グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

147 / 337
第140話 イギリスへ

学園

 

「報告おーわり! さーて、行くぞ!」

 

里菜は思い切り伸びをする。

 

「本当に行くのかよ。」

 

「今日はもう授業出なくていいし、まだ

 お昼過ぎたばかりなのだ。平日だから

 人が少ないぞー?」

 

少しずつロウに近づいてくる。

 

「そういうことじゃなくてな・・・。」

 

「・・・もしかして、プールに行けないほど

 疲れてるのか?」

 

心配そうな目でロウを見る。

 

「それだったら、学園のでもいいけど、

 授業してる目の前で泳ぐのもな。でも、疲れてるなら

 なおさら平日がいいぞ。ただ浮いてるだけで

 気持ちいいしな。」

 

「・・・ったく、わかったよ。行けばいいんだろ?

 行けば。」

 

「よぅし、ならレッツゴーなのだ!」

 

 

 

 

 

<ロウ、里菜、移動中>

 

 

 

 

風飛市内のプール

 

「ひゃっほー! 海じゃないけど、

 プールなのだー! クエストでいい感じに運動

 できたし、準備は万端さぁ!」

 

「まるで水を得た魚だな。」

 

2人とも水着にすでに着替えている。

 

「おっ、ちょうどよかった。」

 

里菜が手招きして、ロウは

中に入る。

 

「今日はリナの言う通りに泳いでみるのだ。」

 

「お前の言う通り? ・・・大丈夫なのか?」

 

怪しんだ目で里菜を見る。

 

「いいからいいから。騙されたと思って言うこと

 聞いてみろ。あとで感謝するぞ、きっと。」

 

にっと笑う。

 

「・・・騙されるのは勘弁だがな・・・。」

 

「ん? なんか言ったか?」

 

「・・・いや、なんでもねえ。んで、

 どうするんだ?」

 

「まずはな・・・・。」

 

こうして数時間、2人は泳ぎ続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はー、気持ちよかったのだー・・・。」

 

「くそ、結局えらく疲れたな・・・。」

 

そういいながら、数回肩を揉む。

 

「これで明日が休みなら言うことないさぁ。」

 

「休みじゃねえけどな。」

 

「けど、ここで泳ぐとリフレッシュできるのだ。

 そしたら魔物と戦ったこと、ちょっと

 忘れられるだろ?」

 

「まぁ・・・少しはな・・・。」

 

「・・・ふふふ。」

 

突然笑い出す。

 

「どうした、急に。」

 

「お前、目にちょっとクマができてたの、

 わかってたか?」

 

「クマ?」

 

わかるはずもないが、目元を触る。

 

「リナがちっちゃいころ、沖縄で戦ってた

 魔法使いがそうだったさぁ。」

 

「・・・・・。」

 

「その魔法使いは元気そうにしていたけど、

 疲れってどんどんたまるからな。目にクマができて、

 それでも戦って、最後には戦死しちゃった。

 お前、ちょっとそんな感じになってたからな。」

 

「・・・ふっ、わざわざ気をつかったって

 わけか?」

 

「まあ、そうなるな。今日たくさん泳いで

 疲れたから、絶対よく眠れるぞ。ま、明日に

 なったらリナの言ったことがわかるのだ。」

 

「ああ、悪いな。」

 

大きくあくびをする。

 

・・・確かに眠れそうだな。

 

「あっ、ロウさん。リナちゃん。」

 

通りかかった智花が2人に声をかける。

 

「あれ? そっか、もう放課後か・・・。」

 

「南は何しに来たんだ?」

 

「今日は部活休みなので、イギリスに

 行くための買い物に来たんです。」

 

「そうだった、もうそんな時期か。」

 

「ほかにもいるのか?」

 

周りをきょろきょろと見る。

 

「みちるちゃんや夏海ちゃんもいるよ。

 香ノ葉ちゃんが遅れてるけど。」

 

「買い物かー。そーいや、リナもなにも

 準備してないなー。リナも行きたい!

 ついてっていいか?」

 

「うん。一緒に行こ!」

 

「あっ、ロウは準備できてるか?」

 

「いや、まだだな。」

 

首を軽く横に振る。

 

「でも、今日は疲れたんじゃないか?

