グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第123話 続く嫌な予感

キャンプ場

 

「ふんふんふーん♪ お野菜切って~♪

 どんどん切って~♪」

 

「・・・ご機嫌だな。」

 

「ちゃくちゃくと進行してる

 みたいっすね。」

 

先ほどと同じように近くから

様子を見る。

 

「にしてもすげー量の野菜だな。この

 人数ならそうなるか。」

 

「あんなの序の口っすよ。文化祭の時、

 料理部行ってみたんですが・・・食材が

 山のように。あれは壮観でしたねぇ・・・。」

 

その光景を目をつぶって思い出す。

 

「しっかし、前と変わらず、手元が

 危なっかしいな。」

 

「鼻歌に合わせて切ってるのが怖いっすね。」

 

「んで、テントも張り終えたし、どうするんだ?」

 

「ロウでもつられなかったし、

 ありゃ手ごわいぞ。たぶん。」

 

「あの情熱を利用して、

 ウィンウィンにしちゃいましょう!」

 

手をパンとたたく。

 

「? どういうことだ?」

 

「こうっす。わぁ~ すごい量っすねぇ。

 自分ら、手が空いてるんで手伝いますよ。

 智花先輩のおいしい料理を作るお手伝い、

 させてくださいっす・・・みたいな感じで。」

 

「うまくいくか?」

 

「同じギャンブルなら、勝つ可能性は

 高めにしておきましょ! 大丈夫そうなら

 そのまま任せてもいいですし。」

 

「普段はやる気なんて全然なさそーなのに

 張り切ってんなぁ。」

 

「まあ、そうなるだろ。下手をすれば

 キャンプ場が死体置き場になりかねん。」

 

「恐ろしいたとえっすね・・・。

 でもみんなで無事に帰るためっす!

 智花先輩~!」

 

自由は智花のもとへ走っていく。

 

「ん、自由ちゃん? どうしたの?

 何か用かな?」

 

「いやぁ、すごい量の野菜だなぁと

 思いまして・・・もしよければ自分らも

 手伝いますよ! ちょーど手が空いていて

 暇なんすよ。」

 

「大丈夫だよ。もうすぐ切り終わるから。」

 

予定外のセリフが出る。

 

「で、でも、まだ残ってるじゃないっすか。

 遠慮しないでくださいっす!」

 

「これくらい、いつも調理室で

 やってるから大丈夫!」

 

「おいしい料理作るお手伝い、

 させてくださいっす!」

 

「ところで、お散歩はどうだった?

 いいスポットとかあった?」

 

「う・・・ナチュラルにスルーとは

 強い・・・・。」

 

徐々に自由が折れ始める。

 

「・・・! あ、あったよ!

 すっげーいいところが!」

 

律が助け舟を出す。

 

「ほら、あそこ! あの川辺のとこ

 すっげー気持ちよくてさ! たぶん、

 マイナ・・・マイナス・・・マイナス

 ドライバーが出てんだよ!」

 

「マイナスドライバー?」

 

「音無、それを言うならマイナスイオンだ。」

 

「そ、そうそれ! それが出てるんだ!

 だから一緒に」

 

「きゃ!?」

 

急に智花が叫ぶ。

 

「!? どうした!?」

 

「あ・・・す、少し水をかぶって

 しまって・・・。」

 

「水? 何してんだ?」

 

「お野菜は切り終わったから、次は

 お米を研ごうとおもって。タンクの水が

 重たくて手がすべっちゃった。えへへ・・・。」

 

「ふぅ・・・ふぅ・・・・

 見つけました・・・探しましたよ。」

 

ゆえ子がふらふらしながら

やってくる。

 

「西原・・・顔色悪すぎるぞ。

 大丈夫か?」

 

「少し歩き回っていただけです。

 ご心配なく・・・ところで、お2人と

 ロウさん。少しよろしいですか?」

 

「自分らに? あ、いやな予感・・・。」

 

「しかねえわな。」

 

自由は顔が引きつる。

 

「ご名答です。」

 

ゆえ子は3人に顔を近づける。

 

「ごにょごにょごにょ・・・・」

 

「・・・それ、まじっすか?」

 

自由の顔は青ざめた。

 

 

 

 

 

 

「・・・さっきのはなし、

 まじっすかね・・・まじっすよね・・・。」

 

「西原が見たってなら、おそらくそうだろうな。」

 

「・・・・どうしましょ。」

 

「いやどうするもこうするも、

 阻止するしかねえだろ!」

 

「・・・確かにな。」

 

自嘲気味に笑う。

 

「ここで死屍累々とはごめんだからな。」

 

「まあ、そうっすけど・・・・でも

 どうやって・・・。」

 

「・・・切った材料をこっそり隠す!」

 

「だが、南はそこから離れないぞ。」

 

「飯盒を持ってっちゃうか!?」

 

「予備はいくらでも貸してくれますし・・・。」

 

「米を回収するか!?」

 

