グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

157 / 337
第150話 ちひろの考え

「・・・1名、捕らえました。」

 

ライの魔法使いを拘束した

怜が風子に引き渡す。

 

「お、さっそくですね。ごくろーさんです。

 ・・・念のためですけど、殺してませんよね?」

 

「峰打ちにしました。」

 

「魔法使いの峰打ちって意味あるんですかね?

 ま、ちょいと話してみましょーかね。」

 

ライの魔法使いの前に立つ。

 

「話す、とは。」

 

「読んで字のごとくですよ。」

 

そう言って、引きずりながら連れて行った。

 

「・・・委員長、大丈夫でしょうか。」

 

紗妃は心配そうな顔をする。

 

「委員長が言葉のやり取りでどうなるとも思えないさ。

 それより・・・。」

 

荒れてしまった学生街の様子を見る。

 

「かなり広範囲に攻撃されているな。規模が

 大きい。グリモアを落とせるだけの人数を

 連れてきたというわけか。」

 

「みてーですよ。」

 

風子が戻ってくる。

 

「委員長。もう終わったのですか?」

 

「えーまー。最低限のことは聞き出せましたし。

 英語はあんまり得意じゃねーんで、後は

 ウィリアムズに任せましょーね。・・・おや、

 冬樹はどこに?」

 

「図書委員の様子を見に行くと言っていました。」

 

「図書委員・・・ふむ、それはちょーどいいですね。」

 

「ちょうどいい?」

 

「図書委員は少し危ういところがあります。」

 

少しため息をつく。

 

「そして、冬樹は図書委員にずいぶん世話に

 なってます。借りは返す性格ですから、冬樹が

 持ち前の意固地さを発揮してくれれば・・・

 互いを補ってくれるいいタッグになりそーですね。」

 

にやりと笑う。

 

「はぁ・・・あと、服部さんから連絡が届きました。

 ライの魔法使いが潜んでいる場所一覧です。」

 

紗妃はそれを風子に渡す。

 

「・・・容赦ねーですね。屋内もあるのに、

 ここまで早いとは・・・こりゃ街を壊されて

 服部もちょっと怒ってますね?」

 

風子はリストを素早く目に通す。

 

「やる気出してくれてうれしーですね。んじゃま、

 行きましょーか。ぐるりと学生街を回って、最後に

 図書委員と合流しますよ。」

 

「はい。」

 

「わかりました。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、そのころ・・・

 

「あのぉ・・・ライってどういう意味でしたっけ?」

 

ちひろが尋ねる。

 

「イギリスの地名だよ。ライ魔法師団はモンマスの

 悲劇の後にそこで設立されたの。『魔法使いは

 優等種族で、列島種族である一般人を支配する』。

 これが基本概念だね。」

 

「だから、それに従わない奴らは武力でねじ伏せる。

 これがライが一般人を襲う理由だ。さらには、

 一般人を守る魔法使いも標的にする。」

 

「・・・えっとぉ・・・あのですね・・・。」

 

「どうした?」

 

「・・・いえ・・・なんでもないですぅ・・・。」

 

元気なく、顔を下に向ける。

 

「ちひろちゃん・・・。」

 

「よう。テメーがアイツの保護者ってことで

 いいのか?」

 

「メアリーさん・・・ほ、保護者というか

 図書委員でパーティを組んでるので・・・一応、

 一番先輩の私がまとめてるような感じですね・・・。」

 

萌木のようすにメアリーが目を細める。

 

「・・・なんだ、テメーも同じクチか?

