グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第130話 震えるミナ

秋穂とのクエストから数時間後

 

学園

 

校門前

 

「先輩。せんぱーい!」

 

「どうにか来れたか。」

 

ロウは校門の壁に背中を

預けている。

 

「はあ、はあ・・・。お待たせしました。

 えっと、お姉ちゃんを説得して・・・

 怒ってましたけど、許してくれました。」

 

「あいつがか? ・・・ずいぶん

 変わったもんだな。」

 

「やっぱりお姉ちゃん、先輩のこと

 認めてくれてるんですね。」

 

「そうなのか?」

 

「だって、ダメな人は絶対ダメなんです。

 男の人だけじゃなくて女のひとも。」

 

「そうか・・・。」

 

頭を何度か掻く。

 

「特に男の人に厳しいんですけど・・・

 でも先輩なら特別にOKだって!

 びっくりしました。先輩ってすごいんですね!」

 

「で? 今日、ここで待ち合わせたのは

 なんでだ?」

 

「あ、そうです! 今日は先輩とその・・・

 で、でぶりー・・・ふぃんぐを!」

 

「デブリーフィング・・・ああ、あれか。」

 

確か前にアメディックとやったっけか・・・。

 

「守谷さんに聞いたんです。クエストがちゃんと

 できたかどうか・・・それを話すことを

 でぶりーふぃんぐって言うみたいなんです。」

 

「つまり、今日はそれを?」

 

「はい。初めてお姉ちゃんがいないクエスト

 でした。だから先輩にちゃんとできてたか

 訊いてみたいんです! それで、その・・・

 気分転換に学園の外で・・・って・・・。」

 

「なるほど・・・。」

 

「あ、街がいやだったら学園でも

 わたしはどこでも・・・。」

 

「いや、問題ない。最近あまり街に

 行ってなかったからな。」

 

「そ、そうですね! なにかおいしいもの

 食べながらでも・・・。」

 

「んじゃあ、行くぞ。」

 

「は、はい!」

 

 

 

 

 

<ロウ、秋穂、移動中>

 

 

 

 

 

喫茶店

 

2人は空いていた

窓際の席に座る。

 

「ま、まずはでぶりーふぃんぐです!

 ノートも持ってきました。」

 

「よっと。」

 

ロウはカバンから

タブレットを取り出す。

 

「す、すごいですね・・・。」

 

「ん? クエストでもらう報酬から

 考えれば安いもんだろ。」

 

話しながらタブレットを操作する。

 

「んじゃあ、始めるか。」

 

「は、はい。何を書けばいいのかわらないので

 最初は全部書いてみます。わたしの

 戦い方で気になるところがあったらなんでも

 言ってください!」

 

「ああ、わかった。大なり小なり

 全部言ってくぞ。」

 

「き、厳しくっても大丈夫です! そうしないと

 意味がありませんから。よ、よろしく

 お願いします!」

 

 

 

 

 

 

 

 

1時間後

 

「それで、ここの数字が・・・」

 

「へぇ~、その他に・・・こんなに

 たくさん! 知らなかったです・・・!

 デバイスって戦った時の情報がいっぱい

 入ってるんですね!」

 

ロウの言ったことをなんとか

ノートにまとめる。

 

「まあ、これ全部アメディックから聞いたんだけどな。」

 

「よくわからないのもありますけど・・・

 これって、戦闘中に動いた距離?」

 

「ああ、そうだ。」

 

「う~ん・・・・・AAPBってなんでしょうか?

 先輩、わかります?」

 

「確か・・・魔物への攻撃頻度・・・。

 要するにどれくらい魔物に攻撃したって

 いうのを数値化してんだよ。」

 

「わたしがどれくらい魔物に攻撃したか・・・

 な、なんか少ない・・・。」

 

少し落ち込んだ顔をする。

 

「これって、少ないですよね? けっこう

 頑張ったつもりだったのに~・・・。」

 

「俺は・・・まあまあだな。」

 

そう言って、数値を記録する。

 

「次はもっとたくさん攻撃しなきゃ・・・。それに

 えと、これは、うーん・・・やっぱり

 単語が難しいです・・・。」

 

「まあ今日1日じゃな・・・。」

 

俺はどうにか覚えられたが・・・。

 

「先輩、あのぉ・・・今日はでぶりーふぃんぐ

 だったんですけど・・・この戦闘記録の

 見方、教えてもらっていいでしょうか?」

 

「そうか・・だが、時間かかるぞ?」

 

「はい。これだけで夕方になっちゃいそうですけど・・・。

 ・・・あっ! そうしたら、あの、また

 今度、でぶりーふぃんぐに!」

 

「ん?」

 

「今日教えてもらって、明日自分で

 まとめて、先輩に見てもらいたいです!」

 

