グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
「・・・・。」
レティシアは周りの状況を確認する。
「・・・ふぅ、いいだろう。エミリア!」
「・・・はぁ・・・はぁ・・・ん?」
レティシアの声は聞こえていなかった。
「今、何か・・・・・ !?」
もう一度聞こうとしたが、魔物が
襲い掛かる。
「ごめん! 聞いてる暇ないから
ロウ君、聞いてもらっていい!?」
「仕方ねぇ・・・なんだ、ハミルトン!」
「聞け! 貴殿とエミリアの実力は十分わかった!
だがあまり時間をかけてもいられない! エミリアは
広範囲攻撃が苦手だ! 後は私に任せ、次に向かうぞ!」
「・・・ってことだ! 聞こえたか!」
レティシアの言葉を一語一句漏らさず伝える。
「・・・・っ。そ、そうだよ・・・ね!」
魔物の攻撃を受け止める。
「あんまり、ここで時間かけても変わらないし・・・
でも・・・次から次に襲ってきて、下がる
暇が・・・・・あ!」
止めきれず、魔物の攻撃が迫る。
「エミリア!」
「エミリア殿!」
怜、刀子が攻撃を止め、魔物を霧散させる。
「無事か、エミリア。」
「なにゆえ1人で戦っているのだ!
パーティは・・・」
「だ、大丈夫・・私が、レティにいいとこ
見せたかっただけだから・・・。」
ふらつきながらも立ち上がる。
「感心しないぞ。ここからは私たちとともに戦え。」
「然り。姫殿たちも近くにいる。協力すれば
この程度の魔物、すぐにでも・・・」
「ひっ! こ、怖! 全身刃物みたいなの、
なんなのよ!」
「すぐにみんな来るから、ちょっとだけ
頑張ろう、ね?」
夏海、智花も合流する。
「あーもー、こうなったら・・・絶対に
あの人の写真撮らせてもらうんだから!」
「私に任せてもらおう。」
レティシアがエミリアたちの前に立つ。
「れ、レティ・・・。」
「私たちは仲間だ。ここは一緒に・・・」
「貴嬢らは、ネテスハイムを知らない。ネテスハイムの
レティシア・ハミルトンを知らない。ならば見ておけ。
エミリアが私に実力を見せたように・・・
私も何者かを、貴嬢らに見せてやろう。」
そう言って、魔物の群れに向かっていく。
「・・・な、なんだあの女は!」
「レティシア・ハミルトン。私の友人で、ネテスハイムの
首席代表・・・そして、学園で最強の魔法使いです。」
「『シャンブルズ』!」
エミリアたちを後方へ移動させる。
「・・・ふぅ・・・。」
ロウが深くため息をつくと、
サークルが消えていく。
「さすがに疲れるな・・・まぁ、あれだけの
啖呵切ったんだ。見せてもらおうじゃねぇか。」
向かっていったレティシアは魔物をにらむ。
「・・・残り20程度か。エミリアが半分ほど
減らした計算か。ならば私は、それを瞬く間に
片づけねば実力を見せたといえまい。」
にらんだまま、身構える。
「・・・ミスティックよ、全力で来い。我が最強の
魔法を手向けとし、貴殿らの魂、滞りなく送ってやる。
コーデリアよ・・・・・さらばだ!」
その瞬間、銃を取り出し、魔物全体に
撃ち始める。
「・・・・・・・!!」
数体ほど、レティシアを抜かして別方向に散っていく。
「・・・討ち漏らしがいたか。情けない。」
残りはすべて霧散させていた。
「ひぇぇ・・・なんなのよあれ・・・。」
「マスケット銃か。えらく連射したもんだ。」
「魔法の散弾だな・・・とはいえ、
すさまじいな。」
攻撃を終えたレティシアがロウたちと
合流する。
ピピピ!
