グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
「さぁて・・・んじゃあ、始めるか・・・。
裏切者への制裁を!!」
「制裁・・・・!?」
俊から放たれるプレッシャーに
ロウは二、三歩後ずさる。
「当然だろ。お前は先生に逆らったんだ。
重大な裏切り行為だ。ユウも含めてな・・・。」
「!?」
ロウの目が大きく開かれる。
「てめぇ・・・!!」
「悪く思うなよ。先生の理想のためだ。」
「ったく、お前まで先生先生って・・・
ガキか。」
「随分言うようになったな、ロウ!!」
「それはこっちのセリフだ。お前、俺に一度も
勝てたことねぇだろ。」
互いににらみ合う。
「だったら・・・。」
俊は静かに両手を合わせた。
「!!」
「さぁ、お前も。」
「・・・・・・。」
ロウも同じように両手を合わせた。
思い出すな・・・あのころを・・・
12年前
『きみ、だいじょうぶだった?』
《あの時、ユウに声をかけたのがお前だった。
だが、ユウを失った俺は・・・・》
『うわぁ!』
ロウに殴られた俊が後ろに倒れる。
『そこまで!』
黒服の男が止める。
『強いなぁ・・・ロウく・・・』
『・・・・・。』
何も言わずにロウは去っていく。
『ロウ・・・君・・・?』
「・・・ったく・・・めんどくせぇ・・・。」
「なにぶつぶつ言っている! 行くぞ!!」
俊が向かってくる。
「『ROOM』!」
青色のドームを作り出そうとする。
「させるか!」
懐からナイフを取り出し、
ロウに投げる。
「く!」
ドームを作れず、ナイフがロウの
頬をかすめる。
その後、互いに拳の応酬が始まるが・・・
「ぐ! く!」
次第にロウが押され始める。
「ぐあぁ!」
殴られ、地面を転がる。
「どうした、ロウ!」
俊は一気にロウに飛びかかる。
「ここだ・・・『ROOM』!」
いつもより、広く大きな
青色のドームを作り出す。
「ちっ・・・!」
「『タクト』!」
近くのがれきを俊に
ぶつけようとする。
「その程度、わけないな!」
身軽な動きで次々とかわしていく。
「くらいな!」
手のひらから電撃を浴びせる。
「『シャンブルズ』!」
飛ばさなかったがれきと
位置を入れ替え、電撃をかわす。
「無駄だ!」
電撃がロウが移動した方向に
向かっていく。
「なに!?」
「・・・ふっ。」
「ぐああああ!!」
電撃がロウに直撃する。
「ぐ・・・!」
ゆっくりとなんとか立ち上がる。
「諦めな。お前については、大方の調査は
済んでいる。」
そう言って、俊はにやりと笑う。
「調査だと・・・?」
「ああ。お前・・・魔法が使えないんだろ?」
「・・・!!」
「そんなお前では、俺に勝つ可能性はない!」
「・・・・・そうか・・・・
たしかに・・・そうかもな・・・。」
ロウは鞘から刀を抜くと、
それを地面に突き刺した。
「・・・なんのつもりだ?」
「そりゃあ、当然・・・・お前に
勝つんだよ。」
手をパキパキと鳴らす。
「ほう・・・?」
「よく見ておけよ、俊。これを見せるのは
お前が最初だからな。」
そう言うと、手に力をこめる。
「・・・・・!?」
すると、ロウの手がだんだんと
黒くなっていく。
「な・・・!?」
「さて、行くか。」
ロウの手はおろか、腕までも
黒くなっている。
「なんだ、それは・・・!」
「最近、ようやく1つ強化魔法を覚えてな。
なぜだか色がこうなるが・・・。」
「くそ・・・!」
焦りを感じ、身構える。
「行くぞ!!」
今度はロウが俊に向かっていく。
「ちぃ・・・!」
再び拳の応酬が始まる。
今度はロウが押し始める。
「く・・・こんな・・・!」
「おらよ!」
「ぐあああ!!」
俊が地面を転がる。
「・・・あの時の・・・」
「?」
「あの時のルールなら、何を使っても
いいんだったな。」
ポケットからサバイバルナイフを取り出す。
「ふん!」
ナイフをロウに突き刺しにかかる。
「・・・・。」
強化魔法をかけた手で
ナイフの刃をつかむ。
「・・・・!!」
ロウが力をこめると、ナイフから
パキパキと音が鳴る。
「まさか・・・!」
「はぁ!!」
ナイフの刃が粉々に砕ける。
「なに!?」
「どうした、俊。お前の魔法ってのは
そんな雷程度しかないのか?」
指をクイクイッとやり、挑発する。
「ロウ・・・・! てめぇ・・・!!」
俊の体に雷が纏わり始める。
「このままで・・・・終わるわけねぇだろぉ!!」
「! 速い!」
すぐにガードするが・・・
「ぐぅ!?」
防ぎきれず、地面にたたきつけられる。
「く!」
雷を纏って、スピード上げやがったな・・・!
