グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

156 / 337
第149話 襲撃

学園

 

「待たせたな。報告は終わった。」

 

「結構かかるもんだな。おかげで

 腹減っちまった。」

 

「むぅ、そうか・・・気を使わせたな。」

 

聖奈は申し訳なさそうな顔を浮かべる。

 

「話は食堂に行ってからでもいいな。

 クエスト後だ。私も腹が減っている。」

 

「なら、とっとと行こうぜ。」

 

「ああ。」

 

 

 

 

<ロウ、聖奈、移動中>

 

 

 

 

 

食堂

 

「ふぅ・・・それで? いったい何の話が

 あるっていうんだ?」

 

そう言って、ラーメンのチャーシューを食べる。

 

「今回のクエストで判明したことだ。確かに

 科研にはライの残党がいたようだ。」

 

「ライ・・・面倒になってきたな。」

 

「いずれ片づけなければならない問題だ。

 ロンドンの一件の裏にライ魔法師団、そして

 霧の護り手・・・その一部と戦うことになるだろう。」

 

「!」

 

ロウの眉がぴくっと動く。

 

「国軍にも協力を要請するが、連中の狙いは我々だ。

 最終的には自衛になる。お前はまだ人間同士の争いに

 ついて、あまり知らないだろうから伝えておく。」

 

「それはありがたい。」

 

「まず言っておくことは・・・我々は相手が

 テロリストであろうと、殺すことは許されない。」

 

「・・・向こうは殺しにかかってるってのにか?」

 

キッと聖奈をにらむ。

 

「当然だ。例えば、警官が犯罪者を射殺すると、しばしば

 問題になるだろう? 魔法は銃以上の凶器だ。魔法が

 使えない一般人からすると・・・《《それが人を殺す》》のは

 恐怖なんだよ。本来は魔物にのみ向けるのが望ましい。」

 

「随分と理不尽言ってくれるな。」

 

「・・・そう思うか。一般人のために魔物と戦い、

 守っているから。」

 

「ああ。」

 

「だが、ほとんどの魔法使いは、かつては一般人だった。

 その時のことを思い出せば・・・そんなに不思議な

 ことでもないだろう? 私も恐れていた。」

 

「・・・確かにそうだな。」

 

ロウはにやりと笑う。

 

「・・・・さて」

 

ゆっくりと立ち上がる。

 

「? どうした。」

 

「いや、おかわりにな。」

 

「・・・よく食う奴だな。」

 

あきれ気味にため息をついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

深夜

 

寮 ロウの部屋

 

「・・・・・。」

 

ロウは黙ってパソコンを操作していた。

 

「・・・ちっ、面倒なプロテクトかけやがって・・・。」

 

そう言いながらも、早い手つきで

そのプロテクトを解いていく。

 

ロウが調べているのは以前ロンドンで梓が渡した

封筒の中身に入っていたUSBだった。

 

「・・・・・よし。」

 

疲れから首を何度か回す。

 

「・・・・・・・。」

 

多少不機嫌な表情をしながら、

素早くスクロールする。

 

「・・・・・!」

 

あるページでロウの指が

動きを止める。

 

「・・・・・懐かしいな・・・。」

 

そう言って、かすかに笑う。

画面には幼いロウ、ユウ、そして

もう1人男の子が写っていた。

 

「・・・・・・。」

 

ロウは静かにその写真を削除した。

 

「・・・・今は・・・もう意味がないな・・・。」

 

小さくつぶやく。

 

「お前は、何をやってるんだろうな・・・・

 俊・・・・。・・・・ん?」

 

あるデータが目にとまった。

 

「これは・・・・?」

 

<36.0926671,139.14339066>

 

「なんだ、これ・・・。」

 

ロウは軽く首を傾げた。

 

「・・・・。」

 

結局、その日、ロウはその数字の

意味は分からなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後

 

「・・・だめだ、さっぱりわからねぇ・・・。」

 

顔を机に伏せる。

 

「まいったな、こりゃ・・・・。」

 

そういって、軽く伸びをする。

 

その時だった。

 

ドォン・・・・!

 

「!?」

 

今のは・・・・爆発音・・・?

 

爆発音が聞こえた数秒後、

部屋が少し揺れる。

 

「・・・・・。」

 

ピピピピ!

 

ロウのデバイスが鳴り響く。

 

「・・・ったく、面倒なことに

 なったな・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学生街

 

「・・・! そ、そんな・・・。」

 

「リナたちの街がめちゃくちゃなのだ!」

 

荒れてしまった学生街を前にして

萌木は不安な顔を浮かべ、里菜は憤っていた。

 

「い、一般の人たちを助けなくちゃ・・・」

 

「それには及びません。」

 

イヴが2人と合流する。

 

「近くで演習をしていた国軍が出動しました。

 すでに一般人の避難は開始されています。私たちの

 仕事は・・・ライ魔法師団の構成員を1人残らず

 捕らえることです。」

 

「捕らえる? 倒しちゃったらダメなのか?」

 

「絶対に、殺さないでください。本来なら無傷が

 望ましい。ですがそれは不可能です。なので、せめて

 殺してしまわないように。」

 

語気を強くし、里菜にくぎを刺す。

 

「でも、アイツらリナたちを殺そうとしてるんだろ?

 萌木やちひろが危ないときは、リナはやるぞ。」

 

「・・・風紀委員として、それを見過ごすわけには

 いきません。相手がテロリストであるなら、なおのことです。」

 

イヴは里菜をにらむ。

 

「私たち正規の魔法使いが倒すのは魔物だけ・・・

 それをアピールする必要がある。魔法使いが人を

 殺した時のバッシングはよく知っているでしょう?」

 

「ううー・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーあ、ババ引いちまったぜ。」

 

「ウィリアムズ、今回ばかりは同感だな。」

 

めんどくさそうな顔をするメアリーに

ロウは同意する。

 

「あ、先輩に軍人さん~。よろしくお願いしますぅ~。」

 

ちひろがとことことやってくる。

 

「はいはいよろしく。ったく、人間相手の戦闘は

 メンドクセーことばっかだ。はずみで殺しちまっても

 知らねーからな、アタイは。」

 

にやりと笑う。

 

「だ、ダメですよぉ! 人間同士なんですからぁ!

 きっと仲良くなれるはずですぅ!」

 

「・・・七喜・・・。」

 

「ちっ、次から次へと能天気が出てくるな。もう

 相手するのめんどーだ。まぁ、こっちが殺せないのを

 いいことにライの連中は強引に攻めてくる。それを

 蹂躙してこそ快感ってもんだな、くくく・・・。」

 

そう言うと、メアリーはスタスタと

歩いていく。

 

「・・・お友達になったら、戦わなくて

 いいのに・・・。」

 

「・・・・・。」

 

「? 先輩、どうしましたぁ?」

 

「・・・いや、なんでもねぇ・・・。」

 

なんだ・・・? この妙な胸騒ぎは・・・。

 

「ロウさん、ちひろちゃん。そろそろ

 出発するよ。」

 

「霧塚・・・ああ、わかった。」

 

刀を腰に掛ける。

 

「んじゃあ・・・行くか。」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。