グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
「『貴校の重要人物を保護する。ロウ・アイダという
男子だ。』」
「『・・・・ふむ・・・。』」
目を閉じ、考える。
「『おいおい、ずいぶんなこと言ってくれるな。』」
「ええ!?」
ロウも英語で会話に入る。
「『ほう、貴殿も英語を話せるのだな。』」
「『久しぶりに話すけどな。それより、
俺なら問題ない。自分の身くらい自分で守れる。』」
「『戦えぬ者を戦場に出すのは、我らの信条にもとる。』」
「・・・戦えない者?」
エレンはエミリアをちらっと見る。
「・・・その、あのう・・・。」
「『そうか、知っているのはその部分だけか。』」
エレンはかすかに笑う。
「『なんのことだ。』」
「『いいから連れていけ。貴嬢もまた、前線で
指揮を執ると聞いている。ロウとパーティを
組むがいい。』」
「ちょっと! 何の話をしてたのよ!」
「守谷。メアリー、来栖、我妻の場所は
わかっているな?」
「ついでに真理佳の場所も調べといたわよ。
言われる前にね!」
「上出来だ。精鋭部隊は大英博物館を死守する。
ここは人類の宝物庫だ。一体も通すな!」
「・・・・・・魔力譲渡、無限に近い魔力。
その代わりに魔法がほとんど使えない。
いったい何を・・・。」
「悪かったな。」
好き勝手言ってくれるな・・・。
「レティ! ロウ君! 駅の方に魔物の大群が!」
レティシアが考えていたところに
エミリアが駆け寄ってくる。
「なに?」
デバイスで連絡を取る。
「・・・エイプリル! 国軍は何をしている!」
『こちらに向かっています。理解不能ですが、
どうやら・・・魔物は地下から』
「地下だと・・・道理で発生源が掴めぬわけだ。
全体に伝えろ! かねての通達通り、重要拠点に
散開! 臣民に死傷者を出すな! 我らの誇りにかけて
速やかに討滅するぞ!」
『チャリング・クロス駅はどうしますか。配備人員では
手が足りません。』
「駅は私だけで事足りる。あの程度、すぐに片づける。
卿は異変があればすぐ報告しろ。いいな。」
『拝命いたしました。』
通話を切った。
「・・・私がいない間にロンドンの守備プランが
完成してたんだ。」
「これまでロンドンが襲われたことはない。だが、
いつかあると思っていた。女王陛下のいらっしゃる
この街を守る算段がないなど、許されることではない。」
「にしても、駅は俺らだけで本当に問題
ないんだろうな。」
「何も問題はない。2人とも、遅れるな。
全速力だ。私の足を引っ張るなよ。」
「私だって、グリモアで遊んでたわけじゃないの!」
「よかろう。ならば・・・コーデリアの
弔い合戦だ。」
<ロウ、エミリア、レティシア、移動中>
「『ROOM』!」
建物がぎりぎり入らない範囲で
青いサークルを張る。
「『ラジオナイフ』!」
「やぁ!」
それぞれが魔物に攻撃を始める。
「! あれって・・・。」
「エミリアか?」
「ロウも一緒じゃん! 一緒にいるの誰?」
智花、怜、夏海が3人を見つける。
「魔法使い? もしかして、ネテスハイムの人・・・?
あっちに走ってるってことは・・・魔物が
いるかな・・・。」
「そのようだ。私たちも行こう。」
「え?」
「見たところ、相当な強さのようだが、多勢に無勢だ。
数は多い方がいい。」
「そうよ! 絶対カメ・・・一緒に戦った方が
いいって!」
「・・・う、うん! そうだね!」
「行先は駅だ。」
怜が指さした方向にはたくさんの
魔物が群がっていた。
「魔物が集まっている。行くぞ。」
3人はロウたちを追いかけた。
「・・・間に合ったか。まだミスティックは
来ていないな。」
レティシアは額の汗を拭う。
「くそ、はあ・・・はあ・・・結構速いな・・・。」
「はあ、はあ・・・レティ、相変わらず
足、速いね。」
ロウとエミリアは息切れしていた。
「卿の足が遅いだけだ。息が上がっているのなら
すぐに整えろ。」
「大丈夫・・・ロウ君、ごめんなさい。
少しだけ、魔力もらっていい?」
「ああ、わかった。」
目を閉じ、エミリアの魔力を回復させる。
「・・・ふぅ、ありがと。もう大丈夫だよ。」
にこりと笑う。
「・・・それが力か。とにかく、まずは
私が先陣を切る。その後・・・」
「いえ、ここは私がやるから。」
「エミリア、この事態に言葉を飾ったりはしない。
卿には無理だ。」
レティシアはエミリアをにらむ。
「レティ、言ったでしょ。私も、グリモアで
遊んでたわけじゃないの。私はもう、
2年前の子供じゃない。」
「・・・・・・・・。」
ゆっくりと目を閉じる。
「根性論を聞きたいのではない。勝算はあるのか?」
「うん。ロウ君と協力すれば。まだ私個人の
力はあなたに遠く及ばないけれど・・・ロウ君と
なら、追いつける。」
「ブルームフィールド・・・・。」
「・・・・ならば、討ち漏らしは私が片づける。
そこまで言い切ったんだ。無様な姿を見せるなよ。」
「・・・決まりだな。」
ロウはサークルの範囲を広げる。
「・・・ごめんね。」
「何がだ。」
「私のわがままに協力してもらって。でも・・・」
「言ったことは本当だ・・・って言いたいんだろ。」
「え?」
「自分で言ったことに迷うなよ。」
そう言って、鞘を近くに投げ捨てる。
「・・・そうだね。レティに、みんなに・・・・
見せてあげるんだから。」
「接敵まで30秒!」
「ロウ君。私、全力で戦う。どんどん
魔力をちょうだい。」
「いた!」
智花がロウたちを指さす。
「・・・? エミリアが1人で戦っている・・・・
後ろの女は何をしている!」
ドォン!
