グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第136話 消えた兎ノ助

学園

 

結希の研究室

 

「・・・よし、これからアンタの

 メンテナンスを始めるわ。」

 

そう言った天の前では

兎ノ助が横たわっていた。

 

「いつもサンキュな。科研がつぶれて、

 どうなるかと思ったが・・・学園でメンテ

 できるなら、これまでより楽だしいいな!」

 

「ここには専用の機材がないから、最低限の

 ものだけよ。科研が再建されたら、そっちで

 やった方がいいに決まってる。」

 

「わかってるよ。それじゃ、頼むな。」

 

「ええ、それじゃアンタの電源

 切るからね。」

 

兎ノ助は目を閉じ、

天は兎ノ助の頭に触れた。

すると、兎ノ助は寝息をたてた。

 

「・・・()()、OK。」

 

「あなた、催眠の魔法、上手になったわね。」

 

「結希・・・ふん、このくらい、2年も

 経てばできるようになるわよ。」

 

「催眠は適正が限られてる特殊な

 ものなのだけどね。」

 

「それより、目覚める前にさっさと

 終わらせるわよ。」

 

「ええ。」

 

結希は兎ノ助の体をいじる。

 

「・・・外装、とったわ。」

 

「この兎は成長している。もしかしたら

 魔法の効き目が弱・・・」

 

天は途中で黙る。

 

「・・・?」

 

「う・・・ん・・・・」

 

兎ノ助が起きそうになる。

 

「!! 天! 魔法を準備して!」

 

「!? 姿がはっきりしてる!

 こんな時に・・・!」

 

「また成長したんだわ! このままじゃ

 起きる!」

 

「う~ん・・・あれ?」

 

兎ノ助は目を開ける。

 

「兎ノ助! 目を開けないで!」

 

「なんだなんだ? まだ途中だった・・・

 ・・・の・・・か・・・・。」

 

近くにあったガラスに映った

姿を見て、兎ノ助の声は震え始めた。

 

「・・・・・・。」

 

「もう1度かける! 動かさないで!」

 

「・・・な、なにこれ・・・・・

 これ・・・俺・・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

図書室

 

「・・・ふぅ・・・。」

 

イヴは小さくため息をつく。

 

「特級危険区域の調査、お疲れ様です。」

 

萌木が話しかける。

 

「私はなにもしてないわ。せいぜい、

 後方から支援した程度。テロリストに集中

 するためと、前線を外されたから。」

 

「でもぉ、本部が魔物さんにぎゅ~って

 されそうになったんですよねぇ~?

 とってもすごいですぅ~!」

 

「七喜さん、あなたはまだ魔物と

 戦えないの?」

 

「えっとぉ・・・えっと・・・なんだか、

 怖いんですぅ~。がんばらなきゃって

 思ってるんですけどぉ~・・・。」

 

「・・・トラウマは簡単には消えない。

 そこのロウさんみたいに・・・」

 

「あ?」

 

話に上がったロウは

ぶっきらぼうに返事する。

 

「魔法使いになった当初からクエストを

 請け続けているのがおかしいだけよ。」

 

「お前それ遠まわしにディスってねえか?」

 

「た、確かにトラウマを克服するには

 時間がかかるから・・・あんまり気にしないでね、

 ちひろちゃん。」

 

「・・・ったく・・・。。」

 

ピピピピピ!

 

「ん?」

 

ロウのデバイスが鳴り、開く。

 

「・・・・。」

 

「ロウさん、どうしました?

 クエスト発令ですか?」

 

「お前らはどうだ?」

 

「私のデバイスには来てないですね。」

 

「わたしにも来てません~。」

 

「・・・私にも発令されてません。」

 

ロウ以外には来ていなかった。

 

「そうか・・・まあ、宍戸からだ。

 なんか用があるらしい。」

 

「宍戸さんから? ・・・・・

 私も行きます。」

 

「はあ?」

 

「発令されていまいが、知ったことでは

 ありません。発令者が宍戸さん。あなただけに

 届いている。何かある。」

 

「・・・・はあ、めんどくせえ・・・・。」

 

 

 

 

<ロウたち、移動中>

 

 

 

 

結希の研究室

 

「・・・どうしてあなたたちまで・・・。」

 

結希は少し困惑した表情を浮かべる。

 

「いてはいけませんか。」

 

「え~と・・・えっとぉ・・・。」

 

「な、なんででしょう・・・・。」

 

イヴ、ちひろ、萌木がついてきていた。

 

「まあ、たまたまいてな・・・・

 んで、何が起こったんだ? 宍戸。」

 

「・・・・こうなったら仕方ないわね。

 ・・・今、天と双美さんが場所を探している。場所が

 わかり次第、双美さんは私たちと合流してもらう。

 かわりに霧塚さんが天と残ってサポートをお願い。」

 

