グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第134話 方向音痴

学園

 

「こんにちは、先輩!」

 

「・・・やけに嬉しそうだな、我妻。」

 

ロウの言う通り、浅梨はロウを

じっと見て、ニコニコしている。

 

「やっと、やっとなんですよ!

 私、先輩とクエストに行けることになって!」

 

「そうなのか?」

 

デバイスを確認すると、

確かにクエストが入っていた。

 

「ずっと待ってたんです! だから今日は

 嬉しくて嬉しくて! 昨日の夜は早く寝て

 3時に起きたんです! 絶対遅れないように!」

 

「早すぎだろ・・・。」

 

「けどそのおかげで、ちょうどさっき、

 学園に到着しました。」

 

そういや、方向音痴だったな・・・。

 

「クエストもデバイスが壊れる前に

 受注できましたし・・・もう、誰も

 私と先輩の邪魔はできませんよ!」

 

浅梨はロウの服の袖をつかむ。

 

「さあさあ、行きましょう!」

 

「おい、そんなに引っ張るなよ。」

 

「少しでも先輩と一緒にいたいんです!

 ほら、急いで先輩!」

 

今度はロウの手を握って引っ張る。

 

「急がないと、クエストが始まる前に

 日が暮れちゃいます。すごく遠いんですから!」

 

「それお前だけだよ・・・。」

 

 

 

 

<ロウ、浅梨、移動中>

 

 

 

 

「わぁ、いい天気ですね! これなら、

 火の魔法もばっちりです! 任せてください!」

 

「やけに気合い入れてんなぁ・・・。」

 

「だって、先輩とパーティ組むのを楽しみにしてたんです!

 先輩と2人で魔物を倒して・・・・

 だんだんと距離が近づいていって、最後は・・・えへへ。」

 

浅梨は目をつぶって想像し、

徐々に顔がにやけてくる。

 

「何想像してんだ・・・・・。

 ほら、とっとと行くぞ、我妻。」

 

「あ、はい。では、出発です!」

 

 

 

 

 

<ロウ、浅梨、移動中>

 

 

 

 

 

地下鉄工事現場

 

「うわぁ、なんかジメジメしてきましたねぇ・・・。」

 

「この季節だしな。」

 

2人は流れた汗を拭う。

 

「ちょっと視界も悪くなってきたし・・・

 もしかしたら道に迷うかも・・・。」

 

「いやもしかしなくても迷うだろ・・・。」

 

あきれて、ため息をつく。

 

「先輩、大丈夫ですか? もし迷っても

 安心してくださいね!」

 

「できねえって・・・。」

 

「私、こう見えても道を覚えるのが

 得意なんです!」

 

「どの口が言ってんだ。」

 

「大丈夫ですよ! 趣味で迷路を攻略

 したりしてますし。どんな迷路もえっと・・・。」

 

指を折って数え始める。

 

「だいたい、3日くらいで突破できるんですよ!

 えっへん!」

 

「・・・・・。」

 

自慢げに胸を張る浅梨を

ロウは不安な目で見る。

 

「ここまでくる間にも、いろんな

 目印を覚えてきてるんです。」

 

「・・・念のため聞いておこう。

 例えば、なんだ?」

 

「そうですねぇ・・・ちょっと前に

 緑色のトカゲさがいたんですけど・・・

 それを左に曲がる、という感じです。」

 

「・・・・・。」

 

だめだ・・・ぜってぇ迷う・・・。

 

ロウは頭を抱えた。

 

「先輩、大丈夫ですよ! 絶対にいますから。

 いなかったら場所がちょっと違うので、

 探してみたらいいんです。」

 

「そうなってりゃ苦労はねぇ・・・・ !」

 

「見つけたところが正しいところなので

 左に曲がれば・・・・・先輩?」

 

「目の前。」

 

ロウが指さした方向には

魔物が3体ほどいた。

 

「あ、はい、魔物ですね!