「うわ! い、今のどこ?」
「だ、大丈夫だよ、別の場所じゃないかな・・・。」
「見たところ、エミリアとロウがいる
駅前が一番手薄だ。手助けするぞ。」
「『シャンブルズ』! 『ラジオナイフ』!」
ロウはエミリアに迫っていた魔物を
自分の近くに移動させ、切り裂く。
「やぁ!」
エミリアも目の前の魔物を次々と
倒していく。
「大丈夫、後ろにはロウ君とレティがいる・・・
1人じゃない! ブルームフィールドの誇りに
かけて! あなた方は私が送ります!」
「・・・送る?」
「ミスティックは人間から生まれる。無念の内に
死んだ人間に霧がとりつく。」」
「! ハミルトン・・・。」
レティシアがロウに近づく。
「少なくとも、この国にはそれが基本的な
考えだ。だから我らはミスティックを倒すことを
『送る』という。・・・ロウ・アイダ。」
「? どうした。」
「エミリアが世話になっているようだな。」
「・・・まあ、少しは世話している。」
2人の目の前で、エミリアは
魔物をなんとか掃討していく。
「・・・全力で戦っている。すぐに枯渇する
はずの魔力を補うのが貴殿の役目か。」
「大体そうなるな。それに俺の能力で魔物を
移動させることで、あいつを助けている。」
「・・・・なるほど、人類の希望と呼ばれるわけだ。」
レティシアはかすかに笑う。
「ところで、あんたは手を出さないのか?」
「愚問だ、手出しはしない。単独で戦うと
言ったのはエミリアだ。私は討ち漏らした
ミスティックを片づけると言った。それを違えることは
信条にもとる。」
「お堅い人だ。」
「・・・とはいえ、あまり時間をかけられないのも
事実。学園生で戦い続けるにはあまりに数が多い。
国軍が到着するまで・・・できる限り、街を破壊されない
ようにしなければならん。」
そう言って、魔物の群れをにらみつけた。
「・・・なら、私たちがエミリアに協力するのは
問題ないわけだな?」
「! 神凪!」
「エミリアが許すなら、好きにしろ。」
「ロウ。私たちはエミリアの助けに入る。
魔力をくれないか。」
「・・・断る理由はねぇだろ。」
目を閉じ、魔力を与える。
「・・・ああ、恩に着る。」
「さて、これであらかた倒したかしら・・・。」
「うー、まさかここまで来て魔物退治するとは
思わなかったっす・・・。」
姫ともに倒した自由は大きく伸びをする。
「口を慎みなさい。ロンドンが襲われたそのときに
私たちがいた! それなのに街が破壊されてしまったら、
野薔薇の名に傷がつきます!」
「しかし、あちらでもこちらでも戦闘が・・・
魔物の規模が大きいようですね。動くわけには・・・。」
「・・・そうですね。念のため、暫定的に指示を
出している宍戸さんに報告して・・・」
「・・・む? あ、あれは・・・。」
刀子はある光景を見て、目を見開く。
「ひ、姫殿! しばし御免!」
「刀子?」
刀子は一気に走り出した。
「ちょっと、刀子!」
「げげ、刀子先輩がお嬢を置いて
飛び出すなんて・・・・。」
「あそこにいるのは・・・エミリアさんですか?」
「あ、先輩もいる。てゆーか魔物多!
刀子先輩、ヤバくないですか?」
「私たちも行きましょう。」