グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第7章 弱音
第133話 ロウと七撫


学園

 

「・・・来たか。」

 

開いていたデバイスの

画面を閉じる。

 

「あなたが・・・ああ、あなたが

 相田ロウ君!」

 

「ああ、そうだが。」

 

「やっと会えた・・・あ、いや、

 そういう意味じゃなくて・・・。」

 

「? そういう意味?」

 

首をかしげる。

 

「な、なんでもないから! 実は、

 私たちの部隊でよく話題に上がってたの。」

 

「そうだったか。」

 

今まで潜んで生きてきた分

妙に目立つようになってきたな・・・。

 

「いろんな事件の時、中心になって

 活躍してたのがロウ君だって。結構前だけど・・・

 JGJの時も一緒にいたんだけど・・・気づいてた?」

 

「・・・・・・・・・。」

 

一生懸命思い出そうとする。

 

「えっと・・・思い出せないなら

 いいんだけど・・・。」

 

「そうか、悪いな。」

 

「まあ、でも、それでいいの。私たちって、

 秘密部隊のようなものだから。」

 

「そうだったのか・・・・えっと・・・・

 誰だ?」

 

「あ、ごめんなさい。自己紹介しなきゃ。

 私は東北守備軍特殊魔法隊の浦白七撫。

 7回撫でるって書くの。」

 

「・・・浦白・・・。」

 

そういやいたな・・・・

スパイくせえ感じだったが、本当に

スパイとは・・・。

 

「あと、こっちが」

 

「ん?」

 

七撫の手の上で浮いていた

サボテンを指さす。

 

「サボテンのメノコ姉さん。」

 

「姉さん?」

 

「私の相棒っていうか・・・モンスターって

 知ってる?」

 

「ああ、人を襲わない魔物だろ。」

 

「そうなの。姉さんもそうだから、

 討伐しちゃわないでね?」

 

にこりと笑う。

 

「一応、魔法隊では戦ってたんだけど・・・

 学校通ったりするのって久しぶりなの。」

 

「そうか。」

 

「・・・って、ごめんなさい。

 これから、クエストだったね。戦いの経験は

 あるからまかせて。じゃあ、よろしくお願いします。」

 

 

 

 

 

<ロウ、七撫、移動中>

 

 

 

 

 

数時間後

 

「・・・ん?」

 

七撫は何か違和感を感じたのか

時計を確認する。

 

「もうこんなに時間が経ってる・・・・・。

 あっ、あなたが魔力を補充してくれるから

 疲れてないんだ!」

 

「そんなに違うのか。」

 

自分じゃ体験できねえし・・・。

 

「うん。これなら、確かに

 隊長が欲しがるかも・・・。」

 

「隊長?」

 

「知らないと思うけど、あなたって軍の中じゃ

 結構有名なのよ。すごい新人が出てきたって

 ずっと噂が絶えなくて・・・。」

 

「そこまで・・・。」

 

いろいろ面倒そうだな・・・。

 

若干、顔を渋らせる。

 

「でも、学園にいる間のあなたの情報って

 なぜか手に入らないんだ。」

 

「んな簡単に流れるかっての。」

 

「どうもそうみたいね。1度、情報が流出

 したことがあったんだけど、結局

 ダミーだったみたいだったし。」

 

・・・遊佐と服部の仕組んだあれか・・・。

 

「だから時々、大きな事件のレポートを手に入れたら

 みんなずぅっと読んでたの。どんな人かなぁって。」

 

「そんなに気になるか?」

 

「だって、人類の希望って言われてるし・・・

 みんなで似顔絵を描いたりして・・・。」

 

「似顔絵? どんな顔なんだ? 俺。」

 

「ん? その時の顔・・・」

 

表情が強張り始める。

 

「どうした?」

 

「あ、えっと、き、気にしないでね?」

 

どんな顔書いたんだよ・・・・。

 

「・・・ん。」

 

気配を察知する。

 

「ま、魔物だね! 浦白七撫、行きます!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ・・・・何とか終わったな。」

 

「うん、さすがに疲れちゃった。」

 

ロウは大きくあくびをし、

七撫は軽く伸びをする。

 

「んじゃあ、とっとと帰るか。」

 

「あ、ちょっと待って! その前に・・・」

 

「?」

 

「少し、街によっていい?」

 

 

 

 

 

<ロウ、七撫、移動中>

 

 

 

 

 

風飛市内

 

「へぇ~、ここが風飛市なんだ。

 さすが小都心って言われてるだけあるね。」

 

きょろきょろと周りを見る。

 

「俺も最初見たときは結構

 びっくりしたもんだ。」

 

「隊にいたころは、あまり観光できなくて

 お金もあったけど、使うところがなかったし。」

 

「金はあまり使わないのは俺も同じだ。」

 

「私は・・・」

 

言葉を途中で止める。

 

「ん?」

 

「・・・実は、ロウ君にちょっと、

 訊きたいことがあって。」

 

「・・・・。」

 

・・・やっぱそう来るか・・・。

 

軽くため息をつく。

 

「・・・なら、立ち話もなんだろ。

 どっか入るか。」

 

「・・・うん。」

 

 

 

 

 

 

喫茶店

 

「・・・ふぅ。」

 

ブラックコーヒーを一口飲む。

 

「で? 何が聞きたいんだ? 浦白。」

 

「・・・・。」

 

七撫はロウの目をじっと見る。

 

「・・・この間、水無月さんに聞かれたんだけど・・・

 ロウ君って・・・。」

 

「待て。」

 

手をかざして言葉を遮る。

 

「まあ、みなまで言うな。・・・俺を、

 霧の護り手かどうか疑ってんだろ?」

 

「!」

 

「安心しろ。水無月の方にも言っといたが

 俺は一切そんな思想持っちゃいない。」

 

そう言い切り、コーヒーを飲む。

 

「そ、そうなんだ・・・よかったぁ・・・。」

 

安心したようで胸をなでおろす。

 

「話はそれだけか?」

 

「あ、う、うん。ごめんね、急にこんな話・・・。

 私もいたから、いろいろ気にしちゃって・・・。

 戻っても思想がどうのって、肩身が狭かったの。」

 

「まあ、俺もまだ色々と疑われてるしな・・・。

 ある意味どこか似てるな。」

 

自嘲気味に笑う。

 

「ロウ君・・・。」

 

「んじゃあ、俺は学園に戻る。」

 

そう言って、立ち上がる。

 

「報告と会計は俺がしておくから

 ゆっくりしとけ。」

 

「え、あ、うん!」

 

「じゃあ、またな、浦白。」

 

ロウは店を出た。

 

「・・・・・・。」

 

その姿を七撫は黙って見送った。

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