・とにかく、頼んだぞ!」
肩をパンパンとたたく。
ロウは職員室から出る。
「・・・ぜってえ面倒押し付けた
だけだろ・・・・くそ・・・。」
<ロウ、移動中>
女子寮 引きこもり生徒の部屋
「まったく・・。」
ドアをノックする。
「すみませ~ん!・・・・いないのか?」
「・・・ぎぃ・・・。」
「ん?」
小さく声が聞こえる。
「・・・『ROOM』。」
小さく青色のドームを出現させる。
「『タクト』!」
カチャリ
おっ、開いた開いた。