 浅梨、行きます!」

 

そう言って、浅梨は駆け出す。

 

「えい!」

 

杖から出た光が魔物に降り注がれる。

 

魔物は徐々に苦しみだす。

 

「たまには使っておくか・・・。」

 

懐から銃を出し、魔物へ向ける。

 

「・・・・!」

 

引き金を引く。

電気の弾が発射され、魔物の動きを止める。

 

魔物はロウに攻撃を放つ。

 

「ち・・・!」

 

ぎりぎりでかわし、引き金を引く。

電気の弾が発射され、魔物の動きを止める。

 

魔物は倒れ、霧になった。

 

「ふぅ・・・あれ、先輩?」

 

「? どうした、我妻。」

 

「大丈夫ですか? けがしてませんか?」

 

ロウの腕や体を確認する。

 

「特にしてねえよ。」

 

「・・・先輩の体、おっきいですね・・・。」

 

「? ・・・おっと。」

 

浅梨の戦闘服からデバイスが落ちる。

 

「ほれ、もう少しで落ちるとこだったぞ。」

 

「ああ、ありがとうございます!

 ・・・・・・あれ?」

 

「なんだ?」

 

浅梨のデバイスをのぞき込む。

 

「う~ん・・・私のデバイス、不良品みたいで・・・

 よく壊れちゃうんですよ。」

 

「はあ?」

 

ロウは浅梨のデバイスを操作しようとするが

一切反応しない。

 

「・・・確かに、全然反応しないな。」

 

そんな簡単に壊れるか・・・?

 

「あ・・・ここの地図・・・どうしましょう・・・。」

 

「仕方ねえ。俺のデバイスでも見てろ・・・って

 言いたいが、俺のも壊れたらまずいから

 紙のやつやるよ。」

 

そう言って、紙の地図を手渡す。

 

「先輩が用意のいい人で助かりました。

 でもこれ、どこが今の場所なんでしょうか?」

 

浅梨はじーっと地図を見る。

 

「うーん・・・スタート地点がここで・・・

 そこからこう来たから・・・・・こっちですね!」

 

「・・・・・・・。」

 

不安な目で見る。

 

「大丈夫ですよ! すぐに魔物のところにつきますから!」

 

「どこから来るんだろうな、その自信は・・・・。」

 

・・・念のため、デバイスの電源切るか・・・。

 

 

 

<ロウ、浅梨、移動中>

 

 

 

 

ロウは浅梨の案内で奥へと進んでいた。

 

「先輩、ほら! あそこです!

 あそこに魔物がいますよ。」

 

「おっ、本当だ・・・・。」

 

本当に着くとは・・・・。

 

「ね? まっすぐ魔物のところまで

 来れました!」

 

「ああ、あれを倒せばこのクエストも

 終わりだ。」

 

「はい! 頑張りましょう!」

 

互いに構える。

 

「『ROOM』!」

 

青色のドームが張られる。

 

「はぁ!」

 

光が魔物を包み込む。

 

「『タクト』!!」

 

周りの魔物を動かせて

浅梨の光にあてさせる。

 

魔物はまだ抵抗し、霧散しない。

 

「え~い!!」

 

強烈な光を放つ。

魔物は苦しみだす。

 

「『ラジオナイフ』!」

 

一気に魔物数体を切り裂いた。

 

うめき声をあげて、魔物は霧となる。

 

「よし・・・・。」

 

「お疲れさまでした! 完全に霧へと

 戻ったのを確認しました!」

 

敬礼のポーズで言う。

 

「なんだそれ。」

 

「あ、これ、IMFで魔物を倒した時に

 言うみたいなんです。かっこよかったんで

 言ってみたんですけど、どうでした?」

 

「いいんじゃねえか? 引き締まる感じがある。」

 

「はあ、よかったぁ・・・。・・・今日は、

 一緒に来てくれてありがとうございました。

 先輩と一緒だと、ちょっとしたアクシデントも

 楽しいですね。」

 

「俺からしたらちょっとしたじゃねえけどな・・・。」

 

頭をポリポリと掻く。

 

「やっぱり、先輩もIMFに入ってほしいです。」

 

「・・・IMF、ねえ・・・。」

 

「同じ年に卒業するので、考えておいてください! ぜひ!」

 

「・・・まあ、考えてはおくか。」

 

「!!」

 

顔が一気に明るくなる。

 

「そ、それじゃあ帰りましょうか!」

 

「ああ、てか、場所わかんのか?」

 

「はい! こっちから行けばすぐですよ!

 すぐに軍のヘリが見えると思います!」

 

「・・・我妻、そっちは逆だ。」

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