グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
「ふんふーん、かおるこは元気な
女の子ー。虎ちゃんは元気な男の子みたいな
女の子ー。」
子供薫子は歌を歌いながら
3人についてくる。
「ま、また虎千代のことをバカにしてるな、
お前!」
「バカにしてないよー。だってホントに
まちがえちゃったんだもん。でも女の子でも
かっこいいよ。笑ったらもっといいと
思うなー。」
「ど、どうしてそんなこと言われないと
いけないんだ!」
「だってー。ニコってしてないじゃん。
ニヤッはするけど。笑ってよー。
ねぇねぇ、こちょこちょー。」
子供虎千代をくすぐり始める。
「わぁ! や、やめろー!」
「すげえいじってんな。」
「・・・なあ、薫子」
「会長、何も言わないでください。」
<ロウたち、移動中>
「なあなあ、なにをちょうさしてるんだ?」
「今は人を探しているんですよ。
はぐれてしまった学園生を。」
「どんな人たち? 白いの?」
子供薫子は薫子の袖を引っ張る。
「いいえ、こちらの男性と同じような
服ですよ。髪の長さが私くらいの人と
十字架を身につけたフランスの方です。」
「・・・なあ、お前は見た?」
「えっとね、えっとねぇ・・・・・
わかんない!」
「虎千代、見たぞ。あっちのほうにいた。」
見た方向を指さす。
「本当か?」
「虎千代は嘘なんかつかない!」
「そうだよ!」
「疑ってなどいませんよ・・・とはいえ・・・
どちらかはわかりません。」
「まあ、とりあえず、案内してもらおうじゃねえか。
それが俺たちが探している相手か、
過去のほうか。」
<ロウたち、移動中>
虎千代はデバイスで連絡をとる。
「確かだな? この近辺で特に事件は
起こっていないんだな? ・・・・わかった。」
通話を切る。
「事件はない・・・まあ、忘れてる可能性は
あるだろうけどな。」
「ですが、あまり長々と連れまわすわけには
いきませんね。ただでさえ、こういったことには
うるさい世の中ですし・・・。」
「実はお前らだって言って信じるとも思えねえしな。」
「頃合いを見て、元の所に帰したほうがいいかも
しれません。」
「えー、やだやだー。かおるこ、
おねえちゃんたちがいいー!」
ロウは軽くため息をつく。
「だって先生、ちょっと怖いんだもの。」
「・・・先生が怖い? どういうことですか?」
「その先生だよ。かおるこにガールスカウトに
来なさいって言ったの。」
「・・・なるほど、それは気になるな。」
「ええ、合流したら検討してみましょう。
表と裏の違い・・・いえ、その教師・・・
引率者の違い・・・!」
「ロウ、ロウ!」
「ん、瑠璃川、お前だったか。」
駆け寄ってきた春乃はロウの
肩を力強くつかむ。
「ここは過去? どのくらいで戻れる?
連絡は?」
「いったん、落ち着けって・・・。」
「瑠璃川、無事だったか。」
虎千代も来る。
「このデバイスを使え。」
春乃にデバイスを手渡す。
「・・・これ・・・表とつながってるの?」
「ああ。連絡が取れれば、多少なりとも
落ち着くだろう?」
「借りるわ。」
足早でその場を離れる。
「・・・瑠璃川があそこまで焦っているのは
初めてだな。無理もないか。」
「! あいつの妹のこと、知ってたのか?」
「ああ。会計から聞いているよ。」
「こんにちは!」
「んん?」
大きな声が聞こえたので、
振り返ってみると、赤いリボンをした
少女がいた。
「・・・もしかして、瑠璃川春乃か?」
「わぁ! お姉ちゃん、どうしてあたしの
名前知ってるの!?」
「え・・・そ、そんな気がしただけだ!
なぁ薫子!」
虎千代は薫子を呼んだが
姿はなかった。
「え? かおるこ?」
代わりに子供薫子がいた。
「やっぱり、あやしい気がする・・・。」
「・・・・アタシは口を閉じたほうがいいな。」
「・・・そうだな。」
「・・・ふぅ・・・。」
ため息をつきながら、通話を切る。
「やっぱり、こんな不安定な状態で
いつまでも・・・。」
「おなやみですか? 神の子よ。」
「ん?」
「わたくしはヴィアンネ教司会のシャルロットです。」
ぺこりと頭を下げる。
「・・・シャルロット?」
「や、やっと見つけました・・・
突然いなくなるものですから、探しましたよ。」
息を切らせながら、シャルロットが
やってくる。
「おっと、2人ともそろったか・・・。」
ロウもそこに合流する。
「おや、瑠璃川さんにロウ様。ようやく
お会いすることができましたね。」
「ひとまず、会長と副会長と合流するぞ。」
「ええ。」
「あなたは、神を信じますか?」
「はあ?」
子供シャルロットはロウに問いかける。
「神を信じますか?」
「生憎だな。神を信じる気はねえし
祈ろうとも思わん。信じるものくらい
自分で決める。」
はっきりと言い切る。
「それは、いたんですね。」
異端の部分を力強く言う。
「強い言葉は正しく使うように異端ではなく
異教です。」
「主の教えでないものをいたんといって
なにがわるいのでしょうか。」
「ディオール・・・どういうことだ?
ずいぶん過激だな。」
「お恥ずかしい話です。しかし、わたくしは
これを話したいと思っていました。」
「しかしまあ、なんで過去に来ると
自分に会うんだ?」
俺は裏にはいねえけど・・・・。
「わたくしにはまったく・・・しかし本人で
なければわからないことがあります。
この時期、わたくしは日本におりませんでした。」
「・・・なるほど。なら日本語も?」
「仰る通りです。わたくしが日本語の訓練を
始めたのはもっとずっとあと・・・。
今の時点で日本語が話せるのは、異常です。
それに、あまり大きな声で言いたくないのですが・・・。」
徐々に声が小さくなる。
「? なんだ?」
「信仰が高じて、多少・・・いえ、かなり排他的な
言動が多くなっています。このままでは危険です。」
「なるほど・・・だったら、このまま帰るわけにも
いかなくなったな。」
「瑠璃川さん。申し訳ありませんが、帰るのは
少し遅くなります。」
「・・・どのくらい?」
不安な顔を浮かべる。
「ここで表との相違点らしきものがありますので
それを確認してからです。霧の嵐はゲートと
違い、東雲さんたちの負担が大きいですから。」
「・・・霧の嵐を、維持することができるの?」
「一度開いたものを完全に閉じないように
とどめておくことが可能です。ただし、あまり
長くありません。最長で半日・・・それを
タイムリミットとし、多少余裕をもって帰還します。」
「それでディオール。日本に来た理由、
あっちは話したか?」
「ええ。というより、ヴィアンネに派遣されなければ
国外には来られません。言語系統も宗教も異なる
日本にわたくしが来る・・・何らかの意図が
あるはずです。」
「そのあたり、聞き出せねえのか?」
シャルロットは渋い顔をする。
「わたくしへの不信感が強いので・・・
粘ってみましょう。」
「・・・とりあえず、ガキども1人1人に
聞いてみるとするか。」