グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第139話 潮風の体験

学園

 

校門前

 

「ロウー! 海に行くぞー!」

 

「与那嶺・・・朝っぱらからうるせえぞ。」

 

ぼやきながら、大きくあくびをする。

 

「んで、海? なんだ、遊びにでも行くのか。」

 

「ちがうのだ! クエストが発令されたから

 リナが申し込んだのだ!」

 

里菜はロウの手をつかむ。

 

「ロウも行くよな? 急だったから

 萌木たちも来れなくて寂しいのだ! 海だぞ?

 危険区域に指定されたら泳げなくなっちゃうぞ?」

 

どんどん顔を近づける。

 

「ちけえよ・・・。」

 

「だから、今のうちにリナが倒しに行くのだ!

 それには・・・ふふふ・・・おっと、

 これはクエストに出たら教えるさぁ!」

 

「・・・はぁ、わかったわかった。行けば

 いいんだろ?」

 

「よかったのだ! さぁ、早く準備してくるのだ。

 待ってるからなー!」

 

「まったく・・・・。」

 

 

 

 

<ロウ、里菜、移動中>

 

 

 

 

 

「うはは~! 海だー!」

 

里菜はピョンピョンと飛び跳ねる。

 

「随分テンション高いな。」

 

「リナ、しばらく海見てなかったからなー。

 久しぶりさぁ! 学園のプールには飽きてきたしな。

 ほら、ロウ! 泳ぐぞ泳ぐぞ!」

 

「与那嶺。お前、ここに来た理由忘れたわけじゃ

 ねえだろうな?」

 

「・・・え?」

 

とぼけた顔をする。

 

「えっと、海に・・・なんで来たんだっけ?

 リナは泳ぎに・・・」

 

「クエストに決まってんだろ。」

 

「あぁ! そうだったな! 完全に忘れてたぞ!

 いや、途中までは覚えてたんだけど・・・潮の匂いが

 したら、あっという間に・・・。」

 

「動物かよ。」

 

あきれ気味にため息をつく。

 

「えへへ・・・まぁ思い出したからいいじゃないか。

 じゃあ、先に泳いで、その後に魔物を・・・」

 

「何言ってやがる。クエストが先に

 決まってんだろ。」

 

「・・・う~・・・わかったさぁ。魔物を

 退治してから泳ぐのだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふんふーん。浜辺だと魔物退治も気分が

 いいさー。リナの家もこんな感じのところにあるんだ。

 毎朝、潮風が起こしてくれる。」

 

「そういうもんなのか。海はあまり来ないからな。」

 

魔物に警戒し、周りを見る。

 

「そうなのか? すごいもったいないさぁ!

 なら、今日泊まってみるのだ! いいな!?

 全部リナの言う通りにするのだ!」

 

「今日? いや、それは・・・」

 

「そしたらお前も、きっと海が好きになるぞぉ。

 別にクエストが終わったらすぐに帰らなきゃいけない

 こともないだろ?」

 

「与那嶺、そうじゃなくて」

 

「1日授業免除になるんだし、泊まっていったって

 問題ないさ。」

 

くそ、話聞きやがらねぇな・・・。

 

「そう言うなら、とっとと済ませるぞ。

 クエスト。」

 

「当然さぁ!」

 

「それに向こうも来たしな。」

 

数メートル先から骨がむき出しの

金魚の姿をした魔物が近づいてきていた。

 

「よーし! 行くのだ!」

 

「『ROOM』! 『注射(インジェクション)ショット』!」

 

ロウは突きを繰り出すが、

魔物はするっとかわす。

 

「任せろ!」

 

そう言って、里菜は手に巨大な

水の塊を出現させる。

 

「飛ばしすぎだろ・・・。」

 

「おりゃああ!」

 

「うぉ!?」

 

攻撃は魔物に当たり、倒すことができたが

ロウにも当たりそうになった。

 

「俺までやる気か!」

 

「ちょ、ちょっと気合い入れすぎたのだ・・・

 あはは・・・。それにしても、さっきの魔物

 すごく気持ち悪いのだ・・・。」

 

「まあ見た目はな。」

 

「あんな魔物が浜辺にいたら、誰も来なくなるのだ・・・。」

 

「なら早く終わらせるぞ、与那嶺。」

 

大きくあくびをする。

 

「うぐー・・・でも、倒せなかったら海が使えない

 ままなのだ。それは絶対だめだ。海の家の焼きそばも

 食べられなくなるし、学園から一番近い海だし・・・。」

 

半分お前の事情じゃねえか・・・。

 

「今年も、ちゃんと遊べるようにあの気持ち悪いヤツ

 倒すぞ! リナに任せておけ!」

 

「さっきの様子じゃ、少し信じられねえ

 けどな。」

 

「大丈夫! 気持ち悪いが、魚なら素手で捕まえられるさ!