「は、はい!」

 

「あなたたちには『ターゲットの確保』を

 お願いするわ。」

 

「ターゲットの確保? 魔物討伐では

 ないのですか?」

 

「違う・・・・ ! これを見て。

 場所は旧科研。」

 

地図を出し、指さす。

 

「旧科研・・・前に調査したところか。

 霧の護り手は占拠してたんだったな。」

 

・・・そして・・・あいつが・・・・・。

 

「ええ。でも今回は霧の護り手とは関係ない。

 今から映すものを速やかに回収して。」

 

パネルにあるものが映し出される。

 

「!!」

 

「・・・こ、これ・・・・。」

 

「兎ノ助よ。」

 

「・・・!?」

 

「え!?」

 

「・・・これが・・・あいつ・・・・?」

 

 

 

 

 

<ロウたち、移動中>

 

 

 

 

 

旧科研

 

「・・・ここに兎ノ助が逃げ込んだのか。」

 

周りに気配を感じ、ロウは

きょろきょろする。

 

「は、はいぃ・・・そうみたいですぅ・・・・

 間違ってたらすみません・・・。」

 

「いえ、間違ってないわ。兎ノ助はここで

 生まれた。相当なショックを受けたら・・・

 ここに帰ってくるのは必然。」

 

「ったく、面倒なところに・・・。」

 

「ロウ君。」

 

ロウの肩を誰かがつつく。

 

「ん? ああ、浦白か。この間ぶりだな。」

 

「うん。今回は宍戸さんに呼ばれたんだ。

 なんでかはわからないけど・・・このサボテン、

 メノコ姉さんに関心があったみたい。」

 

「・・・へえ・・・。」

 

ロウはポケットに手を突っ込み、

何かを取り出し、それを壁に貼り付けた。

 

「んじゃ、俺は冬樹と七喜のところに

 行ってくる。」

 

「あ、う、うん・・・・。」

 

「・・・・・さぁて・・・。」

 

ロウはにやりと笑った。

 

 

 

 

 

 

ロウはイヴ、ちひろと

兎ノ助を探し始めた。

 

「・・・ここの建物、いったいどういうこと?」

 

奇妙な様子にイヴは何度も

きょろきょろする。

 

「えっと・・・とにかく、うさちゃんを

 探しましょうよぉ~。わたし、難しいこと

 わからないし、ここも怖くてぇ・・・。」

 

「どうして来たんです。足手まといになるなら

 来ない方がましでしょう。」

 

「まったく・・・。」

 

あきれ気味にため息をつく。

 

「う、うさちゃんのためなら、がんばれるって

 思ったんですけどぉ・・・。」

 

「・・・来てしまったものは仕方ないわ。

 あなたはロウさんと一緒に後ろにいて。

 戦うのは私が。兎ノ助さんは着ぐるみをもって

 逃げたと聞きます。きっと今も着てるはず・・・。」

 

「まあ、こんな暗がりじゃそうそ・・・・」

 

ロウは途中で言葉を止める。

 

「? どうしたました、ロウさ・・・」

 

2人の視線の先には

問題の兎ノ助がいた。

 

「いた!!」

 

「兎ノ助!!」

 

3人は兎ノ助に駆け寄る。

 

「!? お、お前ら・・・・・

 く、来るな!! 来るな!! 俺はもう、

 学園には戻れねえ!!」

 

「何を馬鹿なことを・・・・勝手に逃げ出して

 それで済むとでも?」

 

「お前・・・俺のこと聞いてるのか?

 ・・・い、いや、答えなくていい!!

 とにかく放っておいてくれ!!」

 

兎ノ助はかなりの速さで

3人から離れる。

 

「俺はもうだめだ!! もう・・・もう・・・!!」

 

「くそ、待ちやがれ!!」

 

走っている中、兎ノ助の服をつかむ。

そのとき、兎ノ助の着ぐるみがはがれる。

 

「!!」

 

「あ! 待て! 返せ!! それは

 俺の・・・俺の・・・・!」

 

「・・・!!」

 

「ひっ・・・。」

 

はがされた兎ノ助の姿は紫色の

魔物の姿だった。

 

「うわああああああ!!!」

 

「兎ノ助・・・本当に・・・・・

 霧の魔物・・・・・!!」

 

「おいおい、まじか・・・・。」

 

「・・・う、うさちゃん・・・・・。

 うさちゃん! 待ってくださいぃ!」

 

ちひろは兎ノ助の後を追う。

 

「あ、おい! 七喜!」

 

「ロウさん! 早く2人を追いますよ!」

 

2人はちひろと兎ノ助を追いかけた。

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