グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
学園
校門前
「おっはよー! お兄さん、待った!?」
ノエルの声が響く。
「朝から元気な奴だな。」
「そりゃそうだよ! やーっと、やっとだよ!
お兄さんとパーティ組めるの!」
「そういえば、組んだことはなかったな。」
「あたし、こんなに首を長くして待ってたんだよ!
こんなに!」
首をぐいっと伸ばす。
「あんまり長くしすぎてキリンになるところ
だったよー。」
「キリン?」
「知ってるでしょ? 絶滅危惧種の。昔はさ、
アフリカにたくさんいたんだって・・・・・って、
何の話だっけ?」
「クエストを待ち望んでたって話だろ?」
あきれ気味にため息をつく。
「ああ! ごめんごめん! えへへ・・・
それぐらい楽しみにしてたんだよ!
んじゃ、さくっと! 行っちゃうよー! レッツゴー、
ノエルちゃん!」
「・・・・。」
「お兄さんも言ってよー。」
「え。」
「はい! レッツゴー、ノエルちゃん!」
「・・・・・レッツゴー・・・・。」
<ロウ、ノエル、移動中>
商店街
「えへへ~・・・。」
「なに変な顔してんだ。」
「え、なになに? そ、そんな顔してないよ!
うれしいだけ!」
そう言い、顔を押さえる。
「うれしい?」
「だってお兄さんとクエストって、そんなに
行く機会ないし! お姉ちゃんと行ってるのに
あたしとは行ってなかったしね。」
「確かにお前とクエストはあまりなかったな。」
「だから、やっと順番が回ってきてうれしいんだよ。
お兄さんも喜んでよ。」
ロウの腕に抱き着く。
「なんでだよ。」
「元気なノエルちゃんと、2人でおでかけ
できるんだよ~? やる気出るでしょ?」
「はいはい出る出る。」
「うぅ・・・お兄さん冷たい・・・。
でも、元気出して行くよー! 出発、ゴーゴー!」
「・・・・・。」
・・・この流れさっきも・・・。
「ほら、お兄さんも声出して!」
やっぱりか・・・
「・・・ゴーゴー・・・・・っと、
出てきたぞ。」
2人の前には頭から手が生えた
魔物が数体現れていた。
「うわぁ・・・・。」
「なに引いてんだ、行くぞ。『ROOM』!」
青色のサークルを作る。
「え、えい!」
光の球体を作ると、それを
魔物にぶつける。
何体かは霧散したが、
1、2体はよける。
「『ラジオナイフ』!」
残った魔物をロウが一気に切り裂いた。
「ふぅ・・・まだ残ってるか。」
デバイスを確認する。
「ノエルちゃんは、まだまだ元気いっぱいだよ!
さぁ、行こう! お兄さん!」
「・・・・・。」
<ロウ、ノエル、移動中>
「ノエルちゃんのお兄さんチェック!」
「なんだ急に。」
「ええ? 急にじゃないよー。前からやろうと
思ってたんだから。」
背中をポンポンとたたく。
「んで? なんだチェックって。」
「あのね、お兄さんっていろんな人とパーティ
組んでるでしょ? その中からお気に入りの人を
チェックしようっていう企画!」
「お気に入り? そんなの聞くのか?」
「だって気になるじゃん~! みんな
気になってるよ? 一体、お兄さんのベスト
パートナーは誰だ! って。」
「パートナー・・・。」
ノエルをじっと見る。
「・・・あ、ち、違うよ? そーゆー話じゃないって!」
「そーゆー話?」
首をかしげる。
「な、なんでもない! つまりは、誰とパーティを
組みたいかってこと!」
「パーティって固定されるもんなのか?」
「うん。大体固定されるんだ。仲のいい人で組んだり・・・
部活で組んだり、単に魔法の相性がいい人たちで
組んだりね。」
「そうだったか・・・。」