 陸の上ならなおさらなのだ。魔物なら許す理由が

 ないのだ。さぁ、行くぞ! ロウ!」

 

「へいへい・・・。」

 

 

 

 

<ロウ、里菜、移動中>

 

 

 

 

 

「『ラジオナイフ』!」

 

現れた魔物を次々と切り裂いていく。

 

「ひぃ~! 魔法で攻撃するとびちゃびちゃ

 飛び散るのだ~!」

 

魔物の体の一部が海に落ちる。

 

「あ、あれどうにかなんないか! 気持ち悪いにも

 ほどがあるさぁ!」

 

「あわてんなよ。魔物は霧だ。時間が経てば

 消えるに決まってんだろ。」

 

「・・・そ、そうか。確かに霧だから消えるか・・・

 ・・・ホントか?」

 

「ホントだ。」

 

これくらいは習わなかったのか?

 

「これで飛び散ったままだったら、掃除しなきゃ

 しばらく閉鎖だぞ。」

 

「だから大丈夫だって。」

 

「リナにとっては死活問題なのだー! ロウ、

 ホントに消えるな!?」

 

里菜はロウの肩をつかむ。

 

「ああ、消える。」

 

「約束だぞ!? 消えなかったら違う海まで

 連れてってくれよ? 絶対だぞ! じゃあ・・・。」

 

里菜は小指をロウに向けて出す。

 

「? なんだ?」

 

「指切りげんまんなのだ! 手ぇ出すさぁ!」

 

「指切り? 久しぶりに聞いたぞ。ったく・・・。」

 

言われるがままに、手を出す。

 

「ゆーびきーりげんまん・・・よし。

 へへへ・・・リナが泳ぐ分は確保できたな♪」

 

「それなら、心置きなく魔物を倒せるな?」

 

「ああ、消えるなら全然大丈夫だし・・・

 もし消えなくても掃除が終わるまで、リナは

 別の浜辺で遊ぶさぁ!」

 

「いや、だから・・・まあ、いいやもう。

 さぁて、んじゃあ行くぞ。」

 

2人の前に現れた魔物に攻撃を仕掛けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく時間が経ち・・・

 

「おー、消えてる消えてる。キレーに

 消えてるのだ。」

 

里菜は海を見渡し、魔物が消えたことを確認する。

 

「だから言ったろ。」

 

「これで浜辺も再開できるのだ!」

 

そう言って、デバイスを取り出す。

 

「討伐完了、っと送信できたぞ。これで明日、

 報告に行けばいいな。ふふふ・・・。」

 

満面の笑みを浮かべる。

 

「・・・なんだ、気持ちわりぃぞ与那嶺。」

 

「そりゃあそうなのだ! 今日は今から泳ぎ倒すのだ!

 ロウ! 水着は持ってきてるな!」

 

「あるわけねえだろ。」

 

「え!? ど、どうしてなんだ!? 海に来たのに

 水着がない!? ・・・仕方ない!

 リナのを貸s」

 

「待て。それ以前に、お前も無理だ。」

 

・・・てか、今さらっとなんか言ったような・・・。

 

「ど、どういうことさぁ!?」

 

「クエストが終わったら、軍が辺り一帯を

 調べるんだよ。その間、ここには入れない。」

 

「・・・え、そ、そうなのか?」

 

「ああ。」

 

「そ、そんなぁ! じゃあ今日はもう帰らないと

 いけないのか!? 泊まるって言ったのだ!

 お前に潮風を体験させるって言ったのに!」

 

「だから無理だ。とっとと帰るぞ。」

 

スタスタと歩いていく。

 

「はっ! そ、それなら今から別の浜辺に

 行けば・・・!」

 

「時間がかかる。諦めるんだな。」

 

「うぅ~・・・わかったのだ。おとなしく

 帰るさぁ・・・欲求不満だ・・・・・・ん?」

 

何かを思いつき、顔をあげる。

 

「プール・・・プールさ! 午後は授業免除

 なのだ! だったら、風飛のプールに行こう!

 いいだろ?」

 

「・・・はあ、わかったわかった。」

 

「ならサクッと帰るぞ! サクッと報告して・・・

 ゴーなのだ!」

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