グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
学園
噴水前
「風紀を乱す愚か者。ようやく
見つけました。」
「・・・いきなり失礼な奴だな。」
授業を終え、寮に戻ろうと
したロウを紗妃が呼び止めた。
「なんだ、ぴかわ。生憎俺はおまえと
遊んでるほど暇じゃないぞ。」
「あそ・・・! しかも、また
ぴかわと・・・。」
体を怒りで震わせている。
「あなたは、女性にみだりに
口説きまわっているらしいですね!」
「口説きまわる?」
「そのことについて、少し風紀委員室で
事情聴取をさせていただきます。
さあ、おとなしくついてきなさい!」
「・・・ていうのは建前、だろ?」
「・・・!?」
驚きで目を大きく開く。
「大方、俺の調査が無理やり打ち切られたから
いったんは俺をその理由で拘束しようって
わけなんだろ?」
「く・・・!」
「図星か。さぁ、どうする?」
「・・・・わかっているのであれば、
実力行使です!」
「はいそうですか・・・って
行くわけねえだろ。」
そう言って、ロウは走り出す。
「・・・!」
逃げようとしたロウの周りを
風紀の腕章をした生徒が取り囲む。
「ふふ、逃げられると思ったのですか?
風紀委員の網を甘く見ないでください。」
「こうなることは想定済みか・・・。」
紗妃はロウをビシッと指さす。
「おとなしくお縄につきなさい!
愚かな抵抗は無意味ですよ!」
「・・・・・。」
周りの状況を見る。
「すでに周りは風紀委員ばかり。
この網をかいくぐれるものなら
やってみなさい。」
「・・・そうか・・・・じゃあ・・・。」
ズボンのポケットに手を突っ込む。
「さっさと逃げさせてもらうか。」
何か箱のようなものを取り出す。
「ほらよ!」
スイッチを押す。
「うう!?」
まばゆい光が発生する。
紗妃は思わず顔をそむける。
「・・・・・ああ!?」
光がなくなり、紗妃が
顔を上げるとそこに
ロウの姿がなかった。
「く、逃がしましたか・・・・!
待ちなさい、ロウさん!!」
校庭
「く、ロウさん・・・いったい
どこへ・・・・。」
きょろきょろしながら
ロウを探す。
「・・・あら?」
何かの鳴き声が聞こえたようだ。
「猫の鳴き声・・・?
・・・・あっ!」
木を見上げると、そこに
降りられないでいた猫の姿があった。
「危ないですから、早く降りてきなさい!」
猫に向かって叫ぶが、猫は
動けない。
「しょうがないですね、私が行くまで
じっとしてなさい!」
そう言うと、紗妃は木を
上り始める。
「・・・よいしょ。危ないからこちらに来なさい。
いい子だから、ほら。・・・よしよし、
もうちょっと・・・・。」
猫が少しずつ紗妃に近づく。
「・・・ふぅ、これで大丈夫。いい子ね、
よしよし。」
優しく猫をなでるが、
暴れだしてしまう。
「あ、危な!? 暴れないで!
落ち・・・・きゃあ!!」
木から滑り落ちてしまい、
思わず、目を瞑る。
「・・・・・!?」
しかし、落ちた衝撃がなかった。
「た、助かった・・・?」
ふと見ると、紗妃は誰かに
支えられていた。
「あ、助けてくださりありがとうござ・・・・
・・・ああ!?」
「よぉ。」
紗妃を助けたのはロウだった。
助けた本人はにやりと笑う。
「離しなさい! 降ろしなさい!」
じたばたと暴れる。
「なんだまったく。命の恩人に
よくもまぁ・・・。」
「く、屈辱です・・・・・!
