グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
翌日
「ああ~、くそ、まだ気持ち悪い・・・。」
結局、あの後半ば無理やり味見を
させられ、2度目の気絶を味わった。
「でも、最初よりましだな・・・
免疫がついたか?」
「やっほー!お・に・いさーん!」
「ああ、冬樹か。」
1日経ってもグロッキーな状態の
ロウに話しかけたのはノエルだった。
「もうお兄さん! 聞いたよ!
お兄さん、噂の転校生なんでしょ!?」
「え、うん。」
「んもう!それなら早く教えてよー!
ぷんぷんだよ!ぷんぷん!」
「だって聞かれなかったし。」
しれっと言う。
「・・・なんか、お兄さん変わったね。」
「そうか?」
サングラスを軽く上げる。
「うん、前より明るくなった!」
「ふふん、うれしいこと言うじゃねえか。」
しばらくは考えないことにしたしな。
「・・・実は、さ・・・。」
「ん?」
「お兄さんにちょっと、聞いてほしいことが
あるんだよねぇ・・・。」
「聞いてほしいこと? まあ、
金以外なら聞いてやる。」
「ほんとに!? あ、でも・・・。」
「? どうした?」
「部活が・・・あるんだよね・・・・。」
バツが悪そうに頭をかく。
「はあ・・・ああ、わかった。
じゃあ、終わったら連絡しろ。」
デバイスを取り出し、
連絡先を教える。
「お兄さん・・・うん!」
要件を言い終わったノエルは
走り去っていった。
「さてと・・・・。」
寮に戻ろうとする。
「ちょっと、そこのあなた。」
「はい?」
風紀委員の腕章をした
生徒が声をかける。
「・・・そのサングラス、あなたが
転校生ですか。」
「そうなるな。」
「制服の第一ボタン。外れてますよ。」
「え? ああ、いつの間に・・・。」
ボタンをきっちりしめる。
「いやあ、どうもどうも。
ありがとうございました。」
その場から離れようとする。
「待ちなさい!」
「うお!?」
制服を引っ張られ、止められる。
「ったく、なんだよ。」
「私にとって、制服の乱れは心の乱れです。
ボタン1つでも侮れません。」
・・・とんだ極論だな・・・。
「転校生ならばちょうどいいですね。
私がこの学園のルールを叩き込んであげます。」
「結構です。」
「いいから来なさい!」
「ええ~・・・。」
めんどくせえしな。
「校則違反者のくせに、いい度胸
してますね。」
「・・・。」
危ない危ない。危うくキレるところだった。
「その腐った根性、風紀委員室で
叩き直してあげます。」
「結構ですこれで失礼します。」
息継ぎせずに拒否し、
走り出す。
「あ、こら!待ちなさい!」
あとから追いかける。
「廊下は走ってはいけないと
小学校で教わらなかったのですか!」
「ほぼほぼお前のせいだろ!!」
徐々にロウがスピードを上げる。
「屁理屈は通じません!風紀委員は違反者を
追う場合において超校則的措置の対象になります!」
このままじゃ、逃げられねえな・・・。
「よっと!」
途中の階段を一気に飛び、
全段飛ばして降りる。
「ああ!?」
「じゃ、これで失礼!」
ロウはまた走り出し、
姿が見えなくなった。
「はあ・・・はあ・・・いいでしょう。
これは私への、風紀委員への宣戦布告とみなしました。
今度見つけたら、絶対に捕まえてやりますから!
覚悟しておきなさい!!」
そのころ ロウは
「う!?」
突然寒気が走る。
「・・・なんかやばいような・・・
気のせいか。」
放課後
喫茶店
「ふぅ・・・。」
「な、なんかお兄さん疲れてない?」
風紀委員からの追跡を逃れた
ロウは約束通り、ノエルとともに
喫茶店に来ていた。
「別に大したことじゃねえよ。」
そう言いながらブラックコーヒーを飲む。
「それで、聞いてほしいことってなんだ?」
「あ、うん。・・・・私は、
今のこの状態をどうにかしたい。」
「?」
急に険しい表情になる。
「・・・何があった?」
「実は、私にはねお姉ちゃんがいるんだ。」
「姉が?」
「うん、でも、もう何年も話せてないんだ。」
「・・・まさか、姉妹喧嘩の仲裁を
俺にしろってんじゃねえだろうな?」
「う、うん。半分当たり、かな?」
「話は終わりだお疲れさん。」
立ち上がり、会計を済ませようとする。
「え~!?」
「当たり前だ、俺には兄弟は
いないようなもんだ。」
外していたサングラスをかける。
「いないようなもん・・・?」
「まあとにかく、原因がお前らにあるのなら
お前らの中で解決していくしかないんだよ。」
「・・や、やっぱり、そうだよね・・・。」
「だが」
「?」
「手助けぐらいはしてやる。
それで文句ないだろ?」
少しニヤリと笑う。
「//お兄さん・・・ありがと!」
「さて、これで本当に話は終わりだな。」
「あ、お兄さん。実はもう1つ・・・。」
「はあ、なんだ?」
「このハンカチを渡してほしいんだ。」
カバンから1枚のハンカチを取り出す。
「ハンカチ・・・・? ・・・
はっは~、わかった。それお前の
姉のだろ?」
「ぎくっ。そ、そ、そんなわけ
ないじゃ~ん。」
図星だったのかごまかそうとするが
バレバレである。
「さっき言ったろ、それぐらいお前が渡せ。
それに誰かわからない俺より、妹の
お前が渡したほうがいいだろ。」
「そ、そうだよね・・・・。
なんか、勇気出てきたよ。」
「・・・そうか。」
ノエルの肩に手をポンと置く。
「なら、がんばれ。」
「///うん!」
少し顔を赤くしながら
笑った。