グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第131話 対面

「うわー、こりゃめんどくさいなー・・・。」

 

ヤヨイは顔を強張らせ、

頭を掻く。

 

「どうした、ロカ。」

 

「あ、兄さん。まずいねー、この七枷市?だっけ。

 建物が中途半端に残ってるから、死角だらけ

 なんだよね。」

 

「そうか・・・。」

 

「代わりに地図がある。こういった場所は

 こっちに任せな。」

 

「! ウィリアムズ。」

 

「市街戦は冒険家より軍隊の領分だ。

 精鋭部隊のメインステージだからな。

 来栖! テメーまさか、まだヒヨってん

 じゃねーだろうな!」

 

焔に喝を入れる。

 

「ちっ、言ってろ。」

 

「久しぶりにアタイらが好きにできる。

 せめてカンを取り戻せよ。」

 

「わかってるよ・・・先、見てくる。」

 

そう言って、焔はスタスタと進む。

 

「あ、アタシも行った方がいいよね?

 来栖さん、待ってー!」

 

ヤヨイは焔を追いかける。

 

「来栖のヤツ、大丈夫なのか?」

 

「心配すんな。この程度のミッション、

 アイツがふぬけててもこなせる。

 アタイらは未来の自分に会う可能性なんて

 ねーし、不安になることもねえ。」

 

「それは俺もだがな。」

 

「『未来の自分』に会う連中にゃ

 同情するぜ。・・・だがわかんねーな。」

 

「何がだ?」

 

「裏の連中を表に連れてくることだ。

 そんなの・・・OKするヤツなんているのかよ。」

 

「・・・・・。」

 

確かにその可能性はほぼ・・・・。

 

ロウの表情は険しくなった。

 

 

 

 

 

 

「駅がここから東。南に山が見えるってことは・・・

 やっぱりここは七枷の端っこだな。」

 

焔は地図を見て確認する。

 

「レジスタンスの拠点があるのは・・・

 ・・・ん?」

 

焔の前に緑と赤のオッドアイの

女性が出てくる。

 

「・・・・・・。」

 

「アンタ、まさか・・・風槍、ミナか。」

 

裏のミナに近づこうとする。

 

「そこで止まって。」

 

手をかざして焔を止める。

 

「? アンタたちに会いに来たんだぞ?」

 

「ええ、わかってる。けれど今、私たちは

 簡単にアジトを教えられない。仲間に

 伝えてちょうだい。もうしばらく様子を見させてもらう。

 ()()の影がないことを確認したら会うわ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・だとよ。」

 

焔は裏のミナに言われたことを

ロウたちに伝えた。

 

「わ、我に会ったのか!?」

 

「ああ・・・だけどあれは・・・・

 なんつーか、全然、違ったな。」

 

「ち・・・違う・・・?」

 

「ま、そうだろうな。なんせ10年も

 経っていればな。それにここは

 表よりも壮絶なはずだ。」

 

「・・・・・・。」

 

黙ってうつむく。

 

「とにかく、その連中ってのはJGJのことで

 いいのかな。そいつらがいないか確認しない限り

 会えない。・・・ってことだよね?」

 

「だな。まあ、今のところそんな気配はしないけどな。」

 

「私も感じないわ。このころのJGJが私たちの

 知らない技術を持っているかもしくは、

 念には念をってことかしら。」

 

「おい、朱鷺坂。」

 

「どうしたの?」

 

首をかしげる。

 

「どうしたの? じゃねえよ。テメーは

 こっち育ちだろうが。言い換えりゃ、今この時点

 テメーはこの世界のどこかにいるってことだ。

 だいたいのことは知ってるだろうが。話せ。」

 

「・・・私より、本人たちに訊いた方がいいわ。

 私も伝聞で知ってるけど・・・この時期は

 トランシルヴァニアに帰っていたから。」

 

「! じゃあ、レジスタンスとは一緒に

 戦っていないのか?」

 

「いえ、今から5年位前は私もレジスタンスの

 一員だった。だから私が変身を解けば

 彼女らにも伝わると思う。」

 

「じゃ、じゃあ早く変身を解け!