カウンターで蹴りを入れようとするが、
スピードを上げた俊は一瞬でかわす。
「ふん・・・。」
「あのスピードをどうにかしないとな・・・。」
とりあえずROOMは張ってあるが・・・
さて・・・。
目を閉じて考え始める。
「考えところで無駄だ。次で確実に仕留める!」
ロウの周囲を高速で移動する。
「・・・よし。」
ゆっくりと目を開ける。
「何考えてたか知らんが、これで終わりにしてやる!」
「・・・!!」
ロウは腕を突き出す。
「?」
「よっと!」
コートの袖からワイヤーが飛び出し、
それが刀の柄に巻き付く。
「なに!?」
「勝手に自爆しろ!」
ワイヤーが巻き取られ、
ロウは刀のある方向に飛んでいく。
「く、くそ・・・!!」
俊は止めきれず、地面に激突する。
「うぐぅ・・・!!」
地面に転がり、動かなくなる。
「・・・終わりだな。俊。」
刀を持ったロウは少しずつ俊に
近づく。
「ぐ・・・!」
「さて・・・・・・。 !」
ロウの近くで風子たち風紀委員が
戦っている姿が見える。
「『・・・お前も・・・結局は天羽側の
人間だったってわけか・・・。』」
ロウは俊にフランス語で話す。
いろいろ聞かれるとまずいからな・・・。
「『・・・その方が・・・その方が・・・
この国のためになるからな・・・。』」
俊もフランス語で話し始める。
「『お前は何もわかっていない。あいつは俺たちを
使い捨てようとしている。ユウを殺したのも
あいつの命令だろ?』」
「『・・・確かにそうだ・・・だが、今のままでは・・・
日本は・・・この国は・・・』」
「・・・・・もういい。」
刀の切っ先を俊に向ける。
「少なくとも、お前はここで終わりだ。ライの奴らと
一緒にお前も連行される。」
日本語に戻す。
「・・・まだだ・・・まだだぁ!!」
俊の体に再び雷が纏わりつく。
「!?」
俊はすぐに立ち上がり、
猛スピードで消える。
「な・・・!?」
一瞬だけ、俊の姿を確認する。
「あの方向は確か・・・・・・・。 !!
やべぇ・・・!! くそ!!」
俊のあとを追い、走り出す。
「あとは・・・。」
デバイスを取り出し、誰かに連絡し始める。
「ふぅ・・・神凪・・・氷川? ありゃ?
どこです?」
風子はきょろきょろと周りを見て
2人を探す。
「委員長、大変です!」
慌てた様子の怜が走ってくる。
「ロウが戦っていた相手を見失ったようです!」
「ロウさんが見失った・・・・?
・・・・・・・。」
黙って考え込む。
「・・・!! しまった! 霧塚!」
何かに気づいた風子は血相を変えて走り出した。