あのまま逃げずに戻ってくるなど・・・。
それほどまでに私が容易い相手だと・・・。」
「まあな。」
軽く言い放つ。
「く! ・・・・・・よくわかりました。
これは、宣戦布告とみなしてよろしいですね?」
ちっ、まったくこいつは・・・・・。
心の中で舌打ちする。
「助けていただいたことには感謝します。
しかしそれとこれとは別!」
「そうか、じゃあな、ぴかわ」
スタスタと歩いていく。
「お待ちなさい!」
逃げていったロウを
紗妃は走って追いかけた。
翌日
15:00
「よっし! これであらかた
終わったんちゃう!? 飾りつけ
完璧やよ!」
「まあ、こんなとこだろ。」
ロウは大きく伸びをする。
「部活対抗が始まる前に歓迎会が
できてよかったね!」
ノエルは額の汗を拭う。
「北海道も終わって、年度も替わって、
最初のパーティだから・・・絶対!
成功させなきゃね!」
智花はかなり気合が入っている。
「あらあら、もうほとんど終わっちゃった?」
ゆかりがドアを開け、会場に入る。
「ごめんね、けが人の手当てで
遅れちゃって。」
「ううん、大丈夫! 結構早く
終わったし。」
「ダーリンのおかげなんよ。あとで
お礼せんとねぇ。」
「大してやってねえけどな。」
軽く欠伸をする。
「あとは・・・これをどこに
置こうかな・・・。」
布にくるまれた人形を取り出す。
「わぁ! ありすちゃんに頼んでたの
間に合ったんだね!」
「うん、お祝いする人たちの人形。
見られないように寮から持ってくるの
大変だったんだ。」
「ん? なんで人形の手、糸で
つなげてんだ?」
人形の手を指さす。
「ああ、バラバラにならないように
つなげてもらったんです。」
「ウチら2人で中身が見られんように
こそこそなぁ。すごく頑張ったんよ。」
「これを、机の真ん中に置いてっと・・・。」
慎重に人形を置く。
「うんうん、これで完成って感じね。」
「お楽しみ会のサプライズ! だもんね!
グリモアに来てよかったって、絶対に思って
もらうんだ! ありすちゃんもみんなと
仲良くなれるし。」
「絶対喜んでくれるえ。・・・そしてら、
お楽しみ会は18時からやよ。
ウチはちひろちゃんを招待してくるえ。」
「私は学園長ね。」
「俺はロカだな。」
香ノ葉、ゆかり、ロウはそれぞれ
招待状を取る。
「あたしはねえ、お姉ちゃんに招待状。」
「あら・・・自分で渡すの?」
「うん! 自分で・・・っていうか、
こっそりお姉ちゃんの制服にね!」
「あ、あはは・・・ほほえましい、のかしら?」
「いや、そう言わねえだろ。」
2人は少しあきれる。
「ダーリンも、ちゃんとヤヨイちゃん
連れてくるんやよ?」
「ああ、わかってる。」
「ダーリンがおれば、それだけで
絶対盛り上がるんやから!」
「・・・そういうもんか?」
<ロウ、移動中>
校庭
「あ、兄さん。こんちゃ、どしたの?」
「ほれ。」
ポケットからお楽しみ会の
招待状を取り出す。
「へえ、お楽しみ会! 誘ってくれるんだ!」
「ああ、始まるのは18時だ。」
「うんうん、絶対行くよ! うわぁ、
楽しみだなぁ!」
17:10
お楽しみ会会場
「ふぅ・・・。」
ドアを開け、ロウは会場に入った。
「楽しみだねー。」
「もうだれか来とるかな?」
ドアが開き、智花と香ノ葉が
入ってくる。
「ダーリン! 来てくれたんやね!」
「ロウさん、早いですね!」
「念のためな。」
「・・・ん? なぁなぁ、ダーリン。」
ロウの服の袖を引っ張る。
「どうした、白藤。」
「人形、知らへん?」
「人形?」
人形の置かれていた机を
見たが、人形はなかった。
「ロウさん、お人形、見ませんでした?」
「いや、その机に置いてたんじゃないのか?」
「「「・・・・・・・・・。」」」
3人は黙り込んでしまう。
「・・・なくなってるな。」
「・・・・・えええ!?」
「つ、机の下とかない? 探さな!」