 そうすればすぐに・・・。」

 

「ミナ、話を聞かんか。」

 

恋はミナをおさえる。

 

「わっちらはまず、尾行されていないか

 確認せねばならん。」

 

「アタシたちには宍戸さんのトラッキングデバイスが

 ついてる。もし相手がそれを検知して判断

 してるなら、どこかで外さなきゃね。」

 

「・・・ったく、めんどくせえな・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「場所は、なんとか思い出せるわ。ここに

 いたら、記憶がよみがえってくる。」

 

チトセはゆっくりと目を閉じる。

 

「地下鉄はゲネシスタワーにも

 通じてるのか?」

 

「ええ。あの複雑な地下迷宮にアクセスできるはず。」

 

「んじゃあ、前回行ったときのあの足跡は」

 

「まあ、レジスタンスの人だろうね。博士の

 部屋には頻繁に行ってるみたいだし。」

 

「・・・あの魔物を避けて、か。

 生天目さん、どうなってるかしら?」

 

つかさは地下の魔物と

ある時まで戦うことになっていた。

 

「そろそろ諦めてくれるといいんだけど・・・。」

 

大きくため息をつく。

 

「・・・なあ、ほ、本当にレジスタンスの

 ところに行くのか?」

 

「今更何を言っておる。そのために裏世界に

 来たんじゃろうが。」

 

「うぅ・・・だって・・・。」

 

「なんだ、そんなに自分に会いたくないか。」

 

「違う! 我は会いたくなんかない!

 我はそんなこと気にしないんだ!」

 

「別に何を考えてもいいが、すぐに戦える

 準備はしとけよ。テメーらも魔法学園の生徒だ。

 守ってもらえると思ったら大間違いだからな。」

 

「ふふふ、わかっておるよ。ミナは

 わっちに任せておくといい。気遣い、

 感謝するぞ。」

 

「・・・ちっ、やりにくいヤローだ。」

 

照れから顔をそむける。

 

「おい、ファニーガール。」

 

「ふぁ、ふぁにー?」

 

「裏世界のヤツらは同姓同名の他人だ。

 それだけ歴史が違う。テメーがレジスタンスと

 アタイらを繋ぐ、最初の生徒だ。ふぬけてんなよ。」

 

頭を小突いて、去っていく。

 

「・・・お、怒ってる?」

 

「まさか。叱咤激励してくれたんじゃよ。

 あやつもいいところがある。いめーじだけで

 人を見てはいかんのう。」

 

「・・・恋、前から思ってたんだけどさ。

 恋ってほんとに我と同い年か?」

 

「な、なにを言うか! 失礼な!」

 

 

 

 

 

 

「・・・ふぅ・・・。」

 

そのころ、ロウたちは

現れた魔物を倒していた。

 

「ロウ、魔力、もらっていいか?」

 

「・・・ふっ、あの時とは随分違うな。」

 

「ちっ・・・。」

 

「このあたりの魔物は掃討したわね。

 それじゃあ、私は・・・。」

 

目を閉じるとチトセの体は

光に包まれる。

 

光が消えるとチトセは

アイラの姿になっていた。

 

「!?」

 

「それ久しぶりに見たな。」

 

「今ではこの姿の方がしんどいが・・・

 まあ、仕方ない。すぐに戻ればよし。

 さあ、レジスタンスの元に向かうぞ。」

 

そう言ってアイラ(チトセ)は

歩き始める。

 

 

 

 

<ロウたち、移動中>

 

 

 

 

「・・・風槍ミナ! どうじゃ、お主らの

 条件はすべてクリアしたぞ。」

 

「・・・あなたは。」

 

物陰から裏のミナが出てくる。

 

「あなたは、東雲アイラ!? 5年もどこで

 何をしていたの!?」

 

「うむ、5年どころではないが・・・

 紆余曲折あって、仲介役をしておる。

 ちなみに今の妾はトランシルヴァニアじゃ。」

 

「・・・どういうこと?」

 

「今の妾のことはどうでもよい。ほれ、

 ミナ、南条。出てこい!」

 

「・・・お主が・・・。」

 

ゆっくりとした足取りで

恋が出てくる。

 

「お主が・・・こちらのミナか。」

 

「・・・恋・・・ああ、まさか・・・

 学園にいたころの恋・・・。半信半疑だった

 けれど、本物だったということね。」

 

「ん?」

 

アイラ(チトセ)が何かを探す。

 

「おや? 待て待て。ミナはどこに行った?」

 

「・・・逃げた。」

 

「はあ?」

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