 クエストの後も頑張ったもんなー。」

 

「クエストの後に頑張ったの?」

 

「おう! ホントは泊まるはずだったんだけど、

 それはまずいってロウがな・・・。」

 

「泊ま・・・・・えぇ!?」

 

「言うの遅いから、もうリナ我慢できなくてなー。

 別に泊まらなくていいから、今やっちゃおうってな。」

 

「まったく、おかげで倍疲れた。」

 

ため息をつく。

 

「え、えっと・・・そう、なんだ・・・///え?」

 

「クエスト後にプールで泳ぐとは

 思わなかった。」

 

「///ぷ、プール・・・?」

 

「? どうした、顔赤いぞ。」

 

「あ、い、いいえ! なんでもないです!

 プールですよね! プール! ・・・・・

 プールで泊まる?」

 

「はぁ、面倒だ。行きながら話す。」

 

「そ、そうですね! 詳しく聞かせてください!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

深夜

 

寮 ロウの部屋

 

「さてと・・・。」

 

ロウの机の上には黒い物体が

置かれていた。

 

「んじゃあ、旧科研で録った音声を取り込むか。」

 

ロウは前回の旧科研のクエストの際、

盗聴器を仕掛けていた。

 

「どうせ話しはしないだろうからな。」

 

にやりと笑った。

 

「しかし・・・眠い・・・な・・・。」

 

作業しながら、ゆっくりとロウは

眠りに落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

「あぁ~・・・よく寝た。」

 

結局、疲れから机に伏せて寝てしまっていた。

 

「・・・どきどき・・・。」

 

「ん? なんだ、お前か。」

 

少し顔色の悪くなった兎ノ助に会う。

 

「なんだ、あからさまに声に出して。」

 

「い、いや・・・お前ら、イギリス行くだろ?」

 

「ああ、そうだ・・・・あっ。」

 

何かわかったようにロウは手をたたく。

 

「そうか、お前が行けるのかってことか。」

 

「そうだよ・・・もし、『え? いけると思ってんの?』

 とかいう顔されたら死ねる・・・。」

 

「ハワイとは違って生徒全員だからな。

 まあ、そん時は心配するな。」

 

兎ノ助の頭をポンとたたく。

 

「ロウ・・・。」

 

「土産くらいは買ってきてやる。」

 

「そっちかよ! 連れてってくれる流れだろ!」

 

「まっ、どうなるか静かに待つんだな。」

 

「おはよう。ロウ、兎ノ助。」

 

ロウが校舎に入ろうとしたところに

虎千代がやってくる。

 

「ああ、おはよう。・・・そうだ。

 1つ聞きたいんだが・・・」

 

「あ、お、おい!」

 

「? ああ、そうだ。兎ノ助。

 イギリスに行く間、頼んだぞ。」

 

「・・・・・え?」

 

力のない声が出る。

 

「・・・そうか・・・やっぱり・・・。」

 

「お、おう! 任せとけ! 立派に守ってやるからな!」

 

兎ノ助は自分の胸をドンとたたく。

 

「いつもとまったく環境が変わるからな。

 ストレスかもしれんが・・・半月ほども

 あるからな。注意しててくれよ。」

 

「なぁに心配してんだよ! 俺は学園の守護神だぜ!?

 いざというときも命を懸ける覚悟はできてんだ!

 あ、そうだ! 武器作っとかないとな!

 魔法使えないしな、俺!」

 

声を震わせながら、早口でしゃべる。

 

「ちょっと準備しなきゃな! うん!

 じゃあ行くから!」

 

猛スピードで去っていく。

 

「俺が学園を守るんだぁ~! うわーん!」

 

「・・・武器? 飛行機には登録したものしか

 持ち込めないぞ?」

 

「ん? じゃあ、兎ノ助は行けるのか?」

 

「ああ。向こうの学園長と話がついてな。もちろん

 あまり自由にさせられないんだが・・・あいつも

 学園の一員だ。」

 

「・・・ったく・・・おい、兎ノ助!

 ちょっと待てー!」

 

ロウは兎ノ助を追いかけていった。

 

「・・・どうしたんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イギリス出発当日

 

「はぁ・・・はぁ・・・よし、最後に

 もう一度・・・」

 

「おい、南。そろそろ整列だってよ。

 何やってんだ?」

 

大きなカバンを持ったロウが来る。

 

「あ、はい。ゆかりちゃんと誰も残って

 いないか確認してるんです。」

 

「はぁ? んな奴いるわけ・・・いや、

 何人か予想がつくな。・・・楯野は?」

 

「布団から引きはがしました。」

 

「我妻。」

 

「精鋭部隊の人たちが確保しました。」

 

「・・・まあ、こんくらいか。俺は

 列に戻る。終わらせたら早く来いよ。」

 

「は、はい!」

 

・・・イギリス・・・久しぶりだな。

 

ロウはにやりと笑った。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。