 ったく・・・。」

 

やれやれという感じで首を振る。

 

「おい、アタイの前で『ライの人とも友達になれるかも』

 なんて言わせんな。」

 

「! もしかして、七喜が・・・?」

 

「まったくだ。これから殺し合い・・・じゃねーな。

 こっちは殺せねーんだから・・・命かけてドンパチやる

 相手を『友達に』なんてぬかすヤローは必要ねえんだ。」

 

萌木をにらむ。

 

「テメーがそれで死ぬのは勝手だけどな、周りの

 連中を巻き込むなよ。・・・って言っとけ。

 いいな。」

 

「あー!」

 

里菜が2人の様子を見て駆け寄る。

 

「お前、萌木のこといじめたらリナが許さないぞ!」

 

「おう、色黒。クエストでは久しぶりだな。」

 

「ふん! リナ、お前のこと好きじゃないさ!」

 

そう言って、メアリーから顔をそむける。

 

「別にいーぜ。命令さえ守りゃ。ところでライ魔法師団は

 人間だが、どうする?」

 

「どうするって・・・リナはクエストやるだけさ。

 難しいことわかんないのだ。萌木たちを守って、

 全力で戦うさ。」

 

「よーし、いい返事だ。褒美にテメーに1つ

 権限を与える。」

 

「・・・? どういうことさ。」

 

少し首をかしげる。

 

「ビブリオガール、この色黒が退却っつったら

 絶対服従だ。いいな。」

 

「・・・あ、は、はい・・・。」

 

「見たとこ、図書委員の中じゃテメーが一番

 マシそうだ。」

 

「リナ、図書委員じゃないけどな。」

 

「んなのどーでもいーんだよ。誰も死なせたく

 ねーんなら、テメーが仕切れ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・先輩・・・。」

 

「なんだ?」

 

ちひろはうつむいていた顔を上げる。

 

「まだ戦うのは怖いか?」

 

「えっと、怖いんですけど・・・それより・・・

 あの、もしかしたらわたしがおバカさんなのかも

 しれませんけど・・・。」

 

「?」

 

「ライの人たちと、お友達になることって

 できないんでしょうか・・・・。」

 

「・・・・本気で言ってるのか?」

 

やっぱりそんな考えを・・・・・

 

「だってだって、同じ人間で、霧の魔物っていう

 怖いおばけがいるのに・・・ケンカしたら、めっ、

 なんですよぉ! 仲直りして、お友達になって・・・

 ・・・最後は魔物ともお友達になれれば、いいんですけど

 ねぇ・・・。」

 

「・・・七喜。そういう考えを持つのは勝手だが。

 今は捨てとけ。」

 

「え・・・?」

 

「特に最後のだ。それは共生派の考えだ。今ここに

 持ち込めば・・・ただじゃすまなくなる。それに

 今、まさに被害が出ている。友達云々はずっと後に

 する話だ。」

 

「・・・・わかりましたぁ・・・。」

 

ちひろはとぼとぼと歩いていく。

 

「・・・・霧塚、聞いてたんだろ?」

 

「・・・・・。」

 

萌木が静かに出てくる。

 

「・・・ちひろちゃん・・・。」

 

「あいつはお前が見てろ。今のままじゃ

 危険すぎる。」

 

「・・・そう・・・ですね・・・。」

 

「萌木、ロウ。」

 

「「!!」」

 

「よ、与那嶺か・・・今の聞いてたか?」

 

「なんのことだ?」

 

首をかしげる。

 

「あ、き、聞いてないならいいんだ・・・ほっ・・・。」

 

「そうそう、ちひろ、ライの魔法使いと

 友達になりたいんだろ?」

 

「んだよ、聞いてんじゃねえか・・・。」

 

「それで、捕まえたからさ。どうする?」

 

「え? ・・・ライの魔法使い、捕まえたの?」

 

「捕まえたのだ。ホントは風紀委員に引き渡すんだけど・・・

 もし話したいなら、ちょっとだけ大丈夫なんじゃないか?」

 

「・・・・・・。」

 

萌木はしばらく考え込む。

 

「・・・わ、わたしが、話してみる・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・敵は数十人。私立グリモワール魔法学園の

 生徒。国軍・・・。」

 

男はぶつぶつとつぶやきながら

耳たぶを触る。

 

「・・・・・・!! あれは・・・。」

 

男の目は大きく開いた。

 

「・・・そうか、とうとうお前と

 会う日が来たようだな・・・・・ロウ・・・!!」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。