「・・・その方が手っ取り早いな。

 よし、そうしよう。」

 

タブレットの記録をロウは

パソコンに送信する。

 

「よ、よろしくお願いします! ・・これで

 また先輩と街に・・・。」

 

「ん? なんか言ったか?」

 

「ひゃう! な、なんでもないですぅ・・・。」

 

秋穂は顔を赤くし、隠した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後

 

裏世界

 

地下通路

 

ロウはミナ、恋たちを連れ

裏世界に来ていた。

 

「さ、サーヴァント! ここはいったい・・・?」

 

「さっきも言ったろ、ゲネシスタワーだよ。」

 

「やだ! ジェネシスの方がかっこいい!」

 

「何のこだわりだよ・・・。」

 

ため息をつきあきれる。

 

「それに意味は同じじゃろ・・・確か、

 ここに大人の宍戸がおるんじゃったか。」

 

「ああ、そうだ。」

 

「ロウ。大人の宍戸に会った宍戸はどうじゃった?

 困ったり、不思議がったりしておらんかったか。」

 

「裏の宍戸はどんな感じなんだ?

 声聞いたけど、ふつうそうだったぞ!」

 

「いや、今回はな・・・」

 

「2人とも、声を落として。」

 

チトセはしーっと口に指をあてる。

 

「もうすぐ、この地下を抜けるから。」

 

「なに? 宍戸のところに行くのでは

 ないのか?」

 

「違うわ・・・今回の行き先は宍戸博士の

 部屋じゃない。宍戸結希さんと宍戸博士の

 2人は新たな情報を確認しているの。」

 

「・・・・・。」

 

「私たちが会う『レジスタンス』は・・・・・

 この先、地上に出たところよ。」

 

「ってことだ。・・・・行くぞ。」

 

 

 

 

 

<ロウたち、移動中>

 

 

 

 

ロウたちは警戒しながら

地上に上がる。

 

「・・・ん? ここ・・・・もしかして

 隣の七枷市か?」

 

ミナは落ち着きなく

きょろきょろと周りを見る。

 

「そうみたいじゃのう。見覚えがあるぞ・・・。

 しかしまあ、廃墟じゃな。」

 

恋の言葉通り、建物はボロボロであり

人の気配はない。

 

「その通り。七枷廃墟よ。そして・・・・・

 ここに、レジスタンスがいるわ。」

 

「・・・うぅ・・・。」

 

「? 風槍、どうした?」

 

ミナの体は震えていた。

 

「な、なんでもない! 怖くなんか

 ないからな!」

 

「しかし、人っ子1人おらんからのぅ。

 廃墟にしても静かすぎじゃ。これが

 裏世界か・・・。」

 

「あら? 南条さん、裏世界は2回目

 じゃなかったかしら?」

 

「そうじゃが、前に来たときはゲート近くの

 調査だったじゃろ? あの時は国軍が

 一緒におったからのぅ。賑やかじゃった。」

 

目を閉じ、その光景を思い出す。

 

「そうね・・・ここまでくると、私たち

 だけだものね。でも人がいないわけじゃないわよ。

 隠れてるだけ。」

 

「・・・隠れてる?」

 

ミナの眉がぴくっと動く。

 

「まあ、若干気配はするからな。」

 

「きっとレジスタンスね。」

 

「なにゆえ? わっちらが来ることは

 事前に伝えておるんじゃろ?」

 

「遊佐さんの時もそうだったわ。こちらでは

 何もかも信用できないの。魔法使いの勢力は

 それほど弱っている。」

 

「ずいぶん他人事みたいに言ってるが、

 朱鷺坂、裏世界側の人間だろ?

 レジスタンスは知り合いじゃないのか?」

 

「この姿ではね。まあ・・・昔のことだから

 私もなかなか覚えていないけれど。事情は

 本人たちから聞いた方が早いわよ。」

 

まわりをちらっと見る。

 

「か、隠れてみてる臆病者に会って

 どうなるというのだ!」

 

「どうした、急に。」

 

「ふん! 我は最強の魔法使いなのだ!

 その我に協力を求めるなら、相応の

 もてなしがあってこそじゃないか!

 こんなことなら、協力してやらないもんね。」

 

「ええっと・・・本当に、どうしたの?」

 

「怖いんじゃよ。ミナも。」

 

恋の言う通り、ミナの手は震えていた。

 

「なにせ、成長した自分に会うという。

 しかもレジスタンス。わっちとて

 怖い。じゃろ?」

 

「まあ、そりゃそうか。」

 

・・・裏に俺はいないけどな・・・。

 

「こ、ここ怖くなんか・・・怖くなんか・・・」

 

「・・・大丈夫よ。なにがあっても、

 私が守ってあげるから。」

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