「研ぎ終わって水につけてる。

 こっそり持っていくのは無理だな。」

 

「智花を引き離す!」

 

「全部失敗したじゃないっすか・・・。」

 

次々と律が提案するが

ことごとく却下される。

 

「ああー!! もうどうすりゃいいんだー!」

 

「こうなったら、本気で先輩に

 智花先輩を襲わs・・・・やっぱ

 やめましょ、ダメージ来るし。」

 

「? よくわからねえが、このままだと

 全滅する・・・いや、1つ手がある。」

 

「!! なんだ!?」

 

「・・・全て・・・・俺が食う。」

 

覚悟した顔で言う。

 

「そ、そんな・・・無茶すぎっす!!」

 

「心配するな・・・俺は若干だが

 耐性がある。それに死体が大量から

 1つになるだけましだろ。」

 

「ろ、ロウ・・・・お前・・・!」

 

ドォォン!!

 

突如、爆発音が響く。

 

「!? なんだ!?」

 

「爆発音!? こんなとこに魔物っすか!?」

 

3人は周囲を確認する。

 

「・・・なんか、智花の班のとこ、

 カレーが飛び散ってね?」

 

「まじっすか!?」

 

「ああ、本当だ。見事にきれいに飛び散って

 ・・・・って、なんでカレーがはじけたんだ?」

 

「・・・わかんねえけど・・・・

 智花だからなぁ・・・。」

 

それだけで3人は納得した。

 

「と、智花先輩! 大丈夫ですか!?

 やけどとかしてませんか!?」

 

ももが智花に駆け寄る。

 

「ご、ごめんね。騒がしくしちゃって。

 私は大丈夫だけど、他の人は・・・。」

 

「ちょうど周りに人がいなかったので、

 他の人は大丈夫みたいです。」

 

「はあ、よかったぁ・・・もしケガさせちゃったら

 って思ったら怖くて・・・。」

 

「でもどうして急に爆発・・・えと

 カレーがはじけ飛んだんですか?」

 

爆発の表現をなんとか濁す。

 

「お鍋を火にかけて隠し味を入れたんだけど

 それが原因なのかな・・・?」

 

「・・・何入れたんだろう・・・?

 と、智花先輩! あたしも手伝いますよ!」

 

「え、でも・・・」

 

「もしかしたら智花先輩、どこかケガしてる

 かもしれませんし、何かあってもすぐ治療が

 できるようにそばで様子を見させてください。

 これもお仕事の一環ですから!」

 

にこりと笑う。

 

「ふぅ・・・これで一安心っすね。」

 

「ああ・・・。」

 

危うく1人で全部食うとこだった・・・。

 

「まあ、カレーがはじけるなんて

 予想外だったけど・・・。智花、

 最後まで作りたかったはずだしな。」

 

「あ、でも見てください。桃世先輩と

 一緒にカレー作ってますよ。・・・

 いちおー、楽しそう・・っすかね?」

 

「・・・・だな。」

 

「お疲れさまです。」

 

ゆえ子がひょこっと出てくる。

 

「うわ! はぁ、びっくりさせんなよなー。」

 

「もういいのか?」

 

「ええ、休ませてもらったおかげで

 復活しました元気もりもりです。」

 

そう言うが、若干、体が

ふらふらしている。

 

「お2人とロウさんにお伝えしたいことが

 ありまして・・・。」

 

「ま、また嫌な感じっすか?」

 

「いいえ、今回は違います。予知の内容が

 変わりまして・・・メンバー全員がおいしい

 カレーを頬張っている様子が見えました。

 不思議ですね、なぜでしょう。」

 

「「・・・・・・。」」

 

「うっし! あたしも智花んとこ

 手伝ってこよっかな!」

 

「自分の班のとこも見てきますわ。

 今まで全く戦力になってませんしね。」

 

律、自由はそれぞれ戻っていく。

 

「・・・腹痛となることは回避されました。

 よかったですね、ロウさん。」

 

「ああ、助かった。」

 

「・・・ですが」

 

「ん?」

 

「それとは別の出来事も視えまして・・・」

 

「なんだと?」

 

「それもよくないことだというのが

 確かでして・・・。」

 

「まだ何かあるって言うのか?」

 

まさかまだあるとは・・・。

 

「今はぼやけていて、はっきりお伝えすることが

 できません・・・。また詳しいことが見えたら

 お伝えします。」

 

「・・・そうか。」

 

 

 

 

 

 

 

「と、智花、余計なもの入れるなよ?

 ストレートなのでいいんだ。」

 

「そう? はちみつ入れるとおいしいって

 言ってたよ?」

 

「それはまた別の機会にチャレンジしましょ。」

 

「・・・大丈夫なのか?」

 

また不安に襲われる。

 

「・・・みなさん楽しそうでよかった。

 でも、この嫌な予感はなんでしょうか・・・。」

 

ゆっくりと目を閉じる。

 

「むにゃむにゃ・・・・はっ。

 ・・・みなさんが・・・水難に?」

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