「ん?」
ロウのデバイスに着信が入る。
「貴嬢らの協力に感謝する。ここでの戦いは終わったが
全て片付いたわけではない。我らネテスハイム学園生が
学園まで案内しよう。」
「・・・え? あ、あの・・・・。」
「貴嬢らは賓客だ。これ以上戦わせるわけには
いかない。」
「・・・そうか、わかった。」
デバイスの通話を切る。
「? どうした?」
「今連絡が入った。街に大きな被害が出る前に
大方討伐できた。」
「な・・・・。」
レティシアはデバイスで連絡を取る。
「エイプリル。現状を報告しろ。」
『はい。報告します。まず・・・・』
「ふむ・・・つかさ! どうだ、学園に戻ったら
一戦しないか。」
「貴様が楽しませてくれるならな。」
「もうアタシを超えた気でいるのか?」
「・・・くくく。そうでなくてはな。
虎千代、今でも構わんぞ。」
つかさは手をパキパキと鳴らす。
「ははは、さすがにロンドンではマズいだろ。」
「総員休め。次の攻勢が来るまで休憩をとる。」
「国軍の連中も来るし、もう終わるだろ。
ったくよ、こっちは12時間のフライトですぐ
戦闘なんだぜ? もうホテルで休んでもいいだろ。
ネテスハイムに任せてよー。」
「メアリー、街を守るのは魔法使いの仕事だ。
気を抜くな。」
「へーへー、素晴らしいお考えなことで。」
「ふぅ・・・・あ、梓ちゃん。」
「ども、ももちゃん先輩。ざっと調べてきましたが・・・
この辺、もう結構霧は薄いですね。払ったって
考えてよさそうッス。」
「よ、よかった! あたし、もうあんまり
魔力が残ってなくて・・・。」
「先輩のとこに行きます? もしかしたら行列
できてるかもしれませんけど。」
「どこにいるかわかるの?」
「ええまぁ、ちょこっと目印つけておいたんで、
どこに行っても・・・。」
にやりと笑う。
「・・・あれが、レティシア・ハミルトン。
ハミルトン家のご令嬢ですか。」
「確か、お父さんってサーの人でしょ?
うわっ、別世界の人っすね。」
「何を言っているのです。日本では私たち
野薔薇も同様の立場ですよ。身分制度はありませんがね。
皆さんの安全に責任を持つ立場です。」
「それはただ、野薔薇に軍部の高官が多いって
だけじゃ・・・。」
若干あきれ気味にため息をつく。
「・・・それにしても、刀子がエミリアさんの
元へ行ったのはいいとして・・・ハミルトン家の
ご令嬢に失礼なことはしていませんよね?」
「・・・もう、ほとんどの戦闘が終結している?」
驚きのあまり、少し声が震えている。
『はい。グリモアの学園生による応援が
大きかったと考えられます。』
「・・・そうか・・・わかった。」
エイプリルとの通話を切る。
「まったく。我らの面目をつぶしてくれるなよ。」
「ちょっとー、助けてあg・・・むぐ。」
「少し黙ってろ。」
ロウが夏海の口をふさぐ。
「こっちとじゃあ、事情も違うしな。」
「日本がどうかしらないが、こちらでは
魔法使いは微妙な立場だ。魔法使いには実績が
求められる。確かに人類に貢献しているのだとな。
本来はロンドンの防衛もネテスハイムだけで
やるべきだったのだ。」
「グリモアが協力して撃退したとなると、ネテスハイム
だけで守れるかは不明。」
「そう考えても仕方ねえな。しかもこっちの魔法使いは
貴族。貴族に必要なのは信頼、だ。」
「だが、われらの面目よりもロンドンの街の方が
大切だ。・・・感謝する。」
ゆっくりと頭を下げる。
「学園を上げて、今度こそ疲れを労おう・・・
エミリア!」
「どうしたの? 私が学園まで送る?」
「ああ。それと、急いで式典の準備をさせろ。」
「こ、これから式典するの? なくていいんじゃ・・・。」
「たとえ形式的なものであろうと、せねばならん。
伝統を守るのもわれらの誇りだ。疲れている
だろうが、付き合ってもらう。それと・・・・
ロウ・アイダ。」
「ん?」
レティシアはロウを呼び止めると
近づいてくる。
「貴殿の実力、しかと見せてもらった。」
穏やかな笑みを浮かべた。
「・・・・・。」
「レティって、昔からあんな感じなんだよ。
偉そうで、プライド高くて、でもとっても
頼もしくて・・・たまにムキになるのがかわいいの。」
「あいつがねぇ・・・。」
「ふふ、ここにいる間に、見せてあげるね♪」