「でも、お兄さんって引っ張りだこでしょ? だから、
みんな最終的に誰と組むのかすっごい気になってるんだ。
まあ、ぶっちゃけるとみんなお兄さん狙ってるんだよ。」
「随分ぶっちゃけたな。」
やけにクエスト行かされるとは思ったが・・・
「もちろん体質のこともあるけど、それだけじゃ
ないしね、絶対! ・・・・ていうか・・・」
「?」
「お兄さん、何気にお姉ちゃんとパーティ
組んでるよね?」
少し頬を膨らませる。
「成り行きだ。」
「そうかもしれないけど・・・あたしともっと
組んでほしいなぁ~。ね? ね? いいでしょ?」
「ああ、わかったわかった。」
「決まりね! またパーティ組んで、討伐
行こうね!」
「・・・・行ければな。」
小さくため息をついた。
<ロウ、ノエル、移動中>
「わーん、また逃げられたー! もー!」
2人はまた魔物に遭遇したが、
あと一歩のところで逃げられてしまった。
「妙にすばしっこいな。うまく隠れやがる。」
「よーし、こうなったらノエルちゃんの
本気を見せてやるんだから! いろんな部活で
鍛えたサポートパワーでやっつけてやる!」
手首足首をぐるぐると回す。
「まあ、隠れようが関係ないけどな。
『ROOM』!」
青色のサークルを作る。
「お兄さん、魔力の補給お願い! 次に会ったら
絶対逃がさないんだから!」
「意気込みはいいが、無理するなよ。」
「へ? だ、大丈夫だよ。無理するわけじゃないから。
お兄さんもびっくりするよ、きっと! ちゃんと
驚く準備しておいてね!」
「なら、しっかりやれよ? ・・・『スキャン』!!」
刀の切っ先を上に向け、刀をゆっくりと
横に動かす。
「・・・よし。『タクト』!」
ロウが指をクイッと上にあげると
魔物たちが宙に浮かび上がる。
「うわぁ・・・!」
「なに驚いてるんだ。行くぞ。」
「あ、うん! ノエルちゃん、行きます!」
「まずは・・・。」
魔物を宙に浮かせたまま、
ゆっくり引き寄せる。
「いっくよー!」
手の上で光の玉を作り、
それを思い切り蹴り飛ばした。
1体の魔物に当たると、玉が
跳ね返り、別の魔物数体に当たり、霧散させた。
「なるほど・・・だったら・・・!」
宙に浮かせた魔物の位置を
動かして入れ替える。
「冬樹。さっきのもう1回やれ。」
「オッケー! とりゃー!」
再び光の玉を作り、蹴り飛ばす。
当たった玉が跳ね返り、次々と
魔物に当たり霧散させる。
「ふぅ・・・。」
サークルを消すと、デバイスを取り出す。
「よし、魔物の反応はない。討伐完了だな。」
「お疲れさまー! えへへ、どうだった?」
「ああ、頑張ったな。」
「も、もうちょっとほめてくれたって
いいじゃんかぁ!」
ロウの服をつかみ、強く揺らす。
「まあ、驚いたと言えば驚いたけどな・・・。」
「そりゃ、自分でもちょっと言い過ぎたかなって
思ってるけど・・・すごかったでしょ!?」
「ああ、すごかった。・・・よくやったな。」
ポンポンと肩をたたいた。
「えへへ~、ありがと。お兄さんに褒められると
嬉しいな。」
にっこりと笑う。
「じゃ後は帰るだけだね・・・・帰ったら
どうしよっかな。・・・お兄さん、クエスト行った後は
いつも打ち上げしてるんだってね?」
「いつもってわけじゃないが・・・・。」
「なら、あたしとも打ち上げやってくれるよね?
だよね? よね?」
そう言いながら、徐々にロウに迫る。
「ああ、わかったわかった。報告終わったらな。」
「決まり! 早く帰って報告しちゃお?
・・・・あ、そうだ。」
「?」
「さっきの話なんだけど、お兄さんの
お気に入りって、いったい誰なの~?」
「・・・さて、とっとと帰るぞ。」
「あ、ちょ、ちょっと待ってよ~!」